もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第四話 Lとの交錯/手に入れた成果

自分を押さえつけ見上げている無名に獅子神は怒りを露にする。

「テメェ!何で生きていやがる!

あの時にお前は死んだ筈だ。」

「確かに強力な能力だった。

引力に巻き込まれた時は死ぬしかないと感じたよ。

だから、"保険"をかけたんだ。」

 

「保険?」

「僕のデーモンメモリが生成する炎は燃やすこと以外にも、場所と場所を繋ぐ"ゲート"の様な役割に使うことが出来てね。

潰される前に撒いた炎をゲートとしてその場所から逃げたんだ。」

 

(まぁ、あまり多用出来ない能力なのだがな。)

そんな真実を獅子神に伝えることはせず押さえつけながら話す。

 

「これで"データ"は揃った。

"琉兵衛様"もお喜びになられるだろう。」

「なっ!....まさか」

 

「そうこの戦いを仕組んだのは琉兵衛様だ。

僕達二人のメモリの特性、相性、進化、そして弱点があるのかどうかテストしたかったらしい。」

「データ上ではレオメモリは自尊心を力にする以外の能力の記載が無かったからその重力を操る力は新しい能力と言うことだね。」

 

「これは良い報告が出来そうだ。

だが、同時に毒素のダメージも大きい。

早急に改善案を用意しなければな。」

 

そう言うと無名は獅子神から離れる。

その光景に獅子神は驚く。

「テメェ、どういうつもりだ?

何故、トドメを指さない!」

「君は話を聞いていなかったのか?

今回の目的は"メモリの能力調査"だ。

殺し合いじゃないしましてや君を殺すつもりもない。」

「データも手に入れた。

もう用は済んだ。」

 

無名は黒炎を背中に出現させるとそのまま翼の形に変化させる。

「それじゃあ、失礼するよ。」

そう言い残すと無名は夜の空へと消えていった。

 

残ったのはレオメモリを握り締めながら怒りの表情をしている獅子神だけであった。

 

 

 

レオとの戦闘データを渡す為、屋敷に行くとそこには先客がいた。

オールバックに白い服装、黒いスーツケースを持った無表情な人。

 

どうやら、打ち合わせが終わったのかあちらは帰るようだ。

そんな中、僕の姿を見た男は話し掛けてくる。

 

「おや?...貴方は見ない顔ですね?

園咲家の方ですか?」

「えぇ....そう言う貴方は"ミュージアム"関係でこちらに?」

ミュージアムの名前を出したことで僕が此方の世界の人間だと理解したのか少し雰囲気が変わる。

 

「えぇ、その通りです。

申し遅れました私、財団Xの加頭(かず)です。」

 

財団X....平成仮面ライダーの世界で暗躍する組織であり大抵の事には関わっている。

そんな組織が初めて姿を現したのがこの仮面ライダーWでありこの加頭はWの世界でミュージアムの出資を担当している男だ。

そして、Wが最後に相手をする強敵でもあるのだが....

 

「無名と申します。」

そう言って手を出して加頭に握手を求める。

加頭も不思議がりながらも握手にこたえた。

その名前を聞いた加頭は思い出したかのように語る。

「あぁ、貴方が琉兵衛さんの言っていた部下の方でしたか。

頑張ってくださいね。

ガイアメモリの研究が進むほど我々、財団Xの利益となりますので」

そう笑顔で言うと加頭は屋敷を後にした。

 

 

(財団Xの加頭...Wの世界で幾つもの暗躍をしていた張本人。

この人がどんな動きをするのか予想が出来ない。

しかし、まだ"never"になっていないのは良かった。)

無名はそう思うと琉兵衛のいる部屋へと向かうのだった。

 

 

部屋に着くと琉兵衛が執事を控えさせてティータイムを取っていた。

「では、無名くん。

"実験結果"を報告してもらおうか?」

 

「はい、やはり琉兵衛様のお考え通りガイアメモリの適合率と毒素の影響量は比例するようです。」

そう言うと無名は手元のタブレットの琉兵衛に差し出す。

そこには獅子神との戦闘の映像が写し出されていた。

「獅子神が新たな能力を使い動けなくなる程疲労したのに対して僕が使ったゲートの能力では疲労はあっても動くことは可能でした。

僕の身体に付けた毒素の計測を行う装置でも適合率の差による現象だと言う結論に至りました。」

 

琉兵衛に出された条件は「獅子神と戦いメモリの能力を把握すること」と「適合率と毒素の関係性を調べる」事だった。

そして、その二つを完璧にこなしたデータを見て琉兵衛は満足したように言った。

 

