キースと照井達の戦いは苛烈を極めていた。
玉座から離れたキースはエデンメモリの能力で多数の能力を発動し照井達に、攻撃を仕掛ける。
荘吉と克己も照井の援護に行こうとするが石の獣の能力に阻まれてしまう。
荘吉の相手にした獣は小さな針を撃ち出してきてそれに当たると荘吉の動きが鈍くなっていく。
「まさか、死体にも効く毒を使うとはな。」
荘吉が痺れて動きが鈍ると石の獣は彼に向かって突撃し更に戦線から離される。
対して克己はエターナルメモリの能力を無効化する特性を与えられた石の獣を相手にしており、エターナルメモリを使い変身した克己の攻撃を簡単に跳ね返す。
「うっ!?全く厄介な事をしてくれる。
こんな事なら他のメンバーからメモリを借りてくるんだったな。」
荘吉と違い麻痺は無い分、距離は離されないが有効打は与えられず睨み合いが続いていた。
そして、照井はブーストメモリで強化された背中のブースターを使い空中戦を織り交ぜながらエンジンブレードでキースに挑む。
しかし、キースは振るわれる無数の斬撃を槍で弾き受け流すと追撃を加える。
どんなに速く振り切ろうとしてもキースの槍と目は照井の姿を追い続けていた。
キースは虫をはたき落とす様に槍で照井の地面に叩き落とすと槍の持ち手で首を抑えつける。
『どうだお前がどれだけ強くなろうと私の足元にも及ばない。
さっさと、理解したなら諦めてここから去れ。』
「黙れ!!
俺は何があっても諦めない。」
『愚物は人間め!!』
キースは苛立ちを発散する様に槍で照井のドライバーを殴り付けながら吹き飛ばした。
その影響でブーストメモリから火花が起こる。
(くっ!?メモリにダメージが入ったか。
変身解除していないから暫くは持つだろうが安心出来ない。
しかし、どうして苛立っているんだ?
さっきから攻撃が感情的になっている?)
照井の疑問通り、キースは苛立ち焦っていた。
それはアルケの錬金術を使い欲望のエネルギーを供給しているからこそ彼のコアメダルが破壊されたことで彼の力が明確に削がれたことを理解したからだ。
(どういう事だ?
アルケ様から送られてくるエネルギーが急激に減衰した。
あり得ない……アルケ様がやられるなど……)
キースは目の前の敵を睨みつける。
(今はまだマゴニア城と私の肉体に残っているアルケ様の力で戦えるがそれが無くなれば、このメモリの力は明らかに減衰する。
それがバレれば奴等は持久戦に持ち込むだろう。
それだけは避けねば……)
キースの起こした一瞬の迷いが照井の起死回生の一手を打つ時間を与えた。
照井はドライバーのクラッチを握りエンジンブレードを使いツインマキシマムを発動する。
「BOOST MAXIMUMDRIVE」
「ENGINE MAXIMUMDRIVE」
「うぉぉぉぉ!!」
ツインマキシマムを発動すると照井の全身からマキシマムのエネルギーが発生する。
その凄まじい熱波が荘吉と克己と戦っていた石の獣の動きを止める。
「まだだ!!……もっと……速く……熱く!!」
「BOOST ACCEL」
それは井坂との決戦でシュラウドの力を借りてなり得たアクセルの最強形態であるブーストアクセル。
白銀の装甲を纏う白光の姿となるとエンジンブレードで一周、刃を通す。
すると、先ほどまで立っていた石の獣がその一撃で真っ二つに両断される。
キースにも迫った斬撃は槍で受けて弾くがその強さに槍の一部が欠ける。
『くっ!?その姿が切り札か。
なら、それをねじ伏せればお前達の勝ち目は無くなる。』
「お前を倒し振り切って見せる!!」
照井のエンジンブレードとキースの槍が激しく打ち合う。
両者の力は互角であり一歩も引くことをしない。
しかし、キースの瞳が光るとその拮抗関係も変わり始める。
キースを斬り伏せようとする刃を槍で受け止めると胸部を殴り付けた。
「ぐっ!?」
『エデンメモリの力でアクセルメモリと相反する力を作り出した。
加速の記憶による進化の力を無効化した今、お前の運命は決まった。
終わりだ……仮面ライダー!!』
キースの槍が照井の心臓に向けて放たれる。
その一撃が当たろうとした瞬間、克己のエターナルエッジがキースの槍に当たる。
角度を変えられた槍は照井のドライバーに刺さっていたブーストメモリに直撃する。
それによりブーストメモリは壊れ中にあったアクセルメモリが弾き出される。
『まだだぁ!!』
キースは槍の石突を地面に突き立てる。
その瞬間、凄まじいエネルギー波が発生した。
『仮面ライダーなら耐えられるだろうが生身では致命傷だ。』
照井は立て直そうとトライアルメモリを取り出すが起動前にエネルギー波が照井の前にまで来ていた。
そんな照井を守ったのは荘吉と克己だった。
2人が盾となりエネルギー波を受け切る。
その影響で2人のロストドライバーは煙を立てて地面に落ちた。
「やっぱり耐えられなかったか。
メモリが無事なだけ幸いだな。」
「無事か?照井竜。」
荘吉の問いに照井は答える。
「はい……すいません俺の為に……」
「お前を失えば亜樹子が悲しむからな。」
それを聞きながらも克己は立ち上がる。
「それよりどうする?
