アーマードライダーである斬月達が石のモノリスの破壊に動いている頃、仮面ライダープロトサウザーとして戦っていた天津 垓は戦いを一時中断しZAIA本社からの通信を繋いでいた。
「戦闘中止……ですか?」
天津 垓のその問いに答えたのは釈放され自由の身となったZAIAのCEOである"リオン·アークランド"だった。
「そうだ。
もう、この街で戦うメリットはなくなった。」
「お言葉ですがCEO。
我々、ZAIAが日本で起こした失点は大きい。
だからこそ、私がこの街に派遣されているのではありませんか?
戦闘が継続している以上、この状態での戦線放棄は更にZAIAのイメージダウンに繋がりかねないかと思うのですが……」
蛮野 天十郎にZAIAが協力しロイミュードを作り上げそれを使い事件を起こした。
それは本社のあるアメリカでも話題に上がるほどの大きな事件だった。
CEOは即座に釈明文や政治家の力を借り騒動を収めたがまだ、そこまでコネのない事件を起こした日本ではそれを抑えることが出来ないでいた。
だからこそ、天津 垓は先ず警察に情報提供をし蛮野 天十郎に我々、ZAIAは騙され事件に加担させられていたカバーストーリーを作り上げたのだ。
そして、事件の傷を広げない為メディアへの偽装工作や天津個人がこの戦場で戦いイメージアップを図っていたのだ。
「その事に関してだが我がZAIAと蛮野 天十郎が協力関係にあり犯罪を行ったと言う罪は存在しなくなった。」
「それはどういう意味でしょうか?」
「Mr.蛮野から直接連絡が来た。
"我々と交わしていたビジネス契約を解消して欲しい"と……
何でも我々、ZAIAを監視している存在がいるらしい。
その目から逃れる為にも我々が行った契約を全て抹消したいと言っていたよ。
ご丁寧に警察のデータサーバーと証拠保管庫の資料を完全に破壊し我々の関与を示す証拠全てを消した上でね。
破壊する姿を映像にしてわざわざ見せてくれたよ。」
「成る程、つまりもう警察にZAIAを追及する術は無くなったと言うわけですか。」
「あぁ勿論、当事者達は不審に思い再調査をするかもしれないが物的証拠が無い以上、起訴する事は難しい。
罪が無いのならば私を捕らえる権限もない。
お陰で思ったよりも早く解放されたよ。」
「内容は理解しました。
つまり、今重要視するべき事はこのフォースライザーとプログライズキーの存在を隠しておくことですね。
ZAIAの今後の未来の為にも」
「
ZAIAの利益の為の行動はもう十分に果たした。
君には今後の予定通り"飛電インテリジェンス"で人工知能の開発に勤しんでくれ。
"アーク"の完成を楽しみにしているよ。
……あぁ、そうだ。
君にもう一つ仕事を頼むのを忘れていた。
その街を出る前にその近くで戦っているとある仮面ライダーを無力化して貰いたい。」
「仮面ライダー……確かに私のいるこの区画以外でも戦闘が行われている雰囲気を感じましたがまさか、別の仮面ライダーがいるとは」
「どうやら、"頭の切れる何者"かがこの街に防衛戦力として集めたらしい。
その組織もその要請で集められたらしいが、その組織の保有する仮面ライダーは些か兵器としての信頼性が薄い。
感情が昂ると自制できずに暴走してしまうのだそうだ。
だが、その組織はZAIAにとって有益だ。
彼等もなるべく無傷で自分の兵器を手元に置いておきたいだろう。
スペックを見たが君のプロトサウザーなら対応可能だった。
余計な損失を生む前に兵器の機能を停止させて欲しい。」
「分かりました。
その仮面ライダーの情報を教えていただけますか?」
天津の問いアークランドは機嫌よく答えた。
「組織の名はNOAH。
悪魔と融合する事で人間を兵器へと変えるシステムを用いている。
コードネームは"ベイル"だ。」
アルケの起こした大爆発によりメズールを撃破した翔太郎達だったが彼等にも勿論ダメージはあった。
翔太郎は片膝を付き肩で息をしておりドライバーからも火花が上がっている。
「ハァ…ハァ……流石にちょっと無茶しすぎたか。
ドライバーも限界ギリギリっぽいな。」
同じ様に壁にもたれかかっている伊達が尋ねる。
「あれだけの爆発だ。
アルケもやられてくれていると嬉しいんだが……」
そう話した瞬間、伊達と翔太郎のドライバーに金色のビームが当たる。
『翔太郎!?』
エクストリームメモリに入っているフィリップは元の姿へと戻り翔太郎に近付こうとするがそれよりも先に現れた触手のように動く無数の鎖が翔太郎、フィリップ、伊達を縛り付ける。
そして、翔太郎と伊達の腹部についたドライバーを鎖が巻き取ると煙の中から怒りに燃える超越者であるアルケが現れた。
『よくも……よくもやってくれたな人間ども。
ここまでの怒りを覚えたのは仲間を失う事実を知った時以来だ。
それに……私の計画を崩そうとするイレギュラーがこの期に及んで現れるとは』
「何……だと!?」
『お前の
風都に仕掛けた計画をものの見事に砕いてくれたよ。
だが、それは良い……想定の範囲内だ。
この洗脳装置とスカルメモリの相性が悪い事も理解していた。
それ込みで御せると思っていた。
私が読み間違ったのはお前達の存在だ"左 翔太郎"。』
アルケはそう言いながらバースドライバーに手を翳すとドライバーと砂となり地面へと落ちた。
「あっ!?俺のドライバー……ぐぷっ!?」
喋ろうとする伊達の口に鎖を巻き付けるとそのまま石の壁に錬金術を使い固定しながらもアルケは話し続ける。
『フィリップ一人の力と策ならば容易に止められた。
この身体に傷が付くことも無かった。
JOKER……コスモスの力を宿す切り札の記憶。
それをここまで使いこなすとは……どうやらお前は随分と"幸運の女神"に好かれているようだな。』
「どういう意味だ?」
『分からないか?
