もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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いよいよスカルエターナル編の最後です。



after story/SとEの行方(Climax)

 

ベイルは焦っていた。

折角、共に戦っていた順平の肉体を奪われただけでなく彼の近くに一歩たりとも近付けないのだ。

『どけと言っているだろう!!』

「なら、力付くで退かせてみろ。」

 

仮面ライダーエターナル、大道 克己が平然と言い放つ。

ベイルは何度も攻撃を加えるかそのどれもまともに当たらず寧ろ反撃によるダメージが蓄積していった。

それが更にベイルに焦りを与える。

 

(クソッ!早く順平の身体に戻らないと……

身体に力が失われていく。)

 

ベイルが最も力を発揮できるのは順平と共にあり尚且つ、

彼が怒りと復讐に心を満たされている状態だ。

彼の体を乗っ取れたのも怒りに飲まれベイルに力が満ち満ちと宿ったからだった。

だから、今のこの状況はベイルにとって弱体化状態であり一刻も早く順平の肉体に戻る必要があった。

 

(順平はベイルドライバーを付けたままでいる。

あの状態ならばもう一度、体に入れる……そうしないと)

 

ベイルは克己に攻撃を加えながら叫ぶ。

『良いのか!!俺が死ねば順平も死ぬ事になる!

それに順平。

今更、善人気取りをしても無駄だ。

お前は俺と共に何人もの実験体を殺してきた!!

お前は人殺しだ!』

それを聞いて起こったのは克己だった。

 

「黙れ悪魔がっ!!

怒りで心を見失わせ散々利用したお前がそれを言うか。

俺が嫌いな奴とそっくりだな。

お前を殺せばその順平が死ぬと言うなら死なない程度に地獄を見せてやる。」

 

克己の感情とエターナルメモリが引き合い彼の腕から青い炎が上がる。

その拳で殴られたベイルは吹き飛ばされた。

追撃しようとする克己を止めたのは順平だった。

 

「お前……」

「ありがとう。

でも、コイツは俺の悪魔だ。

俺が決着を付ける。」

 

その眼に映る覚悟を見た克己は横に避けた。

順平はベイルを見据えながらカブトバイスタンプを取り出す。

 

「お前の言う通りだベイル。

だったら、俺は俺も許さない!!

俺は………俺の悪を断つ!」

 

「カブト」

 

「Deal」

 

「変身!!」

 

「Bane up!」

 

破壊!(Brake)世界!(Broke)奇々怪々!(Broken)仮面ライダーベイル」

 

順平はベイルを介さず仮面ライダーベイルへと変身を完了する。

しかし、変身してすぐ彼は地面に片膝を付いてしまった。

それを見たベイルは笑う。

 

『フハハハ!!

悪魔の俺の力が無ければ、

お前はただの重い鎧を着ている人間と代わりはない。』

そう言って近付こうとするベイルにスカルマグナムの弾丸が突き刺さる。

「男の覚悟に水を指す気は無いが、お節介ぐらいは焼かせて貰う。」

『貴様ぁぁぁ……グアッ!?』

 

援護で撃ち続ける荘吉の代わりに克己が順平に腕を貸し立たせる。

「しっかりしろ。

お前がケリを付けるんだろう?」

「あぁ……行くぞベイル!!」

 

順平の拳がベイルに当たる。

しかし、ベイルにとってダメージが少ないのか直ぐに反撃された。

ダメージを受けて順平は苦悶の声を出すがそれでも反撃を続ける。

『無駄だ順平!!俺には勝てない!!』

「勝つ……勝ってみせる!!

俺の全てを賭けてでも!!」

 

何度も反撃を食らい苦悶の声を上げながらも順平が拳を振るっているとどんどん戦況が変わっていく。

余裕を持って耐えていた順平の拳にベイルが耐えられなくなり後退りを始めダメージで吹き飛ばされる。

 

『グハッ!?……何故だ?

