もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第二十九話 交錯するR/新たな力

「Cobra」

 

黒岩は起動したメモリを腕に挿す。

すると、身体が変異し褪色が緑色になり黒い傷のような紋様が付いた蛇頭の怪人が現れる。

その姿を見たコンピュータードーパントは驚く。

「なっ!てめぇもメモリを手に入れたのかっ!」

 

黒岩は手を握り身体の感覚を確かめると、

そのまま近づき右ストレートを相手に食らわせた。

その速度に驚き反撃しようとするが簡単に避けられ、却ってパンチの追撃を喰らってしまった。

 

黒岩は元自衛隊であり辞めた後も殺し屋として活動してきたので身体能力も格闘センスも高い。

この前、不覚をとったのはメモリによって強化された膂力に人間の力では敵わなかったからだ。

だが、今度は黒岩もドーパントになったことにより、メモリの作用で得たパワーでコンピュータードーパントを純粋なパワーで上回って勝てる様になった。

 

自分の不利を悟ったコンピュータードーパントは屋上に設置されたケーブルから脱出を試みようとする。

しかし、ケーブルに入った瞬間、黒岩が口から吐き出した謎の物体に行く手を阻まれる。

そして、その物体に触れた瞬間、激痛からケーブルより元のドーパントの姿になり出てきた。

「ぐぁぁあ!痛てぇ!何だこれは!」

ケーブルには"黄色の結晶"が突き刺さっていた。

 

「"俺の毒"だ。」

黒岩が説明する。

「このコブラメモリには神経系まで作用する猛毒を作り出すことが出来る。

そして、"濃度を変える"ことで結晶として放つことが出来る....らしい。」

「そして、これを応用することでこんなことも出来るとアイツは言ってたな。」

 

そう言うと黒岩は口に含んだ毒を吐き出すとナイフの様な形になった。

「硬度も高く、鉄板程度なら軽く斬ることが出来る。

そしてコイツは毒を持っている。

後は言わなくても分かるよな?」

黒岩の脅しにコンピュータードーパントは自分が狩るものではないと理解した。

(俺は今、狩られかけている(殺されかけている).....

少し触れただけでこの痛みだ。

もしこれが俺の身体に入ったら....)

 

恐ろしい想像をしたコンピュータードーパントは頭の中の結論が"報復"から"逃亡"へと変わった。

彼が勢い良くビルから飛び降りる。

ドーパントになったおかげで身体も丈夫になっている。

そして彼の予想通り、十階以上もあるビルから落下しても彼は無事だった。

そして、そのまま走って逃げようとするが"背中に痛み"を感じた。

(何だ.....こ......れ?)

痛みの原因を知る前に男の心臓が止まりコンピューターメモリが排出される。

こうして、彼の命は終わりを告げるのだった。

 

それを行った黒岩の左腕は"狙撃銃"の形に変わっていた。

 

逃げるコンピュータードーパントを黒岩は追おうとしなかった。

彼は無名から渡されていた端子が銅色で銀色の無地なメモリを取り出す。

そして、そのメモリを起動した。

Rifle(ライフル)

そして、そのメモリを無名に渡されてつけていた左腕の腕輪にある端子に差し込んだ。

すると、メモリが黒岩の体内に入り腕が変形していく。

そうして、完成した腕は黒岩が長年使っていたレミントンM700の機構を備えていた。

 

見るだけでこれをどう使えば良いのか分かる不思議な感覚に黒岩は戸惑うがそれに従う。

先ず、ライフル弾の形に成型した毒の結晶を生成する。

右手でボルトを引くと弾を入れる空洞が現れる。

そこに弾を装填しボルトを戻す。

そして、銃をドーパントが逃げた場所に向かって構えた。

スコープは要らない、何故ならもう敵が見えているからだ。

狙おうと構えた瞬間、視界が変わり敵の方へ自動でズームされる。

 

黒岩は何時もの癖で息を軽く吸いゆっくり吐きながら引き金を引いた。

派手な爆発音は鳴らず、パスッ!というサイレンサーを付けたような音と共に弾丸が敵の胸に当たる。

そして、心臓が止まり冷たくなるのを見た黒岩はライフルから顔を離した。

 

