秋月 信彦を仲間にしてから数年の時が経った。
(とは言えそれはロノスが彼を強化する為に複数の次元を渡り費やした結果の時間でありゴエティアのいるWの世界線では数カ月も経っていなかった。)
BLACKSUN世界のキングストーンである月の石は、次の創世王を作り出す以外に怪人を作り出す程の強大な力が備わっておりその力を安定して使える様にドライバーをリミッターとして使っていた。
ロノスは財団の力を使いドライバーを改造し月の石の力を十全に使っても問題ないシステムを備えた新たなドライバーに変化させた。
更にロノスは平行世界の仮面ライダーBLACKに倒されたシャドームーンから月の石を奪いそれをSHADOWMOONの月の石と融合させ新たな力を有した月の石に改良する事で秋月 信彦は仮面ライダーとして新たな進化を遂げる事に成功した。
真紅の肉体を得た信彦はロノスに"練習"と称され連れてこられた世界での怪人を一人残らず殺し切ると強くなった自分の姿を見ながらロノスに言った。
「新たな力をやると言われた時は半信半疑だったがこれ程とはな……昔の俺が井の中の蛙だったと理解させられるよ。」
「そんなに喜んで貰えたならこっちも用意した甲斐があったってものだよ。
まぁ、平行世界のキングストーンとの融合はちょっと賭けの部分もあったけど君の強さを信じて正解だった。」
「いきなり連れてこられて聞けなかったがこの世界は一体何なんだ?
この世界の怪人は俺の知る奴らとはどうも違って見えるのだが………」
変身解除し人の姿に戻った信彦が倒した怪人達を見ながらロノスに尋ねた。
全身を強化スーツで身を包み頭部には其々の怪人のモチーフを象ったマスクが着けられておりマスクを剥いだ顔は人間のままだった。
「この世界での怪人は改造手術で生まれる者だけでね。
それも肉体を改造はするが変異までは難しくて外部スーツでそこを補っているんだよ。
人間の姿をしているけどれっきとした怪物だよ。
とは言え強化した君の相手では無いが……」
「何故、この組織を潰したんだ?
財団とは敵対関係に無かった筈だろう。」
「おっ!流石、良く調べてるね。
確かにこの世界のショッカー……"Sacred Hegemony Of Cycle Kindred Evolutional Realm"は財団と協力関係だった。
でもねぇ、彼等は仮面ライダーに敗北した。
君が倒したのはその残党だよ。
今の君だから話すけど仮面ライダーや怪人の力には僕達、超越者の能力が深く関わってる。
このショッカーや怪人の改造手術にも超越者の誰かの能力が使われている。
そんな世界が"無数"に存在するんだ。
今その秘密を知ってるのは僕や君、そして財団でも限られた人物のみ。
今は知られてないがもしそれが次元の壁を越えられる仮面ライダーにバレたら僕の計画に問題が生じてしまう。
それを避ける為にも残党化して再起の可能性も低い組織には消えて貰いたいのさ。
変に暴れられて面倒な輩に嗅ぎ付けられるのだけは避けたいからね。」
「面倒な輩?」
「仮面ライダーの中には時空や時間を行き来出来る存在もいる。
そいつらは僕と同じくあらゆる世界を渡れるのさ。
"時の列車を持つ者"や"世界の破壊者"…"最低最悪の魔王"。
しかも、皆強くて財団Xとは敵対関係にある。」
「面倒だな。
つまり俺達はコソコソと動くしかない訳か?」
「"後少し"だけね。
さてと、ここの始末も終わったから退散するとしようか。」
ロノスがそう言った瞬間、空から汽笛の音が鳴る。
その音を聞いた信彦は室内で聞こえた事に疑問を持ちロノスは困った様な声を上げた。
「これは……汽笛?」
「あらら……厄介なのに見つかっちゃったな。」
そう話していると二人の前に現れたのは茶髪の青年と一体の怪物だった。
「お前たちか。
時間の流れに介入している奴らは」
「
彼等は"イマジン"と契約していない。」
「何だって!?
