「そうか分かった。
君の好きにやりたまえ。」
そう言って通話を切る。
その会話を聞いていた師上院が話しかける。
「宜しかったのですが?
このままでは幹部二人が衝突してしまいますよ。」
「構わんさ。
若い者はお互いを意識し切磋琢磨しながら成長するものだろう?」
そうして二人の報告書を確認する。
「サラの方は"簡易型の生体コネクター"の実験として用意されたドーパントだったかね?」
「はい、大道マリアにより改良された生体フィルターを利用した物です。
これまでよりも簡単にコネクターを付けることが出来ます。」
「対する無名の研究はドーパントに新たなメモリを追加することで強化すると言うもの....」
「正に量と質の戦いだな。」
琉兵衛はそう言うとこれから起こる戦いを静観するのだった。
黒岩は水音町にある高層ビルの屋上に呼び出された。
相手は分からないが大方予想が付いた。
「へぇ、ちゃんと来たじゃねーか!」
そう言いながらコンピュータードーパントが屋上に現れる。
「どうやって、俺の連絡先を知った?」
「んなことどうでも良いだろ?
問題はそこじゃねぇ、俺の言うことを聞くか聞かないかだ。」
「お前の娘さん綺麗だが意識が無いのが残念だ。
さぞ、いい声で鳴いてくれるだろうに...」
大切な娘を侮辱されて怒りに支配されそうになるが、呼吸を整えて相手を見据える。
そして、無名に頼まれていた事を行う。
「妻と娘は無事なんだな?」
「あぁ、それは保証するぜ。」
「それを証明する物は?」
「随分と信頼してないんだな。
俺の能力なら誘拐できるって分かるだろ?」
「どうだろうな...お前にそんな度胸があるとは思えないが」
「....あ?」
「大方、仲間に誘拐させたんだろう。
だから、証明する物を出せない。」
挑発めいた言い方に普通の人間ならば気付くだろう。
だが、この男はドーパントとしての全能感から純粋にバカにされていると思ってしまった。
「上等だよ!...証拠持ってきてやるからここで待ってろ!」
そう言うとドーパントは屋上のケーブルからエネルギー体となって消えていった。
その行動を追っている人物がいるとも知らないで....
数分すると、コンピュータードーパントは屋上に戻ってきた。
その手には携帯が握られておりそれを見せられる。
そこには口を布で塞がれて恐怖に染まった妻と意識を失ったまま眠り続ける娘の二人が映っていた。
それを見た黒岩は決心すると携帯を返した。
「信じたか?なら、命令だ。
俺を殺すよう指示した奴を殺せ!」
俺を従えたかのようにそう命令する男にもう何も感じない。
今まで色んな人間を殺してきたがコイツはその中でもトップクラスのクソだった。
そして、黒岩の携帯に着信が入る。
画面を見るとショートメールで一言だけ書かれていた。
「"見つけた"。」
俺は携帯を閉じると懐から紫のガイアメモリを取り出した。
「なっ!何でお前がそれを持ってる?」
その問いに黒岩は答えメモリを起動した。
「俺もお前と"同じ様に"悪魔と契約したんだよ。」
「
黒岩の家族を捕えているビルの中で取り巻き三人は命令されて見張りをさせられていた。
「ったくあの野郎、金とコネがあるからって偉そうに!」
「でも、お陰でこのメモリをタダで貰えたんだ。
悪くはないだろ?」
「あー、早く使ってみたいぜこのメモリ。」
三人は同じイニシャルと色をしたメモリを持っている。
その横にはベッドに縛り付けられている人質の娘と妻がいた。
「それにしてもよ....この女良いスタイルしてるよな?」
「俺も思ったわ....意識の無い奴をヤっても興奮しないとか言ってアイツは手を出さなかったけどな。」
「俺はあの奥さんが良いなぁ...俺、年上がタイプだし」
まるで、獲物を前にして誰が食べるのか話し合う様な会話が続いていたが突如としてその会話は終わりを告げる。
突如、ビルの電気が消えたのだ。
外は夜であり近くに明かりは無い。
故に部屋が真っ暗になっていた。
「おいどうした?停電か?」
