それは突然起こった。
最初に気付いたのはマゴニア城の迎撃をしていた
「井坂君。」
「えぇ、どうやら中での決着が付いた様ですね。
"最悪な結果"を残して………」
マゴニア城の底部から発生していたエネルギーが消え、ゆっくりとだが落下していくマゴニア城を見た者達はこれから起こる結末を理解する。
「あの質量の島が風都に落ちたらどうなるか想像するまでもないね。」
「ならば破壊するしかありませんね。」
琉兵衛も同じ結論に至っていたのか二人はそれぞれ攻撃の態勢を取る。
しかしその瞬間、城に搭載されていた砲台が2人に向くと攻撃される。
琉兵衛はテラーフィールドを展開し井坂は竜巻を起こす事で防御する。
「やれやれ、落下を防ごうとすれば攻撃される。」
「しかも、防がねばメモリブレイクされかねない攻撃とは……厄介ですねぇ。」
どう攻撃を止めながらマゴニアを処理しようか考える二人だったが急にマゴニアの落下が遅くなった。
そこにはマゴニアの底部で島を押し返そうとする
しかし、懸命に押し返そうとしても島という強大な質量には勝てずゆっくりと落下を続けていた。
すると、マゴニア城の砲台が変形し底部にいる2人に向かって無数のミサイルを発射する。
島を押し返すのに精一杯な二人に防御する術はない。
だが、二人はその場から離れようとしなかった。
すかさず琉兵衛二人を囲う様にテラーフィールドを展開し攻撃を防御すると井坂はミサイルを放った砲台に雷撃を加えて破壊する。
「まさか……貴方に助けられるとは思いませんでしたよ。」
霧彦の言葉を琉兵衛は肯定する。
「私もだよミュージアムの裏切り者を助けるとは自分でも驚いている。
しかし、それよりも君達がこの島を押し返そうとしている事に驚愕しているよ。
いくら、君達のガイアメモリが強力でもそれは不可能だ。
まだ、破壊する方が可能性が高い。
それぐらいは分かるはずだろう?」
その問いに霧彦が答える。
「それでは砕けた島の破片が風都に振り注ぎます。
……そうなったら街の人達が傷付く事になる。」
次に加頭が答えた。
「ここには冴子さんがいます。
彼女に島が落ちる被害を受ける可能性が万が一にでもあるならば止めるだけです。」
その言葉を聞いた井坂が尋ねる。
「止めてどうするのです?
出来るのは落下までの時間稼ぎが精々だ。
我々が破壊しないのならこの島を誰が対処するのですか?」
その問いに霧彦と加頭は同時に答える。
「「仮面ライダーです。」」
「この風都を守る仮面ライダーなら……きっと、出来ます。
その為の時間を私達が稼ぐ。」
「不本意ですが我々の計画を挫いた彼等ならば不可能を可能にすると私自身、思っています。
ならばそれまでの間、この島の落下を防ぐのが私達の約目です。」
その答えを聞いた琉兵衛は笑い、井坂は不快感を露わにする。
「あっはっは、随分と仮面ライダーに期待してるのだね君達は……」
「全く、毒素を取り入れもしない者達に賭けるとは理解に苦しみます……」
そう言いながら二人は全く同じ行動をした。
琉兵衛はテラーフィールドを柱の様に地面から展開すると島を支えた。
井坂は彼らの周囲に竜巻と雷を発生させると三人を狙う攻撃を防ぐ。
「私の力も加わればもう少しは時間も稼げるだろう。」
「その間、皆さんへの攻撃は私が防ぎましょう。」
そうして、4人は力を振り絞り地球の最後までの最後の時間を稼ぐのだった。
マゴニア城からの攻撃を防ぎながら市民を守っていたキチョウも落下するマゴニア城を見て愕然としていた。
「そんな……あんな物が落ちたらこの街は……」
止めたい……その想いが彼女の身体を駆け巡るが方法が浮かばない。
(どうしたら……私はどうしたらいいの?)
その時、彼女の頭に浮かんだのはこの姿になる前の戦国時代の記憶。
ノブナガと話した欲望の話だった。
自由になりたいキチョウが鳥になりたいと願うとノブナガは天下を統一しこの地球を彼女の為の鳥籠にしようと言った。
もし……他にも方法があったとしたら?
