もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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W×OOO 42.2人の錬金術とただいま

 

マゴニア城内で荘吉と克己は新たな敵であるマルガムに苦戦を強いられていた。

 

荘吉が相手にしていたドラゴナロスマルガムはその強靭な鱗で荘吉の徒手空拳やスカルマグナムの弾丸を無効化し炎を纏った爪で攻撃を加えていた。

 

(硬いな……普通の攻撃じゃ通らないだろう。)

 

そして克己が戦っていたジャマタノオロチマルガムでは怪人の8つの頭部から放つ石化光線によりエターナルのマントが石化されてしまった。

 

「このマントを通る攻撃とは厄介だな。」

 

克己はジャマタノオロチマルガムの頭部に注意を向けつつ距離を詰めようとする。

(遠距離攻撃の無い俺じゃあ離れれば絶好の的だ。

距離を詰めて反撃のチャンスを探るしかない。)

 

そして、偶然にも2人の考えは合致していた。

 

((避けられない距離からのゼロ距離マキシマムドライブ……これしかない。)) 

 

二人は示し合わせた様に動く。

互いのメモリをドライバーから引き抜くとスカルマグナムとエターナルエッジに装填する。

しかし、マルガム達もそれを予期していた様に動き出した。

 

2人の手から武器をはじき飛ばすと首を捕まえて持ち上げる。

「ぐっ!?」

「クソッ!?離せ!」 

   

荘吉と克己は首を掴まれながらも攻撃を加えるが全くダメージが入らない。

マルガムは仮面ライダーにトドメを刺そうと構えたその瞬間、マルガムの身体から火花が上がった。

 

攻撃を受けて仮面ライダーから手を離した。

そのお陰で視界が確保された二人は自分を助けた存在へ目を向けた。

それは"手のひらサイズの大きさをした大きなバッタ"だった。

「ホッパホッパァ〜!!」「ホパパァ〜!!」

 

雄々しく鳴く2対のバッタに違いがあるとすれば色だった。

荘吉を助けた方は緑色をしており克己を助けた方は火の様な模様が入った茜色をしていた。

 

そして、その2対のバッタを呼ぶ人物も現れる。

「コラ、"ホッパー1"。

ダメだろ勝手に行っちゃったら……」

荘吉の前に現れたのは空色の制服を身に纏った青年だった。

「君は誰だ?」

その問いに青年は答える。

 

「俺?……俺の名前は"一ノ瀬 宝太郎"(いちのせ ほうたろう)

いつか、大物錬金術師になる男だ。」

 

対して克己の方へ現れたのは右目に眼帯を付けて炎のような模様の入ったジャケットを着ている男だった。

 

「変なゲートを通って来て見ればこんな所にもマルガムが現れているとはな。」

「お前は何者だ?」

 

克己の問いに男は答える。

「俺の名前は一ノ瀬 宝太郎。

絶望を壊し未来を守る錬金術師であり……暁の仮面ライダーだ。」

 

 

2人の宝太郎はマルガムの前に出るとガッチャードドライバーを装着する。

「ここは俺達に任せて、おじさんは先に進んで……

行こうホッパー1!」

荘吉にそう告げた宝太郎はホッパー1と呼ぶと先程まで跳んでいたバッタが1枚のカードに変わる。

 

「ホッパー1」「スチームライナー」

 

2枚のカードをドライバーに装填する。

 

 

もう一人の宝太郎も似たように克己ヘ言った。

「ここは任せろマルガムは俺が倒す。

行くぞホッパー1!」

 

「ホッパー1」「スチームライナー」

IGNITE(イグナイト)

 

ガッチャーイグナイターを装着したドライバーにカードを装填すると二人は同じ構えをした。

 

「「変身!!」」

 

「「スチームホッパー」」

 

2人の宝太郎はそれぞれ仮面ライダーへと変身する。

 

若き宝太郎は未熟だが可能性がある事を表しているかの様な青色をした"仮面ライダーガッチャード"に

 

対する未来の宝太郎は絶望を乗り越える為、その魂すら赤く燃え上がらせた茜色をした

"仮面ライダーガッチャードデイブレイク"へと変身完了した。

 

 

「すまないが任せたぞ。」

「なら、ここは頼んだ。」

 

荘吉と克己は仮面ライダーである二人を信じて、

照井の元へ向かった。

追いかけようとするマルガムを2人の宝太郎が止める。

「お前の相手は俺だ。」

「先には進ませないぞ。」

 

そう言って二人はマルガムを倒すため戦い始めるのだった。

 

 

 

時同じくして鎧武者怪人となったノブナガと対峙していた映司とアンクの戦況にも変化が起きていた。

鎧武者の怪人と互角に渡り合っていた二人だったがどんどんと戦況が悪くなっていった。

 

トラクローとメダジャリバーを用いた二刀の連撃と二人のアンクの火球攻撃を相手に完璧に対応し始めていた。

「攻撃が……当たらなくなってきた。」

「あの野郎やっぱり学習してやがるな。

アルケの奴に怪人に変えられてからより強化されたか。」

『んな事言ってる場合じゃねぇぞ。

攻撃が当てられねぇならこっちがジリ貧になっちまう。

どうする?』

 

二人のアンクの問答に映司が答える。

「分からないけど強化されて前と変わってないなら初めての攻撃なら当たるんじゃないかな?」

『そうは言うが操られる前の奴と一緒に戦ってきたのなら殆どのコンボを見られちまってるんだろう?』

「あぁ、可能性があるとすれば……」

 

そこでアンクに一つの考えが浮かんだ。

「おい、あの紫のメダルを使ったコンボならどうだ?