"デネブ"……それじゃあコイツらは」
デネブと呼ばれた怪物の言葉に驚く侑斗と呼ばれた青年にロノスが答えた。
「
「!?」
「最初に僕達を見つけたのが君達とは……中々、面白い運命だね。」
「お前……俺達の事を知ってるのか?」
警戒しながら尋ねる侑斗の言葉にロノスはふざけながら返す。
「さぁ……どこまで知っていれば良いかな?
君が仮面ライダーゼロノスになれること?
変身する度に他者に存在する自分の記憶が消えていくこと?
それともそこまでしてまで守りたかった君の愛する人と娘……」
「止めろ!」
ロノスの言葉に分かりやすく動揺したデネブと言う怪物は指を銃の様に構えてロノスに向けた。
それに対して信彦はロノスの前に出て彼を守る。
「何だか分からないがお前がコイツらを必要以上に刺激してるのは理解できた。
余計な事はするなロノス。」
「ごめんねぇ……ちょっと楽しくなっちゃってさ。」
前に出てきた信彦に対して今度は侑斗が尋ねる。
「お前達は何者だ?
ここで何をしていた?」
「要件なら済んだ。
お前と争うつもりはない。
俺達は帰らせて貰う。」
信彦がそう告げると侑斗は"ゼロノスベルト"を取り出すと腰に着けた。
「はいそうですかって帰す訳ねぇだろう。
力付くでも目的を聞き出してやる。」
侑斗はそう言うとベルトのレバーを動かし変身待機状態にしながら緑色の線が入った黒いカードを取り出す。
「変身」
侑斗はカードをベルトに装填する。
「アルタイルフォーム」
その瞬間、侑斗の身体を黒い素体をベースに金色のレールが象られた緑色の鎧を纏っていく。
そして、頭部のレールに2頭の牛頭が進むと複眼に変形した。
仮面ライダーゼロノス"アルタイルフォーム"へと変身が完了した侑斗は両腰に分割された武器"ゼロガッシャー"を繋げると大剣に変化させる。
それを見た信彦はため息をつく。
「はぁ……降りかかる火の粉は払うしかないか。」
そう言うと信彦は拳を固めて力を込める。
その瞬間、腹部からベルトが現れた。
その勢いのまま右手を伸ばすと左側に手を伸ばしていく。
「変身」
その声と共に両手を反対側に伸ばすとベルトの中心部が展開すると信彦の身体をエネルギーが覆っていく。
銀色の怪人態の姿を経由し仮面ライダーSHADOWMOONへの変身が完了すると侑斗が大剣を向けながら言った。
「最初に言っておく。
俺はかーなーり強い!!」
それを聞いた信彦は構えながら答えた。
「それは良かった。
今の俺がどれだけ強くなったのか"かなり強いお前"で試してやる。」
そうして仮面ライダーゼロノスと仮面ライダーSHADOWMOONの誰にも知られない戦いの火蓋が切って落とされるのだった。
風都タワーと風都第二タワーの両方が見えるビルの一角でNEVERドライバーで変身した仮面ライダートリガー…"芦原
賢"は巨大化したトリガーマグナムを抱えながら戦況を監視していた。
片耳を押さえながら2つのタワーを見つめる。
「随分と精が出るな芦原。」
そんな彼の背中から響いた声はもう聞くことの出来ない男の物だった。
「"黒岩"……」
「久し振りだな芦原……お前がここにいるのは意外だった。
てっきりタワーに向かってると思ったからな。」
「アルケからそう言われていたのか?」
芦原の問いに黒岩はメモリを懐から取り出しながら答える。
「まぁな。
俺の仕事はここからお前たちの仲間を始末する事だ。
安心しろここで死んでもアルケの装置で蘇生される。
"大道 克己や堂本 剛三"も蘇生してNEVERでは無く人間になった。
時期にお前や他の奴らもそうなるさ。」
「だから大人しく殺されろと?」
「人間に戻れるんだぞ?