キチョウは自らの能力でマゴニア城までテレポーテーションしようとする。
連続移動は身体に負担をかけるがそんな事をキチョウは気にしなかった。
攻撃を回避しつつキースが死んだ事で無防備になった城内近くの地面に着地する。
すると、そこには粒子となって消える寸前のアケチと
「アケチ……」
キチョウに呼び掛けられたアケチは目を開ける。
「あぁ……最後の最後で会うのが貴女とは私も運がない。」
「その姿は?」
「見ての通りです。
アルケと取引して仮面ライダーを食い止めようとしましたがやられてしまいました。
後はもう……消えるのみです。」
憑き物が落ちた様に笑うアケチにキチョウは尋ねる。
「貴方は何故、アルケに手を貸したの?
貴方ほどの男ならば他にも道は沢山あったでしょう。」
「そうですねぇ。
多分、最後くらいは勝ちたいと思ったのでしょうね。
ノブナガと言う男に………」
「誰よりも強欲で……誰よりも破天荒。
それでいて人を惹きつける魅力がある。
天下統一と言う道も……あの男が筋道を立てた。
他の者達は所詮、その道を辿っただけ。
道を開拓したあの男こそ……特別だった。
そして、その特別に貴女も魅かれた。」
「だから、もう一度この世に生き返った私は考えたのです。
私なりのやり方であの男を超えようと……あの男の願いを私が叶えてみせようと……」
「ノブナガの……願い?」
「とっくにご存知でしょう?
貴女ですよキチョウ。
自由に生きたい……その願いを叶える為にあの男は天下を求めた。
だから、貴女の夢を私が叶えればあの男を超えた事になる。」
「そんな理由で……」
「天下を追う男など所詮その程度ですよ。
"その程度の理由の為に命を賭けるんです"
まぁ、どちらにしてもその願いは叶いませんが……」
キチョウはアケチの前にしゃがむ。
「ねぇ、アケチ。
私の願いを聞いてくれないかしら?」
「それを聞いて私に利がありますか?」
「多分、無いわ。
でも私達が行わなければいけない義務よ。」
「義務……ですか?」
「えぇ、私達は本来存在してはいけない存在。
戦国の世を生き己の信念に従い死んだ。
それは貴方もノブナガも変わらない。
でも、今の私達は違う。
過去を生きる私達は今を生きる人も想いを無視してはいけない。
だって、過去に生きていた私達もその想いを尊重して貰った。」
「だから、この街を守ると?
縁もゆかりも無いただの街を?」
「いいえ、ここに生きる民草にとってはただの街じゃない。
"今を生きる場所"よ。」
それを聞いたアケチは薄く笑う。
「フハハ……やはり貴方は第六天魔王の奥方だ。
私が夢を叶えようなど烏滸がましかった。
ですが、その言葉響きましたよキチョウ様。」
アケチは右手を胸に当てると金色のセルメダルを1枚取り出す。
「私がアルケから与えられた力です。
それを吸収すれば少しは役に立つでしょう。
今の私は消滅間近……ここで失うよりはずっと良い。」
キチョウはアケチが差し出したセルメダルを受け取る。
すると、アケチは満足した顔を浮かべながら消失した。
キチョウは受け取ったセルメダルを胸に当てる。
メダルは吸収され力が漲る。
「これなら……きっと!!」
キチョウはアケチから受け取った空間凍結の能力を発動する。
そして、止まった空間をテレポーテーションで移動しマゴニア城で倒れている者達を救い上げる。
「貴方達には生きる意味がある。
だから、生きて……照井さん。
私を助けてくれて……ありがとう。」
そう言って島にいた仮面ライダーを全員、風都の街に転送するとキチョウは城の玉座があった場所に立った。
「ここからエネルギーが漏れている……ここを何とかすれば島の落下を防げる。」
キチョウは宝石が砕けて中心が凹んだ錬成陣に触れる。
しかし、錬成陣から強力なエネルギーが発生すると彼女の体を傷つけた。
「くっ!?……私じゃ……ダメなの?」
一瞬の絶望がキチョウの心を包もうとした瞬間、肩に手が置かれる。
「ワシに任せろ。」
そこにいたのは肉体の粒子化が始まったノブナガだった。
アルケとの決戦中、ノブナガは別の方向に目を向けていた。
「呼んでいる……キチョウが……ワシを……」
それを見た映司が尋ねる。
「ノブくんどうしたの?」
「キチョウがワシを呼んでいる……行かねばならん。」
「行くって何処に?」
場所を察したアンクが言った。
「まさか、風都か?
