もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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シュラウドと無名は鳴海探偵事務所に隠されているラボへと侵入した。
ここにはフィリップがいるのだが、今彼はWに変身しており精神は別のところに行っている。
だから、入られても気付かないのだ。

正確にはある程度は繋がりがあるのだがその対策も万全だった。
スパイダーショックにメモリを挿し込むとマキシマムが起動する。
GHOST MAXIMUMDRIVE」(ゴースト マキシマムドライブ)
幽霊の記憶を持つメモリの力により我々の存在が知覚出来なくなった。
スパイダーショックの付近ならば恐らく話しても問題ないのだろう。
シュラウドがコンクリートの壁に指を指す。
「ここよ...ここにデータを入れたケースがある。」

「成る程、それでどうやって取り出します。」
「私なら取り出せるわ下がってて....」
そう言うとシュラウドの腕がコンクリートの壁をすり抜けると中からアタッシュケースが1つ出てきた。
「貴女もメモリを使っているんですね。」
その問いにシュラウドは答えず出口へ向かう。

「もうここでの用事は済んだ。
来人にバレる前に帰りましょう。」
無名はその言葉に従い部屋を出ていくのであった。

そして、アタッシュケースを無名が受け取ると中身を確認した。
複数の端子が付いている大きな装置だった。
「確かに....ドライバーの開発はどうしますか?」
「出来れば直ぐに取り掛かりたいけど貴方との繋がりがバレるのは避けたいわ。」

「では、ここに開発に必要な装置とデータを持ってきてください。」
その画面には風都の端にある建物の住所が書かれていた。
「これは?」
「とある狙撃手から教わった安全なセーフハウスです。
ミュージアムもこの存在は知りません。」

「不安でしたら1週間後にここに集まることにしましょう。
それまでの間にミュージアムの面々が来たらここは使いません....如何ですか?」
無名の提案にシュラウドは少し考えると了承した。

「分かったわ。
それでは一週間後に.....」

こうしてシュラウドは路地裏に蜃気楼のように消えていくのだった。


第四十三話 泳ぐS/謎の敵

シュラウドとの話し合いが終わると組織の携帯に連絡が来た。

「もしもし、無名です。」

「冴子よ。

実は折り入って頼みがあるの」

 

冴子の話を聞くと、部下が起こした不始末の尻拭いを保険として準備しておいて欲しいらしい。

 

詳しく聞くと、どうやら本編に関わる話だと思い出した。

(確か、アノマロカリスメモリでしたっけ。

面白い能力ではありますがWを相手にするには力不足過ぎますね。)

 

本編ではWにやられてしまい、地下のガイアメモリ工場の露見を恐れた冴子により施設が爆破される結末だった。

 

冴子の言い分を聞く限りここの工場は残したいようだが、今のままでは難しいだろう。

本編ではこの一件により風都第二タワーの建設が見送られる筈だが、そんな結末に辿り着く保証はない。

 

ここでやるべき事は二つ。

1つは倒される鷹村が警察に捕らえられる前に回収すること

そして、もう1つは工場を爆破せずに残せる策を考えることだ。

 

そこで、僕は二つの提案を冴子にした。

一つ目は鷹村を回収するため暫くWの相手をしてもらう人材を用意すること。

もう1つは地下の工場を残しながらそれを隠せる人物についてだった。

 

後者の人物に関しては冴子が顔を会わせたことがあったようで、冴子が交渉すると言った。なので僕は前者のWの相手をしてくれる人材へと連絡を取ることにした。

 

電話を切った僕は直ぐにその人物とコンタクトを取れる...いや部下にしている女性に連絡した。

直ぐに電話が繋がる。

 

「どうしたの無名くん?私に何か用?」

「"サラ"さん、実は冴子様の仕事の関係で貴女に手を貸して欲しいのです。

千鶴(ちずる)さんは何処にいますか?」

「彼女なら風都でショーをやっているけど....

誰かの相手をさせるの?」

 

「えぇ、風都に現れた仮面ライダーと言えば分かりますか?」

園咲家でも警戒している、風都に突然現れてドーパントを倒している存在を、風都の市民が仮面ライダーと呼び本人達もそう名乗っていた。

「彼女、有能だからあまり無茶をさせたくないんだけど?」

「あくまで時間稼ぎをお願いしたいだけです。

冴子さんの部下がやられた際に回収しないといけないので」

僕が原作に介入したことで変わったことに生体フィルターの改良があるが、そのお陰でメモリブレイクされた後のダメージも減ってしまったのだ。

 

