もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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(俺の……負け……か。)
蒸気を上げながら変身解除する自らを見ながら秋月 信彦は思った。
50年間、幽閉されてその間に世界は変わった。

この世界の光と闇を知り俺は怪人が人類の上に立つ世界を望んだ。
その為に俺が創世王を継ぐ……例え親友を殺す事になっても……そう思ったのに……負けた。

目の前で血反吐を吐きながらも俺を見つめている仮面ライダーBLACK SUNは変身解除し南 光太郎の姿に戻ると俺に言った。

「俺はお前から奪うものなんて何も無い…!だから俺に託せ…!俺が創世王を殺す…!怪人は…人間だ…!誰かと出会って恋をする…!子供だって作る…!それで生きて…いつか死ぬ…。何も特別な事は無い…!」

「ゆかりが望んだ世界に…嘘は無いと…俺は思ってる…!」

強い意志を込めて告げられたその言葉を聞き俺は今も愛している女性や仲間達を思い浮かべる。

怪人とか人間とか関係ない。
ただひらすら真っ直ぐに生きていたあの時代に……

「…もう皆いなくなった…ゆかりも…オリバーも…皆いたんだ…ダロムも…ビシュムも…バラオムも…ビルゲニアも…!」

「…光太郎…俺はあの頃に戻りたい…!」

自分の口から漏れ出た本心は虚しく部屋に響く。
そこで気付いた……いや、気付かない様にしていた事実を理解した。

(俺は……"今も過去に生きている"。
光太郎は過去を乗り越えたっていうのに俺は今でも過去にしがみついて物事を見ていたんだ。)

ならば俺の出来る事は"一つ"だ。

俺は腹部に埋め込まれた石を引きずり出そうと覚悟を決め手を当てたその瞬間……部屋を震わせる音が響きわたった。

「鐘の……音?」

何故、この部屋で鐘の音が聞こえるのか不思議に思う俺はその場の光景に絶句してしまう。

目の前にいる光太郎がまるで人形の様に動きを止めている。
彼だけではない凄まじい戦闘の余波で崩落している部屋のコンクリートや遮断された配線から落ちる火花さえ空中で静止していたのだ。

動けるのは自分だけ……その異様な事態に困惑していると目の前に一人の少年が突然現れた。

「いやぁ、流石はSHADOWMOONとBLACKSUNの戦いだね。
互いの想いを賭けた攻防は見ていて感動しちゃったよ。」

「お前……は?」
「あぁ、説明して上げたいけどこのままじゃ君死んじゃいそうだから先に"身体"の方を何とかしちゃうね。」

少年はそう言うと指を一度弾く。
パチン!
その音が聞こえた瞬間、俺の身体に刻み込まれた傷は無くなった。

まるで怪我をした事実を消し飛ばしたみたいに身体の傷や服の損傷すら無くなっていたのだ。

(コイツはヤバい。)

直感でそう感じた俺は立ち上がると少年に向かって構えた。
それを見た少年は困惑しながら両手を上げる。
「アレ?あーちょっと待って待って!!
別に君達を殺そうとなんてしてないしこの世界にも危害を加えるつもりはないよ。
僕がここに来たのは君と取引がしたいから」
「お前のその言葉を信じろと?」

信彦の問いにロノスは額を掻きながら言った。
「まぁ、確かに僕が胡散臭い事をしてるのは自覚してるけどこれは君にとっていい選択になり得ると思うんだよね。
だって、僕が君を治さなかったら死ぬつもりだったでしょ?
お腹の石を彼に託して」

ロノスは固まっている光太郎を指差しながら告げた。
「過去を生きている自分ではなく今を生きる彼に想いを託して死ぬ。
……正直、君達の想いには共感出来る。」
「ならば何故、俺を救った?」

信彦の問いにロノスは真剣な顔で答えた。
「その先の未来が君の願うものとは全くの別物になってしまうからさ。
君も"見ればわかる"。」
ロノスはそう言うと手から波動を放った。

それを受けた信彦の肉体と精神は分離され精神のみとなった信彦はロノスの見た光景を追体験する。

俺から石を受け取り創世王にトドメを刺す光太郎の姿……
だが、創世王が死んだ事で2つのキングストーンが力を発揮し俺の肉体を取り込み光太郎は新たな創世王へと姿を変えた。

