もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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照井 竜と交流し物語が変わったのは花屋 大我だけでは無かった。
これは、仮面ライダーエグゼイド38話で起こった
新たな物語。


After Story/涙のAnswer

 

「俺は"世界で一番のドクター"だ。

目の前で失いかけてる命を見捨てる事など絶対にしない。」

 

仮面ライダーブレイブ……"鏡 飛彩"(かがみ ひいろ)は敵である檀 正宗(だん まさむね)に対してそう言い切った。

 

彼の婚約者を人質に取った卑劣な要求を断り医者として成すべきことをしたその青年を見た僕は遠くから笑った。

「鏡 飛彩……やはり、彼も仮面ライダーと言う訳ですね。」

 

その光景を見ながら"無名"は照井との会話を思い返していた。

「頼む無名……俺に力を貸してくれ。」

アルケとの一件の後、風都の監房に留置されていた自分の所に照井が尋ねてきた。

「僕の助けを必要とするなんて珍しいですね。」

「俺の主治医でもある花屋大我の"協力者"(西馬ニコ)から連絡があって、どうやら大我が重症を負ってしまい予断を許さないらしい。」

 

「生憎ですが僕は医者じゃない。

有能な外科医を探して頼めばいいのでは?」

「勿論、分かっている。

無名、お前はバグスターウイルスについては知っているか?」

「人間に感染するデータウイルス。

それで産み出されるバグスターと花屋さんは戦っているんですよね?」

 

「そうだ。

そして、どうやら大我を治せる有能な医者が敵の手に落ちているらしい。

恋人を人質に取られて……」

そこまで聞いた無名は一瞬、目を瞑ると地球の本棚で検索を開始し事の顛末を理解した。

 

「成る程、ゲーム病で消失した人間のデータを檀 正宗が握っているのか。

仮面ライダークロニクルのマスターガシャットがあれば消失した人間を復元する事も消去する事を出来ると……」

そこまで聞いた照井は苦い顔をしながら言った。

「どうにかならないか?

その人質となっている者を助けられれば……何とかなると思うのだが……」

 

「珍しく歯切れが悪い言い方ですね。」

無名がそう尋ねると照井は顔を背けながら言った。

「これは……警察の職務に違反している行為だ。

犯罪者であるお前を頼る事になる。

本当ならばこんな事をするべきじゃない。」

「でも、僕の力が必要だと思うんですね。

フィリップや左 翔太郎では無く……」

 

「清濁併せ呑むお前だからこそ俺達では出来ないやり方が出来ると思っている。」

そう聞いた無名は静かに立ち上がる。

「分かりました。

では、貴方にも一つ骨を折って貰います。

ちょっとした機材をお借りしたい。」

 

「機材?」

「えぇ、ですが安心してください。

必要なのはとある人物への協力の打診です。

実は先程、検索して面白い事が分かりましたので頼めませんか?」

 

無名は照井との会話を思い出しながら手に持った一つのガシャットを見つめるのだった。

 

 

 

「これで君の望みは果たされない。」

檀 正宗がそう言いながら手元のガシャコンバグヴァイザーⅡを向けると鏡 飛彩の恋人である百瀬 小姫(ももせ さき)が現れる。

檀 正宗がバグヴァイザーを操作すると彼女のデータが粒子状となって消えていった。

 

飛彩と永夢はガシャットを取り出すと檀 正宗との戦いを始めようとガシャットを起動した。

それに答える様に檀 正宗もガシャットを起動する。

 

しかし、そこにいた人達は誰も知らなかった。

今この空間にもう一つの"ゲームエリア"が秘密裏に展開されていた事に………

 

 

手術が成功し病室で目を覚ました花屋 大我に鏡 飛彩は頭を下げる。

「花屋先生……貴方に対する今までの非礼、心からお詫びします。」

その姿を見た花屋 大我は言った。

「よせ……謝るのは俺の方だ。

お前は俺の命の恩人だ。」

 

「やはり、貴方達は人としても医者としても仮面ライダーとしても素晴らしいですね。」

「貴方は?」

 

突然現れた青年は花屋達を見ながら言った。

「僕の名前は無名。

照井警視に言われて貴方方のサポートに来ました。

と言っても、大我さんを救ったのはそこにいる飛彩さんでしたけど……」

そう言いながら無名は一つのガシャットを取り出した。

 