そうすれば娘や家族にも心置きなく会えるだろう。
NEVERであるが故に捨てた平穏を手に入れられる。」
「だが、地球は滅びる。
アルケの願いがそうである以上、俺や仲間はそれを止める。」
「………はぁ、分かっていたとはいえ面倒だな。
お前の相手をするのは」
「COBRA」
黒岩はコブラメモリを起動すると手首に挿し同時にライフルギジメモリも使い左腕をライフルに変化させた。
その瞬間、互いに銃を発砲した。
放たれた弾頭が衝突し空中で火花を上げる。
「狙撃手である
「お前とは戦いたくはないんだがな。」
芦原の言葉を聞き黒石は鼻で嗤う。
「ふっ、ならアルケの邪魔をせず黙って世界の終わりを受け入れれば良い。」
「それは無理な相談だな。
俺は自分の娘やお前の娘にも怪我はして欲しくない。
ましてや、家族が消されるかもしれないならば全力で阻止する。」
「なら、無駄なお喋りは止めて殺し合いでも始めるかっ!」
黒岩は芦原との距離を詰めようと突進する。
対する芦原もトリガーマグナムで応戦した。
放たれた弾丸が黒岩の体を抉るがそのダメージは一瞬の内に回復した。
「そんな攻撃じゃ俺は止められないぞ芦原っ!!」
「くっ!?
全く厄介な能力だな。」
接近が済んだ黒岩は口から硬化した猛毒のナイフを生成すると左手で斬りかかる。
その攻撃を芦原は半身を翻して避ける。
だが、黒岩はそれも織り込み済みなのか左腕のライフルを回避している芦原に向けた。
芦原もトリガーマグナムをむけようとするがそれよりも早く放たれた弾丸がトリガーマグナムに命中すると芦原の手からトリガーマグナムが離れてしまう。
「ご自慢の銃は奪わせて貰ったぞ。」
「銃だけが俺の取り柄じゃない。」
芦原はトリガーマグナムを拾おうとせず両手を構えると黒岩に突進し腹部に向かって貫く様な蹴りを放った。
「ぐふっ!?」
「まだだ!」
芦原は一気に距離を詰めると肘を回転させて黒岩の首、脇腹に拳と肘を当てていく。
重く深い連撃に頭が下がったその瞬間、芦原は黒岩の頭を掴み思いっきり膝を振り上げた。
強力な一撃は黒岩の身体を空へ飛ばすと回転しながら地面に落下した。
何とか起き上がった黒岩は口から血と猛毒が混じった液体を吐き出す。
「ガハッ!?……お前がムエタイをやっていた事を忘れていた。
やはり、兵士としての質もお前の方が上だったか。」
「これで終わりだ黒岩。」
「TRIGGER MAXIMUMDRIVE」
黒岩が立ち上がる頃にはメモリをセットしたトリガーマグナムを構えた芦原が立っていた。
勝敗が決したかのように見えたがタワー上部で起きた爆発と無線から聞こえてきた最悪の情報に顔をしかめる。
『"京水とレイカが殺られて敵として復活した"。』
『"2つのタワーのガイアインパクトを同調させてこの街を崩壊させること"』
(レイカと京水が殺られたのか?
それにタワーを同調させてこの街を崩壊させるだと……くっ!?
状況が悪い方向に転がったか。
だが、どうする?