だが、そのせいで光太郎の意識は消失しビジュムの手により新たなヒートヘブンを生む存在として扱われてそれを止める為、光太郎が救った女性が彼の命を折れたサタンサーベルで奪う。

死を請い笑顔のまま消失する光太郎の姿……
(何だこれは?……違う……光太郎はこんな姿になる為に戦った訳じゃない!!)
怒りに震えながら声を出そうとするがそれは叶わずまだ別の光景が浮かんだ。

怪人差別は今も続き争いが終わる事は無く寧ろ前よりも酷くなっていった。
光太郎の意志を継ぐと言う()は少年少女に殺人術を教え政府と戦う組織を作り上げていた。

(これじゃあ、過去の俺達と何も変わらないじゃないか!?
俺や光太郎……皆が命を賭けた結果がコレなのか!?
歴史が続いていき変わらない事が答えだった言うのか!)

どうしようもない事実を突き付けられた信彦の精神は元の肉体へと戻った。
意識を取り戻した信彦はショックから地面を向くと嘔吐した。

「ウゴェ!?……ハァハァ……」
「どうだった?
未来を見た感想は?」

ロノスの問いにフラフラになった身体を壁で支えながら何とか立ち上がる信彦。
「これが……未来だと!?」
「そうだ。
君や光太郎の想いは叶わず何も変わらないまま世界は進んでいく。
差別による被害やそれを利用して私腹を肥やす者が絶えることはない。
何も変わらず何も変えられず終わる……それが光太郎が手に入れる未来だ。」

「そんな………それじゃあ、俺達の……生きた……意味は……」

"何も無い"

そう言いかけた言葉をロノスは遮る。
「だから僕は別の選択肢を君に用意した。
勿論、君にも対価は支払って貰う。
だが、その代わりにこの世界の未来を変えてあげよう。」

「どういう事だ?」
「僕の力を使い君をこの世界から切り離す。
そうすればキングストーンは一つだけとなり次の創世王は生まれない。
そして、君には新たな力を得て貰いまたこの世界に戻って貰う。
かなり時間をかけてはしまうが僕の力を使えばある程度の時間干渉は可能だ。
どの時間軸でも君を返してあげられる。」

その条件を聞いた信彦は立ち上がり光太郎の元へ足を進める。
傷だらけになった光太郎を見ながら信彦は尋ねた。
「なら、俺の支払う対価は?」
「僕にも君と同じく救いたい者達がいる。
だが、それには準備や工程が沢山いるんだ。
それをするには手が足りない。
その手に君がなって欲しい。」

 「随分と不透明な言い回しだな。
具体的に何をするのかも分からないのか?」
「じゃあ、断るかい秋月信彦?」

戯けて尋ねるロノスに信彦は真剣な目で告げた。
「良いだろうお前も俺を利用し俺もお前を利用する。
正義や善意なんて言葉よりもよっぽど信用出来る。
だが、忘れるなよ。
お前が俺との約束を破ったらどんな手を使ってもお前を殺してやる。」
信彦から殺気をぶつけられたロノスだが彼は笑顔で答えた。

「……ハハッ!!良いね!
それぐらいの反骨心があればこれから先も楽しくやっていけそうだ。
それじゃあ、改めて自己紹介を僕の名前はロノス。
君は知らないだろうが超越者と呼ばれた種族の生き残りだ。
精々、僕の為に役立ってくれよ。」
「秋月 信彦……知ってるだろうが怪人だ。
俺は俺の目的の為にお前を利用する。
精々、役立ってやるからお前も俺の役に立てロノス。」

そうしてロノスはもう一度、指を弾いた。
その瞬間、止まっていた世界の時が動き出す。

「ハァ……ハァ……信彦?……どこに行ったんだ?」

辺りを懸命に見渡す光太郎だったが信彦の姿を見つける事は出来なかった。
 


W×OOO 29.鳥籠と愛

 

始めて帰蝶を見たのは帰蝶の父である斎藤道三との謁見の場だった。

強い意志と覚悟を持った目にワシは惹かれていった。

そんな中、政略結婚の形でワシと帰蝶は夫婦となった。

 

