もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第五十三話 戦うA/後始末

 

「何、どう言うことだ?」

部下からの報告を聞いた雨ヶ崎 灯夜はそう尋ねた。

「パーティをやっていた奴等が赤い仮面ライダーにボコボコにされて、全員警察に捕まっちまったんだよ。」

 

仮面ライダー....確か風都にいるドーパントを倒している奴の名前だった筈だ。

この天ノ川地区に来ていたのか?

クソッ!折角この仕事が軌道に乗ってきたって言うのに....

 

灯夜が裏の世界で目ぼしい者をスカウトし組織を統合させて作ったセブンス。

ミュージアムの構成員を手玉にとってメモリと薬を手に入れこれからって時にトラブルが起こった。

「警察は何をしてるんだ?

賄賂を渡してこっちに懐柔させた筈だろ。」

「それが、本庁から来た刑事が強行に捜査したみたいで....そんな中あのパーティが抑えられて警察としても捜査せざるを得なくなってしまったって言ってまして」

 

「ふん....使えないな。

所詮は金程度に靡くクズって訳か。」

「けど、どうします?

これでセブンスの存在が公になったら....」

「心配するな。

メモリを販売したのはあくまでもミュージアムのセールスマンだ。

俺達はそれを"仲介"しただけに過ぎない。

捕まった奴等も俺達が直接関わった"事実と証拠"は持っていない。」

 

 

「それは少し考えが"甘いな"。」

そう言うと白いスーツに赤いシャツを着た男が現れる。

「組織を動かすなら例え1%でも不安材料があるなら排除すべきだ。」

「おっ.....お前ら誰....かっ....あ」

灯夜の部下が喋ろうとしていたのを男が首を掴んで遮る。

 

「組織のトップ同士の会話に雑魚が入ってくるんじゃねーよ。」

「トップ?...貴方は一体。」

その問いに男は答える。

「俺は獅子神....ミュージアムで天ノ川地区のメモリ販売を任されている者だ。」

 

「ミュージアム....風都でガイアメモリを生産する組織がこんなところで一体何の用ですか?」

「ほぅ....やっぱり優秀だな。

風都の事も知ってるとは、情報を手に入れる力も持ってるのか。」

「それよりもそろそろ彼を離してくれませんか?」

「あぁ?別に問題ないだろ?....どうせ」

 

 

「処分しちまうんだからな。」

ゴキッ!と言う音と共に獅子神は灯夜の部下の首をへし折った。

「コイツがこの事件を知るとお前の元へ一直線に向かった。

尾行がいる可能性も考えず....そんな奴は生かしておくだけで危険だ。」

「成る程、つまり私を助けるために殺ったと....」

「まぁな、俺は優秀な人間が好きだからな。」

 

そう言うと灯夜の身体に触れ肌を見る。

「コネクターが無いな。

お前はメモリを使わないのか?」

「まだ、自分に見合うメモリが見つからないので....

保留にしています。」

「そうか....まっ、メモリとの出会いは運だからな。

まぁいいさ。」

 

そう言うと獅子神は部屋を見始めた。

そして、僕のノートパソコンを見つけると奪い取り、中のデータから収支に関する物を確認し始めた。

「貴方の目的は僕の組織ですか?」

獅子神は画面を見ながら答える。

「そうだ.....お前には組織運営の才能がある。

俺がミュージアム幹部として正式にスポンサーになればメモリを合法的に売り出せる。

俺はお前の販売ルートを手に入れ、お前はミュージアムの粛清を逃れて前よりも多くの取引が出来る。

お互いにとって得な話だろ?」

 

「確かにそうですね。

しかし、分かりません。

貴方程の力があれば無理矢理にでも従わせる事が出来る筈なのに何故このような提案を?」

すると獅子神はノートパソコンから目を外し灯夜を見る。

「お前、獅子神って名前に覚えはあるか?」

「確か天ノ川地区にある財閥に似た名前が...」

「そう、俺はそこの人間だ。

だが、"期待"されていなかった。」

 

「"養子"だったんだよ....だからこそミュージアムに送られた時は体の良い追い出し+生け贄としてだっただろうな。

だが、俺はそこで力を手に入れて獅子神家を正式に手に入れた。

当主と当主の候補者やそれに関係する者、全て皆殺しにしてな。」

「そうやって力を手に入れたんだ。

お前も俺とは立場が違うが似た匂いを感じる。」

 

獅子神のその指摘に灯夜は初めて自分の身の上を語った。

「僕は....父親の道具としてこれまで生かされてきました。

父親が政界に進出するため、仲の良い親子を演じてきたんです。

けど、僕は人間だ!アイツの道具なんかじゃない!」

 

「それを証明するためにこの組織を作ったのか?」

「そうだ!アイツの力を借りず自分の才覚だけでここまで作り上げたんだ。

そして、この組織を使ってヤツを絶望の底に叩き落とす!

それが、僕の目的だ!」

憎しみに歪んだ目で語る灯夜を見て獅子神は笑った。

「やっぱり俺達は似てる.....お互いに復讐の為に力を求めて組織を作った。

その話を聞いてもっとお前の事が気に入った。」

「約束してやるよ。

この組織をデカくした暁には、お前の父親を絶望に沈める手助けをしてやる。」

 

「だから、俺の所に来い!灯夜。」

 

「.....良いでしょう。

僕の組織を貴方に上げます。

....獅子神様。」

「獅子神で良い...お前とは様をつけずに呼び合いたい。良いか灯夜。」

「.....あぁ、分かったよ獅子神。

これからよろしく頼む。」

 

「それじゃあ、最初は何をする?」

灯夜の問いに獅子神が答えた。

「決まってるだろう?"後始末"だ。」

 

 

天ノ川地区を走る護送車の前に水島は立ち塞がると、ドライバーを付けてシルバーメモリを取り出し起動した。

 

Sheep」(シープ)

 

そして、メモリをドライバーに装填すると羊の曲がり角が生えた怪物に変貌する。

そして、護送車に向かい手を翳すと護送車がふらつき、壁に衝突した。

全ての護送車が停止したのを確認すると後ろの扉を破壊して開ける。

中には捕まった者たちがいた。

「たっ、助かったのか?」

中にいた男がそう言うのを水島が否定する。

「獅子神様は仰った....ここの後始末をしろと」

「え?」

 

そうすると水島は中にいる囚人を一人ずつ確実に殺していった。

「やっ、止めて助けて!」「くっ来るなぁ!」「しっ死にたくない!」

そんな声を無視し全員を手にかける。

そして、囚人を全て殺し終わるとその場を後にするのだった。

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