確か、彼処でもヤバい事態になってたじゃねぇか。」
「えっ!?でもかなり距離があるよ。
ここから行くと時間が……」
「そんな暇はない!?
感じるんだ……今直ぐあやつの元に向かわねばならん。
出なければ風都が無くなってしまう。」
今のノブナガにはキチョウの想いが伝わってくる。
故に彼女の抱える危機感をダイレクトに感じていた。
ノブナガはリバースドライバーを腰に当てる。
しかし、内部が破損したドライバーが動くことは無かった。
「やはり、ダメか。
どうすれば………」
そして、ノブナガは覚悟を決めると自らの胸に手を当てる。
それをアンクが止めた。
「おいお前、今何しようとした?」
「どうしたのアンク?」
「コイツは錬金術を使って自分の身体をメダルに変換しようとしていた。」
「え!?どうしてノブくんが錬金術を……」
「ワシは、一度見た技を記憶出来る。
どうやらそれはアルケの使う錬金術にも当てはまっていたようでな。
これまで使うタイミングが無かったが今ほど必要な時は無い。」
それを聞いたアンクはノブナガに苛立ちをぶつける。
「お前、自分の身体をメダルに変えるそれがどういう意味か分かってんのか!?
一度、錬成を始めればもう人の姿には戻れねぇんだぞ!」
「!?」
それを聞いてもノブナガは考えを変えない。
「無茶を通すならそれなりの代償が必要だ。
それぐらいは承知している。」
「……テメェ!!」
「アンク、待って!!」
映司はアンクを止めるとノブナガに尋ねる。
「ノブくん……それが君のやりたい事なんだね?」
「あぁ、俺はキチョウの願いを叶えたい。
その為に天下統一を始めた。
今、奴はワシを呼んでいる。
ならば、ワシは何が何でも行かねばならん。
それがワシの欲望だからな。」
その目を見た映司は言う。
「……分かった。
俺はノブくんの意思を尊重するよ。」
「映司……」
「きっと、これがノブくんのやりたい事なんだ。
それがどんな結果になろうとノブくんはキチョウさんの所に行きたいんだよ。
だから俺はノブくんの意思を尊重したい。」
前の映司ならば決して選ばなかったであろう選択をしたのは、無名や翔太郎との出会いが大きく影響を与えていた。
それを聞いたノブナガは言う。
「お主と会えて良かった。
次の生があるのならもう一度、お主と会いたいものだ。」
「うん。
じゃあ、ノブくん約束しよう。
また会おう………この事件が解決したらさ。」
「映司……あぁ、そうだな。
また会おう。」
「うん。」
「アンク……貴様にも世話になった。」
「ふん!……さっさと行け。」
ノブナガは別れを言い終わると全身をセルメダルへと変換する。
そして、メダルの塊となったノブナガは空を飛んでいくのだった。
そして、メダルの塊となったノブナガはマゴニア城の内部にいるキチョウの元へと辿り着いたのだった。
「お館様……」
「お主の為ならば何処にでもワシはいる。
……それで何があった?」
「この城が、力を失い今落下しております。
このままではこの街が消えてしまう。
中にいた者達の避難は済ませました。
そして錬成陣が組まれていた所までは見つけたのですが……」
「錬金術を知らんお前の力では弾かれてしまったか?」
「はい……」
ノブナガは人間の姿になるとキチョウと違い弾かれること無く錬成陣に触れる。
「成る程、この錬成陣は核となる物質を失っている。
だから、落下を続けているのじゃろう。」
「ではどうすれば?」
「方法はある。
この核を錬成し陣に組み込めば良い。
……だが、この核が厄介じゃ。
生半可な物では代えにはならない。
ワシ達の肉身を使えば……或いは」
言葉を濁すノブナガに今度はキチョウが優しく手を触れる。
「お館様、キチョウは幸せです。
今度は貴方と一緒に逝ける。
本能寺と違い共にいれるのなら私は他に何もいりません。」
「キチョウ……分かった。
では、始めるぞ。」
ノブナガはキチョウに触れる。
すると、二人の身体はメダルへと変換されそして赤い球体へと姿を変えた。
その球体は錬成陣に嵌め込まれると急に光りだす。
その光は城と島の全体を包み込んだ。
そして、落ちようとする島を支えていた琉兵衛達も動きを止めた。
上昇していく島を見ながら霧彦が呟く。
「一体何があったんだ?
