もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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W×OOO 48.三人と終わり

 

アルケの前に立つ3人の仮面ライダーはそれぞれ構えた。

 

一人は風都を守る二人で一人の仮面ライダーである"左 翔太郎とフィリップ"。

もう一人はその世界に現れた新たな存在である仮面ライダー"無名"。

そして、最後は改めて欲望と生きる意味を見いだした仮面ライダー"火野 映司"そして彼を支えるグリード"アンク"。

 

空を飛ぶアルケに最初に攻撃を加えたのは映司だった。

タジャドルコンボにより生成された赤い翼をはためかせると急接近する。

そのまま徒手空拳でアルケに攻撃を加えていく。

 

コアメダルを壊されたせいか前の様な鉄壁の防御力が無いのだろう。

炎の力を宿したタジャスピナーの一撃が彼を地面に叩き落とす。

そこを狙う様に今度は翔太郎達が前に出る。

プリズムソードによる斬撃はアルケの身体に深い傷と火花を上げさせる。

 

『ぐっ!?』 

「もう終わりだアルケ。

お前の計画は失敗したんだ。」

 

『はは!!……なら尚更、ここで巻き返さないとな。

お前達を倒し装置を再生させもう一度、錬金術を発動させれば……』

アルケのその言葉をフィリップが否定する。

『それは不可能だ。

無名とゴエティアが言っていただろう。

僕達の力を強化する為に超越者の記憶を代償にしたと……

いくら、君の錬金術が優れていても記憶が存在しなければ復活させる事など出来ない。』

 

それを聞いたアルケは苛立ちながら答える。

『それはお前達の理屈だろう?

私は超越者……原初の欲望……そして無から有を生み出すのが錬金術。

私に不可能はない。』

そう言って反撃しようとするアルケを無名が止める。

 

『貴様……』

「アルケ……もう終わりです。

これ以上、彼らの……仮面ライダーの歴史を捻じ曲げさせたりはしない!!」

 

無名がカウンターで、放った拳がアルケに突き刺さる。

『ぐはっ!?……ゴエティアの人形がやるじゃないか。

お前はゴエティアが私たちを復活させる為に生み出したスペアの肉体に過ぎない。』

その言葉をゴエティアは肯定する。

『そうだな。

無限にも等しい歴史の繰り返しの中……気まぐれで生み出した存在だった。

だが、その存在が全てを変えた。

死ぬ筈の存在を復活させ……悲劇を塗り替え……そして私を倒し……この地球を救った。

何度やっても果たせなかったコスモスとの再会も彼が生み出した産物だ。

無名はもう、私のスペアと言う存在ではない。

この地球一つの命であり、強大な力にも立ち向かえる心を持った仮面ライダーだ。』

 

『たった一人で何が出来る?』

アルケのその言葉を翔太郎が否定する。

 

一人じゃねぇ!!

無名には俺やフィリップ、それに克己達がついてる。」

そうだ!!翔太郎が教えてくれた!!

Nobody,Perfect……誰も完璧じゃない。

だから、皆で支え合うんだ!!』

 

その言葉を肯定するように映司が現れる。

「確かに僕達は一人じゃ何も出来ない。

手を伸ばしたって掴める手は少ない。

でも、皆が入ればもっと沢山の手を掴める!!

それを僕は翔太郎さんと無名さんから教わった!!」

 

映司の蹴りがアルケを吹き飛ばす。

地面を削りながら距離を離れる。

すると、三人のライダーは必殺の構えを取る。

 

『アルケ……君の検索は完了した。

君のコアメダルを砕くのに有効な攻撃は僕達、三人の力を合わせた合体攻撃だ。』

フィリップの意見を聞いた翔太郎が答える。

「なら、3人の息を合わせる為にも一緒に技を叫ぶぞ!!

えーっと、WとOOOとデーモンだから……」

 

「なら、シンプルにこれはどうでしょう?」

無名が提案した技名を聞いた映司が答える。

「それ良いですね分かりやすいです。」

 

「じゃあ、それで行こうフィリップ!!」

『あぁ、行こう翔太郎!!』

 

そうして無名もドライバーに手をかけると精神世界で隣にいたゴエティアの肉体がブレで消え始める。

「!?」

『どうやら、私の記憶も消え始めてきたらしい。

恐らく、この一撃が限界だろう。

これで私達、超越者は……この世界から完全に消える。』

 

「ゴエティア……」

無名の顔を見たゴエティアが笑う。

『お前を傷付けた相手にそんな顔を向けるな。

これはコスモスやタナハ……超越者全員の総意だ。

君たち風に言うなら"私の罪を数える時が来た"だけだ。』

 

ゴエティアからの覚悟を聞いた無名はドライバーに手をかける。

「分かりました……ならば共に数えましょう。

"僕達の……罪を"」

 

「CONTRACT MAXIMUMDRIVE」

「SCANNING CHARGE」

 