「素晴らしい。

満足の行く結果だったよ。」

「では、約束の物は?」

「良いだろう。

君の願いは叶えよう...このメモリをどう使うかは君の自由だ。」

そう言って琉兵衛は机から1つのメモリを取り出す。

"薄緑色のガイアメモリ"を見た無名は自分の求めていたメモリだと理解し受け取った。

 

「ありがとうございます。」

「しかし、"そのメモリ"を一体どうするつもりかね?」

琉兵衛の問いに無名は答える。

 

 

 

 

「これはある意味"人質"です。

とある"研究者"と"兵士"を手に入れる為の.....」




Another side

風都の町が見えるレストランの最上階で、
とある青年と母親が食事をしていた。

そこに少年が割ってはいる。
「失礼...."大道マリア"さんでよろしいでしょうか?」
その名を呼ばれた母親は驚きながらその少年の顔を見る。
その少年どうみても成人していないそれどころか自分の息子よりも幼く見えた。

「貴方は誰?
子供がこんな時間に一人で危ないんじゃないかしら?」
その問いに少年は笑顔で答える。
「その心配は無用です。
確かに僕は年齢は子供ですがこれでも"ミュージアム"の末席にいる人間ですので....」

ミュージアムの名前を聞くと母の向かいに座っていた青年が少年の胸ぐらを掴む。
「俺達の資金源(財団X)を奪った組織の仲間であるお前が....一体何の用だ?」

獰猛な殺意を向けてくる青年に怯えること無く話す。
「貴方が"大道 克己"(だいどう かつみ)ですね噂は聞いていますよ。
死者蘇生兵士"NEVER"(ネバー)第一号そして交通事故により16歳でその命を散らしてしまったこともね。」
「!?」
自分の事を予想よりも知られていることに克己は無名への警戒を強くする。

「僕の目的はプロフェッサーマリアの知識です。
遺伝子工学の権威である貴方の力を貸していただきたい。」
「その代わりと言っては何ですがこちらにも提示できる報酬があります。」

そう言うと無名は上着のポケットからガイアメモリを取り出す。
「それは?」
克己の質問に無名が答える。
「これは"メモリーメモリ"と呼ばれるガイアメモリですこれには"記憶の知識"が内包されています。」
「話が見えねぇな...これの何処が報酬なんだ?」

克己は挑発的な態度を示しているがプロフェッサーマリアは冷静にこのメモリについて考えていた。
その姿を見た無名は自分の思惑が伝わっていることを理解する。

暫く考えた後マリアは口を開く。
「大変、魅力的な提案ね。
NEVERの弱点である記憶の忘却をメモリの力で抑制するつもり?」
「正確には失う筈の記憶をメモリと同期させることで、保存しておこうと思っています。」

NEVERと呼ばれる不死の兵士は特殊な酵素を定期的に身体に打ち込むことで延命を続けている。
そして、この酵素を打ち続ける限り死ぬ心配は無いが、過去の記憶がドンドン失われていく。
思うにこの酵素の働きは"死ぬ細胞を強制的に再生"させる力があるのだと思う。

在り来たりな例えで言えば穴の空いたコップに水を加え続ける様なものだ。
前の水は穴の中へと流れ落ちてしまうがコップに水が加わる限りは無くなることはない。

つまり、流れる水が"記憶"で"穴の空いたコップ"が死んでいる身体と言うことだ。
ならどうすれば良いのか?
コップの下をホースで繋いで上から落ちる筈だった水を流し込んでやれば良い。
そうすれば水は循環し続ける。

このホースの役割を果たすのがこのガイアメモリだ。

無名の計画を聞いた二人はさっきまでとうってかわり黙ってしまう。
当然だろう大道 マリアからすれば自分の愛した息子の記憶を保持できる可能性があり大道 克己は過去失う恐怖と怒りから解放される。

少しの時間が流れた後、マリアが口を開く。
「NEVERのメンバーと相談するわ。
もし坊やの言っている事が実現可能なのだとしたらこちらも貴方の出した条件飲むわ。」

「分かりました。
では、数日待ちましょう。
良い返事をお待ちしております。」
そう言うと少年はレストランを後にした。

無名がいなくなった後、克己がマリアに問いかける。
「どうする?お袋。」
「もし、さっきの事が事実なら受けるべきだと思うわ。NEVER唯一の弱点を克服する機会ですもの....けど」

「坊やはミュージアムのメンバーだと言っていた。
それはつまり園咲 琉兵衛の息がかかっていると言う事.....油断して良い相手じゃないわ。」

「ふん...まぁ良いじゃねーかお袋。
要はこっちの条件を早くやらせれば後はどうでも良い。
所詮、ガキだ戦場で生きてきた俺達NEVERが、負ける道理はねぇよ。」


それから数日後、マリアが無名との取引を了承する事となる。
その時の条件が"まず先に自分達の酵素の改善を行う事"で無名もそれを了承した。

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