その力は無名の使う黒炎と同じ……"超越者の力の一端"だ。
超越者の力を直接分けられた無名なら兎も角、貴様は唯の人間だ。
その単なる人間が私の力に対抗できている。
ジョーカーメモリを使いこなしてな。
本来ならば有り得ない事だ。
超越者の力を人間は使えないそれどころかそこまで覚醒した力を使った瞬間、その肉体には滅びが待っている。
あの無名ですらそうなのだからな。』
「無名……それはどういう事?」
フィリップの問いに失望した様にアルケが答える。
『知らないとは恐れ入った。
何でも知れる本棚の力がありながら本質が全く見えていないな。
無名の身体はもう限界だ。
あと一度でもエクストリームの力を使えば負荷と消耗に耐えきれずその肉体は消滅する。』
「!?」
「そん……な…」
驚く面々にアルケは続ける。
『本来ならばもう少し遊んでも良かったがお前達のせいで予定が大幅に狂った。
洗脳装置がその機能を失えば復活した者達の過去の記憶は戻る。
それは勿論、人間だけでなく"怪人"に対してもな。
この街や風都に転移した怪人ならば問題ないだろうがそれ以外の怪人は完全に統制を失う。』
「なら……その怪人達を蘇らせている装置を破壊しちまえば良い。
俺達はその為にここに来たんだ。」
『装置……あぁ、コレの事か?』
アルケが、指を鳴らすと周囲の壁が変形していき中から大きな砂時計の形をした装置が現れた。
その砂時計は普通と違い下にある砂が上へと流れ続けている。
「コレが……」
『我が友の持っていた力を再現した装置だ。
時間と空間の流れを操り逆転させる。
故に繊細で慎重な操作が求められる。
800年前にも同じ装置を再現しようとしたが……失敗した。』
「失敗?……装置に欠陥が?」
フィリップの問いにアルケば答える。
『あぁ、装置の性能に耐えられる物質が"存在しなかった"のだ。
一度起動すると止められない性質上、壊れればどんな事が起こるか……だからこそ、800年前まだこの身体を手に入れられてなかった私はその設計図と錬金術の知識のみを残し今も私が錬金術で再構成を続ける事によって装置を正常に機能させていた。
まぁ、そのせいでかなり私の力を使ってしまったがね。
本来ならば完璧に一切の綻びなく計画を進めるつもりがこうなってしまった。』
そう言うアルケは装置に手を触れながら笑う。
『だが、それもコレまでだ。
やっとこの装置に耐えられる素材が出来上がったのだからな。』
「それはどういう……」
そう尋ねようとしたフィリップの頭上を黒い矢が通りアルケへと向かった。
アルケは錬金術を使い壁を作り出すと矢が当たるのを防ぐ。
しかし、アルケが矢の防御に気を回した瞬間、仮面ライダーリバースに変身したノブナガが彼の背後に回り込み手に持った刀でアルケの首へ一閃を当てた。
アルケは防御する事もせず寧ろ、矢の攻撃をしてきた仮面ライダーデーモンを殴りつける。
「ぐっ!?……だがっ!」
無名によって放たれた矢は装置に当たると黒炎を上げて燃え上がる。
だが、そんな姿を見てもアルケは怒りや動揺を見せず言い放った。
『ふん、今更無駄な事を……貴様の力でこの装置を破壊してももう手遅れだ。』
「どう言う……事です?」
ノブナガの奇襲も意に返さずアルケは話を続ける。
『それはこういう事だ。
さぁ、最高の錬金術を見せてやる。』
アルケがそう言うと黒炎で燃えていた装置がバラバラに分解されると
そこから発生したエネルギーでノブナガは吹き飛ばされるが無名はアルケに掴まれた事でその場に留まっていた。
そして、アルケの胸部に瑠璃色の宝石が現れると全身に莫大なエネルギーが発生した。
『どうだ?