何故、俺が押されている?』

「これで終わりだ……ベイル。」

 

 

「Charge」 

 

覚悟を決めて順平がドライバーを二度押し込む。

 

「ベイリングノヴァ!!」

 

「『うぉぉぉぉ!!』」

 

ベイルと順平の拳はクロスカウンターとなり振るわれる。

ベイルの拳は順平の顔をスレスレで回避し順平の拳はベイルの腹部に深々と突き刺さった。

 

『グフッ!!………グァァァァ!!』

 

ベイルが吹き飛び爆発すると順平は変身解除されその場に倒れる。

ベイルも致命傷を受けたので身体が粒子となって消滅し始めていた。

 

ベイルの言う通り、順平の心臓はベイルの力で動いていた。

故に彼が死ぬ事は順平の死と直結する。

「元太っ!!」

幸実が彼の元に向かおうとする瞬間、その背後に向かって粒子状となったベイルが吸収された。

 

そこにいたのはデモンズドライバーを持った狩崎だった。

「やはり、今の弱ったベイルならばこのドライバーで封印出来る。

そうすれば順平君の命も救える。」

『貴様ぁぁぁ!!順平の元へ戻せぇぇぇ!!』

 

ベイルは残ったエネルギーを解放しドライバーを破壊しようと爆発を起こす。

その爆発に巻き込まれ狩崎の身体は炎に包まれる。

それを見た芦原と堂本が叫んだ。

 

「狩崎、ドライバーから手を離せ!!」

「お前が焼け死ぬぞ!」

 

「ダ……メだ!!

ここでベイルを……封印する!」

ベイルの巻き起こした炎により腕と顔の一部が焼けながらも彼はドライバーから手を離すことはしない。

「これが……私の……償いなんだ!」

 

「なら、生きて罪を数えろ。」

「!?」

 

狩崎の身体が吹き飛ばされデモンズドライバーから手を離してしまう。

そのドライバーを手に持ったのは荘吉だった。

今度は荘吉の身体を炎が包むが彼は平然とドライバーを掴み続ける。

仮面ライダースカルに変身している間、

荘吉の身体は一種の仮死状態となる為、ベイルの起こす爆発や炎にも耐えられていた。

 

『骸骨の仮面ライダー……お前は何なんだぁ!!』

ベイルからの怒りの声に荘吉は答える。

「俺は………街の涙を拭う仮面ライダーだ。

さぁ、今度は貴様が……」

 

 

 

 

「自分の罪を数えろ。」

 

 

荘吉がドライバーを殴り付け正面の液晶がひび割れるとベイルは完全に沈黙した。

その余波により崩壊し始めた研究所から全員逃げ出す。

こうして、悲劇の物語は一つの幕を閉じた。

 

 

 

「これがお父さんとママさんの出会いの話だ。」

 

大人になり三人の子を持つ父となった白波 順平……基、五十嵐 元太は自分達の家でもある"しあわせ湯"で子供達に自分の過去を話した。

 

ベイルが復活し元太の身体を乗っ取りもう一度、仮面ライダーベイルとして暴れそうになった瞬間、現れた1人の仮面ライダーにより助けられた元太は同じく仮面ライダーである、五十嵐 一輝、五十嵐 大二、五十嵐 さくら、そして妻である五十嵐 幸実を交えて自分の過去について説明した。

 

そして、それを聞いていたのは彼等だけではなく彼等と共に暮らす悪魔も一緒だった。

 

「まさか、パパさんとママさんにそんな過去があったなんてバイス超ーービックリぃ!!」

「ラブラブぅ!!」

 

「そっか、あのベイルって悪魔は父さんの悪魔だったんだ。」

一輝の言葉を元太は肯定する。

「あぁ、お前達には本当に迷惑をかけた……ごめん!!」

「私も謝るわ。

ベイルとの事はあの研究所の一件で解決したと思ってた。

でも、まさか復活してたなんて……」

 

元太と幸実の謝罪に三女であるさくらが答える。

「2人のせいじゃないじゃん。

悪いのはNOAHって組織とベイルだよ。」

「2人のことは分かった。

でも、その後はどうやって安全を確保したんだ?

僕がフェニックスに入隊した時も何も言われなかったのに……」

 

次男である大二の問いに答えたのは彼の後ろにはしあわせ湯の常連であり家族を陰ながら見守っていた伊良部だった。

「NOAHから脱出した後、元太には顔を変えて貰って戸籍やら色々な情報を書き換えたんだ。

助けを頼んだ仮面ライダーの2人の仲間にそう言うのが得意な奴がいたらしくてその人達に依頼した。」

 

「フェニックスの情報網すら騙せるなんて……」

驚く大二に答えたのは元太を助けた仮面ライダーだった。

あの2人(無名とフィリップ)が本気で情報を隠したのならどんな組織が相手でも暴くのは不可能だ。

仮に疑われたらこの建物もお前達も安全じゃなかっただろう?」

「"大道 克己"さんでしたよね?