バイヤーからメモリを買っただけの人間なら問題はないが鷹村はミュージアムの人間だ。

尋問に負けて真実を喋る危険があった。

「ワードメモリで契約すればいいんだろうけど、

あれって確か相当な力を使うのよね?」

「えぇ、一度契約してから最低でも48時間のインターバルが必要で編集等の能力も使うと更に時間が延びるそうです。」

「分かったわ。

千鶴に連絡しておく....その代わり」

「えぇ、決して見殺しにはしませんよ。安心してください。」

 

そうして電話を切り、もしもの保険の仕込みが終わるのだった。

 

 

 

港がある風都のとある区画で、Wがアノマロカリスドーパントと交戦していた。

部下を失い自分だけになった鷹村は葛原一家を誘拐したまでは良かったが、すんでの所でW"ルナトリガー"に阻まれて形勢は不利な状態になってしまった。

 

鷹村は自棄になってメモリの力で巨大化しWを倒そうとするが、リボルギャリーから射出された水上用移動ユニット"ハードスプラッシャー"にWが乗り込むとトリガーメモリを抜きトリガーマグナムに装填。

必殺の態勢に移行する。

そしてエネルギーが溜まるとトリガーマグナムを変形させ二人は必殺技を叫ぶ。

 

『「トリガーフルバースト」』

黄色の光弾が一気に放出されるとアノマロカリスドーパントのメモリがある体内の一点に向かって進み着弾した。

そのダメージによりメモリブレイクされると鷹村は元の人間の姿へ戻る。

「うっ.....強い。」

目に隈はあるが、意識を失う程のダメージは負ってなかった。

 

『やはり、僕が知る頃よりもコネクターが改良されているようだね。

メモリブレイクされても意識を失わないとは....』

フィリップの言葉に翔太郎も同意する。

「あぁ、だがコイツを尋問すれば詳しいことも分かるだろ。」

 

そう言ったWの背中に鈍い痛みが走ると、海に突き落とされる。

「うがっ!なっ何だ?」

Wは振り向こうとするがそれより早く追撃が入り、水中に沈んでいく。

『恐るべき速度とダメージだ。

このまま喰らい続けるのはマズいよ、翔太郎。』

「んなこと分かってるよ!....そこか!」

翔太郎は勘を頼りに銃を放つ。

光弾が敵を追い始めるが高速で縦横無尽に動き回る敵を捉える事は出来ず、地面に着弾した。

 

『ルナの追尾弾をかわすなんて....』

「クソッ!弾速を上げるぞサイクロンだフィリップ。」

その言葉に従う様に右側に装填されていたルナメモリ抜きサイクロンメモリを入れてドライバーを展開する。

Wのソウルサイドが黄色から緑に変わる。

"サイクロントリガー"弾速と連射性が向上するフォームだ。

水中を高速で動く敵に対して数で対応しようとするが、敵は螺旋状に回りながらWの弾を回避して突撃した。

その突撃を受けてWは水上の港の地面に投げ出される。

 

「ガハッ!」

『ここは退こう翔太郎、分が悪すぎる。』

フィリップの言葉に従い、倒した鷹村を背負って逃げようとするがここで鷹村がいないことに気付く。

すると水中にいた謎の敵も気配を消した。

『恐らく、鷹村を回収するために僕達に攻撃を仕掛けたんだろうね。』

敵の思惑通りに行動してしまった翔太郎は自分への不甲斐なさから空に叫んだ。

 

「チキショー!....漸く組織の尻尾を掴んだって言うのに!」

こうして、Wは依頼人は救えたが敵は見逃すと言う痛み分けな結末を受け入れることになった。

 

 

 

無名は風都から少し離れた港で人を待っていた。

横には救出した鷹村が倒れている。

暫くすると水中から何かが飛び上がり無名の目の前に着地した。

その姿と頭部にはサメの特徴が色濃く出ていた。

無名を見ると首と腕部のドライバーからメモリを抜き出す。

「お疲れ様でした千鶴さん。

お陰でうまく行きましたよ。」

 

ダイバースーツに身を包み髪をゴムで縛りポニーテールにしている女性、青谷 千鶴(あおや ちずる)に無名はそう声をかける。

「いえ、これでサラさんの役に立てたのなら良かったです。」

「後の処理は我々が行いますので千鶴さんはあの車でお帰り下さって結構ですよ。

報酬と着替えは中にあります。」

「ありがとうございます。

では、失礼しますね無名さん。」

 

そう言うと千鶴は車へ走っていった。

「さて、冴子さんは貴方にどんな処分を降すんでしょうね?」

気を失った鷹村に無名は問い掛けると、そのままディガルコーポレーションへ鷹村を連れて向かうのだった。

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