"濃姫"と名を変えワシに尽くしてくれた彼女にワシは尋ねた。

「お主の欲している物は何か?」

その問いに帰蝶は答えた。

「私は斎藤道三の娘として生まれこの戦国の世で生きてきました。

騙し騙され殺し合い互いに誰も彼もが天下を手に入れる欲を満たそうとする。

きっと信長様にとってこの世はきっと肌に合ってるので御座いましょう?」

 

「そうは言うがお主とお主でこの世を楽しんでいるではないか?」

「泣いて苦しんで生きるよりも楽しんで生きた方が良いと思っていますから……それに強欲なお館様の隣にいるのでしたらそれぐらいで無ければ務まりません。」

 

「あっはっは!!愉快なことを言うではないか。

して、まだお主の答えを聞いておらぬぞ?

お主は何をこの世に欲している?」

 

信長の問いに濃姫は立ち上がり障子を開けた。

外の木に止まる鳥を見ながら彼女は告げた。

「あの鳥で御座いましょうか。」

「鳥とな?」

 

「はい。

好きな時に飛び、餌を取り、誰にも邪魔されること無く空を飛び鳴き生涯を終える。

そんな鳥に私はなりとう御座います。」

それを聞いた信長は驚嘆した。

 

天下に手が届く力を手にしている信長の隣にいる女が求めたのは"支配"とは程遠い"自由"だったのだから……

 

「お主もワシと似て……強欲じゃのぉ濃姫。」 

この戦国の世で濃姫の求める自由を手に入れる方法は存在しない。

何故なら、その自由とは信長の行う天下統一にとって必ず邪魔になる。

 

(直ぐにこの女を切り捨てるべきだ。)

 

自らの欲を満たす為にも邪魔なものは何であっても排除する。

信長は太刀に手をかけた。

それを知ってか知らずか濃姫は信長に向き直ると言った。

 

「天下を狙う信長様の妻なのですよ?

それぐらいの欲を持っていなければ面白くないじゃありませんか?

それとも、この欲は貴方にとって邪魔事ですか信長様?」

 

ワシは驚愕した。

この女は全てを理解した上で自由を求めているのだ。

その上でワシに挑戦してきている。

このワシと対等な戦いを……

やはりこの女は面白い!!

 

他の者はワシが戦国の世で最も欲深いと言うがこの女の方が強欲ではないか!

故にワシの傍が最も相応しい何故ならばワシは織田信長なのじゃからな。

 

信長は太刀から手を離すと立ち上がり大きく笑った。

あっはっはっはそれでこそ我が妻じゃ!!

なればこそ早く天下を取らねばなるまいな。

主の欲する鳥を入れておくには今の"鳥籠"(世界)は少々汚いからな。

綺麗にして鳥を入れられる様にしなくてな。」

「手狭な鳥籠では鳥も嫌になってしまうかもしれませんよ?」

 

「なれば、鳥籠を大きくすれば良いだけだ。

そうさな……この世が丸々入れば鳥も満足するのではないか?」

さも当然に言った信長の言葉を聞き濃姫は笑う。

「あははは!!なれば豪華にしてください。 

鳥がずっと楽しんでいられるほど大きく豪華な鳥籠ならば嫌とは申しませんよ。」

 

「そうかそうか!!

ではそうするとしようか。」

 

 

 

 

「ワシが天下を求めたのは支配する為だけではない。

濃姫……いや帰蝶が自由に生きていける世界を手に入れる為じゃ。」

バースドライバーを直しながらノブナガの過去を聞いた無名は彼に尋ねる。

 

「ですが、この世界にいるキチョウさんが貴方の記憶の女性と同じである確証はあるのですか?」

「そんな事は関係ない。

ワシは約束したのじゃ奴に自由をやると

なれば叶えてやるのが道理。

そして我の望みである天下も手に入るのだ一石二鳥だろう?」

 

それを聞いた無名は小さく笑う。

「"約束"……ですか。

どうやら、僕の人生とその言葉は切っても切り離せないのかもしれませんね。

……良しこれで良いはずだ。

ノブナガさん、ドライバーの修理は終わりました。

ですが、あくまで応急処置です。

システムが動く様にしただけでドライバーにダメージを受けたら直すのは不可能だと思ってください。 」

 

