もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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その姿は美しさと恐ろしさを兼ね備えていた。

"黒い炎"の間から現れる姿.....

正しくそれは"悪魔"と呼ぶに相応しい者だった。


第二話 Dの始まり/始まりの三人

目を覚ましてからいきなり

メモリを使うよう強要され、

しかも"適合"してしまった記憶喪失(原作知識あり)の人間である僕だが、

どうやら園咲 琉兵衛に気に入られたらしく、

今現在、園咲家の屋敷にある部屋で

身仕度を整えている。

 

僕がドーパントになった瞬間、笑いながら

テラードーパント(園咲 琉兵衛)が来た時には驚いたがそれ以降、屋敷に連れて来られてからはめちゃくちゃ厚待遇な扱いを受けていた。

 

園咲 琉兵衛の事だから何かしらの裏があることは

読めるのだが、余計な勘繰りをして

死にたくはなかったので、従順に従っていった。

 

その過程でガイアメモリについての知識を学んだ。

 

ガイアメモリとは地球の記憶を内包した装置であり、

それを普及させて人類を新たな存在へと進化させる事

それこそがミュージアムの目的であると

 

原作の知識がある僕からすれば

その裏の"真意"や"結末"が分かる為、

それを真面目に語っている

黒服の男(ミュージアムのメンバー)

少しだけ同情の目を向けた。

 

彼の持っているメモリは"マスカレイド".....

原作でも雑魚キャラとして仮面ライダーにボコボコにされていた印象の強いメモリだ。

そして、このメモリの恐ろしい所はメモリが破壊されると自爆する機能が備わっていることだ。

 

つまり、負けたら最後"死ぬ未来"しかない。

毎回思うのだがガイアメモリを買う客よりもミュージアムのメンバーの方が扱いが酷くなるのは何故なのだろう?

まぁ、確かに敵に捕まってミュージアムの情報を話される危険はあるかもしれないが、それにしても酷すぎないか?

 

一回のミスで死ぬとか

そこら辺のブラック企業顔負けの業務内容だと思う。

 

これならミュージアムのメンバー等より、ガイアメモリを買える一般人の方が数段良い。

 

 

そんな事を思いながら数ヵ月の時を過ごす中、

突如、屋敷の大広間に集まる様に

告げられた僕はスーツに

着替え、直ぐに向かうのだった。

 

 

 

大広間に着くとそこには園咲 琉兵衛と

"知らない人物が三人"いた。

 

一人は執事服を来た初老の男性。

 

もう一人は何処か目付きの悪い大柄の青年。

 

最後の一人は、ドレスに身を包んだ美少女。

 

全員集まったのか園咲 琉兵衛が、

僕達に向けて話し始めた。

 

「全員、揃った様だね。

では、改めておめでとう。

君達は我がミュージアムによって

選ばれた有望な若者達だ。

君達にはこれから我がミュージアムの為に働いて貰うことになるわけだが....今回はその為の顔合わせだ。

これから"仲間"となるのだ。

是非、交流を深めてくれたまえ。」

 

「それと紹介しよう。

彼は師上院 享次郎(しじょういん きょうじろう)

代々、園咲家の為に働いて貰っている執事であり、

私の右腕と言っても良い存在だ。」

 

そう言うと執事が僕達に向かい礼をした。

だが、それは形式的な礼であり直ぐに身体を戻す。

 

信用されてない事がありありと伝わる中、

大柄の男が僕に声をかけてきた。

 

「おい!テメェが"噂の名無し"だな?」

 

(ここに来てから名前がない為"名無し"と呼ばれることはあったが噂になるほどの事か?)

 

僕は疑問に思いながらも答える。

「噂が何なのかは知らないけどここで名前が無いのは僕だけだろうから名無しは僕で間違いないと思うよ。」

 

その返答を聞くと、

大柄の男が服に掴みかかりながら怒鳴る。

 

「舐めた態度しやがって!

少しばかり気に入られてるからって

調子に乗るんじゃねぇ!

"強さ"でなら俺が一番なんだよ!」

 

そう言いながら「L」のイニシャルが入っている

ゴールドメモリを見せてくる。

 

その間に少女が話に割って入る。

「止めなさい"獅子神"!

琉兵衛様がおっしゃっていた筈よ。

仲間になるのだから交流を深めろと....」

 

「うるせぇぞ"サラ"!

指図するんじゃねぇ!