それなら、アイツに攻撃を当てられるんじゃ」

『ダメだ!!

紫のメダルのコンボはヤバ過ぎる。

俺のとこの映司も結局暴走を克服出来なかった。』

 

「やっぱり、あのメダルって危険なんだアンク。」

『あぁ一度変身したら最後、変身解除するまで止まらねぇ。

それに映司、お前の身体への負担もデカい。』

「だが、そう言ったって他に方法が……くっ!?」

「アンクっ!?……うわっ!?」

話しながら戦っているとその隙を狙った鎧武者怪人がアンクに一撃を当てようとするのを映司が体を入れて防ぐ。

すると当てられた一撃によりタカメダルが外れて空中を舞い映司が変身解除に追い込まれてしまった。

 

「『映司!?』」

 

二人のアンクが火球を連続で放ち強制的に距離を空けさせる。

その光景を見ていた映司は何か気付いた様に立ち上がるとアンクに言った。

 

「アンク!……俺に考えがある。

紫のコアメダルちょーだい!」

「なっ、おい!?さっきの話聞いてなかったのか?

このメダルはヤバいって……」

 

「試したい事があるんだ。

アンク耳貸して!!」

「うおっ!?」

 

映司はアンクを連れて鎧武者怪人から距離を離した。

すると、怪人はまるでコンピューターの様に映司達を見つめていた。

「急に動くのをやめたぞどうなってるんだ?」

「何だか分からないけど今がチャンス。

アンク、実はさっき見つけたんだけど……」

 

その話を聞いたアンクが答えた。

『確かに筋は通ってるが確証がねぇ。

アルケなら可能だろうが確かめる方法が……それで紫のコアメダルの力か!』

「うん、アレだけ強い力ならきっと上手くいくと思うんだ。」

「問題はその攻撃をどうやって当てるか……か。

まぁでも今はそれに賭けるしかねぇか。」

 

そう言うとアンクは紫色の3枚のコアメダルを映司に差し出す。

「無茶して死ぬんじゃねぇぞ映司。」

「大丈夫。

俺はアンクを信じる。」

 

コアメダルを受け取った映司はメダジャリバーをアンクに渡すとコアメダルをドライバーに装填した。

 

キン!

 

「プテラ」

 

キン!

 

「トリケラ」

 

キン!

 

「ティラノ」

 

「プ・ト・ティラーノ・ザウルーゥス!!」

 

変身が完了した映司は大きな雄叫びを上げる。

 

「ウォオアアァァァァ!!」

 

そして、地面に手を突っ込むと紫色の手斧である"メダガブリュー"を取り出すと鎧武者怪人を斬りつけた。

これまでと違う力による破壊と斬撃の乗った攻撃は鎧武者怪人にダメージを与えて仰け反らせる。

その勢いのまま追撃する姿を見てアンクは舌打ちする。

 

「チッ!……やっぱり暴走しちまってるか。」

『その為の作戦だろう。

準備は?』

 

「誰に言ってる!」

 

アンクは背中から翼を生やすとメダジャリバーで映司を斬りつけた。

「おいコラ映司!!

お前の相手はこっちだろ!」

 

攻撃を受けた事で敵と認識した暴走状態の映司はメダガブリューをアンクに向けて振り回す。

アンクはそれを紙一重で回避しながら周囲の空間を見ていく。

 

「おい!早くしろ。

そう長いことは持たねぇ。」

『分かってる!』

 

アンクが探しているのは映司が攻撃された事で吹き飛んだ"タカのコアメダル"。

 

"俺のドライバーから飛んでいったメダルがまるで意思を持った様に透明な空間に吸い込まれていったんだ。

もしかしたら、そこにアルケが隠したい何かがあるんじゃないかな?"

