第一話 Dの始まり/無くした記憶
目を覚ますとそこは見慣れないコンクリートで
囲まれた空間だった。
倒れている自分の身体を起こし異常がないか確認する。
先ず服が違った。よく手術で患者の着る様な服を着ており、それ以外の物は何もなかった。
辺りを確認するように見ていると空から声が聞こえた。
「目覚めたかね?」
その声のする方に顔を向けるとコンクリートの一部分に窓ガラスがはめ込まれている事に気付いた。
そして、そこに立っている人物に僕は心当りがあった。
ワインレッドの高級な服に身を包みサングラスをかけている初老の男性......
仮面ライダーWと言う作品で、
メインヴィランとして君臨した男である。
そんな男が僕に向かって話しかけてくる。
「今から君に"メモリ"を渡す。
好きなものを使ってみたまえ。」
すると、地面から謎の怪人..."ドーパント"が
アタッシュケースを持って現れた。
驚く僕に興味が無いらしく、気にする素振りも無く
アタッシュケースを開き僕に見せた。
中には三本のメモリが入っていた。
骨がメモリを包み込んでいる様なその形は、
普通のUSBメモリとは程遠い見た目をしている。
それも当然だ。
これは"ガイアメモリ"。
地球の記憶を内包したデバイスで
これを身体に刺すことでメモリに入っている
記憶が人間をドーパントと言う怪人に変えるのだ。
それが目の前にあることにも驚いたが
それよりも僕が驚いたのは...
("ゴールドメモリ"...何でこれを?)
ガイアメモリには内包する記憶の強さによりランクが分かれており金色に塗装されたメモリは最上位に位置する能力を誇っていた。
故に原作でもゴールドメモリを所持できたのは、
園咲家の一族と財団Xの人物だけであった。
しかし、僕の目の前にあるメモリは三本とも確かに
金色でゴールドメモリだと言うことが分かる。
そして、僕はメモリを細かく見ていく。
三本ともメモリに記載されているイニシャルが別だから違う記憶を宿しているのだろう。
「L」「G」「D」....3つのメモリに記載されている
イニシャルを見てもどんなメモリなのか僕には分からなかった。
何故なら、原作でも登場しないメモリだったからだ。
(何で知らないメモリがあるんだ?
そもそも僕は何故、メモリのことを知っているんだ?)
僕は目を覚ましてからこれ迄に到るまでの記憶が無い。
ただ、知っているのは"仮面ライダーWの物語"とそれに付随する"ガイアメモリに関する知識"だけであった。
自分が誰なのか分からないのにその知識だけはくっきりと残っている事に恐怖を抱きつつも
僕は目の前のメモリに釘付けになっていた。
正に"魅入られている"。
そんな感情が起こる中で僕は1つのメモリを手に取った。
明確な理由はない....
ただ、このメモリを自分が求めていると感じたのだ。
そしてメモリ自分の前に向けると"起動"した。
Another side
園咲 琉兵衛が自らの野望の為に作り出した
組織"ミュージアム"...風都と言う街でガイアメモリを売り捌く。
その組織のトップである園咲 琉兵衛はとある実験の為
ミュージアムの運営する実験施設へと足を運んだ。
研究員が琉兵衛を中に通すと一つの部屋へと案内する。
そこでベッドに横たわる青年を見つけると
研究員に話しかける。
「彼で、何人目かね?」
「はっ....はい
現在の被験者を合わせると"13人目"になります。」
琉兵衛の問いに怯えながらも研究員は答えた。
「ふむ.....やはりそうそう上手くは行かないか。」
ガイアメモリを開発する上でネックとなるのが、
それを使用する"人間との相性"である。
ガイアメモリを使用しドーパントになると毒素が身体に回り限界を超えると暴走....
もっと悪いと使用者が死を迎えることとなる。
その毒素もメモリのランクが上がる事に高くなる。
故にゴールドメモリを使う者は一般の生体フィルターではなく専用のドライバーを使うのだ。
誤算があったとすればそれは"文音"の存在だろう。
琉兵衛の妻であり子供達の母でもある。
そして、ガイアメモリの開発と研究を任せていた。
毒素を取り除くフィルターとドライバーを
作ったのも彼女だ。
だが、今はもうここにはいない。
私の計画に異議を唱え反抗した為だ。
その際、メモリとドライバーの研究データを持って
逃亡されてしまった。
おかげで二つの開発に
かなりの遅れが出てしまっている。
だからこそ、私は一つの決断をした。
自分の"家族以外"にゴールドメモリを渡し
駒として使うことに.....
勿論、危険も伴うだろうがこのままでは研究も進まず、
ガイアメモリの流通にも問題が生じるのは
目に見えていた。
そこで私はゴールドメモリに適合する可能性の高い人間を集めてこうして秘密裏に実験をしている訳だ。
問題は適合するものが少ない点だろう。
"ゴールドメモリをドライバーを介さず"に使える人間は少ない。
13人もの失敗を重ねているのが良い例だ。
(今回は上手く行ってくれると良いのだが.....)
そんな考えをしていると
眠っていた被験者が目を覚ました。
そんな考えなど悟られないように
私は穏やかな声で話しかける。
不定期更新ですがご了承下さい
by 作者
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