風都に拠点を構えるIT業界の一流企業。
社長である園咲 冴子の手腕により今なお業績を拡大している。
そんな企業から仕事のオファーを受けた2人の科学者、"クリム・スタインベルト"と"蛮野 天十郎"はディガルコーポレーションの応接間に通されていた。
そこに二人の人物が現れる。
一人は社長である園咲 冴子...もう一人は無名と名乗る青年であった。
目を覚ました僕はベットから起きると昨日の事を思い出そうとした。
身体は汗びっしょりで悪い夢を見た後の様な感覚だった。
何かとても恐ろしい事があった気がするのだが、
思い出せない...まるで自分が操られたかの様な錯覚をするが、携帯に入っていたメールにはシュラウドから無名との研究協力の受諾と隠れ家への地図が添付されていたので、その結果を重要視した。
因みに無名は携帯を複数使い分けており、この携帯はミュージアムも追跡できない無名お手製のデバイスだ。
(これでメモリの純化技術は手に入った。
知っておいて損は無い情報だ....それにシュラウドが計画を進めればWも成長しエクストリームの力も手に入る。
僕にとっては都合が良い。)
僕は自分達だけ強くなることは望んではいない。
ヒーローである彼等も平等に強化されるべきだと考えていた。
そんな事をしていると携帯にメールが入る宛名は冴子からで内容は『例の科学者達との話し合いの場が整った』と言う事だった。
クリム・スタインベルトと蛮野天十郎...彼等は仮面ライダーWの世界に直接関わる事のない人物だ。
彼等は仮面ライダードライブに登場するキャラクターなのだから。
クリムはドライブの変身の要となるベルトであり、蛮野はそんなドライブ達の前に立ちはだかる最大最悪の敵なのだ。
では、何故そんな彼等がWの世界にいるのか?
それはWの世界とドライブの世界が地続きになっている事がドライブのVシネで語られたからだ。
照井警視と泊巡査、そして剛との絡みはまた見たくなるほど面白かった。
(特に福井警視の下りと照井の親バカ感がたまらない。)
話がそれたがこの世界でも繋がっているのか調べたらクリムと蛮野はこの世界に実在しまだ理論段階ではあるがコアドライブシステムとロイミュードの研究もちゃんと行っていた。
そんな彼等の技術をドライブ開始まで置いておくのは勿体ないし実際に彼等と会いたい感情から僕の計画に組み込む事に決めたのだ。
だが、問題もある。
それは二人の性格だ。
クリムは独特の正義感に人間味溢れた情を持ち、
蛮野は幼稚な精神性と天才的な技術、傲慢な野望を隠し持っていた。
故にクリムにミュージアムの事を知られると相性が悪くまた、蛮野は放置すると何を仕掛けるか分からない危険性をはらんでいた。
これは"騙しあい"だ。
恐らく、蛮野も仕掛けてくるだろう。
互いを利用し裏切る算段を持ちながらの交渉。
難しくはあるが嫌ではない。
中々に楽しめる....そう彼は思い予定の時間に間に合わせるためシャワーを浴びて準備をするのであった。
Another side
ディガルコーポレーションに呼ばれた蛮野とクリムは各々、違う感情を抱いていた。
クリムは自分の研究が認められ社会の役に立つかもしれない期待感。
蛮野はこれから話す人物が自分の野望のために利用できるか出来ないのかの品定めをする感覚だ。
「我々の研究がこんな一流企業の目に止まるとは思いもしなかったよ蛮野」
そんなクリムの問いに蛮野は答える。
「そうだな俺達の研究を彼等がどう使うのか楽しみだよ。」
蛮野は張り付けた笑顔でクリムに伝える。
クリムはその事に気付かずにいた。
元々、他者の感情を見抜くのが苦手な男だ。
研究一筋で妻もいない......