今度は何をしでかす気なんだ?」
慄く霧彦を琉兵衛がせいした。
「霧彦君、どうやら"奇跡"が起きたみたいだよ。」
そのまま空へと上がっていくマゴニア城は成層圏を突破するとその場から姿を消した。
すると、周囲に溢れていた怪人も止まる。
「元凶が消えたお陰で怪人の出現も止まった様だね。」
そう言いながら4人の怪物が地面に降りるとG-3Xを装着した氷川とG-3の部隊が取り囲む。
「ミュージアム総帥、"園咲 琉兵衛"
財団Xエージェント、"加頭 順"
そして、連続殺人鬼"井坂 深紅郎"
もう一人は分かりませんが貴方達には生前、逮捕状が出ていました。
ご同行願えますか?」
「おやおや、この街を救ったのに随分な言い掛かりだね。」
「えぇ、そこには感謝しています。
でも、貴方達が風都にガイアメモリをばら撒いたことで事件や死傷者のも事実です。
その罪は償ってもらいます。」
それを聞いた井坂が尋ねる。
「ふむ、貴方達程度で私達を捕まえられると?」
その言葉を氷川は肯定する。
「確かに私たちは弱い。
でも、だからこそ団結が出来る。」
それを聞いた琉兵衛が尋ねる。
「一つ聞きたい。
私の家族は安全かね?」
「長女の園咲 冴子さんは市民を逃がし終わるとガイアメモリを渡して自首しました。
次女の園咲 若菜さんは安全です。」
「それを聞いて安心した。
妻の文音は?」
「いえ、私達は保護していません。
必要なら捜索しますが?」
「いや、彼女には彼女の役目がある。
……良いだろう私は投降する。」
その言葉を聞いた他の三人は驚く。
「ただし条件を付ける。
そこにいる
まだ、彼にはこの風都を守って貰う必要があるからね。」
「もし、断れば?」
「簡単に分かる結果を態々知りたいかね?」
そう言うと琉兵衛の身体からオーラが発せられる。
それを受けた氷川以外の装着者はぶつけられた恐怖に動揺する。
氷川は少し考えると答えを出した。
「分かりました。
その条件を飲みます。
他の方はどうしますか?」
次に声を上げたのは加頭だった。
「私の条件は1つ。
冴子さんと共に入れる時間を……それが叶うなら投降しましょう。」
「分かりました……貴方はどうしますか井坂 深紅郎?」
井坂はわざとらしく悩む。
「ふむ……貴方達から力づくで逃げるのも面白いですねぇ。
折角、生き返ったのですからもう一度、ガイアメモリの探求を……」
そう言うと琉兵衛と加頭の身体からエネルギーが発せられる。
「それは困るよ井坂君。
君が逃げて私達の条件が守られなかったら困る。
君が逃げると言うなら私は君を殺してでも捕まえるよ。」
「私も貴方のことは嫌いですから……殺すのならばお手伝いしますよ。」
二人の見た井坂は溜息を付くと耳からメモリを取り出す。
「全く、私も嫌われたものだ。
良いでしょうこの街を守った仮面ライダーに華を持たせて上げましょう。
私も投降しますよ。」
「では、手錠を……」
氷川はそう言って手錠を取り出すと3人に近付く。
霧彦は空へ飛び上がるとその場から姿を消した。
こうして、風都を震撼させた三人の巨悪は今度こそ警察の手により逮捕されたのだった。
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