取り巻きの一人がそう尋ねる。
「わかんねぇ、何か明かりはねぇかなっと!」
そう言いながら明かりを探していた男はスマホのライトを付ける。
そうして周りを確認すると人質の二人と自分を含めた見張りの"二人"がいた。
「おい、アイツはどうした?」
そうしていなくなった一人を探そうと明かりを向けた男の手に何かが垂れる。
それにライトを向けると血の水滴だった。
そうしてライトを上に向けるとズタズタに切り裂かれ壁に貼り付けられた仲間と
無名とサラは黒岩とコンピュータードーパントの映像が写されているモニターがある部屋の一室で談笑をしていた。
「まさか、無名くんがこの件に関わっているなんて思ってなかったよ。」
そのサラの言葉に無名も同意する。
「えぇ、僕も貴女があんな人間にメモリを売るなんて思ってませんでした。」
黒岩との話し合いが終わると見計らった様にサラから連絡が来た。
そして、その場所に向かうとサラがモニターを前にして待っていたのだ。
「それなりに私の事を信頼してくれてて嬉しいなぁ。
実は今回の一件はこっちもトラブルがあったのよ。」
きっかけは、冴子から開発中のコネクターを実験して欲しいと言う依頼を受けてその人物をサラが選んでいたのだが下手な功名心を持った"ミュージアムの下っ端"がコネクターとメモリを勝手に売ってしまったのだ。
確か、サラの下に就いた部下に反抗心と妙にプライドの高い男がいたことを思い出した。
「それは、災難な事で....それでそれを行った者達の始末は?」
そう言うとサラが近くにあるレンガを指差した。
「とっくに"粉々"にして建築資材に変えて貰ったよ。
いやぁ、そのおじさんが優しくて"素材"が良かったからって買い取り料高くしてくれたんだぁ。」
「それにしてもミュージアムって凄い組織だけど構成員の質が問題よね?
優秀なのと使えない奴の差が大きすぎるのよ。」
「確かに、中々信用できる人材に恵まれませんね。」
「それに強くないといけない....お陰でいい人が見つからないのよ。」
原作でも構成員(マスカレイドに変身する者達)はあまり優秀だった印象がない。
良く言う雑魚敵だ。(一人は園咲 若菜に告白してた男もいたな。)
「それでサラさん。
今回の目的についてお聞きしても?」
無名の問いにサラは答える。
「先ず"個人的"には無名くんにお詫びかな。
無能とは言え私の部下がやらかした事だからそこに対して何かしたいのが一点。」
「そして、"ミュージアムの幹部"としては貴方に対しての警告かしら」
「警告....ですか随分と優しい言い方だ。
獅子神なら制裁と言いますよ。」
「貴方がミュージアムでこれまで行ってきた成果はとても無視できる物じゃない。
同じ幹部ではあるけど、正直組織として信頼されているのは貴方と貴方に従う仲間ね。」
「だからと言って張り合って貴方と同じ研究者として戦っても勝ち目があるとは思ってない。
だから、私と獅子神はガイアメモリの流通に関する仕事をしてる。」
「だから、ここにまで介入してこられると私達は困るのよ。
貴方のその力が流通関係でも発揮されたら、私達二人の優先度が更に下がることになる。」
「僕はサラさんの邪魔をしたい訳じゃないのですが」
「分かってるけどこれは"面子の問題"なのよ。」
「だから、残念だけどこちらの面子を通させて貰うわ。」
そう言うとサラはドライバーとメモリを取り出した。
「やっぱりそうなりますか」
そう言って無名もドライバーを装着しメモリを構える。
「ごめんね無名くん。
でも私自身気になっていることがあってね。
貴方、獅子神と過去に戦ったんだって?」
「本人は結果を言いたがらなかったところを見ると勝ったのは無名くん....貴方じゃない?」
「私が貴方に勝ったら三人の中で一番強いのは私ってことになるんじゃないかしら?」
そう言うサラの目にはいつもの冗談ではない強い意思を感じた。
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