もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第四十二話 止まらないA/進む展開

無名は鳴海探偵事務所から出ると路地裏にシュラウドがいた。

「何をしているの?」

「貴女が鳴海探偵事務所に来いと言ったのでは?」

 

「だからって中に入るかしら?

貴方は彼等の敵なのよ。」

「その敵のアジトに僕を呼びつけた理由をお聞きしても?」

これ以上は不毛な会話だと思ったのかシュラウドが話を切り替える。

 

「前に話した協力について手伝って欲しいことがあるのよ。」

そう言うと地面を蹴りながら動く小型機械が現れた。

無名の近くにくるとメモリが排出されてノートパソコンへと変形した。

「面白い道具ですね。」

「新開発のメモリガジェット"ラビットソフト"よ。

中に詳しいデータが入っているわ。」

無名は中のデータを確認する。

そこには見知ったライダーが写っていた。

「"アクセルドライバー"ですか。」

 

「そう、私の協力者である男が使うドライバーよ。

この開発に協力して欲しいの。」

「随分と急ですね。

何か理由が?」

「貴方達、幹部のせいよ。

ここ風都以外でも活動の手を広めたせいでメモリに関する研究やデータが多くミュージアムに流れてしまった。

本当ならもっと時間をかけてドライバーを作って渡したかったけど、そんな余裕が無くなってきてしまったのよ。」

 

(これもある種のバタフライエフェクトか)

そう無名は思うとシュラウドに言った。

「分かりました。

開発に協力しますよ。

では、僕のお願いもしておきましょう。」

そう言うと懐に入れっぱなしにしていた普通のUSBメモリを渡す。

「ここに、あるメモリのデータとその保管場所が書いてあります。

貴女にはそれを復元して欲しいんです。」

「分かったわ。そちらは協力しましょう。」

 

「良かった....それじゃ先程の問いについて答えて貰っても?」

何故、鳴海探偵事務所に向かうのか?

 

「ここには私の研究データの一つである"メモリ浄化"に関する方法が記されたデータバンクを隠してあるのよ。

それを受け取りに来た。」

「随分と用心深いんですね。

自分の手元にではなくあそこに置いておくなんて...」

 

「荘吉は優秀な男だったから安心して任せられたのよ。」

「けど、どうやって取りに行くんですか?

探偵事務所のメンバーは依頼のため外に出ると言ってましたけど、中には彼がいるんですよね?」

「そこは安心して、今なら安全に中に入れるわ。」

そう言うとシュラウド専用のスタッグフォンを取り出して画面を見せる。

 

そこには何者かからの襲撃の相手をする仮面ライダーWの姿が映っていた。

 

 

 

Another side

 

事務所に急な来客があったが今はそれよりも頼まれていた仕事が優先だ。

バイクをぶっ飛ばしたお陰で遅刻することはなかったが依頼人からは小言を言われてしまった。

 

「全く、貴方達にはプロとしての自覚がないのかしら?」

 

今回の依頼人である女性、市会議員である楠原みやびとその娘の楠原あすかは自分達の護衛を頼んできた。

誰かからの脅迫を受けたらしい。

 

楠原みやびはまだ小言を言い足りないようだが、

講演会の時間が迫っているので中断すると娘と一緒に壇上へと向かっていった。

家族を使って政策をアピールする姿は見ていて気分の良いものではなかったが、亜樹子からも仕事だから割りきれと言われた。

 

楠原は警察にも相談したようで、講演会の場所にはマッキーもいた。

俺がマッキーと睨み合いの喧嘩をしていると突如、講演会の場所が銃撃された。

俺は亜樹子と共に楠原親子を守る。

だが、銃撃が収まる気配が無い....仕方ないので亜樹子にメモリを構える動作をして変身の意思を伝えるが全く伝わらない。

 

(あー、もうクソ!)

俺は指でWのマークを作るとようやく理解した。

俺は変身できる場所を探しダブルドライバーを腰につける。

そして、懐からメモリを取り起動する。

 

 

JOKER」(ジョーカー)

 

「「変身」」

二人の掛け声と共にフィリップのメモリが転送されてくる。

俺はそれをドライバーに押し込み自分のメモリも押し込むとドライバーを開く。

 

CYCLONE(サイクロン) JOKER」

 

その音声と共に身体が変化し俺達は仮面ライダーWサイクロンジョーカーへと変身した。

変身が終わり彼等の元に戻る時、撃ち込まれた弾丸をキャッチした。

 

フィリップは狙撃位置が断定できない点からドーパントによる攻撃だと推察する。

少しの攻防の後Wが狙撃場所に向かうがそこには誰もいなかった。

 

 

「全く余計なことばかりしやがるなあの親子は...」

メモリを抜き人間の姿に戻った鷹村源蔵(たかむら げんぞう)はそう毒づく。

彼は"風都第二タワー"の建設予定地の地主であり、ミュージアムのメンバーとして地下でガイアメモリの製造の責任者をしていた。

 

楠原の父親を殺した張本人でそのお陰でタワーの建設は延期になっていたのだが、奥さんが議員になったことで状況が変わった。

 

面倒だがやはり報告しないといけないだろう。

俺は上司である冴子様に連絡を取るのだった。

 

 

連絡を受けた冴子は部下の無能さに苛立ちながらも解決策を模索していた。

「仕方がないわね。

鷹村....残りの"親子"も殺しなさい。

私達の組織にとってそいつらは邪魔よ。」

そうして電話を切ると聞いていた霧彦が話し始める。

「我が奥さんながら随分と冷酷な命令だね。」

「全く、無能な人間が多すぎて嫌になるわ。」

「なら、私が彼等に釘を刺してこようか?」

「......いえ、良いわ。

貴方は傷の回復に努めて。まだ無名との戦いのダメージが残っているでしょう?」

 

この言葉に霧彦は顔を歪める。

お父様には認められたが戦いは圧勝と言うわけではなく正に薄氷の勝利であった。

数日はたったがまだ、身体の傷は完全に癒えてはいなかった。

しかし、冴子はそれを情けないと評することは出来ない。

何故なら相手はあの無名だ。

過去にスカルと協力者の使う車に追いかけられながらも生き延びた男。

私もスカルとは相討ちが精一杯だった。そんな無名にギリギリでも勝てたのだ、合格点は出しても良いだろう。

 

(霧彦さんがもっと強くなりたいのなら無名に調整させるのも悪くないかもね。)

そんな事を考えているとふと思い付いた。

 

(あの無能が今度はどんなトラブルを起こすか分からないわ。

保険は掛けておくべきね。)

そう言うと電話を取り連絡を取った。

 

 

数コール後、電話が繋がる。

「はい、無名です。」

彼にトラブルの保険を頼むことに冴子は決めた。

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