「そのガシャットは一体?」

"小星 作"(こぼしつくる)さんに協力して貰って

新たに作り上げたガシャットです。

と言っても中身のデータは既存の幻夢コーポレーションのゲームデータとは全く違いますがね。」

 

「このガシャットにあるのは"無数のデータの破片"です。

檀 正宗が消去したとあるデータをゲームエリアを展開して吸収しました。

流石の彼も消去したデータまでは気にしていなかったのでしょう。

お陰で殆どのデータを回収出来ました。」

 

TADDLE PRINCESS(タドル プリンセス)

 

無名がガシャットを起動するとそこにゲームエリアが展開され一体の人型のバグスターがその場に現れた。

その姿を見た飛彩は驚愕する。

 

「……小姫。」

「飛彩……私……」

 

気付けば飛彩は小姫を抱き締めていた。

その姿を見ながら無名が説明を続ける。

 

「"タドルプリンセス"……魔王に囚われた姫が自分自身で城から逃げ出し助けに来る騎士と合流する脱出ゲームです。

このゲームの主人公として小姫さんのデータを当てはめて復元しました。」

「でも、どうやって復元を?

俺達だって出来なかったのに……」

 

そう言う九条 貴利矢に無名は説明する。

 

「皆さんはゲーム病と戦っているが故に人間のデータをゲームと同じく消去されれば跡形も無く消えると思うかもしれませんが実際はそうじゃない。

 

小姫さんは過去にドラゴナイトハンターZのバクズターウイルスのゲームデータに感染し肉体は消滅した。

しかし、その小姫さんのデータは仮面ライダークロニクルに保存されていた。 

 

ここで、一つの仮説を立てました。

人間がバグスターに変わるのはデータが入れ替わると言うよりもその人間のデータをコピーしてその複製体を使ってバグスターに変わっている。

そして、大元である人間のデータを消す事は出来ない。

何故ならバグスターにとってそのデータは自らを構成するデータと同義。

 

そのデータを消すということはゲームデータを消す。

つまり、ガシャットそのものを消失させる事になる。

もし、完全に消すのであればコピーした人間とバグスター両方のデータを消すしかない。」

 

「つまり、人間を消すにはゲームデータとバグスター両方を消す必要がある。

この場合は"ドラゴナイトハンターZと仮面ライダークロニクル"か。」

「えぇ、ですから仮面ライダークロニクルから小姫さんのデータを檀正宗が消そうとしても不可能なんです。

仮面ライダークロニクルを消そうとでもしない限り、彼に出来るのは表面上、データを消去して小姫さんのデータを別の場所に移動させる事だけです。

ならば、その移動先が分かればそのデータを別のガシャットに移植できる。

貴方達が檀 正宗と戦っている最中に隠れてガシャットを起動し小姫さんのデータを回収してガシャット内でデータを復元しました。

今の彼女はタドルプリンセスのバグスターで………」

 

そこまで説明して無名は気付いた。

一番この説明を聞くべき大事な人間である鏡 飛彩が百瀬 小姫と抱き合ったまま動かなくなっていたからだ。

 

「あの……飛彩医師、出来ればここから先は貴方にも関係する話ですので……その……そろそろ離してあげては?」

「!!?……失礼しました。」

 

落ち着いた二人は顔を真っ赤にしながら離れるのを他の医師やポッピーはニヤニヤしながら見ているが無名はそれを無視して話を進める

 

「僕の作ったこのガシャットには脱出ゲームにちなんだ能力が付与されています。

それは、他のゲームデータと並行して起動させるとそのデータを解析して内部データを開示させられる事です。」

 

永夢やポッピー達はその説明を受けて首を傾げているが貴利矢はその話を聞いて驚く。

 

「おいおい……それが本当なら消滅した人間を復活させる事が出来るかもしれないって事か?」

「はい、消滅した人間のデータが入ったガシャットとこのタドルプリンセスのゲームの両方を起動してプレイキャラクターを出口……消滅した人間のデータが入った区域に到達させられれば自動的にルートが改築されます。」

 

「しかも、そのルートは檀黎斗が作ったゲームデータと違うから仮面ライダークロニクルのマスターガシャットでも妨害出来ない。」

「何も対策されなければと言う言葉がつきますが……ですがそれをするにはタドルプリンセスのゲームキャラクターになっている小姫さんに協力して貰う必要があります。」

 

