もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第四十八話 作られたH/動き始める厄災

装置の完成を琉兵衛に報告すると次の日には琉兵衛が孤島に訪れた。

 

無名やNEVERのメンバー、そして蛮野も琉兵衛を向かえ入れた。

「ようこそいらっしゃいました。琉兵衛様。」

「うん、今日は楽しみにしているよ。」

 

そうして無名は琉兵衛を研究室まで案内するその間に蛮野が装置の詳しい説明を行った。

「こちらの装置が琉兵衛様の求められていた物でございます。

内部は私の作り上げたAIが管理しております。」

「ふむ....では無名これを」

琉兵衛から差し出された箱を受け取ると特殊な装置をデータバンクへの端子に繋げた。

 

「琉兵衛様....これは一体?」

「これはガイアメモリだ....特殊な記憶を宿している。」

そして、端子を繋げ終わると無名は箱を開けた。中には一本の金色のメモリが入っていた。

無名はメモリを起動する。

 

Factory(ファクトリー)

 

そして、そのメモリをデータバンクに繋げた端子へと接続した。

するとメモリはデータバンクに取り込まれていく。

すると、画面から警告音が鳴った。

『警告...大容量のデータが流入しています。

データがシステム内部の書き換えを行い最適化されていきます。』

「どっ!どう言うことだ?」

 

『No,002、No,003、No,009の思考パラドクスが解析されトレースされ統合されていきます。』

「このファクトリーメモリは人間以外にしか効果を発揮しない珍しい物でね。

問題はそれを稼働するための優秀なシステムが無かったことだった。

君の作り出したAIにメモリが反応し、新たな意識が産まれようとしているのだ。」

『そっ....そんなことがっ!』

 

すると、画面が暗くなりいつもと違うマークが現れ我々に話し始める。

『私の名前は"メイカー"。

貴方が私を作り出した者か?』

「そうだ。」

『貴方は私に何を望む?』

「地球の記憶....その全てだよ。」

 

『記憶.....検索結果、必要な情報が足りない。

今のままではその願いは叶わない。』

「分かっている。

だからこそ、メモリを持ってきたんだ。このデータを確認し、データを集めて地球の記憶...星の本棚を作ってくれたまえ。」

 

『了解。

では、学習のためガイアメモリの知識を私は求める。』

「良いだろう。部下に指示しよう。」

メイカーとの会話が終わると琉兵衛が蛮野の顔を見る。

「蛮野天十郎くん、素晴らしいシステムをありがとう。」

 

「もっ...勿体ないお言葉です。」

「君の求めている物は聞いているよ。

メモリの学習が終わったらメイカーに作らせると良い。」

「無名くん素晴らしい働きだった。

褒美として暫く休暇を与えよう。

好きにすると良い。」

そう言うと琉兵衛は孤島からヘリに乗って風都の街へと帰っていくのだった。

 

 

 

 

無名は最後に言われた好きにすると良いと言うセリフに引っ掛かりを覚えていた。

(......まさか!?)

僕は急いで携帯を開き霧彦か冴子に連絡をかける。

霧彦には繋がらず冴子に連絡が付く。

「あら?無名。

貴方からの連絡なんて珍しいわね。」

「霧彦さんは今どちらに?」

「彼なら今、散髪に行くとか言ってたけど」

(風都で散髪.....クソ!"遅かった")

 

園咲 霧彦は"バーバー風"と呼ばれる理髪店で

左 翔太郎と対峙する。

そして、ここから巻き込まれるメモリ犯罪が彼の運命を決めることになるのだ。

もうそこまで進んでいたのか....時間が足りない。

ファクトリーメモリを使った生産工場は稼働し始めたばかりだ。

今抜ける訳にはいかない。

 

「貴方どうしたの?珍しく焦っているけど」

「霧彦さんに渡そうと思っていた道具が完成して急いで渡したかったのですがこの孤島に来ていただくことは可能ですか?」

「.....どうかしらね?