映司と無名は飛び上がる。

黒炎と深紅の炎が巻き上がりアルケに向かって一筋の道を作り出す。

 

そこにWが飛び上がるとドライバーに手をかけた。

 

「XTREME MAXIMUMDRIVE」

 

Wから発せられた虹色の風が炎の道に触れるとアルケを包み込む。

 『グ……ガ……』

 

「行くぞ無名!!映司!!」

「「はい!!」」

 

三人はキックの体勢に移行する。

 

「「「TRIPLE RIDERKICK!!!(トリプルライダーキック)」」」

 

三人のキックがアルケに突き刺さる。

アルケの身体を構築していた最後のコアメダルにヒビが入った。

『見事だ……これが……コスモスが残した……地球の……仮面ライダーの力か。』

 

「アルケ……もう良いんです。

貴方ももう苦しむ必要はない。」

 

ゴエティアから聞いていた。

超越者がこの世界に実体化し続けるだけでもとてつもない苦痛と意識障害を引き起こすと……現にゴエティアもそのせいで性格が変わっていってしまったのだ。

 

しかし、それでも叶えたい願いがあった。

ゴエティアもアルケも仲間の為に全てを捧げたのだ。

 

それを知る無名だからこそ彼らの物語を幕引きにすべきだと思った。

 

無名の言葉を聞いたアルケは安堵した顔で笑う。

『あぁ……そうか……漸く私も……終われるのだな。

ならば……君たちに期待するとしよう。

この先の……地球と……仮面ライダーの物語に』

 

その言葉を最後にアルケのコアメダルが砕ける。

そして、アルケの体を貫通し三人のライダーは地面に着地した。

その瞬間、大爆発が起こりアルケは完全に消滅したのだった。

 

アルケが消滅した事で世界から光る粒子が発生し始めた。

「おい、フィリップ……これは一体?」

『恐らく、失われた記憶の再構成が行われているのだろう。

超越者の記憶が無くなった結果、消失してしまう空白を地球そのモノが最適化しようとしているんだろう。』

 

「つまりどういう事だ?」

翔太郎の問いに無名が答える。

「少なくとも、今よりは悪くなる事は無いと思いますよ。

申し訳ありませんが……暫く離れてもいいですか?

ゴエティアと最後の別れをしたいんです。」

それを聞いた翔太郎が答える。

「あぁ、分かった。

行こうぜ映司。」

「……はい。」

 

2人が変身解除してその場を離れると無名はドライバーに手を触れる。

「これを閉じれば……全てが終わります。」

『そうだな。

この変身もあと僅かだ。』

 

「ゴエティア……貴方には色々と恨みがあります。」

『当然だな。』

 

「ですが、それでも貴方が仲間と会えた事は嬉しいと思っているんです。」

『あぁ、君達のお陰でコスモスに会えた……感謝している。』

 

「そして、今回もアルケの野望を阻止してくれました。」

『同胞の罪は同じ同胞が贖わないとな。』

 

「ゴエティア……貴方が消えたら私はどうなるのでしょう?」

『無名……お前は超越者の肉身でありその世界の特異点でもある。

地球の再構成により変わったとしてもその力の一部も君の物として固定されるだろう。

恐らくはフィリップと同じデータ人間となる筈だ。』

 

「そうですか。」

『無名……お前はこの後、どうするつもりだ?』

 

「僕はミュージアム幹部として多くの罪を犯してきました。

その償いをしたいと思っています。

この命が尽きるその日まで……この風都と言う街で……』

『そうか。

君……の……人…生……に……幸……福を……祈……る。』

 

声が途切れ途切れになって来たことからゴエティアの記憶が後、僅かしか無いと悟る。

無名は優しく手に掛けたドライバーを戻し変身解除した。

 

無名が変身に使っていたコントラクトメモリを有したデバイスが粒子となって消失していく。

 

「さようなら……ゴエティア……ありがとう。」

無名は空に向けてそう言うと一人その場を後にするのだった。

 

 

 

無名から離れた翔太郎とフィリップと映司はアンクのいる場所へと戻っていた。

翔太郎に背中を押され映司はアンクの前に立つ。

 

「アンク……ただいま。」

それを聞いたアンクは鼻を鳴らす。

「ふん!無事に生き残ったみたいだな。」

 

「うん、でもアンクのメダルが……」

映司が手を開くとクジャクメダルとコンドルメダルが粒子となって消失した。

「平行世界の俺のメダルだ。

こっから消えた事で無くなっちまったんだろう。

問題ねぇ、ならこの世界の俺のメダルを手に入れれば良いだけの話だ。」

 

「うん……アンク、俺一つ決めたことがあるんだ。

俺は俺自身に対する欲望が無い。

……いや、無いって言うより恐れているのかもしれない。

自分が欲望を持ったらまた誰かが犠牲になるかもしれないから……」

「映司。」

「だけど、だからって立ち止まれない。

やっぱり俺は欲深いみたいだ。

でも、今のままじゃダメだ。

きっと、変わらなかったら俺は誰かの為に命を捨てて勝手に納得すると思う。」

 