そう言いながら差し出されたドライバーをノブナガは受け取る。

「動くのならばそれで問題はない。」

「では行きましょう。

アルケの野望を止める為にもね。」

 

無名がそう言いノブナガが頷くと立ち上がり扉の先へと向かっていくのだった。

 

 

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

仮面ライダーアクセルは握った拳を仮面ライダースカルの頬にぶつける。

それを受けたスカルは笑った。

「ふっ…そうだ。

お前の覚悟を拳に乗せてもっとぶつけてこい!」

 

スカルもお返しとばかりに握った拳でアクセルを殴った。

殴られたアクセルはよろけながら一歩下がる。

「ぐっ!?」

「どうした?

お前の覚悟はそんなものなのか?」

 

あからさまな挑発だが仮面ライダーアクセル、"照井竜"は引けなかった。

仮面ライダースカル、"鳴海荘吉"の考えが理解できたからだ。

 

(彼は俺を見極めようとしている。

所長……鳴海亜樹子の隣に俺が立てるのかどうかを……

だから引かない……引けない!!

それだけは……貫いてみせる!)

 

「まだまだぁ!!」

 

照井は拳を振るいながら荘吉に接近する。

荘吉もそれに応えるように接近すると握り込んだ拳を振るった。

互いに回避や防御は考えていない。

故に渾身の拳が互いの体を傷つけた。

 

その度に互いの心に想いが宿る。

(これが……亜樹子を守ろうとする拳か。

想いと覚悟が乗っている良い拳だな。

俺がいなくなってからどうなるかと思ったが……イイ男に巡り会えた様だな。)

 

 

相棒だったマツがメモリの魔力に墜ち俺の身体に撃ち込まれた蜘蛛の能力で俺は"最愛の人"(鳴海亜樹子)に触れられなくなってしまった。

俺の手では娘を守れない。

だからこそ、風都でメモリ犯罪と戦い続けた。

 

娘に危害が及ばないように……その中で翔太郎やフィリップと出会った。

半人前だと思ってた翔太郎も今では一端の探偵を気取れる位にはなった。

 

予想外だったのは亜樹子が俺を追って風都に来た事だ。

翔太郎なら亜樹子を守ってくれるだろう。

だが、それもずっとじゃない。

 

バカ親だと思われるかもしれないが俺は求めてしまったんだ。

どんな時でも娘を守れる存在を……

(お前ならば……娘を託せるかもしれない。)

照井竜に荘吉はそんな感情を抱き始めていた。

 

 

(強い……これが娘を守ろうとする父の拳。

なんて大きな背中なんだ。)

 

メモリの魔力に取り憑かれた井坂 深紅郎により両親と妹を奪われた照井 竜にとって家族の記憶は冷たいものになっていた。

だが、その中でも覚えているのは父の姿だ。

 

氷漬けにされながらも妹と母を守ろうとしていた。

復讐心に取り憑かれていた昔の俺は気付かなかったが所長や翔太郎やフィリップと交流し井坂を倒した事でまた改めてその姿を考える様になった。

 

大切な存在を身を挺して守る。

確かに井坂により妹も母も殺されたがそれでも父は守ろうとしたのだ。

ドーパントの危険性を理解していた父がそれでも守ろうとした意味が今になれば良く分かる。

 

(親父は貫いたんだ……愛する娘や母さん………それに俺の為に自分の命を賭けて……それが誰かを愛する事なんだ。)

 

目の前で戦っている亜樹子の父である荘吉の背中や拳からもその想いが伝わってくる。

もう何十発も殴っているのに岩の様に動じる事がない。

 

だが、その身体に冷たさは感じない。

寧ろ熱く煮えたぎる精神を照井は拳を通して感じていた。

(この人も守ってきたんだ娘をその拳と体一つで………

これが家族を守る父の強さなんだな。)

 

自分の父や目の前の父の強さを照井は心の底から理解し尊敬の念を覚えた。

両者が互いを理解し合った瞬間、その拳の応酬は止まった。

 

「お前の事は理解した……そろそろ幕引きとしよう。」

荘吉の提案に照井は了承する。

「分かりました。

ですが一つ教えてください。

貴方は何故、私達を……」

 

助けようとしてくれたのか?