父さんと母さんを助けてくれて本当にありがとうございました。」

 

一輝が頭を下げると後ろにいたバイスも同じ様に頭を下げる。

その光景を見た克己は笑った。

「気にするな。

俺は俺の仕事をしただけだ。

それに、こんな面白く人懐っこい悪魔達に会えたんだ。

俺も昔は悪魔だなんだと言わていたから感慨深かった。」

 

それを聞いたバイスが驚愕する。

「えぇ!?ダンディなオジサンも悪魔だったのかよ!」

「コラ、バイス失礼だろ!!」

 

「いやだって一輝。

どう見ても普通の人間だよあの人」

その言葉を聞いた克己が答える。

「バイスと言ったな?

お前は間違ってない今の俺はガイアメモリを使える"普通の人間"だ。

悪魔と呼ばれたのも一度、死んでゾンビ兵士として蘇っていた時の話だからな。」

 

「ゾゾゾンビ兵士ぃ!?

何だよそれスッゲぇ面白そうな話ぃ。

ちょっと聞かせて聞かせて……」

「バイス、話の邪魔するな!

すいませんちょっと離れます。」

 

「あっ一輝待って待って!!

後少しだけぇぇぇぇ!」

一輝はバイスを連れて外に出たその姿を見て優しく笑う元太と幸実を見て克己は言う。

「幸せそうな家族だな。

助けたかいがある。」

「あぁ、君達のお陰だ。

そう言えば他の人達はどうしてる?

君しかいないみたいだけど……」

 

その問いに克己が答える。 

「傭兵を辞めてそれぞれの人生を歩んでるよ。

まぁ、それでも今回みたいな事が起こればまたNEVERとして一緒に働いて貰っているがな。

他の奴らは今、"別件"で動いて貰ってる。

そろそろ"アッチの親子"も再会させないと悪いからな。

それとボスである荘吉だが……

奴は今、ここよりも大変な地獄にいる。」

 

それを聞いた元太が心配そうに尋ねる。

「何かあったのか?」

「あぁ、"孫の育児"でてんてこ舞いらしい。

結婚した娘と夫が忙しいらしくてな。

暫く、孫を預かってるらしいんだが相当、ヤンチャらしくて苦労してるみたいだ。

この間なんて"財団Xと戦っている方がマシだ"と愚痴を言ってたからな。

まぁ、俺も奴もロートルだ。

そろそろ普通の人生ってのも味わっておかないとな。」

 

「そうか……良かった。」

「そういう事で援軍は俺達、NEVERだけだ。

まぁ、ハッキングとか情報が必要なら頼りになる奴を知ってるからそこも任せて貰って良い。」

 

「すまないまた助けて貰う。」

「あぁ、だが分かってるとは思うが黒幕である"ギフ"や"ベイル"を倒すのは……」

 

「あぁ、それは俺達……いや、今の仮面ライダーである私達の仕事だ。

克己さん達には巻き込まれる市民達の保護と救助を頼みたい。」

「良いだろう。

そこは安心してくれていい。

おい、伊良部。

どうせお前達のことだ"あの男"(狩埼 真澄)も巻き込んで何かしらやっているんだろう?

その組織と会わせろ今後の計画を立てる。」

 

そう言うと伊良部と克己は外に出た。

「あぁ、分かった。

改めて、また君達と戦えて嬉しいよ。」

「そうか、それにしてもお前も随分と変わったな。

そんなに腹も出てなかっただろう?」

克己の言葉に伊良部が答える。

 

「彼らを守る為に私も見た目を変えたからな。

この腹に関して……

ちょっとその後の人生の怠惰もあるだろうが」

「まぁいいさ。

いざとなれば堂本や芦原に頼んで

ブートキャンプでも開けば良い。

アイツ達のシゴキはキツイらしくてな。

一週間もあれば身体も出来上がるだろう。」

 

それを聞いた伊良部の表情は歪む。

「そ……それは勘弁願いたいか……な。」

そんな話をしていると克己のスマホに着信が入る。

 

「どうした京水?」

『克己ちゃん。

言われた通り、狩埼 真澄の息子である

"狩崎 ジョージ"を攫ってきたわよ。』

 

「そうか。

正直、今のフェニックスと言う組織は信用ならない。

フィリップや無名の分析からも敵組織と内通している者がいるのは明らかだ。」

『えぇ……それにあのベイルっていう悪魔を封印していた

デモンズドライバーがどういう訳か使われてたしね。

荘吉さんの話では破壊して動かなくなった後、

厳重にフェニックスが保管していたのに修理されて悪魔と対抗するドライバーとして使われてたんだから………』

 

