自分の提案を断られた井坂は無名に尋ねた。
「何故ですか?理由をお聞きしても?」
「"意味がない"からですよ。」
「意味がない?」
「ええ、ガイアメモリの毒素を取り込み強化する。
面白い実験だとは思いますが万人に通用する方法とは思えません。」
「僕達、ミュージアムの目的はガイアメモリを撒き地球の記憶を解明すること....
その為にはリスクよりも安全性をとるべきだと考えたまでです。」
「それでは頭打ちが来ますよ。
だからこそ毒素を取り込む事が....」
「井坂さん勘違いしているようですので言いますが、貴方個人が行う研究に我々は興味ありません。
毒素を使った研究がしたいのなら勝手にやってください。
ただそれを私達、ミュージアムは支援しない。それだけです。」
「.....バカな!これ程の力が手に入れられると言うのに....」
「テメェ、さっきから黙って聞いてれば言いたい放題だな?
そう言うお前は強いのか?
その毒素で強化されるって言うのなら俺達ぐらいと対等に戦えるよな?」
「獅子神くん....落ち着いて」
「うるせぇぞサラ!....おい井坂どうなんだよ?」
井坂は少し思案する。
(私の理論は完璧だ....だがドライバー付きのゴールドメモリと対等に戦えるかと言えば難しいと言わざるを得ない。
奇襲で私の持つ攻撃の最大火力を与えられるのなら問題ないだろうがそうそう上手くはいかない相談だな。)
(だが、だからと言って認めるのも癪だ。
それに....彼等のメモリも気になる。)
「良いでしょう。
お受けしますよその挑発を....」
そう言ってメモリを取り出す井坂に触発され獅子神もドライバーとメモリをだそうとするが止められた。
「おい!どういうつもりだ無名。」
「さすがにゴールドメモリとでは出力に差があるでしょう?
それよりも同質のシルバーランクのメモリならより正確な結果が出るんじゃないですか?」
「おや?怖じ気づきましたか?」
そんな井坂の挑発にも無名は乗らない。
「我々も暇じゃないんですよ。
もっと、組織にとって"有益な話"なら本腰で行動しても構いませんが....今の状態ではこれでも譲歩していると思ってもらいたいですね。」
傲慢な言い方に井坂の表情が少し曇る。
しかし、直ぐに戻った。
「では、相手の用意が出来ましたらご連絡下さい。
私は"逃げも隠れもしません"ので....」
そう言うと井坂は幹部を置いてその場を後にした。
井坂はその動きから平静を装ってはいるが、内心怒りで我を忘れそうであった。
(私の研究が有益じゃないだとっ!糞生意気なガキめ!
いつか、必ず殺してやる。)
そうして無名は井坂の殺すリストに名前が入るのだった。
Another side
トライセラトップスドーパントとの戦いも終わり満身創痍な照井だが、そんな彼をフィリップは探偵事務所に呼び出した。
事務所につくと
「竜くん身体はもういいの?」
所長の問いに照井は答える。
「あぁ、俺は目的を遂げるまで死ぬつもりはないからな。」
「照井....その...悪かったな。」
翔太郎が照井にそう謝った。
今回の事件の立役者であったトライセラトップスドーパントであり風都署に配属された刑事である
翔太郎は彼女の強さを信じたが結局、ガイアメモリの力に飲まれてしまった。
照井の傷も翔太郎が彼女を信じた結果、負ってしまった部分もあるのだ。
「問題ない。左のハーフボイルドな考え方は理解している。」
「....ハーフボイルドは余計だっつーの。」
そう言って顔を背ける翔太郎を見て笑っていると、フィリップが本題に入った。
「照井竜、今回君に来てもらったのは君の家族を殺したドーパントのメモリが"判明"したからだ。」
「それは本当かフィリップ!」
照井は前のめりになり尋ねる。
「あぁ、そしてもっと驚くべき事実も分かった。」
そう言うと彼はホワイトボードに文字を書き始めた。
「WEATHER....ウェッター?」
亜樹子の間違いを翔太郎が訂正する。
「ウェザーだろどう見ても」
「しっ.....知ってたしぃ!」
そう言って睨み会う翔太郎と亜樹子はほっておいてフィリップは解説を続ける。
「ウェザー....天候を操るメモリでランクは"シルバー"だ。」
ガイアメモリはその能力によりランク分けされ強いメモリは後から銀か金色に塗装される。
故に銀色のメモリを持つと言うことはそれだけ強い力を所持していると言うことになる。
「具体的な能力は熱、水、氷、風、雷の五つに分けられる。」
「うちらのWみたい。」
亜樹子の言葉に一緒するなと言う顔をしているが照井は違った。
「....まさか!」
「気付いたようだね?」
「どういう事だフィリップ?」
「これまで僕は風都で起こった凍結事件しか調べてこなかった。
犯人が氷のドーパントだと思っていたからね。
けど、ウェザードーパントが犯人ならと前提を書き換えて再検索したんだ.....そしたら」
「風都で起こった殺人事件"357件"に関与した疑いが出てきた。」
「......え?」
あまりの数に翔太郎や亜樹子、そして照井ですら聞き返す。
「僕も驚いたよ。
しかもこれは風都だけの数で、水音町や天ノ川地区での事件も加えたらもっと多くなる。」
「ちょ....ちょっと待てよフィリップ。
いくらなんでも冗談だよな?」
翔太郎もまだ現実を受け入れられないようでフィリップが間違っている可能性を聞いた。
「僕だって何度も検索し直したさ....けどこれが真実だった...信じられないだろうがね。」
「被害者の正確な数は分かるのか?」
照井の問いにフィリップは一息置くと答えた。
「僕が調べた中でウェザーメモリによって死んだ被害者の数は"1057人"だ。」
「1057人.....。」
それは1つの町に住む人を全員殺したのと変わらない人数だった。
「更に悪い話だがこの犯人はまだ風都にいる。
今回、無理してでも照井竜を呼んだのは共闘を持ちかけるためだ。」
「はっきり言ってこの犯人はレベルが違う。
殺しを罪とも思っていないやつだ。
Wやアクセル単体では勝ち目はない。」
フィリップは珍しく焦っていた。
当然だろう。組織ではなく一人でこれだけの被害を出す犯人と対峙したことは、翔太郎もフィリップも両方共に無いのだから
「.....少し時間をくれ。」
そう言うと照井は部屋を出ていくのだった。
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