もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第七十二話 裏切りのR/狂う歯車

 

蛮野は最初の計画が上手くいった過去とは一転、今は怒りを抑えるだけで必死な状態だった。

ハート、ブレン、メディックがNEVERと結託し裏切ったのだ。

それを知った蛮野は直ぐにコピーロイミュードの軍勢を向かわせるが、ハート達が重加速を無効化させているせいで戦況は芳しくない。

 

しかも、このタイミングで無名が西の研究所に一人でやって来たのだ。

聞いていた話と違う!

奴らは纏まってくるのではなかったのか!

 

手駒が足りない.....このままでは私は負けてしまう。

その時、蛮野の脳裏に無名から受けた拷問の記憶が甦る。

(嫌だあんな痛みを受けるのはもう嫌だ!)

そもそもどうしてこうなるのだ!

それまで計画は上手くいっていた。

アイツらが裏切らなければ全て上手くいっていたのだ!

 

いや待て、そもそも何で奴等は裏切ったのだ?

奴等の裏切るメリットは何だ?

誰がそんな事を行える?

蛮野の頭脳は少ない情報を組み合わせて結論へと辿り着いた。

(無名か.....だが何時からだ?何時から私の裏切りを知っていた?

まさか、最初からなのか?

確かにそれならば、この事態も説明がつく。

だが、どうして分かったのだ?

.....まさかガイアメモリの力か?

兎に角、今はこの事をクリムに伝えて世間にバラして貰おう。

そうすれば奴等はその対応に追われるだろう。

今は立て直す時間が欲しい。)

 

蛮野はクリムに電話をすると直ぐに繋がった。

「クリム!私だ蛮野だ!実は....」

蛮野はそこから話を繋げようとするとクリムから想像してない言葉を言われる。

 

「蛮野?....失礼だが君は誰だ?

"私の事を知っている"ような口ぶりだが、生憎覚えがないのだが?」

「....は?」

想像すらしてない解答に流石の蛮野の思考も止まった。

「じょ....冗談は止せ。

私だよ蛮野天十郎だ!"君の親友"で....」

 

「すまないが誰かと間違っているのではないか?

私の友に蛮野と言う者はいないぞ。

電話のかけ間違いだろう。

今、忙しくてね。失礼だが切らせて貰う。」

「まっ...待て」

最後まで話す前に電話を切られてしまった。

蛮野は椅子に座り現在起きている不可思議な現象について考えていた。

『蛮野様、無名が研究所に侵入してきました。

このままではこちらに到着してしまいます。』

フリーズの言葉に現実へと引き戻された蛮野は奥の手を切ることにした。

 

「改良型ロイミュードの進捗はどうだ?」

『まだ完璧とは言えません。

ハート達からのデータ供給が止められていますので70%で止まっています。』

「それでも構わん!直ぐにメイカーに製造の命令を出せ!」

『しかし....』

「つべこべ言うなぁ!道具風情がぁ!私に従えぇ!」

『....了解しました。

メイカーへ製造を依頼...許諾。

完成まで一分です。』

「完成したらフリーズ...お前が中に入り無名と戦え!

それまで私が時間稼ぎをする。」

 

『承知しました。

戦闘用データはどういたしましょう?』

蛮野はそこで自分の失策に気付く。

ハート達を戦わせる事を想定していたのでフリーズ用のメモリを製作していなかったのだ。

「クソッ!早く代わりとなるメモリを検索しろ!」

『.....メイカーから代案のメモリが提案されました。

その製造を許可しますか?』

「直ぐに許可を出せ。

準備が出来たら私を助けろ良いな?」

そう、蛮野が言うと研究室を出ていった。

 

そして、フリーズはメイカーから提案されたメモリのデータを閲覧するのだった。

 

 

時同じくして東の研究所ではハート達、NEVER、クオークスによる連合軍対コピーロイミュードによる戦闘が終局に向かっていた。

ハートが強靭な拳による格闘で敵を吹き飛ばし克己のサポートをする。

「戦闘の筋が良いな!お前をNEVERにスカウトしたいぐらいだ。」

『はははっ!有難い申し出だが友達の事が心配なんだ。断らせて貰うよっ!』

 

そして、隣ではブレンが毒で、京水が鞭でロイミュードを倒していった。

「あらっ!貴方面白い能力があるのね?」

『私は優秀で誠実で合理的なのですよ。

効率的な戦い方が一番良いと思ったまでです。』

 

メディックとレイカは協力してロイミュードをスクラップに変えていった。

「メディックだっけ?あんた強いじゃん。」

『レイカさんも素晴らしい戦いぶりですわ。』

お互い誉めあっているとロイミュード達がミーナやクオークスに向かって銃を発砲してきた。

『危ない!』

メディックは彼女等の盾になるように鞭を展開させて弾を防ぐが、自身の身体に弾を受けてしまう。

『メディック!』

ハートがその姿を見て駆け寄るが、そんな事に構うことなくロイミュード達は発砲しようとする。しかし、

「油断しすぎだぜ!」

「....遅い」

芦原と堂本が展開していたロイミュードを破壊した。

『あっ....ありがとうございます。』

メディックが彼等に礼を言う。

 

「気にすんな!克己がお前らを仲間と認めたなら俺達が守るのは当然の事だ!」

「無理をしなくて良い。戦闘はプロである俺達に任せろ。」

堂本と芦原がそう告げると敵に向かっていった。

今まで道具として蛮野から扱われてきたハートとメディックにとって、その言葉と行動は何よりも嬉しかった。

『ハート様、私、彼等と会えて本当によかったですわ。』

『あぁ、俺もだメディック。』

 

そして、その光景を見ているブレンに京水は違和感を覚える。

「あらっ?どうしてたのブレンちゃん?」

『いえ、何故か分からないのですがハートとメディックの"二人がくっついてる姿"を見ると.....妙にモヤモヤしましてこの感情が何なのか分からないんです。』

その言葉に京水の乙女センサーがビンビンに反応した。

「ブレンちゃん!貴方も私と同じ心を持ってるのね!

嬉しいわっ!同じ感情を共有できる人と会えて!」

『は?人?え?』

「良いのよブレンちゃん!それは間違った感情じゃないわっ!ハートちゃんが好きなのね?だからジェラシーを感じるのよっ!」

「私は貴方を応援するわブレンちゃん!

一緒に幸せを掴み取りましょう!」

 

 

「蛮野が来た時はムカついたけど貴方達が来てくれて本当によかったわっ!

貴方との出会い嫌いじゃないわっ!寧ろ大好きだわぁぁぁぁ!

京水はそう言いながら敵に突進していった。

その光景をブレンは呆然と見つめるのだった。

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