"利用する"にはもってこいの人物だ。
蛮野がそう評価していると応接間に高級スーツを来たキャリアウーマンの様な女性と同じくスーツを来た青年が入ってくる。
「お待たせしました。
私は園咲冴子...このディガルコーポレーションの代表取締役をしている者です。
横にいるのはアドバイザーである...」
「無名と申します。」
「無名?随分と珍しい名前ですね。」
クリムの問いに無名は笑顔で答える。
「良く言われますが、僕はこの名前を気に入っているんです。
それに皆さん僕の名前は忘れないので、取引の場では重宝しているんですよ。」
その無名の笑顔を見た蛮野は確信する。
(コイツも私と同じだ。
笑顔に本心が見えない...何かを隠しているな。)
クリムはバカ正直にとらえているが私には分かる。
コイツは他者と自分を使えるか使えないかで判断出来る人物だと
そして挨拶も程々に無名が私達を呼び出した理由を語った。
「孤島に新たなエネルギー産業を起こす...ですか。」
クリムの問いに無名は答える。
「はい、クリムさんが開発している新しいエネルギーシステムを使いそれを紛争地域や貧困に苦しむ者達へ安価で渡すためのエネルギー施設を建設するのが目的です。」
「その為にクリムさんにはエネルギーを蛮野さんにはそれを制御するシステム面の開発をお願いしたいのです。」
「私の研究を見ていると言うことはその制御システムに使うのは...」
「はい、人工知能を採用しようと思っています。
リアルタイムで状況を分析し判断する...それが出来れば不測の事態にも対応できると思いまして」
「勿論、お二人の研究はまだ草案の状態ですので我がディガルコーポレーションが研究資金や施設、他全てのバックアップを行いましょう。
そして、研究が完成したらそれを孤島にある施設に組み込みます。」
そうして、無名はその際に保証される事柄を資料として二人に見せる。
あまりにも破格な対応にクリムは純粋に感動しているがここまで無名が話すと蛮野がこちらに話し掛ける。
「貴方の言い分と計画は分かりました。
だが、もしそれだけなのだとしたら私は"この仕事を断ろう"と思います。」
「なっ!蛮野。何を言っている?」
クリムの問いに蛮野が答える。
「貴方達が欲しているのは我々の研究成果だ。
それを悪事に利用される危険性が無いとも言えない。
貴方達では無く別の誰かに利用される可能性だってあります。」
その言葉にクリムはハッとした。
確かにその通りだ私の研究であるコア・ドライビアは起動する際、重力波に
蛮野の研究もだ。自己成長型アンドロイドの開発を目的としているが、それも悪事に利用しようとすればいくらでも方法が浮かんだ。
「お二人の懸念は尤もです。
では、どうすればお二人に納得していただけるでしょうか?」
無名の問いに蛮野が答える。
「研究が完成しシステムが出来た後、それを孤島に付ける作業にも関わらせてくれ。
自分達が責任を持って対応する。」
蛮野の意見にクリムは感動した。
少し人間味が薄い印象だったが、心にはちゃんとした正義感を持っていたのだと分かったからだ。
(君のような親友を持てて私は幸せだよ。)
クリムはそう考えたが蛮野の目的は全く違った。
そんな事を知るよしもないクリムと無名であったが蛮野の提案を聞いた無名は二人に話し始める。
「分かりました。
では契約を行っていただけますか?」
無名の契約と言う言葉に蛮野は反応する。
「契約?書面をここで作るのか?」
「いいえ、口頭での約束で構いません。
私は貴方達を信頼していますので」
そうして無名は口頭で守って欲しい事を話していく。
"会社の不利益"になることをしない。
"私達の知らないシステム"を組み込まない。
"お互いが契約"を履行している間は"仕事を放棄"しない。
「それで破ったらどうなるんだ?」
「そうですね...命を戴きましょうか。」
その言い方にクリムは驚くが蛮野は冷静だった。
「我々を殺すのか?」
「いえ、命と言っても色んな捉え方が出来ます。
本当の命以外にも科学者ならば成果や名声なんかも言う場合がありますしね。
でも、私は本当に命をかけて貰いたいと思う程、このプロジェクトに賭けているんですよ。」
そこで、蛮野は返答した。
「良いだろう自分の研究のためならば命ぐらいくれてやるさ。」
「蛮野!本当にいいのか?」
「構わないさ...お互いに裏切らなければ済む話だ。
そうだろう無名さん。」
「えぇ、その通りです。
クリムさんには"記憶"を賭けて貰いましょうか。
計画の重要性からも蛮野さんよりも申し訳ないですがクリムさんの方が低いので....」
「良いじゃないかクリム....記憶を賭けても
俺を信じてくれ。」
蛮野の後押しもありクリムは了承した。
すると、無名は笑う。
「これで安心しました。
二人のことはもう信用します。
では、研究に進展があったら連絡してください。
また、必要なものも言ってくださいね。」
そう言うと無名と蛮野、クリムの対話は終わるのだった。
そんな内容だ。
話し合いが終わった蛮野とクリムの二人は風都を後にしていた。
クリムは先程の会話に不安を覚えるが、蛮野の心配ないと言う言葉を信じそれぞれの自宅へと戻った。
蛮野は自宅に戻ると堪えていた笑いが漏れだした。
「....ふっふっふっふっ..あっはっはっはっは!」
本当にバカは扱いやすくて助かるよクリムもあの無名と言う男も...そして俺達の会話をアホ面で聞いていたあの女社長もだ!
"口約束"に何の意味がある?"書面で残さず"信用する?
馬鹿すぎて笑うのを堪えるのが大変だったぞ!
まぁ良いこれで私の欲しい物は手に入った。
潤沢な資金に研究する施設、そしてクリムの作る"コア・ドライビア"。
共同研究になるのだからクリムも喜んでそのデータを渡してくれる筈だ。
これで、私の考えていた自立成長型アンドロイドの完成形"ロイミュード"を作ることが出来る。
行く行くはその孤島のシステムも戴いてしまおう。
プログラムを少し弄っておけば、いくらでも抜け道を作ることが出来る。
やはり、バカとは罪だな。
私の思惑に気付かずに信用と言う意味の無い精神の状態にすがる.....全くもって愚かだ。
やはり、愚かな人類を管理するには天才の私が相応しい。
"全ての人類を神である自分が管理する世界"
その野望に手が届くきっかけを得たことに蛮野は興奮を隠しきれないのであった。
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