そう尋ねようとする照井に荘吉が言葉を紡ぐ。

 

「俺のメモリはスカル。

どうやら、このメモリは俺の死と生の概念すら曖昧にするらしい。

そのお陰で多少だが奴等の洗脳に抗う事が出来た。

とは言え碌な反抗も出来なかったがな。

ちょっとしたヒントを与えられる程度だった。

何か出来ないかと考えてはいたがどうやら俺の動きもアルケは承知していたらしい。

ここに来る前に裏切れるならば好きにすれば良いと言われたが結果はこのザマだ。」

「それは……」 

 

「俺の丁度、真下に奴が仕掛けた装置がある。

その装置を破壊すればこのタワーのエネルギーは止まる。

照井 竜……俺ごと装置を破壊しろ。

それ……が……この街……と……娘を……救う……唯…一。」

 

荘吉は頭を抑えながらそれだけ告げるとまるで人形の様に動かなくなった。

(余計な事を喋ったからアルケに意識を奪われたのか。)

 

「絶対に"この街も貴方"も助けます。」

 

照井はアクセルドライバーのクラッチを握った。

対する荘吉もスカルメモリをマキシマムスロットに装填する。

 

「ACCEL MAXIMUMDRIVE」

「SCULL MAXIMUMDRIVE」

 

必殺待機状態に移行すると両者睨み合う。

(荘吉さんはこのタワーの真下に装置があると言っていた。

地面を砕き装置を破壊しようとすれば邪魔をされるだろう。

………ならば!!)

 

照井は覚悟を決めて構えた。

対する荘吉は飛び上がると胸部から現れた髑髏状のエネルギーを放出し照井に向かって蹴り放った。

照井はその攻撃に合わせる様にマキシマムエネルギーを纏った足を振るった。

両者の攻撃が衝突すると火花を上げ飽和したエネルギーがタワーの地面を削っていく。

 

だが、タワーの地面を砕く程の威力は無く地面を削り続けているだけだ。

(やはり、地面を割るにはこの攻撃を真下に向けるしかない。

………だが、それじゃあ装置を破壊する前にスカルから反撃を食らう。

空中じゃあ満足な回避は出来ない……どうすれば)

 

そう考えている照井の前でタワーに別の振動を爆発音が響いた。

その瞬間、両者が立っていた地面が砕け2人は地面に落下していく。

そして、それは縛られていた亜樹子も同じだった。

 

「キャアァァァ!?落ちるぅぅ!」

「君を死なせはしないさ。」

落下する亜樹子の背後で聞こえたのはナスカドーパントになった霧彦だった。

 

「彼女は任せろ!!

お前は装置を壊せ!!」

 

霧彦はそれだけ叫ぶと亜樹子を抱え超高速を使い落下する瓦礫を足場に地面へと降りていった。

「助かる……ウォォォォォォ!!

照井はスカルのマキシマムを足に残しながら体勢を変化させて落下する地面に目を向けたするとタワーの中心に大量のプラグが取り付けられた装置が鎮座しており周囲から緑色のエネルギーが発生しているのを見つけた。

 

(アレだ!)

 

直感的にその装置が荘吉の言っていた物だと理解した照井は足に残ったマキシマムのエネルギーを放出しようとする。

しかし、そこで目に入ったのはスカルマグナムを取り出した荘吉が照井にではなく霧彦に抱えられている亜樹子に銃口を向けている姿だった。

 

「!?……荘吉さん!!目を覚ませ!

亜樹子をその銃で殺すつもりか!?」

 

焦った照井の声に応えたのはスカルの身体から聞こえたアルケの声だった。

『愛する者を殺されたくなかったらどうすれば良いかは分かっているだろう照井 竜?』

「アルケ……貴様っ!?」

 

一瞬、動揺した照井にアルケは勝ちを確信する。

今の内にスカルマグナムで照井を狙撃しマキシマムでトドメをさせば………

 

その思考を実行しようとした瞬間、スカルマグナムが"彼の手から離れた"。

『何っ!?』

「………娘を傷つけようとする奴は誰であろうと許さん。

俺の身体に勝手に入り込んでタダで済むと思ったかアルケ?」

 

荘吉は左手で持っていたスカルマグナムを叩き落とすと右手を掴み動けなくした。

 