「それは……小姫を危険な目に遭わせる事になるのか?」

冷静になった飛彩が無名に尋ねる。

「はい。」

 

それを聞いた飛彩は悲痛な表情になる。

折角、助かった最愛の女性を危険な目に遭わせる事になると分かっていたからだ。

そして、それは他の医師にとっても同じだった。

 

それを聞いた小姫が無名に尋ねる。

「私が、そのゲームをすれば消滅した人を救えるんですか?」

「小姫!」

 

「飛彩、私にも皆を救う手伝いが出来るのならやってみたい。

昔は貴方の夢を応援する事しか出来なかったけど

今、貴方の手助けが出来るなら……」

「小姫……」

 

その言葉を聞いた無名は優しく微笑む。

「貴方は復活したばかりだ。

それに僕は"貴方一人だけに無茶をさせる事はしませんよ"。

でも、その前に確認させてください。

飛彩医師……貴方は今度こそ小姫さんを守ると誓えますか?」

「どういう意味だ?」

 

「言葉通りです。

貴方は仮面ライダーとなり力を手に入れた。

その力で……最愛の人を今度こそ命がけで守り通すと誓えますか?」

無名の言葉を聞いた飛彩は間髪入れずに答える。

 

「愚問だな。

もう誰にも傷付けさせない。

檀 正宗にも……指一本触れさせない。」

覚悟の籠もった目を見た無名は持ってきたバックから、

青色のガシャコンバグヴァイザーを取り出した。

 

「これは小姫さん専用のガシャコンバグヴァイザーです。

貴方が生きている事を知れば檀 正宗は、

先ず間違いなく貴方を消そうとするでしょう。

これはそれを防ぐ為の保険です。」

「保険?」

 

「タドルプリンセスには戦闘能力はありません。

脱出ゲームをモチーフにしているのもありますが色々なデータを付け加える為に容量を確保する必要があったので戦闘に関するデータを犠牲にしました。

ライフゲージも仮面ライダークロニクルのライドプレイヤーよりも低いです。

ですが、その代わりに3つの能力をそのゲームに搭載しました。

 

1つ目が"回避"(エスケープ)

任意のタイミングで発動すれば最大で10mの距離を瞬間移動できます。

そしてその間、貴方に対するダメージは全て無効化される。

最大で連続三回使用出来ますがそれ以上使うにはクールタイムが必要です。

 

2つ目は"押込み"(プッシュ)

ゲームエリアに展開されたアイテムや障害物に触れると任意の指向性を持たせて押し出せます。

押し出された物にはダメージ判定はありませんが触れた者は吹き飛ばされます。

 

3つ目が"招集"(コール)

貴方が選んだプレイヤーを自分のゲームエリアに呼び出せます。

 

「つまり、それって……」

「はい、ピンチになったら飛彩さんを呼び出せる訳です。

これで貴女は檀 正宗や他のバグスターに襲われても

兎に角、逃げてください。

それが出来なければ飛彩さんや他の仮面ライダーを呼ぶ。

それが貴女の基本戦法です。」

 

「呼べる仮面ライダーに制限は無いのか?」

花屋の問いに無名が答える。

「呼び出すには予めガシャットに登録が必要です。

呼ばれるとその人の周囲にゲームエリアが展開されます。

そこで、変身すれば小姫さんの所に転移される仕組みです。

登録人数は5人までです。

一度、選ぶと変更出来ませんので慎重に……」

 

「分かった。

小姫さん、飛彩の次で良い。

俺も登録してくれ。

俺は遠距離でも戦える力がある。

……何かあった時に役立つ筈だ。」

そう言うと飛彩が言った。

「まずは身体を治すことが先決だ!!

小姫を心配してくれるのは嬉しいが、

自分の心配もしてくれ花屋先生。」

 

飛彩が強い声を出し静まり返ると小姫が皆に謝る。

「すいません飛彩は口は悪いですけど、

根はとても優しい人なんです。」

「おい、小姫。

何を勝手に……」

 

「飛彩の事だからまた強い言葉使って勘違いされてるんでしょ?