「それで……お前の決めたことってのは?」

「今回みたいな戦いがあって生き残ったら、

"お前と一緒にクスクシエでご飯を食べる"

それだけは絶対に守る……そう決めた。」

 

「成る程な。

確かに生きてなきゃ出来ない約束だ。」

「うん、アンクも生きてないと叶えられない。

どうかな?」

 

「まぁ、少しはマシな考えになったってとこだな。」

それを聞いた映司は笑う。

「良かった。」

 

アンクは映司の声を聞くと後ろを向く。

「何してる映司?

さっさと帰るぞ。

クスクシエで飯を食うんだろ?」

「え!?

そうだけど翔太郎さん達にも挨拶しないと……」

 

それを聞いた翔太郎が答えた。

「いや、俺達もやる事がある。

お前達には感謝しているせ映司、アンク。」

フィリップも映司達に話し掛ける。

 

「君達も何か困った事があったら俺達を頼ってくれ。

ライダーは助け合い……僕達は喜んで手を貸すよ。」

「ありがとうございます。

また会いましょう翔太郎さんフィリップさん。」

 

そう言うと映司とアンクはその場から姿を消した。

 

翔太郎はフィリップに向き直る。

「さてと、取り敢えず風都の被害でも調べるか。

何か手を貸せるしかもしれないしな。」

「そうだね。

分かった検索を始めよう。」

 

「おい、待て!?

ここで検索すんなせめてリボルギャリーの中でやれ!!」

翔太郎はフィリップにそうツッコむのだった。

 

 

一方、クスクシエでは真木が店に拡げていた機械や資料を片付けていた。

その横で店主である白石 知世子が紅茶を差し入れようと持ってきていた。

 

「ごめんなさい真木さん。

本当だったら私も手伝いたいんだけれど……」

「いえ、ここにある装置には危険な物もあります。

貴女にはそんな物を触らせられません。」 

 

そう言って荷物をテキパキと仕舞っていると知世子が尋ねる。

「そう言えば後藤さん達は大丈夫かしら

何か知ってなさらない?」

それに真木が答える。

「後藤君と伊達さんは無事です。

怪我をしていますので鴻上コーポレーションが保有するメディカルセンターに搬送されたそうです。

火野 映司君やアンク君に関しても無事が確認出来ています。」

 

「そうなの。

なら良かったわ。」 

安心したように笑う知世子を見て真木は過去に残る姉の顔を思い出す。

(美しく……儚い思い出……貴女を見ると……つい思い出してします。)

 

油断すれば身を委ねたくなる甘い記憶……だが、どんな物語にも終わりはある。

その終わりがハッピーエンドになることは無い。

 

もし、そうなら自分が姉に捨てられる事も無かったのだから……

 

恐ろしい記憶から目を逸らすように資料に目を向けると見たことの無い一枚の紙を見つける。

そこには自分ではない筆跡の文字が書かれていた。

 

(これは……座標ですね。

そう言えば最近、鴻上会長が採掘しようとしている場所も丁度この辺りでしたか。)

 

真木は分析と目の前の紙の情報を分析しそれが何を示し誰が差し出したのか理解した。

 

「私の願いを叶えてくれたと言うことですか"無名"。」

 

無名に求めようとしていたのは"古のメダル"の情報。

真木が信奉する"終わりの力"を内包したメダル。

 

その情報が真木の求める物の所在を表しているのだと理解した。

(ならば、私が回収するより鴻上会長主導で発掘して貰い奪う方が効率が良さそうだ。)

 

真木の求める欲望を叶えるには鴻上コーポレーションは不適格だ。

財団Xも然り、ならばそれを最も叶えられる可能性のある勢力は……一つしかない。

 

だが、そうなれば"ココ"にはもう来れなくなる。

 

「知世子さん。

もしかしたら、これからココに来るのは難しくなるかもしれません。」

「そうなの?

残念ね……お仕事が何か?」

 

「えぇ、ですがそうなる前には必ずここに来ます。

その時にはまた美味しい食べ物を食べたいです。」

「任せて、思いっ切り美味しい物を準備してお待ちしてますわ。」

 

その言葉を聞き真木は笑う。

「それは……とても楽しみです。」

 

(訪れる終末の前に知る幸福としては………)

 

言えない言葉を心に抱えながら真木は荷造りを終えクスクシエを後にするのだった。

 

 




【原作との相違点】

真木は無名により紫のコアメダルの所在を知るが鴻上コーポレーションに発掘させて奪う計画に方向転換する。
それ以降の流れは変わらず彼はグリード勢力に身を置き物語の終末へと進んでいく。

外伝 続編の投稿に関して

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