もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第三十八話 KとBとの出会い/天才の弱点

無事、話し合いが終わりクリムと蛮野がその場を後にすると冴子が話し始めた。

「本当に貴方の言う通りになったわね無名。」

「えぇ、彼等が"天才"で助かりましたよ。」

 

その表現に冴子が反論する。

「天才?こんな簡単に操られる様な彼等が有能だとでも言うの?」

冴子が見た限りクリムは本当に正義感と人類の発展を願うだけのただの科学者だ。

しかし、蛮野あの男は違う。

自分は上手く隠せていると思っているようだが、

ミュージアムであらゆる策謀と暗躍を行ってきた冴子から見ると何かしらの野望を抱きその為に我々を利用しようとするのが見え見えだった。

 

「天才は一から十の事柄を知ります。

故に膨大な知識とそれを利用する術を持つことが出来るのです。」

そう、現にクリムと蛮野はドライブだけでなく仮面ライダーの科学者から見ても天才の部類に入るだろう。

ドライブの敵と味方のシステム、アイテム、ストーリーに関わる全てのファクターをこの二人が作り上げていたのだから、だからこそ、彼等は僕の使った策が読めないと確信していた。

 

「けど、逆に言えば"一を知れなければ何にも分からない"人種なんですよ彼等は」

人間は知らないことに不信感や恐怖を抱く生き物だ。

だが、天才は違う。

何故なら、"全て知っている"と思い込んでいるからだ。

この世界の限られた事象をほんの少し操る術を身に付けただけで自分が全能者になった錯覚をし出す.....

蛮野が良い例だ。

天才の自分こそが世界と人類を管理するのに相応しいと本気で思っている。

傲慢だが強ち間違った考えではない。

知識とは力であり人類発展の象徴だ。

 

そしてその結晶が科学と言う分野なのだから.....

だからこそ彼等はミスをしたのだ。

自分達の知る科学以外の存在。

 

「彼等はガイアメモリを"知らなすぎる"んですよ。」

恐らく、風都の噂すらろくに調べてこなかったのだろう。

だからこそ、この未知の技術とその危険性に気付けなかった。

「それじゃあ"師上院"さんからの成果を聞きましょうか。」

すると部屋の壁や家具の隙間から文字が現れると一ヶ所に集まり人型の姿へと変わって行く。

そうして、ワードドーパントを形作ると冴子に報告する。

「冴子様、クリム・スタインベルト、蛮野 天十郎との契約が完了しました。」

そう言うと空中に文字が浮かび契約書が姿を現す。

 

師上院は身体を文字に分解して応接間にずっといたのだ。

「ワードドーパントの効果範囲内にいれば契約の締結が出来る....流石ね師上院。」

「光栄です。」

そうやって頭を下げる師上院に無名が話し掛ける。

「では、師上院さん貴方の新しい力で"契約書の編集"をお願いできますか?」

「貴様に言われなくても分かっている。」

 

そう言うと目の前にある契約書の一文に師上院は触れた。

「契約対象である"会社"を類似点のある"組織"及び"ミュージアム"に変更。

そして"不利益"を"離反"に変更。

そして"互いの契約"を"組織間の契約に変更"これで研究者側の契約は不履行になる。そして"仕事の放棄"を"組織への裏切り"に変更、これで編集を行う。」

 

師上院がそう書き換えると契約書の内容も変わる。

これがワードメモリの新しい能力だ。

契約にしようした単語を類似する意味の言葉に変えることが出来る。

謂わば連想ゲームなのだが、言葉を上手く組み合わせることが出来れば相手の対価を無効化しつつ自分の要求を飲ます契約も作れる。

この能力の恐ろしいところは契約が締結してからも契約内容を編集することが出来る点だ。

 

そして、それは相手に知らせる必要もない。

知識無きものは何も手に入れられない。そんな事を現すメモリに相応しい能力だ。

「これで、あの男達はミュージアムを裏切れないわね。

それにしても何でクリムだけ記憶を代償にしたの?

蛮野と同じく命にすれば良かったのに...」

 

「二人の高名な研究者が死んだら怪しむ人物が出てくる筈です。

だからこそ、クリムには記憶だけ無くして生きてて貰った方が都合が良いんです。」

無名はそう言うが他にも理由があった。

それはスカルと対峙した際に実感した過去を変えた影響による余波である。

所謂、バタフライエフェクト。

Wのメンバーだけでも体一杯なのにここにドライブまで混ざりだしたら面倒なことになるのは目に見えている。

 

一番最悪なパターンがWとドライブが共闘しミュージアムを潰す事態だ。

そんな事をされたらこっちは対処する時間もなくやられてしまうだろう。

だからこそ、クリムを殺すのは組織ではなくロイミュードである必要がある。

そして、ロイミュードを作るには、蛮野にもっと勝手に物を作り始めて貰う事が必要だがそこは心配ないだろう。

 

取り引きの時に見た侮蔑の顔、あれを見ただけで蛮野が僕の知る仮面ライダードライブの蛮野だと分かったのだから.....

後は時間が物語を進めてくれる。

そう考えて無名は冴子に挨拶し部屋を出ていこうとすると、その冴子に呼び止められる。

「待ちなさい無名。貴方、明日の予定はお父様から聞いているわよね?」

「明日...ですか? 申し訳ありません、存じてません。」

 

「(....やっぱりお父様は私に)私ね"結婚"するのよ。」

「それは....おめでとうございます。」

「ありがとう。

それでその披露宴が明日あるの....幹部である貴方は強制参加よ。」

 

(遂に来たか.....)

無名は原作が進み始めたことを理解しあえて冴子に尋ねた。

「それで、お相手はどなたなんです?」

「最近、風都でのメモリ販売で優秀な実績を残している男よ、名前は」

 

 

"須藤 霧彦"(すどう きりひこ)....いえこれからは"園咲 霧彦"(そのざき きりひこ)かしら。」

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