園咲邸へ着いた無名とリーゼは大広間に通された。
そこには冴子と琉兵衛、そしてミックがいる。
そして、軽い挨拶もほどほどに無名は報告を始めた。
「ギジメモリを使いドーパントを強化する"アクセサリーシステム"の試験稼働は順調です。」
アクセサリーシステム....ギジメモリをまるでアクセサリーの様に使いドーパントを強化する様からそう名付けた。
「これも全て冴子様との共同実験のお陰です。」
バイラスとジーンメモリを使った実験。
あれは現存するガイアメモリの中でもっとも融和率の高かった組み合わせであったがお互いに出力が高く、結局その巨大な力に使用者の肉体は耐えられなかった。
ドライバーを使っても同じ結果になると考えた無名はギジメモリに目を付ける。
仮面ライダーWの世界でメモリガジェットを起動するために使われたメモリで地球の記憶を持たず、ガイアメモリのデータをベースに作られた人工メモリだ。
故に音声もガイアウィスパーではなく機械による音声となっている。
ガイアメモリと比べるとどうしても出力が弱くなってしまうがこのシステムを使う分にはむしろ好都合だ。
融和による毒素の増大をギジメモリと専用の"腕部ドライバー"により軽減させることで無事に強化実験が成功した。
「成る程、それで実際の成果はどうだったのかね?」
琉兵衛の問いに無名は答える。
「メモリの出力が上がりコブラメモリに遠距離攻撃の特性がつきました。
メモリユーザーの体調にも然したる変化や不調はありません。」
「実験は成功というわけか。
それで現段階のデメリットは?」
「先ず、使用するガイアメモリと適合するギジメモリの選定に時間がかかることと、そのメモリとユーザーの相性によっては弱体化する危険性があることですね。」
コブラとライフルギジメモリが融和したのは一重に黒岩との適合率が両方高くなっていたからだ。
「つまり、メモリ使用者の中でギジメモリを使用する選別を更に行う必要があると?」
「はい、来人様がいれば選別も早く出来たのでしょうが....」
そう、こう言った情報は星の本棚で検索すると簡単に分かるが、もう彼はミュージアムにはいない。
その事を言うと冴子が僕を睨んでくる。
自分の汚点を掘り返されたと思ったからだろう。
「ですので来人様が戻るまでの代案としてこちらをお持ちしました。」
そう言って無名は二人に資料を渡す。
「これは?」
「人工知能による学習システムです。
これを使って擬似的な星の本棚を作り、
ギジメモリの選定やガイアメモリの複製....
最終的には新たなガイアメモリの開発を行おうと思っています。」
その資料を二人が見る。
そこには島1つを丸々使い整えた設備に、特殊な人工知能とガイアメモリを使い大量のデータを収拾、
擬似的な星の本棚を作り上げる計画がかかれていた。
「随分と壮大な計画だが....場所は決めているのかね?」
「はい、現在研究所として使っているあの島を使おうと思っています。」
ドクタープロスペクトが所有していた研究所は広大な土地があり、また地下施設を作れば色々なものが準備できることは調査した際に分かっていた。
「でも、肝心の人工知能はどうするの?
それだけ大量のデータを管理して選別する物なんて貴方に作れるのかしら?」
冴子の問いに無名は首を横に振る。
「残念ですが私の知識では不可能です。
ですので、外部から専門の研究者を雇い入れたいと思っています。」
「彼等の内、一人でも協力してくれるならこの計画を実現するのも夢ではありません。」
「実に興味深い提案だ。
それでその相手とは...」
ここで会話が打ち切られる。
何故ならば外が屋敷の中が騒がしくなっていることに三人とも気付いたからだ。
そしてその原因にも......
「申し訳ありません琉兵衛様。」
「構わんよ...しかし、仲良くできないものかねあの二人は」
「"ミック"も無視すれば良いのに構うから付け上がるのよ。」
そう言うと三人は会話を終わらせて騒音の元へ向かうのだった。
Another side
無名と共に園咲邸に着き大広間に到着したリーゼは目の前にいる猫、"ミック"から耳障りな思念波を受ける。
『慇懃無礼な"小猿"がここに何のようだ。』
『礼儀すらはらえないお前よりマシだ"ダメ猫"。』
ミックから受けた思念波を同じ波長で返し会話をする。
ガイアメモリに適合した動物が行える会話の一種である。
因みに人間には聞こえない。
無線のようにお互いの周波数を会わせる必要があるからだ。
逆に周波数さえ合えば饒舌な会話を行うことが出来る。
以下のやり取りは全てその思念波で行われているものである。
『我が主人が呼んだのは無名であってお前ではない。
廊下に控えていろ。』
『ふん!そんな事を貴様に決められる筋合いはない。
私は無名の意見に従う。』
『.....貴様ッ!』
ミックの顔が不機嫌に歪む。
ミックはリーゼの事を嫌っている。
リーゼもミックを嫌っていた。
具体的な理由はない...ただ根本的に性格が合わないのだ。
その為顔を会わせる度、喧嘩をしている。
『貴様が琉兵衛の部下の飼い猿じゃなかったらこの場で処刑してやるものを....』
『ミュージアムの二大処刑人だったか....
