もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第五十四話 戦うA/残った証拠

照井は襲撃された護送車を見に来た。

もう既に警察が中の捜査をある程度行っており、道路には立ち入り禁止のテープが張られている。

 

照井は警備している警察官に手帳を見せて中に入る。

そして、照井を見つけた刑事が近付いてくる。

「これは照井班長、早いですね。」

「状況を」

 

「はい、護送していた囚人は全て殺されていました。

全員、首を折られて頭が逆向きになっています。」

「護送車を運転していた者達は?」

「それが.....」

「どうした?」

 

「全員"無事"です。

事故によるむち打ちはありましたが皆、命に別状はありませんでした。」

「どう言うことだ?」

「そう思って聴取したんですが皆、急に眠くなり意識を失ったと言っていました。」

「眠くなった?」

「はい、運転手が"全員一斉に眠った"んです。」

 

そう言うと刑事はまた調査に戻った。

(明らかにドーパントの仕業だ。

だが、何故囚人のみを殺したんだ?)

ガイアメモリを使うものは皆、大なり小なり毒素の影響を受けて凶暴化する。

そして、その影響で死んだ死体は酷い状態が多い。

だが、囚人の遺体は全て首を折られ頭を後ろに向けられているだけでそれ以外のダメージはない。

 

まるで確実に殺す事だけを行ったような印象だ。

今までのドーパントとは違う。

照井はそう確信した。

だからこそ、これ以上の証拠は出ない確信があった。

これだけ冷静に相手を殺害したのだ。

証拠隠滅も考えて動いた筈だ。

やっと、掴んだ組織の尻尾を逃した照井は悔しさで拳を握り締めて現場を後にするのだった。

 

 

そして、捜査は続くが見事に膠着状態となった。

これまでは積極的に行っていたパーティや取引の噂があの事件以降なりを潜め、それどころかメモリや薬の噂すら無くなってしまったのだ。

(何だ、この手際の良さは?

前までと組織の動かし方が変わったのか?)

照井はドライバーを手に入れる前もエンジンブレード片手にこの組織が運営する場所に何度か突撃したが、

その組織は直接的に関わっていないせいで名前すら出てこなかった。

 

だからこそ、俺が暴いても引き続き取引を行っていた筈だった。

だが、今回は全く違う。

これでは捜査が進むどころか止まったまま捜査が終わる危険性すらある。

(やはり、彼処にいくしかないか。)

上層部に止められて以降、俺は近付くことすら許されていない場所......獅子神邸。

照井はバイクに乗り込むと獅子神邸へ向かうのであった。

 

天ノ川地区にある大きな日本庭園を所有する屋敷、ここが獅子神財閥の誇る獅子神邸だった。

前に乗り込んで以降、警戒されたのか扉には門番が常に立っていた。

だが、ドライバーを手にした今は問題ない。

照井はドライバーを付けるとアクセルメモリを装填しスロットルを回した。

「変....身。」

その声と共に仮面ライダーアクセルへと変身が完了する。

エンジンブレードを肩に担ぐと屋敷の屋根を飛び越えて侵入を果たすのだった。

夜だったことと音を立てずに入れた事もあり、門番には気付かれていない。

 

屋敷の部屋に近付こうとして危険を感じた照井はそれを避けた。

すると、先程まで立っていた場所にナイフが突き刺さった。

「こんな夜更けに侵入者とは.....」

「しかも、仮面ライダーか....運が良い。」

屋敷の中から黒いフードを付けた男と背後には着物姿で笠を被った男が立っていた。

「お前達は一体?」

照井の問いにフードの男が答える。

「獅子神様の部下ですよ二人とも」

「それより、どうする?

コイツがいることがバレたら面倒だぞ?」

そう言う着物姿の男の言葉に同意するとフードの男はトランシーバーで門番に通信をする。

 

「全員、見張りはもう良いですので今日はこれで帰ってください。」

この言葉に照井が疑問を持つ。

「何故、門番を帰した?」

「彼等はこちらの事情を知りません。

音に反応して中に入られると殺さないといけなくなりますから」

「そう言うことだ。」

 

邪魔者を排除した。つまり、

彼等はここで照井と殺し合う気のようだった。

照井にもその意図が伝わりエンジンブレードを構える。

「上等だ....かかってこい。」

 

「ほぅ....良い覚悟ですね。」

「おい、俺に殺らせろ。」

そう言うと着物姿の男が照井の前に出る。

「勝手に決めないでくださいよ。」

「良いだろう、お前は前に殺しが出来ただろうが、俺は暫く殺しが出来ていないんだ。

このままだと腕が鈍る。」

 

フードの男はその言葉を聞くと溜め息を吐いて屋敷の壁にもたれ掛かった。

「そう言うことだ。

お前には俺の相手をして貰う。

お前....名前は?」

「仮面ライダーアクセルだ。」

「アクセル!良い名前だな。

俺はこう呼ばれてる。」

 

 

「"平成の人斬り"と....」

そう言うと着物姿の男はメモリを起動する。

 

Ripper」(リッパー)

そして、メモリを装填すると両腕が刀に変化した怪物が姿を現す。

「さぁ!殺し合いを楽しもうかぁ!」

そう言うとリッパードーパントは照井を斬り付けた。

それをエンジンブレードで受け止めるが直ぐに刀を返してエンジンブレードに添うように刀を滑らせて首を狙ってきた。

 

「ぐっ!」

照井はそれを力任せに弾く。

「ほぅ....中々やるなアクセル。

俺の"返し太刀"をそうやって防ぐか。」

「お前は剣術をやっているのか?」

照井の問いにリッパードーパントは答える。

「その通り、俺は自分の剣の技を鍛えるためにこの力を使っている。」

「成る程、ガイアメモリを使うような人間は皆、何かしら異常ではあるが、お前はその中でもダントツでおかしいな。」

 

「あっはっは、誉め言葉として受け取っておこうかぁ!」

リッパードーパントは照井にまた向かっていくが、照井も迎撃の態勢を整えていた。

エンジンメモリを差し込んでトリガーを引く。

「Electronic」

ブレードを帯電させるとリッパードーパントの攻撃を受ける。

リッパードーパントが電気によるダメージで動きが止まった隙に一太刀浴びせた。

リッパードーパントはその一撃で地面を転がる。

 

「ぐっ!やるじゃないかアクセル。

武器にそんな力がつくなんて....やはりこの戦いは面白い。」

そう言うとリッパードーパントはもう1つのメモリを構える。

「それは?」

「もう少し遊びたかったが、もう我慢できなさそうだ。

ここからは本気で相手をしよう。」

 

smoke(スモーク)

 

独特な機械音声が聞こえるとリッパードーパントはメモリを腕についていた装置(ドライバー)に装填する。

すると、リッパードーパントの身体が煙へと変化した。

 

「何だこれは?」

照井が警戒するが煙がこちらに近寄ると鋭い斬撃が身体を襲った。

「ぐぁっ!何っ!」

照井は反撃しようとするが煙を斬ることは出来ず、

逆に煙に纏わりつかれ絶え間ない斬撃が照井を襲った。

 

そして、照井が倒れる身体をエンジンブレードで支えていると首筋にリッパードーパントの刃が当てられた。

 

 

「これで詰みだな。」

そう言ってリッパードーパントが照井の首を落とすべく刀を振るった。

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