私はその力にメモリに心を奪われた。
あの恐怖の力....欲しい!
そして、今目の前にいる悪魔にも同じ感情を抱いている。
園咲 琉兵衛とは違う力の形....これがあれば、
恐怖の帝王にも勝てる...そう思えるのですよ。
先制は井坂が生み出した雷による攻撃だった。
僕はそれを自分の上空に黒炎を出すことで無効化する。
「黒炎に触れた瞬間に雷が消えた!.......
実に興味深いメモリですね。
一体どんな能力を持っているのですか?」
「攻撃してきた相手に話すと思いますか?」
「ははは!道理ですねっ!」
雷では埒があかないと思った井坂は腰に付いている武器"ウェザーマイン"を手に取ると無名に攻撃する。
無名は黒炎で防御しようとするが黒炎の隙間を縫うように放たれる攻撃にダメージを受ける。
しかし、直ぐ様、黒炎を刀に変化させると攻撃を弾いた。
「ほう!武器を作ることも出来るのですか。
良いですねぇ。もっと私にそのメモリの力を見せてください!」
井坂の表情が狂喜に狂ったものとなる。
彼にとって敵の強さなど関係ない。
大事なのはメモリの強さと能力なのだ。
そして、それを手に入れるためならどんな労力も惜しまない。
(とはいえ、このままでは状況は停滞してしまいますね。)
そう考えると井坂の周りに水、風、火、雷のエネルギーが集まる。
「それを僕に放っても黒炎で消すだけですよ。」
また、同じ結果になると無名は言うが標的は無名ではなかった。
「えぇ、貴方に当てるのならそうでしょうが....
彼女にはどうですかねっ!」
そう言うと井坂は四つのエネルギーをシュラウドに向けて放った。
(マズイ!)
無名は急いでシュラウドの前に立つと攻撃の盾になる。
ワードメモリとの契約は園咲家の家族への危害と攻撃を禁ずる物、もしこの攻撃がその危害に該当するなら契約違反となってしまう。
生成していた武器を解除し黒炎でゲートを作るとシュラウドを中に放り込んだ。
次の瞬間、無名に井坂の作り出した四つの天候で作られたエネルギーが襲う。
大量の水の圧力によるダメージ。
都市を麻痺させる程の強烈な竜巻。
太陽の熱を集約させたような光球弾。
威力を極限まで上げて色が変化した雷の攻撃。
その全てが無名の身体に命中した。
ろくな防御も出来ずに正面から攻撃を受けた無名は大量のダメージにより地面に崩れ落ちる。
身体からは煙を放っておりそのダメージが与えた損傷を物語っていた。
(勝った。)
井坂はそう確信した。
メモリは排出されていないが今のダメージを諸に受けて立っていられる筈はない。
これはウェザーだけの力ではない。
これまで井坂がその"身体に蓄えてきたメモリの力"も使っている。
反動で井坂の身体にも損耗が見られるが動けない程じゃない。
(先ずは彼の身体からメモリを取り出す方法を考えないといけませんねぇ。
恐らく、あのドライバーはメモリの毒素を排除する物でしょう。
なんと"つまらない道具"を使っているのか....
毒素の無いメモリなどスパイスの効いてない料理と同じだと言うのに)
メモリの毒素を取り入れることがドーパントの力を強くさせる近道だと井坂は思っており、メモリの"直挿し"を彼は推奨していた。
井坂はデーモンメモリも直挿しするつもりで、無名の身体からどうメモリを摘出するか考えていると、異質な雰囲気を倒れている無名から感じた。
一体なんなのだ?.....そして井坂は気づく。
何故、無名は"人間の姿"に戻っていないのか?
あれだけのダメージを受けたのならメモリが排出されてもおかしく無い筈なのに....
すると、無名はゆっくりと立ち上がり自分の身体と周りを見た...そして笑い出した。
『あはははははははは!』
そうして井坂を見て言うのだ。
『"久し振りの外出"だ...楽しませてくれよ?人間。』その声と存在は無名からかけ離れた者だった。
Another side
黒炎の中に落とされたシュラウドは井坂と無名から少し離れた場所に転移していた。
無名は地面に倒れ、井坂は疲労がありながらも立っていた。
シュラウドは自分が助けられたのだと理解すると、
シュラウドマグナムにメモリを起動し装填する。
「
そして、無名を助けるために井坂の元へ向かうのだった。
これは善意の感情ではなく井坂より無名の方が琉兵衛を倒す目的に使えると判断したからだ。
井坂はメモリの力に呑まれて人間としてのたがが外れている。
それに比べればまだ無名の方が理性的だと考えたからだ。
しかし、その考えも間違いだったと気づく。
シュラウドが到着するとそこには黒炎により燃やされ苦しみながら死んでいく井坂とそれをじっと見つめる無名がいたからだ。
そして無名に話し掛けようとするがここでシュラウドが気づく。
この男は無名ではない。
「貴方は一体誰?」
そう言いながらデーモンドーパントに銃を向けるシュラウド。
姿は無名だ....だが何かが違う。
別の何かが無名に入っている..そう感じたのだった。
そいつは私を見ると答えた。
『そんな事を知ったところで意味は無い園咲文音、その情報は君の知る必要が無い事だ。』
その声を聞いたシュラウドはまるで琉兵衛の対峙しているかのような錯覚を味わう。
自分の知らない未知と会話しているそんな状況だった。
そして、夜が静かに更けていった。
外伝 続編の投稿に関して
-
このまま続きで見たい
-
新規投稿で見やすくしたい