人間でも無い猫に与えるには過分な立場だな。』
『黙れ...我は園咲家の家族だ。
貴様とは立場が違うのだ。』
『そうだろうな....
だから"お腹回りの肉"がまた増えたのか?』
ミックは触れて欲しくない悩みをリーゼに突かれた。
最近、料理人が変わって作る餌が前より美味しくなった結果、食べ過ぎてしまっていたのだ。
そして、その事を家族である若菜に言われて少し気にしていた。
因みに若菜には「ちょっとポッチャリした?ミック。」と言われただけだが本人的にはかなりショックだった。
『よく回る口だな。
貴様は一度、日光の三匹の猿が彫ってあるオブジェでも見て大人としての振る舞いを学んできたらどうだ?』
恐らく、"見ざる聞かざる言わざる"の事を言っているのだろうがその言い方が逆にリーゼの神経を逆撫でした。
『私は日本猿じゃない外来種だ。
そんな事を分からないとはお腹の脂肪が頭にもついてしまったのではないか?』
ブチッ!...もし人間ならこう言う言葉を使うだろう。
何故なら今のでミックは完全に怒ってしまったのだから
『もういい...場所を変えるぞ。
貴様に目上への礼儀を叩き込んでやる。』
『出来ないことをほざくな"デブ猫"。』
そう言うと二匹は部屋を後にする。
尚、この時、琉兵衛と冴子は無名からの報告を聞いていて完全にミックの事を忘れていた。
ミックとリーゼは屋敷を進むとミック専用の室内運動場がある部屋へと入っていった。
ここはミックが入れるように扉の下に小さな入り口が作られていた。
二人ともそこを通り中に入るとお互いにドライバーを付ける。
ミックは首輪型でリーゼは腰に付けるベルト型だ。
そして、リーゼは地面に置いたメモリを手でミックは鼻で押した。
「
「Devil」
そして、お互い勢い良くメモリを投げると端子側を背中のドライバーでキャッチしてドーパントへと変身した。
変身が完了するとミックが高速で近付きリーゼを爪で切り付ける。
しかし、その動きにリーゼは反応し逆に蹴りを浴びせようとするがその蹴りに両足を乗せて飛び上がると回転し地面に着地した。
『ほぅ、お腹に脂肪がついてる割には言い動きだな"ダメ猫"。』
『貴様の攻撃など止まって見えるわ"クソ猿"。』
互いに罵りあうとリーゼは頭部の角から雷を生成するとそのまま、ミックへ攻撃する。
ミックはこれを反射神経と高速移動で回避するが、部屋の家具が雷によりボロボロになる。
ミックもお返しとばかりに目から光弾を発射するがリーゼは肉体に雷を纏うとこれを回避する。
そして、高級な絨毯に穴が空いた。
互いの攻撃が高級な屋敷の家具や部屋の装飾を破壊していくが本人達はお構い無しで攻撃を続ける。
あのいけすかない面に一撃当てたい....それしか考えていなかった。
しかし、この戦いも終わりを告げる。
「いい加減にしなさいミック。」
「リーゼ....止めろ。」
飼い主である琉兵衛と無名がやってきたからだ。
二人とも部屋の状態を見てかなり怒っていた。
後ろから現れた冴子が頭を抱えている。
「こんなに部屋を壊して...一体何をしているんだミック。」
「リーゼ、お前もお前でこんなことをして何を考えている。」
そうして、この惨状を見た琉兵衛は1つの決断をする。
「ミック...暫くの間おやつは抜きだ反省するように」
『そっ...そんな!ご主人様、全てはこのクソ猿が悪いのです。』
『はっ!ざまぁないなデブ猫がっ!』
「リーゼ、お前もだ。
タブレットの買い換えは暫く無しだ。
お前も良く反省するんだな。」
『うっ!.....無名、誤解なんだ!全てこのクソ猫が悪いんだ。』
お互いに焦っているのだろう聞こえる筈のない自分達の周波数で思念波を送りながら口で弁明しようとしているがお互い喋れないのでこうなっている。
「ゴアッ!ゴアゴア!」
「ギィーッ!ギャッギャゥ!」
しかし、そんな弁明など通じるわけもなく琉兵衛から二人に命令が下る。
「私達が戻ってくるまでに壊したものを片付けておくように....もし逃げたりしたら分かっているね?」
恐怖の帝王による恫喝を喰らい二人が黙ったのを了承と受け取った三人は部屋を後にした。
『オイ!クソ猿。』
『何だ?クソ猫。』
『我はお前が嫌いだ。』
『奇遇だな私もだ。』
『だが、これ以上の喧嘩はお互いの利益にならない。
そうだろう?』
『腹立たしいがその通りだ。』
『それじゃ、始めよう。』
そうミックの思念波を受けとると二人はトボトボと部屋の片付けを始めるのだった。
そんな二匹を他所に部屋を出た琉兵衛は思い出したように無名に尋ねる。
「そう言えば、スカウトしたい研究者とは誰なのだ?」
その問いに無名は答えた。
「"クリム・スタインベルト"博士と
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