仲間なんだから誤解は解いて置かないと……」

飛彩を心配した小姫の言葉を聞き永夢は笑って答える。

「安心してください小姫さん。

僕達は飛彩先生の性格は良く分かってますから……」

 

「そうそう!!

案外、優しいってこともね。」

ポッピーも笑いながら告げる。

そして、貴利矢は飛彩を小突きながら言った。

「随分、愛されてるじゃないのぉ飛彩先生。

このこのぉ!」

 

「止めろ!……俺を……からかうな。」

平和な空気が院内を包んでいると、

何かに逃げたかったのか飛彩は改めて

タドルプリンセスのガシャットを触る。

「これは……普通のガシャットとは何か違うのか!?

その……レベルみたいなものは……」

 

「レベル設定は0です。

普通のガシャットについては余り分かりません。

ゲームのメインデータは僕が担当しましたが他は小星さんに頼んだので……」

 

無名がそこまで言うとタドルプリンセスのガシャットが、

もう一度、押される。

普通ならステージセレクトの音が流れるが今回は違った。

 

「コスチュームセレクト!!」

 

「「「「は?」」」」

 

その瞬間、小姫の着ていた服が変化し"空色のビキニ"へと変わった。

 

「きゃぁぁぁぁぁあ!!!」

「小姫っ!?……無名、貴様ぁぁぁ!!」

 

恥ずかしくてしゃがみ込む小姫を横に

飛彩は無名の胸ぐらを掴み上げる。

「しっ……知りません知りません!?

こんなデータ僕は作ってません!!」

 

動揺していたのはこの3人だけでは無かった。

「ちょっと大我何見ようとしてんのっ!!」

いや、見ようとしてね……グハッ!?

ニコ……テメェ……!?」ガクッ!!

 

ニコが焦りながら大我の腹を殴り、手術後なのにダメージを食らって大我は悶絶している。

 

ポペピプパニックだよぉぉぉ!!

兎に角、何か掛ける物を……永夢っ!!白衣白衣!!」

「わわわ分かりました!?

どどうぞ……うおっ!?」

 

動揺した永夢は白衣をポッピーに渡すと

地面を滑り大きく地面に転び頭を打つ。

ポッピーはその白衣を小姫に被せて

警戒するように男性を睨みつけた。

「見たらポパピプアタックだからねぇぇぇ!!」

 

それに対しては貴利矢は両目を手で塞いでいる。

「大丈夫!!俺……何も見てないから!?」

 

そうは言うが貴利矢は飛彩の隣にいて

小姫とも近かった事もあり実はガッツリと

見てしまっていたのだがそんな事を言えば

折角、生き返ったのに殺される事を理解していたからか。

全身全霊を込めて己を騙していた。

 

この一瞬で全てがカオスな空間になった。

飛彩は事態を打開しようと思考する。

(落ち着け……ガシャットとならば

もう一度押せばまともな服が出る筈だろう。

このままでは小姫はこの部屋から出られなくなる。)

 

飛彩は覚悟を決めるともう一度、ガシャットを押した。

「ネクストコスチューム!!」

 

そうすると小姫の体を覆っていた永夢の白衣が地面に落ちてコスチュームが変わる。

すると、次は赤と青のタドルファンタジーカラーをした"ランジェリー姿の小姫"が現れた。

 

「いやぁぁぁぁぁ!!」

「小姫ぃぃぃぃぃ!!」

 

後日、この仕様をタドルプリンセスに搭載した小星が沢山の頭にたん瘤を付けながら答えた。

「いや、女の子が主人公のゲームですからやっぱりセクシーな衣装もつけといた方が良いかなと思って……」

 

その影響で無名と小星がタドルプリンセスのコスチュームセレクトが起動しないようにプロテクトを掛ける為、三徹する事になるのはまた別のお話………




【原作との相違点】 

無名がタドルプリンセスガシャットを作り小姫をバグスターとして復活させる。
その後、檀 正宗に小姫を狙われたりするが覚悟ガンギメ飛彩により守られる。

最終決戦後、檀 正宗により仮面ライダークロニクルのマスターガシャットは破壊されるが小姫がポッピーやパラドと共にプロトガシャットのデータをクリアしたことで消失した人間のデータは復元されていくだろう。

そして、その全てが終わる頃、小姫は人に戻れるかもしれない。
そこから先は飛彩の腕と医療技術の発展に期待するとしよう。

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