「デモンズドライバーで変身していた奴の事は分かったか?」

『そっちにはレイカに行って貰ったわ。

生きてるみたいだけど……真澄さんの話ではデモンドライバーに生命力を吸収されて奪われていたみたいで肉体年齢は80歳にまで落ちているみたい。』

 

「それで生き残ったのは奇跡だな。

それでそいつの居所は?」

『それが記憶喪失らしくて……今は昔の実家にいるみたい。

どうする?彼もこちらに連れてくる?』

 

「いや、戦うかどうするかは自分で決めるべきだ。

危険がないならそのままほおっておいてやろう。

この一件は警察でも問題視されている。

直に照井達のチームが動くだろうさ。

俺達はそれまでの舞台を整えてやるだけにしておこう。」

『分かったわ克己ちゃん。

そう言えば克己ちゃん、実はもう一つ問題があって……』

 

「何だ京水?」

その問いに答える様に聞こえていたのは

遠くで聞こえる言い争いだった。

 

「生きてるなら生きてるって

どうして言ってくれなかったんだダディ!!」

「すまないジョージ……私には私のやることが」

 

「そんな事を聞きたい訳じゃない!!」

 

 

そこから始まる互いの言い争いを聞いた克己は溜息をつく。

『こういう事よ……

マスクを取って再開したら即、大喧嘩。

どうしたら良い克己ちゃん?』

「はぁ、伊良部とそこに行く。

二人をそこに止めておいてくれ。」

 

 

それだけ言って電話を切ると克己は伊良部と共にウィークエンドの基地へと向かうのだった。





【原作との変化】

『五十嵐 元太と五十嵐 幸実』
助けられた後、無名とフィリップの情報操作により隠蔽され辿れなくなった為、原作よりも平和な生活を送った。
その後、三兄妹が産まれてからは原作通りに進むが元太がベイルに誘拐された事で幸実が彼等に連絡し克己とリバイス達が原作よりも早く元太を救出した。


「NEVERメンバー」
平穏な時は普通の生活をしているが克己が招集をかければ何時でも集まり共に戦う。
メンバー全員ハイドープになっている為、老化が遅くなっており見た目はまだ若々しい。

『レイカと京水』
風都でバーを経営しており翔太郎達も通っている。
時には探偵の手伝いをしており京水は報酬として翔太郎にキスやハグを要求する為、彼がここを頼る時は苦渋の表情となる。

『芦原』
水音町で家族と共に幸せに暮らしている。
過去の記録を無名がイジったのでもう犯罪者でも死者でもない。
現在は警察組織のアドバイザーとして戦技指導を行なっている。

『堂本』
何の因果か天ノ川学園で体育教師となる。
無骨ながら優しく強いその性格から生徒に人気であり、先生になった如月 弦太朗とも仲良くやっている。

『大道克己と大道ミーナ』
原作と違い夫婦になり子供も産まれている。
鳴海 荘吉の探偵業に手を貸しながらトラブルを解決することで生計を立てている。
最近、大きくなった娘をどの学校にいれるかで悩んでいる。

『大道マリア』
寿命により亡くなったが孫と息子夫婦に囲まれた幸せな人生を送った。


『鳴海 荘吉』
風都を離れて探偵業を続けており、仮面ライダーとして色々な事件に秘密裏に介入している。
現在は娘夫婦が多忙(リバイスTHEミステリーやガールズリミックス)の為、子供の世話を荘吉が行っているので風都に戻っている。
わんぱくな子供に振り回され苦労しており時折、翔太郎に助けを貰っている。(荘吉は不服な気持ちだったが翔太郎は嬉しそうに手伝っていた。)
子どもを守る為なら仮面ライダーにも変身するかもしれないがそれ以外でドライバーを使う事はしないだろう。
風都にはもう街を守る仮面ライダーがいるのだから……


『狩崎 真澄』
原作と違い荘吉が爆発と炎のダメージを肩代わりしたことで傷は残ったが致命傷は避けられた。
それでも、罪を償う為にマスクを付けてギフやデッドマンに対抗する組織であるウィークエンドを設立した。
NEVERの面々により息子であるジョージと再開出来たが勝手に家を出て行った事が引き金となり大喧嘩してしまう。
原作ほど鬱屈とした感情は持っていないだろうが2人が心を通わせるには時間が必要だろう。

外伝 続編の投稿に関して

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