 

(俺のコアメダルなら気配や位置を探れる。

そこに紫のコアメダルの無の力を使えば壊せない物は無い。)

 

絶滅した恐竜の力が宿ったコアメダルには他のコアメダルには無い"メダルの能力を無効化し汎ゆる物を破壊する"力が込められている。

 

それをアンクから聞いて知っていた映司だからこそ、この作戦を考えていた。

実際に作戦は上手く進んでいた。

 

鎧武者怪人もその圧倒的な攻撃で回復するまで動けなくさせて映司は暴走状態ながらもアンクを狙って攻撃し続けている。

(後は俺がコアメダルの位置を見つけるだけだ。)

 

周囲を見渡しながらメダルの気配に集中する。

アルケの錬金術によって作られた空間だからか無数の力が蠢いていて感知しづらいがそれでも朧気に知覚出来ていた。

 

『そこか!!』

「見つけたか!」

 

コアメダルの気配を察知した瞬間、新たなトラブルが起きた。

倒れていた鎧武者怪人が映司への攻撃を再開したのだ。

急所を狙い澄ました刀の連撃が映司を襲うが振るわれた刀を握るとメダガブリューで何度も殴りつけ始めた。

 

「マズイ!

おい、映司こっちを向け!」

そう言って地面に降りた瞬間、プトティラの能力で地面が凍結してしまう。

「クソッ!?コレじゃあ飛べねぇ!」

 

焦るアンクと動けない鎧武者怪人を尻目に映司はセルメダルを一枚取り出すとメダガブリューに装填し武器を展開する。

 

「ゴックン!!」

 

バズーカモードに変形させると発射口にエネルギーが充填されていった。

「プ・ト・ティラーノ・ヒッサーツ!!」

 

銃口をアンクや鎧武者怪人に向ける映司は引き金に指をかけようとすると銃口がいきなり上へと跳ね上げられた。

その正体は左腕だけとなって分離していた平行世界のアンクだった。

 

『とっとと目を覚ませ……映司っ!!

 

握られた拳は映司の顔面に振るわれるとその衝撃で銃の引き金が押される。

メダガブリューに集約された紫色のエネルギー砲はアンク達がいる所よりも上向きで放たれた。

 

その弾は透明化していた空間にぶつかると歪み始める。

そして、現れたのは中心で"タカメダルの輝きを放つモノリス"だった。

 

放たれたエネルギー砲がモノリスに直撃するとしばしの拮抗の後、亀裂が入り始めると周囲に衝撃波を放ちながらモノリスは大爆発した。

 

爆発の余波で地面や壁に亀裂が入り煙が立ちこめる。

そんな中で最初に立ち上がったのは映司だった。

強烈な爆発だったがプトティラコンボにより強化された装甲は彼の身を守った。

 

次に立ち上がったのは鎧武者怪人。

しかし、こちらは映司と違い操られている力で無理矢理立ち上がらせられたのかフラつきバランスが悪い。

 

アンクも衝撃波の影響で立ち上がれず分離した腕も同じ状況だった。

 

映司はメダガブリューを斧形態に戻し構える。

鎧武者怪人を……操られているノブナガの命ごと絶つ程の斬撃を当てようと走り出した。

 

メダガブリューの一撃が鎧武者怪人の首元に落ちる前に腕が止まった。

止まったのは暴走状態を克服した訳だからではない。

一人の男がメダガブリューを掴み攻撃を止めたからだ。

 

その姿を見た二人のアンクは絶句した。

それを尻目に男は腕だけになったアンクに目を向けると言った。

 

「今だアンク!!」

 

その声を聞きその男が何をしたいのか理解したアンクは身体の痛みを振り切り飛び上がると映司のドライバーを動かし変身解除させた。

 

変身解除した事でプトティラの暴走が止まり中から汗だくの映司が現れると自分の攻撃を止めてくれた男に驚きながらも目を向ける。

 

「!?……ありがとう。」

「気にしないで、"ライダーは助け合い"だ。

それに"こっちのアンク"がそっちの世界に迷惑掛けちゃったみたいだし」

 

『はっ!………どの口が言いやがる。』

 

左腕となったアンク(平行世界のアンク)は周囲に散らばったセルメダルを集め始める。

"コイツと会うのにこの姿じゃダメだ"

 

その意図を察したのか起き上がったアンクが自分の体内からセルメダルを分離させるとそれを与えた。

 

『……礼は言わねぇぞ。』

「当たり前だ。

利子つけて返して貰うからな。」

 

互いに憎まれ口を叩きながらもセルメダルが溜まったのか左腕だけのアンクはセルメダルを核に人型に変わると人間態となったアンクが現れた。

 

その姿を見た男が嬉しそうに告げる。

「今日だったんだな………お前がいる明日って」

『それは俺の台詞だ。

勝手にくたばりやがってこの馬鹿が…』

 

「ごめん、でもまたこうやって会えた。」

『ふん、相変わらず能天気な奴だな……"映司"。』

 

アンクはそう言って昔と変わっていない声や意思と仕草を持った男を見つめる。

無くしてからずっと探し続けていたアンクが最も欲していた存在が答えた。

 

 

「うん……ただいま……アンク。」

 

その答えにアンクは溢れそうになる涙を堪えながら顔を背ける。

だが、声だけは気丈に振る舞いながら言った。

 

 

『戻ってくるのが遅いんだよ……映司。』

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