今の俺にこの場を打開する手立ては……)
その時、芦原の記憶から蘇ったのはタワーで起きた爆発だった。
(あのタワーには照井達が向かっていた筈……
レイカ達の作戦が失敗した以上、照井達に賭けるしかない。
……だが、そうするには)
芦原の頭に残るのは大事なNEVERの仲間の顔と愛している娘と妻の姿だった。
「………すまない。」
芦原は向けていた銃の向きを変えて黒岩に背を向けた。
それを見逃す程、黒岩も甘くはない。
新たに生成した猛毒のナイフを構えて芦原の背後から襲い掛かる。
それを芦原は回避せず引き金を引いた。
放たれた弾丸はタワーに直撃すると"アクセルとスカル"が戦闘をしていた地面が崩落を始める。
それを見た芦原はトリガーマグナムを落とした。
彼の背中には黒岩のナイフが深々と刺さっている。
全身に黒岩の毒が流れていきNEVERである自分の身体を支えていた酵素を死滅させていった。
朦朧とし始める意識の中、芦原は黒岩の身体を抑えつける。
「お前っ!?まだそんな力が」
「お前……だけは……行かせない!!」
芦原は最後の力を振り絞りビルの端まで黒岩を連れて移動すると彼と共に自分の身体を空へと進ませた。
黒岩を抱えながら落下する芦原の脳裏に映るのは一番最初に死んだ頃の記憶……
"仲間に裏切られ"、家族に会えないまま死ぬはずだった俺は克己に見つけられNEVERとして蘇った。
そして、無名との出会いにより失われる筈だった記憶が保持出来る様になり、愛した家族とまた再会できた。
そして、今……家族を守る為に俺は仮面ライダーとなり戦った。
1回目の死と違い俺は"仲間を守る為"に……
「悪く……ない……人生だった。」
芦原は満足しながら意識を手放し粒子となってその場から消滅するのだった。
時同じくして風都第二タワーの内部では仮面ライダーメタルと
スコーピオンドーパントの苛烈な蹴撃を仮面ライダーメタルは構えたメタルシャフトでその攻撃を弾いていく。
「くっ!?やっぱり強いわね。
一撃も入らないだなんて……」
「中々、強力な攻撃だがそれじゃあ俺を殺す事は出来ないぞ。」
そう言いながら仮面ライダーメタルは持ち前の棒術で反撃に転じる。
狙いはスコーピオンドーパントの強みである肉体を覆う強靭な装甲。
メタルシャフトによる凄まじい猛攻はスコーピオンドーパントの装甲に当たると金属がぶつかる様な鈍い音と火花を上げた。
数度、攻撃が続くとスコーピオンドーパントの顔色が歪む。
そのタイミングでデビルドーパントが割り込んだ事でスコーピオンドーパントは仮面ライダーメタルから一度、距離を離した。
痛みから抑えた左腕の装甲は度重なる攻撃により歪み亀裂が入っている。
(痛っ!?……こんなにダメージを負うなんて少し甘く見ていたわね。)
「雪絵さん!」
その姿を心配そうに見つめるプロフェッサーマリアにスコーピオンドーパントの変身者である須藤 雪絵が答える。
「私は大丈夫!
それより貴方は赤ちゃんを守って!」
「でも、それじゃあ貴方が」
「悪いけど今の貴方は何の役にも立たない。
援護されるよりも赤ん坊を守っていてくれた方が私もリーゼも安心して戦えるわ。」
そう言われたプロフェッサーマリアは悔しい顔をしながら手に持っていた銃を見つめた。
ここまで戦ってきた彼女達には2つの誤算があった。
一つがプロフェッサーマリアが切り札として持ってきていた"細胞分解酵素入りの弾丸"。
それが仮面ライダーメタルに全く効かなかった事……
驚くプロフェッサーマリアに仮面ライダーメタルの変身者である堂本は答える。
「こんな所でバレてしまうとは何とも味気ないな。」
「堂本……貴方まさか」
「あぁ、その通りだ。
俺達の肉体は"生きている"。
昔の様な死者ではない。
そして、それは克己の身体も同じだ。」
驚愕の真実を告げられたプロフェッサーマリアは彼に尋ねる。
「どうして?……貴方はアルケの装置の力で時間が逆転して蘇った。