私の最高傑作は?』
「まさか、装置ごと自分の身体に組み込んだのか?」
『あぁ、何者にも壊されることの無いこの身体ならば装置の力を十全に使える。
そして、誰にも破壊される心配はない。
この姿になった以上、貴様の黒炎やジョーカーの力も意味をなさないだろう。
だが、私は用心深い……念には念を入れよう。』
そう言った瞬間、アルケの拳が無名のドライバーへと突き刺さる。
そして、ドライバーを砕くとその腕は無名の腹部を貫いた。
「ぐふっ!?」
「「「無名っ!!」」」
『超越者である私を相手に良くぞここまで戦った。
絶望と評しても良いこの状況を好転させたのは正しくお前の力だ。
称賛と敬意に値する。
だがこれで"チェックメイト"だ。』
アルケがそう言って腕を引き抜くと無名は変身解除しゆっくりと地面に倒れていく。
その身体に必死に手を伸ばす翔太郎とフィリップだったが無名の身体は黒炎に包まれると姿を消した。
「無……名。」
「こんな事……嘘だ。」
絶望する二人に向けてアルケは手を向けるとそこから錬金術が発動し地面から現れた鎖が二人を縛ろうとする。
フィリップは鎖に縛られてしまうが翔太郎はノブナガに体を押された事で鎖に縛られることは無かった。
その代わりにノブナガが縛られてしまう。
「ぐっ!?」
「お前は……」
「しっかりしろ!!
そんな腑抜けた姿を無名に見せる気か?
アイツは……そんなお前達を見てどう思うか考えろ!」
『喧しいな。
お前にもだいぶ世話になった。
天下が欲しいのだろう?
その欲望………叶えてやる。 』
「ぐぁぁぁぁぁぁああ……」
アルケが錬金術を発動するとノブナガのドライバーが大量のセルメダルに変化し変身解除される。
そのまま、セルメダルが意思を持った様にノブナガの身体へ吸収されるとその姿は"鎧武者怪人"へと変わる。
しかし、その姿は銀色ではなく全身真っ黒であり所々に金の差し色が入り両目は白く濁っていた。
「ガァァァォァ!!」
「おいおい……マジかよ。」
『その力があれば天下など容易く取れる。
さぁ、欲望を叶えるといい。
滅び消えゆく地球の覇者となれノブナガ。』
アルケの言葉を受けたノブナガは生成した刀を手に取ると翔太郎達に向けて振り下ろそうとする。
しかし、その攻撃は突如飛んできた"2つの火球"に止められた。
「何っ!?」
「この火は……」
驚く2人の背後から現れたのは映司とアンクだった。
「すいません、遅くなりました。」
「情けねぇな。
随分とボロボロになってるみたいじゃねぇか。」
アンクに揶揄われ翔太郎は立ち上がる。
「はっ、言ってろ。
そっちは上手く行ったのか?」
その問いに映司がバツが悪そうに告げる。
「えーっと……なんて言えば良いのか。」
『こういう事だ。』
突如、アンクの声が聞こえると"怪人化している左手"がアルケに向けて火球を放った。
その一撃を払いながらアルケが言った。
『成る程……モノリスが正常に機能しているのにお前の意識を感じるので不思議に思ったがそういう仕掛けか。』
"両腕が怪人化しているアンク"に向けてアルケが言った。
それは映司と並行世界のアンクの2人の戦いに決着がついた頃、モノリスにより封印されかけていた並行世界のアンクを助けたのは死んでいた筈の映司だった。
分離し右腕のみの姿になったアンクは封印される映司の身体に必死に手を伸ばすがその手が触れる前にモノリスは映司の身体を封印するとその場から姿を消した。
その光景をこの世界の映司とアンクは呆然と見つめていた。
「消え……た……」
「あのモノリスは一体何なんだ?」
呆然とする2人とは対象的に右腕のみとなった並行世界のアンクは怒りを募らせる。
「アルケ……テメェを許さねぇ。」
そう言って飛んでいこうとする右腕をこの世界のアンクが止める。
「離せっ!!」
「落ち着け!!
無策で行って勝てる相手じゃねぇだろ!」
「んな事、知るかっ!!
あのモノリスは本来、俺を封印する筈だったんだ。
それを……」
言い争う二人を映司が止める。
「ちょっ……ちょっと待って!!