こっちはドライバーを失った。
そっちもメモリを壊されたろう。」
照井は答える。
「あぁ……だが中身のアクセルメモリは無事だ。
ブーストメモリが壊れかけていたからかまだ使えそうだ。
だが、アクセルメモリだけではキースには勝てない。」
「相反する力を作り出し相殺するだったか?
そんな事をされるなら俺のエターナルメモリでも相性が悪いな。」
そう話していると荘吉がスカルメモリを取り出す。
「少し気になる事がある。
もしかしたら、奴を倒せるかもしれない。」
「本当か?」
克己の問いに荘吉は答える。
「あぁ……だが、確証はない。
失敗すれば俺達は死ぬかもしれない。」
その言葉を聞いた照井が答える。
「俺は死にません。
所長……亜樹子の為にも絶対にやり遂げてみせます。」
その強い目を見た荘吉は答えを出す。
「ふっ……良いだろう。
お前に俺も賭ける。
お前はどうする大道克己?」
克己は答えた。
「"男の仕事の八割は決断、後はおまけみたいなもの"……だったか。
俺はアンタが育てた男に助けられた。
師匠であるアンタが賭けると決めたならついて行ってやる。」
三人の覚悟が決まると荘吉は作戦を共有した。
キースは怒っていた。
『何故だ……何故殺せない?
メモリの質も…錬金術も使える……アルケ様から与えられた力がありながらどうして仮面ライダー、一人殺せないっ!!』
超越者であるアルケが顕現し、切り札たるマゴニア城を錬成しその力を自由に使えるキースにとって仮面ライダーに勝てない事実が何よりも苛立ちを与えていた。
マゴニア城の外では今も他の仮面ライダーやアルケに反旗を翻した者達が戦っている。
(これ以上、こちらに力を割けない。
アルケ様との繋がりも薄くなってきている。
それもこれも全ては仮面ライダーのせいだ。)
思えば始まりもそうだった。
無名にネクロオーバー計画を奪われ財団での立場も悪くなり逆転を狙い反逆を起こした。
仮面ライダーに勝つ為に奴等に殺された者をNEVERとして蘇生し風都タワーを占拠した。
計画が完遂するあと一歩の所で仮面ライダーに邪魔をされ財団の加頭に粛清された。
そして、アルケ様が私を蘇生させ新たな世界の創造を支配者としてこの目で見る筈だった。
……それなのに…その計画も邪魔され挫かれようとしている。
それもこれも全てこの目の前にいる仮面ライダーのせいだ。
『何なのだ?……お前達は一体何なんだ!?』
その言葉を聞いた照井が答える。
「俺に下らない質問をするな。」
「俺達は"仮面ライダー"
この世界を地球を悪の手から守る……例えそれが神であろうと食らいついて倒す。
その意志を持った者達だ。」
『……巫山戯るな。
巫山戯るな巫山戯るなぁぁぁ!!
木っ端な人間風情がぁ仮面ライダーの力を得ただけで良い気になりやがってぇぇ!!