それならば何故、克己や貴方はNEVERではなく生身の人間として蘇生されているの?」
プロフェッサーマリアの問いに堂本は答える。
「さぁな俺がそんな事を知る筈もないだろう。
だが、アルケは確かに俺や克己を生者として蘇らせたそれは真実だ。
さて、ご自慢の細胞分解酵素は役に立たないが……どうするプロフェッサーマリア?」
その問いに答えたマリアではなく雪絵の奇襲だった。
堂本はそれを余裕を持って躱す。
すると、背後に移動したデビルドーパントであるリーゼが鋭い爪で堂本の背中を切り裂いた。
その結果は火花と堂本の肉体に負けて爪が砕けその手を掴みながら痛みに耐えるリーゼの姿だった。
「俺のメタルメモリはどんな攻撃を耐えられる程、硬く強い。
そんな軽い一撃が通用するかっ!」
すぐにリーゼへの反撃に転じた堂本を見て雪絵は奥の手を切った。
「Centipede」
「ぬっ!?」
「やらせないわよ。」
センチピードメモリにより出現した強靭な尾で堂本の足に巻き付くと雪絵側に引き寄せてリーゼに当たる筈だったメタルシャフトの軌道をずらした。
堂本は足に巻き付いた尾にメタルシャフトを打ち据える。
堂本の一撃を受けて巻かれていた尾は離れた。
そのタイミングで雪絵やリーゼの周囲に光弾が降り注ぎ地面が爆発する。
「くっ!?」
「随分と手こずっているようだな。
所詮はゾンビ兵と言うことか?」
そう言いながら現れたのは
その姿を見た雪絵は小さく舌打ちをする。
「チッ!……考えたくは無いけど無名の作戦が失敗したって訳?」
その問いに答えたのはドクタープロスペクトだった。
「その通りだ。
お前達は大道 克己を救出するつもりだったのだろうがそれは失敗した。
奴と戦った
お前達に援軍は来ない。」
その言葉に続く様に天十郎が話し出す。
「そして、残念ながらお前達は更に不利になるぞ?
何せあと"二人"敵が増えるのだからな。」
そうして三人の背後からNEVERドライバーを腰に着けた京水とレイカが現れる。
その姿を見たマリアは言った。
「……まさか、あの2人は」
「そうだ。
1度、死に装置によって復活した。
アルケの目的を叶える駒としてな。
お前ら……変身しろ。」
克己の声に従う様に2人はドライバーにメモリを装填すると展開する。
仮面ライダーヒート、仮面ライダールナにその姿を変えると雪絵達の前に立ちはだかった。
2人が敵の手に墜ちたその絶望を理解したマリアは銃を向けながら言った。
「克己……堂本さん……京水さん……レイカさん。
お願いよ正気に戻って!!
貴方達が殺そうとしてるのはNEVERの……皆の希望なのよ!」
その言葉を克己は否定する。
「それは違うなお袋。
俺が未来を殺す事はアルケに与えられた役目だ。
それにもうNEVERの希望になることは無い。」
「いいえ、それは貴方が洗脳されているからよ。
ミーナだって……貴方を助けようと」
「あぁ、あの女か……余計な事をしなければ生きられただろうに」
克己の言葉を聞いたマリアは絶句する。
「克……己…貴方、まさか!?」
「あぁ、俺の邪魔をしようとしたからな。
今頃、死んだ精神は肉体を放置して何処かを彷徨ってるだろうさ。
だが、悲しむ事は無い。
皆、揃う事になる……そうだろう"芦原?"」
「TRIGGER MAXIMUMDRIVE」
勝己の言葉を合図に放たれた蒼魂の弾丸が雪絵とリーゼの身体を貫いた。
メモリを正確に狙い放たれた弾丸は2人を元の姿へ戻しメモリブレイクされた残骸が地面に落下した。
「雪絵さん!!リーゼ!」
2人に駆け寄るマリアを他所に克己に合流したのは仮面ライダートリガーに変身していた"芦原 賢"だった。
「お前が都合良く近くで死んでくれたお陰で装置による蘇生が出来た。
無名には感謝しないとな。
………あぁ、そう言えば何で俺達に細胞分解酵素が効かなかったのか知りたがってたな?