邪魔するならテメェから消してやろうか?」

 

獅子神と呼ばれた男は、

サラと呼ぶ少女にも敵意を向ける。

 

サラは「仕方ないわね」と言うとメモリを取り出し向ける「G」のイニシャルが入ったゴールドメモリだ。

 

一触即発の空気が流れる中、

僕は園咲 琉兵衛に声をかける。

 

「琉兵衛様...お聞きしても宜しいでしょうか?」

「何かね?」

「僕達にミュージアムの為に働く様にとおっしゃいましたが、具体的に何をするのでしょうか?」

「何故、そんな事を聞くのだ?」

 

「今いるこの三人は"系統"が違いすぎます。

例えば、獅子神と呼ばれた男は

明らかに武闘派に思えます。

僕達が同じ職種の仕事につけるとは

思えないのですが?」

 

この状態を全く考慮しない名無しの質問に獅子神は怒りを露にしているが、そこに琉兵衛の笑い声が重なる。

 

「あっはっはっは君の懸念は最もだ。

安心したまえ。これまでの教育の過程で測った其々の適正に適う仕事を振り分けるつもりだ。」

 

その言葉を聞き僕は安心した。

流石に獅子神と言う男にラボをメチャクチャにされては敵わないと思ったからだ。

 

「なら、安心しました。」

そのやり取りを呆気に取られながら聞いていた獅子神だったが苛立ちの顔を僕に向ける。

 

「てめぇふざけてるのか!

俺は.....」

「"どうでもいい"。」

「あ?」

「君が僕を敵視している理由も意味も"興味"がない。

琉兵衛様に言われた通り仲間としては行動するが

それ以上を僕は求めない。

そして、君も求める必要はない....違うか?」

 

その問いに答える前に獅子神の表情が抜ける。

 

「もういい....死ね。」

そう言いメモリを起動しようとすると

 

 

「いい加減にしなさい。」

穏やかであるが冷たい声色が広間に響く。

琉兵衛が僕達に向かって言った。

「少しはしゃぎ過ぎではないかね獅子神くん?」

「もっ.....申し訳ありません。」

その声に獅子神は顔を俯け謝罪する。

 

「まぁ良い、君達はまだ子供だ。

これから学んでいきたまえ。

今日はこれで終わりだ皆、自分の部屋に戻りたまえ。」

その声に従う様に部屋を出ようとすると琉兵衛に呼び止められる。

 

「あぁ、そうだ伝え忘れていた。

何時までも名無しでは不便だろう?

この際、名前をつけようと思うのだが構わないかね?」

「はい、構いません。」

 

「そうか、では君の事は今後.....」

 

 

 

 

無名(ムメイ)と呼ぼう。」




another side

広間での集まりを終えた琉兵衛は自室でミックを撫でながら寛いでいた。

そこに師上院が現れる。
「宜しかったのですか琉兵衛様?」

獅子神が無名に突っかかったのは、
琉兵衛の策略であった。
意図的に獅子神に
無名を贔屓にしていると言う情報を流したのだ。

「獅子神くんは向上心はあるのだが自制心に欠けるね。
だからこそ、無名くんを対抗馬として宛がった方が良いと思ったのだよ。」
「"欲望や怒り"はメモリを成長させるからね。」


使用者の感情や欲望にガイアメモリは反応し引き合う。
そうすることでメモリの力を引き出し
新たなレベルへと至る。
琉兵衛はその実験をあの場所でも行っていたのだ。

(最悪、"壊れて"しまっても構わない。
全ては我ら"家族の為"にあるのだから....)

「それにしても面白いね無名くんは...」
琉兵衛の言葉に師上院が答える。
「両親共に不明....
孤児だった彼をミュージアムが引き取り
今に至るのですがその記憶は無くなっています。
詳しく検査しましたが本当に記憶を無くしている様で
ミュージアムの事や孤児院の記憶もありませんでした。」

「謎は深まるばかり...と言う所か。」
「如何しましょう?もし不都合があるのならば今の内に消しておくのも手ではありますが」
「いや、その心配は無いだろう。
君の"メモリ"の力もある。
今は様子見で構わない。」

「畏まりました。」
そう言って師上院は部屋を出ていった。

琉兵衛はパソコンを開き画面のデータを確認する。
そこには先程の三人のデータが書かれていた。
そこには使用するメモリと"適合率"
詳しい生い立ちが書かれていた。

獅子神 誠(ししがみ まこと)
〈使用メモリ〉◯◯◯〈適合率〉75%
獅子神家で育てられた養子。
その生い立ちの結果、
幼い頃から貪欲な向上心がある。」

假屋崎 サラ(かりやざき さら)
《使用メモリ》◯◯◯〈適合率〉70%
両親に借金の返済金代わりに売られ
暫し転々とした後ミュージアムに買い取られる。
コミュニケーション能力の高さはその環境が起因してると思われる。」

無名(むめい)
〈使用メモリ〉◯◯◯〈適合率〉99%
出自や経歴その一切が不明。」

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