私は選ばれたのだぁ!!あのお方に選ばれたこの私をぉぉ苛立たせるなぁぁぁ!!』
キースの怒りはメモリと呼応する。
今まで城の外敵に向けて割り振っていたエネルギーが全てキースの身体に集約する。
全身の筋肉が隆起し背中にはフェニックスメモリ使用の際に現れていた金色の翼も現れる。
キースは手に持つ槍に力を込める。
金色のエネルギーを纏った槍を照井に向けて構えた。
対する照井はアクセルメモリを起動させる。
「ACCEL」
「変……身!!」
照井はアクセルメモリをドライバーに入れてグリップを思いっきり回す。
これまで共に戦ってきた最初のメモリであり心に街の平和を守る赤い炎を宿した仮面ライダーアクセルへと変身完了させる。
そして、エンジンブレードを取り出すと荘吉から託されたメモリを装填した。
「SKULL MAXIMUMDRIVE」
エンジンブレードから紫のエネルギーが放出され刀身を鋭くしていく。
そこで照井はドライバーのクラッチを握った。
「ACCEL MAXIMUMDRIVE」
その瞬間、全身から赤い炎が上がる。
両者は息を合わせた様に向って行った。
キースの槍とエンジンブレードがぶつかる。
キースはアクセルメモリの力を無効化しようとするがその瞬間、スカルメモリの力が膨れ上がり槍を押し返す。
『ぐぉっ!?……まさか"?』
それを見たキースは驚き荘吉は自分の考えが間違ってなかったと理解した。
「やはりな。
アクセルメモリは加速の記憶。
つまり、"進化し進み続ける力"。
それと相反するものは"停滞し止まった力"。
俺のスカルメモリの持つ"髑髏の力"そのものだ。
この2つの力を同時に使った攻撃ならば無効化は出来ないと読んだが……当たったようだ。
だが、お前のメモリの力は厄介だ。
もしかしたら、ここから全ての力を無効化する能力を作り出すかもしれない。
だから、ここで俺が切り札を切る。」
荘吉はスカルマグナムを拾い上げると克己から受け取ったメモリを装填する。
「ETERNAL MAXIMUMDRIVE」
その瞬間、溢れ上がるエネルギーによりスカルマグナムから火花が上がる。
「ヤンチャなメモリだな。
だが、この一発だけは……撃たせてもらうぞ。
"大事な娘の夫となる男を守る為"に………」
荘吉はスカルマグナムから溢れるエネルギーで手に傷を負いながらもスカルマグナムを展開する。
暴れる銃身を一人で押さえようとしていると克己が一緒に銃を持った。
「大事な一発なんだろう。
俺にも少しは手伝わせろ。」
「すまない。」
克己と共に構えたスカルマグナムが狙うのは照井と衝突しようとしているキース。
荘吉は一呼吸置くとそのまま引き金を引いた。
蒼炎の力を宿した弾丸が真っ直ぐ進んでいく。
その弾丸はキースの胸部に着弾すると全身から青い電流が流れ苦しみ出す。
『きっさまぁぁぁ!!』
「今だ!!行け!!」
荘吉の声を背に受け照井は腕の力を更に込める。
キースは槍でエンジンブレードを抑えつけようとするがエターナルメモリの力で能力が減衰された結果、槍が弾かれてしまう。
『まさか!?』
「全て振り切るぜ!!」
照井が振り下ろしたエンジンブレードの一撃はキースの身体に深い傷を与えた。
その凄まじい威力は体内にあるエデンメモリを露出させる程だった。
「まだだぁ!!」
「ACCEL MAXIMUMDRIVE」
照井はもう一度、アクセルのマキシマムを発動すると露出したエデンメモリに向かって必殺キックを叩き込んだ。
「うぉぉぉぉ!!」
照井は全ての力を込める。
全てを振り切る必殺の一撃はキースのエデンメモリを蹴り抜く。
エデンメモリは照井の一撃に耐えられなくなりヒビが入ると大爆発を起こした。
「ぐあっ!?」
「うぉっ!?」
「くっ!?」
爆発を受けた照井は変身解除し荘吉や克己と共に壁に吹き飛ばされる。
薄れゆく意識の中、照井はキースを見つめる。
メモリが砕かれた事で人間の姿に戻ると天井を向いて地面に倒れ伏した。
「勝っ……たぞ……後は……頼む。」
照井は翔太郎や無名達に後のことを頼むとそのまま意識を失うのだった。
倒れたキースは起き上がろうとするが身体は動かない。
ふと、自分の腕を見るとゆっくりと粒子化してるのが分かり自分が消滅するのだと悟る。
「あ……りえ……ない。
私が……アルケ様の力が……負けるなど……」
メモリが砕かれたことでアルケとの繋がりも消えたのだろう。
肉体も元の人間に戻っていた。
そんな彼の心に残ったのは怒りと狂気だった。
「認めるか……こんな結末……認めてなるものか!?」
キースは無理矢理、身体を這わせながら玉座があった場所に向かう。
椅子のあった場所は先程の戦闘で破壊されていた。
キースは砕かれた地面にまで這って行くと口を使い中心部を掘り始めた。
歯が砕け血と泥で滲もうとも止めない。
照井や荘吉や克己達は先程の爆発で気絶しており、誰も止める者はいない。
ある程度、掘ると赤い宝石とそれを中心に掘り込まれた錬成陣の一部が現れた。
マゴニア城はその巨大な島を安定させる為、無数の錬成陣が掘り込まれた。
そして、玉座の下にある錬成陣はマゴニアを浮遊させる術式が掘り込まれていた。
キースは歪んだ顔で照井を見る。
「フハハハ……俺一人では死なんぞ全員道連れだ。
お前達が命を賭けて守ろうとした全てを壊してやる。」
キースは中心の宝石に噛み付く。
怒りと狂気がキースに力を与え、歯が砕けようともかけられ続けた負荷により宝石は限界を迎えた。
パキン!!
澄んだ音と共に宝石は二つに砕ける。
その瞬間、マゴニア城から凄まじい振動が起こる。
予想通りの結果になった事を知りキースは嗤いながら消滅する事象に身を任せるのだった。
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