まだ時間がある丁度いいから説明してやるよ。」
克己はそう言うと風都第二タワーに直結した装置に手を触れた。
「このタワーに着けられた装置にはガイアインパクトを行う以外にもそこで発生する膨大なエネルギーをアルケがいる本体の装置へ送るパイプの役割がある。
この装置は時間の流れを逆転させその影響で本来死んだ筈の存在の精神をこの現実世界に呼び戻せる。
だが、それだけだと大量の精神が現実世界に溢れ出し空間の崩壊が一気に起こる事になる。
生と死の境界線が曖昧になるのだから当然だ。
だからアルケはこの装置に新たな"術式"を組み込んだ。
あらゆる時代の錬金術を組み合わせて膨大なエネルギー消費と引き換えに寸分違わない生身の肉体を錬成する。
"人体錬成術"……そして、そこに装置から蘇生された精神を注ぎ込む事で人間を蘇生させる。
それがアルケが改良して作り出した装置の概要だ。
つまり俺達は厳密に言えば蘇生したのではなくもう一度生まれ直しているんだ。
だから、俺達の身体は死者ではなく生きている。
細胞分解酵素が効かないのは当然の摂理って訳だ。」
その言葉を聞いていた雪絵がマリアに支えられながら身体を起こす。
「洗脳されながらの御高説どうもありがとう。
それでアンタ達は一体何をしたい訳?
装置へのエネルギー供給だけならもう達成している筈でしょ。
だとしたら、もうここにいる意味はない。」
雪絵の考えを聞いたプロスペクトは鼻で嗤う。
「フン!……所詮は低能だな。
その程度しか見抜けないとは……良いかね?
本来であれば"タワー、一つ"で起こしたガイアインパクトのエネルギーがあれば装置を十全に機能させられる。
2つ分のタワーによって生成されるエネルギーがあればもっと強力な人体錬成が行えるのだ。
それこそ、"超越者"の肉体錬成ですらな。
そして、"超越者の器に人間の魂を送る"ことも出来る。」
続いて話し始めたのは天十郎だった。
「アルケ様には計画成功の暁には我々の為の超越者の肉体を用意する事を約束して貰っている。
それに超越者になれれば地球が無くなっても私達は生き残れるからな。」
「でも仮に超越者の肉体を錬成出来ると言っても絶対数には限りがある。
ガイアインパクトを同時に起こさないと錬成出来ない肉体ならば……」
マリアの考えを聞いたプロスペクトは答える。
「だろうな。
だが、それに何の問題がある?
寧ろ、優秀な人間が選別されるのだ。
とても素晴らしい事じゃないか。」
「自分は選ばれた存在だって言いたい訳?
……はは、如何にも小者が釣られそうな誘い文句ね。」
雪絵の侮蔑を込めた言葉に不快感を覚えた天十郎はタワードーパントの力を使い雪絵やマリア達の時間の流れを遅くした。
まるでロイミュードによる重加速現象に近い状況を起こすと克己に話し掛ける。
「愚か者との会話はコレぐらいで良いだろう。
勝敗は決した……後は世界が終わり我々が高次元な存在になるまでゆっくりと……」
そう話していると外で爆発音が聞こえた。
天十郎とプロスペクトが外を確認するとそこには爆発を起こす風都タワーの姿が映っていた。
その姿を見た天十郎が驚く。
「まさか、タワーを破壊されるとは……このままでは不味いな。
大道 克己、エターナルメモリを使って敵のメモリを無効化しろ。
その間に、俺のメモリで時間を操りタワーを復旧させる。」
「構わないが、アルケに報告しなくて良いのか?」
その問いにプロスペクトが答える。
「今、あちらも戦闘が行われていて余裕が無さそうだ。
此方で対処出来るのならばそうした方が良い。」
その言葉を聞いた克己は呟く。
「そうか……アルケの監視は今は無い訳だな。」
それだけ言い終わると克己はエターナルメモリを抜くと片手に持ったそのエターナルエッジにメモリを装填する。
「ETERNAL MAXIMUMDRIVE」
そして、マキシマムを発動した刃を克己は振うのだった。
外伝 続編の投稿に関して
-
このまま続きで見たい
-
新規投稿で見やすくしたい