あのモノリスって一体なんなんだ?
アルケは一体何をやろうとしてるんだ?」
「アレは俺達、グリードの力を封印し自由に引き出す為の装置だとアルケは言ってやがった。」
「だとしたら、アルケはモノリスでまだ何かをやろうとしてるのか?
なら、止めないと……アンク。」
「あぁ、そのモノリスもアルケもぶっ飛ばせば良い。
行くぞ映司。」
そうして先に進もうとする二人を並行世界のアンクは止める。
「待て!!……俺も連れて行け。」
「あ?何言ってんだお前」
「アイツは映司の身体をモノリスに封印しやがった。
俺はアイツの情報を知っているから役にも立つ。」
「さっき迄、敵対してたテメェを信じろってか?
お前がまだアルケと繋がっていないって保証もねぇ。
仲間のフリして騙すかもしれねぇしな。」
「アンク……いくらなんでも」
「それに、その姿でアルケと戦えんのか?
ドライバーも無い以上、オーズにはなれねぇ。
実体化も右腕一本しか出来ねぇなら足手まといになりかねねぇ。
それとも、まだ何か力を隠し持ってたりすんのか?」
「それは……」
問の答えに困窮していると映司が言った。
「なぁ、もう一人のアンク。
お前は能力的には目の前のアンクと違いはないのか?」
「あぁ、並行世界と言えどグリードだからな。
能力やコアメダルの力も全く同じと言っても過言じゃねぇ。」
「なら、"アレ"も同じく出来るってこと?」
アンクを指さす映司、その動きを見て何かを察したこの世界のアンクは言った。
「おい、ふざけんなよ映司。
絶対、嫌だからな。」
「でも、アルケの情報もあるしコアメダルも増えるならお前としても都合が良いだろう?
あのタジャドルだって並行世界のアンクのメダルがあってやっと変身出来た訳だし」
そう説得されたアンクは渋々、映司のアイデアを受け入れた。
『"一つの身体に2人のグリードを押し込む"とは中々、無茶をするな。』
「かもね。
でも、翔太郎さん達も仮面ライダーに変身する時、似たような事してるし何より今回は目的が同じだから……」
「『
そして、映司も救う……そういう事だ!!』」
そう言いながらアルケに向けて火球を放ち続け距離を開けさせると映司はメダジャリバーを使いフィリップの身体を縛っていた鎖を斬り彼を立ち上がらせた。
「翔太郎さん、フィリップさんまだ行けますか?」
「映司……実は無名がアルケにやられた。」
「えっ?」
「すまない。
ここまで来たっていうのに……」
落ち込む二人に映司は優しく告げる。
「翔太郎さん……俺の過去について話したの覚えてます?」
「あぁ」
「俺、今までずっと……恨まれてるって思ってたんです。
でも違った。
俺の事を、"ヒーロー"だって言ってくれたんです。」
「映司。」
「だから俺、諦めません。
この世界も自分の命もヒーローとして皆を救ってハッピーエンドを掴む。
きっと、無名さんもそうして欲しいと思ってる筈です。」
その言葉を聞いた翔太郎はフィリップに声を掛ける。
「やれやれ、男子三日会わざれば刮目して見よとは言うけどよ。
それにしたって変わりすぎだろ。」
「全くだね。
先輩面してた自分達が恥ずかしいよ。」
「確かにな……だからよこっから巻き返そうぜ。
俺達二人でよ。」
「そうだね。
僕たちは二人で一人の探偵であり仮面ライダーなんだから」
そうして立ち上がると翔太郎は改めてWドライバーを着ける。
それに合わせて映司もオーズドライバーを装着する。
「行こうぜフィリップ、映司。」
「あぁ、翔太郎。」
「はい、アンク!メダル!」
「奪われたら承知しねぇぞ映司っ!」
そう言いながらアンクは左手に持ったコアメダルを投げ渡す。
それを受け取った映司がドライバーにメダルを装填し翔太郎達はガイアメモリを起動させる。
「CYCLONE」
「JOKER」
「「変身!」」
「変身っ!」
キン!キン!キン!
「タカ」
「トラ」
「バッタ」
「タ、ト、バ、タトバ」
「タトバ」
三人の変身の声と共にドライバーを展開するとアルケの前に仮面ライダーWと仮面ライダーOOOの2人が現れた。
「『さぁ、お前の罪を数えろ。』」
「絶対に取り戻す。
自分の為にもアンクの為にも」
そう言いながら向かってくる姿にアルケは笑う。
『ふははっ!良いだろう。
ここでフィナーレだ。
私の錬金術をとくと味わえ!』
仮面ライダーと超越者の最後の戦いが今始まろうとしていた。
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