 

その姿を映像越しで見ていたサラは驚いた。

元々、コブラメモリは近接戦闘を得意とするメモリだったが、無名が新たに作り出した"メモリ"により狙撃でコンピュータードーパントを殺害して見せたのだ。

「随分と驚いているようですねサラさん。」

「えぇ、想像以上だわ。

これが貴方の実験していた事ね?」

 

「えぇ、擬似的にガイアメモリのデータを製作したメモリ...."ギジメモリ"とでも名付けましょうか。

そのメモリの力によりコブラメモリにライフルの記憶を一時的に付加し強化してたんです。」

「凄いわね.....これが量産化されれば既存のメモリももっと売れるかもしれないわね。」

 

「それは現状難しいですね。

そのシステムの欠点は、適合するメモリの選定が難しく、使おうにもギジメモリ専用のドライバーが要ります。

そのコストを考えますと量産型と言うより特化する事を前提とした運用が良いと思います。」

 

「安いシャツではなく、一から採寸しデザインしたオートクチュールのスーツ...これはそんなイメージのシステムです。」

「なら、これは幹部の中でも信頼の置ける部下に渡したくなるわね.....まさかこれって!」

「えぇ、これは僕達が使う手駒用に誂えたシステムですよ。」

「これがあれば有能な人間に渡したプロダクトメモリを強化することで生存能力を上げられますし、無能にも低レベル....少なくともマスカレイドメモリより強いメモリを与えて反感を防ぐと共にちょっとした強化も行えると言う算段です。」

 

ミュージアムの構成員の持つメモリが弱いのは、

来人がいなくなったこと以外にも強いメモリは生産するのが難しいのが理由として上げられる。

原作でもメモリを強化するアダプターが作られたがそれはミュージアムが崩壊してからだ。

結果的にその力も仮面ライダーに使われてしまうのだが

 

そんな事を二人は呑気に話しているが、

二人の周りは地獄そのものだった。

黒炎と岩で部屋は彩られ、監視用だったモニターにも亀裂が入っていた。

そして、当の二人も無事ではない。

サラは片腕を斬られ炎によるダメージが至るところにあり無名は両手足を石により絡め取られ石化が始まっていた。

 

「それにしても驚きましたよゴーゴンメモリには」

そう言う無名にサラも返す。

「貴方のデーモンメモリも驚きよ?

あの武器も相当な物だったじゃない。」

「しかし、貴女には勝てなかった。」

そう、結果として無名は動きを封じられ石化を待つだけだった。

 

「抜け出そうと思えば出来るでしょう?

それに本気で殺しあったら話も変わるはずよ。」

「けど、それは目的じゃないですよね?

面子を通すのに僕の命がいるのならまずいですが」

そんな会話に毒気が抜かれたのか彼女の瞳が光ると身体の石化が解除され、身体を拘束していた石が波のように動き元の地面へと戻る。

 

「今回は引き分けってことにしましょう?

それでも獅子神なら悔しがるでしょうけどね。」

そう言うとサラは斬られた腕を拾い付けると完全に接着された。

「これもゴーゴンメモリの力ですか?」

「まぁ、そうね。

ゴーゴンって言うのは個人の名前じゃなくて三人の姉妹を表す名前なのよ。」

 

「確か、ステンノー、エウリュアーレ、メデューサの三人ですよね?」

「そう、私のメモリはその三人の力を宿しているの。

ステンノーとエウリュアーレは不死身だったって伝承もあるからこの再生能力もそこから来てるのかもね。」

そう言うとメモリを引き抜き二人は元の人間へと戻った。

 

(そう言う意味で言うとデーモンメモリも怖いんだけどね。)

メモリとの適合率が上がればその記憶の力をより多く引き出せる。

サラのゴーゴンメモリの力もガイアドライバーⅡにより変身を続けた結果、適合率が上がった産物だ。

つまり、元から高い適合率を誇る無名がどういった変化を遂げるのかサラには全く分からなかった。

 

(と言うより今、彼の適合率は上がっているのかしら?)

 

その疑問をサラは口にしなかったししても無名は答えなかったろう。

何故なら、当の本人も知らないからだ。

自分の適合率が今どうなっているのかを......

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