『鳴海 荘吉……まさか、肉体の権限を取り戻したとは……だが無駄だ。

確かにスカルメモリに私の洗脳能力との相性が悪いのは事実だ。』

 

アルケと荘吉が話し合う中、好機と見た照井は足に押し留めていたスカルのマキシマムを地面の装置に向けて放った。

アクセルのマキシマムにより凄まじい速度にまで加速した髑髏状のエネルギーは装置に激突すると大爆発を起こす。

 

だが、煙が晴れると外側のフレームが破壊されながらも可動する装置の姿があった。

『お前の裏切りも予測して装置を"強化"したのだ。 

ツインマキシマム程度ならば耐えられる。

私の計画は狂わない。』

 

「な……める……なっ!!」

 

最後の声を振り絞りながら照井はダメージにより火花を上げている身体を無理矢理動かしてエンジンブレードを開きアクセルメモリを装填する。

 

「ACCEL MAXIMUMDRIVE」

 

メモリを装填した照井だったが先程の攻撃のダメージが大きく動くどころが剣を構えることすら出来なくなっていた。

照井はエンジンブレードを荘吉に向けて投げ付けた。

 

その行動を見たアルケは照井の真意を理解する。

『愚かな……私の洗脳に抗っているとは言え所詮、左手一本。

私に止められないとでも……』

 

照井の行動を愚かと断じるアルケだが突如聞こえていた声に表情を歪める。

「お父さん……頑張って!!」

 

それは亜樹子が父に向けて精一杯の感情を込めて言った言葉。

ただの一言……それはガイアメモリの様なパワーも無い。

 

だが、"二人"にとっては違う。

 

「亜樹子……ウォオオオオオオ!!

 

荘吉は愛した娘の言葉に応える為、必死に洗脳に抗い投げ渡されたエンジンブレードを掴んだ。

 

『バカなっ!?……私の洗脳を……想いだけで捻じ伏せただと!?

邪魔をするなぁ!! 駒の分際でぇぇぇ!!』

「させないっ!!」

 

照井は愛する人の想いを守る為、スカルの右腕を掴み動けない様に固定した。

 

荘吉は左手で握ったエンジンブレードを装置に向ける。

 

『止めろぉぉぉぉぉ!!』

「「ウォォォォ!!!」」

 

荘吉が振るったエンジンブレードから放たれた攻撃が亀裂により生じた装置の隙間に入り込む。

その瞬間、装置が大爆発を起こし2人のライダーはその爆風で浮き上がり地面に着地した。

 

爆発により衝撃はある程度、殺せたが2人のライダーのドライバーからメモリが弾かれ変身解除してしまう。

 

タワーに建てられた装置は先程の一撃で完全に破壊されたのか機能停止を起こし発生していた緑色のエネルギーも止まっていた。

 

そんな中、ボロボロになりながらも荘吉と照井は立ち上がった。

荘吉は手を握りながら確認し自分の洗脳が解けたのだと分かる。

「……借りが出来てしまったな照井 竜。」

……いえ、貴方を助けられて本当に良かった。

亜樹子の悲しむ姿を俺は……見たくありませんから」

 

「………そうか。」

荘吉は照井の姿を見て少し笑うと落ちたメモリを掴む。

「まだ、戦いは終わっていない。

手を貸してもらうぞ。」

「はい。」

 

それだけ言って荘吉は亜樹子の元へ行く。

「直ぐに終わらせる。

お前は安全な場所で待っていてくれ亜樹子。」

「……うん。

私待ってるから」

 

 

荘吉は優しく亜樹子の頭を撫でると照井を連れて外へ出ていく。

その姿を見送った霧彦は亜樹子に言った。

「君を安全な場所まで送ったら悪いが別行動をさせてもらう。」 「何かあったの?」

 

亜樹子の問いに霧彦は答える。

「君達家族と同じ様に私も自分の家族が心配でね。

それにこのタワーだけが壊されてアルケの計画が頓挫するとは思えない。

もう一つのタワーの装置も破壊してくるよ。

だから少し手荒な送迎になるが勘弁してくれ。」

「え?」

 

霧彦はそう言うと「超高速」と呟き亜樹子を抱きかかえると一瞬の内にその場から消え去るのだった。

 

外伝 続編の投稿に関して

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