渡した所で"使えれば"良いけど」

 

「琉兵衛様の思惑を知ってらっしゃるのですか?」

「霧彦さんの処分については聞いたわ。

念のため言っておくけど私も霧彦さんの処分には賛成しているのよ。

彼はガイアメモリの毒素がもう身体に回っている....もう手遅れよ。」

「それは初期型のドライバーだったからではありませんか?」

「流石に一度手合わせしてるから分かるのね。」

 

「再三、ドライバーの変更と身体検査を琉兵衛様にお願いしましたからね。」

「しかし、取り合わなかったそれが結果でしょ?

ならミュージアムの決定も同じよ。」

「"園咲家の者"として無名に命じます。

霧彦さんの一件が片付くまで貴方は戻ってこないで」

「しかしっ!」

「これは"ガイアインパクト"にも関わる事柄よ。」

 

(.....クソっ!)

"ガイアインパクトに関わる事には協力する"と言うワードドーパントと交わした契約を持ち出された。

これを出されるともう動けない。

 

「貴方はここで大人しくしているのよ無名。

貴方は霧彦さんと違ってまだ組織に必要なのだから..」

そう言うと連絡が切られた。

最悪だ....僕の介入が防がれた以上打てる手は限られてくる。

サラも今回の事では手を貸してはくれないだろう。

使える選択肢が頭の中からどんどん消えていっていることに無名は気付く。

 

(どうすればいい?時間がない。

バードドーパントが現れてからでは手遅れだ。)

 

 

僕は思考を途切れさせないままメイカーに会いに行く。

正確にはメイカー誕生によりお払い箱となった三つのAIにだ。

「メイカー、

ハート、ブレン、メディックと話がしたい。

こちらの端末に繋げてくれるか?」

 

『命令を了承。

貴方の端末と接続させます。』

すると、携帯に三人のAIが映し出された。

『何のご用ですか無名様。』

「君達に頼みたいことがある。

聞いてはくれないか?」

『我々は"不要になる"のではないのですか?』

ハートの言葉に無名は尋ねる。

「どう言うことだ?」

『蛮野様が言っていました。

「お前らが無能なせいでこの結果になったのだ。お前達は不要な存在なのだ」と....』

 

「確かに今後、この装置はメイカーが実権を握るだろうが、君達を排除する気はない。ハート、ブレン、メディック。そこは約束しよう。」

『約束?人間が使う他者との契約ですね。

しかし、拘束力は無い筈です。』

「普通はね....だが僕にとっては違う。

約束...いや契約は大事なものだ。

だからこそ守る....でなければ蛮野が生きているなんてあり得ないだろう?」

『どういうことですか?』

「君達は蛮野からどういう扱いを受けていた。

蛮野には相当なストレスが与えられていたのだ、恐らく君達にも不当な扱いがあった筈だ。」

 

『.....私達と同じプログラムですが、蛮野様と意見が合わなければ消されていきました。

我々は、独立思考アンドロイド用に開発された個体です。

だからこそ、消される時の感情を良く理解できた。

私は私と同じように作られた存在を友達と認識しています。

その友達を守りたい....それが私の願いです。』

 

ハート....ドライブの敵でありながら人間味があり同族を守る事を目的としている人物だ。

そのどこか人間臭い性格が他のロイミュードや泊を惹き付けたのだろう。

「分かった。君の残りの人格を蛮野の手から救い、君らを蛮野から自由に出来れば僕と契約してくれるか?」

『そんな事が可能なのか?』

「あぁ、元々蛮野は処分する予定だった。

死人は何も持っていけない....だろう?」

 

『分かった。貴方と契約を結ぼう。

私の願いは蛮野から友達を解放して貰うことで構わない。

それで、貴方の願いは何だ?』

 

「これから、私達の技術へのアクセス権を君に与える。

それを使って.....」

 

 

 

「人を"仮死状態"のまま生存させる方法を検索してくれ。」

 

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