無名は空を舞うように飛びながらブラキオサウルスドーパントとなったフリーズに攻撃を仕掛けた。
刀の斬撃が足に当たり黒炎が吹き出すが身体から黒い泥を吹き出して炎を地面へと落とした。
(あれは、メモリの能力である化石兵の生成でしたか。
成る程、生成途中の泥に炎を擦り付けて黒炎を消すとは頭が良い。)
そう感心しているとフリーズは無名に両腕を振り下ろしながら襲い掛かる。
今のフリーズは怪獣と言っても良い程のサイズに巨大化している。
そんな怪物の両腕が襲ってくるのだ。普通の回避では間に合わないだろう。
無名は回転して炎を遠くに飛ばすとそこをゲートにして攻撃を回避した。
飛散した炎の一部から無名が姿を現すと武器を刀から弓と矢へと変形させる。
無名は黒炎を操作して武器にする際、能力のパラメーターを変更させていた。
"刀"は攻撃と速度、"槍"は防御と鋭さ、"鎖"は速さと拘束力と言った感じだ。
そして"弓"は数ある形態の中でも黒炎の破壊と消滅に特化した形態であった。
標的を見失ったフリーズに無名は引き絞った矢を放つ。
矢がフリーズに当たると黒炎を巨大化させながら進み、身体を貫いた。
凄まじい威力によりフリーズは倒れる。
そして、無名も地面に着地した。
この武器の欠点は黒炎の消耗率が高いことだ。
適合率が上がりデーモンメモリを使いこなせる様になった無名でも、一発撃てば回復するまで待たなければいけなかった。
(だが、致命傷を与えた。これで奴は動けないだろう。)
しかし、ここで無名は1つミスを犯した。
恐竜系のメモリが与える恩恵の1つである耐久力を考慮してなかったのである。
『ぐぅおぁぁぁぁ!』
痛みに耐えながらフリーズは立ち上がる。
「バカなっ!」
そして襲い掛かってくる腕を避けようと残った炎をゲートにするがフリーズも学習していた。
炎に沿って腕を振り抜いたフリーズの攻撃は転移した無名に直撃した。
その攻撃をもろに受けた無名は地面に衝突しクレーターを作る。
その一撃で無名は瀕死に追い込まれた。
一見、汎用性も高く強力なデーモンメモリにも弱点がある。
それは耐久力の低さだ。
パワー系メモリの力をまともに受けたら、プロダクトクラスでも無視できないダメージを負ってしまう。
だからこそ、ライアードーパントとの戦闘で無名は獅子神の攻撃を回避するしかなかったのだ。
故に今フリーズから受けたダメージは無視できるものではない。
(身体が....動かない....くっ!)
そうしているとフリーズがトドメの一撃を振るってきた。
駄目だこれは避けられない。
「
すると、急に右手が動き黒炎の壁を生成しフリーズの攻撃を防いだ。
フリーズは炎により燃える身体をどうにかしようと暴れている。
「
僕の問いに何者かが意識の中で答えるがそんな事を考えているだ暇はない。
暴れるフリーズを避けるように無名は上空へと飛び上がった。
「
「
【
無名がフリーズに手を翳すとフリーズの巨体が浮き上がった。
そして、黒炎を操作し巨大な鎖を作るとフリーズの両手足と首にかける。
そして、引っ張りあげる事でフリーズの身動きを封じる。
【中世の拷問に"車輪刑"と言うものがある。
馬車の車輪に人をくくり付けていたぶるらしいが....
そんな無駄なことはしない。】
【僕の刑罰はもっとシンプルだ。】
黒炎が無名の腕を覆うと巨大化する。
【身体を縛られている者を無理やり引っ張ったらどうなるか.....試してみようか。】
そう言うと巨大化した無名の腕がフリーズの胴体を掴むと引っ張る。
しかし、鎖はそれを許さずフリーズの身体に負荷をかけ続ける。
その痛みにフリーズは声にもならない絶叫を響かせた。
【機械の癖に痛みを感じるのか?
......面白い、なら実感すると良い!自分の死を!】
そう言うと無名は腕を思いっきり引っ張りフリーズの身体を引きちぎった。
あまりのパワーに千切られた各部が空を舞う。
そして、体内に入っていたメモリが放出されると粉々に砕け散った。
【何だ....つまらないな。
やはり、機械ではこの程度が限界か。】
そう言うと無名の身体から煙が出てくる。
【そろそろ"時間切れ"か。
やはり、まだ馴染んでいないみたいだな。
だが、私を知覚出来たのは進歩だな、無名よ。】
【
【ではさようなら無名...また会おう。】
すると、無名は自分の身体の権限を取り戻した。
そして、メモリを抜き取り眺める。
(デーモンメモリ....これはメモリの副作用なのか?
いや、だとしたらあの力が説明できない。毒素がどうとかの次元じゃない。)
「僕の中に...誰が....」
そこまで考えると無名の思考が入れ替わった。
正確には"書き換わった"と言うべきか....
そんな事より蛮野の始末を着けなければ、そう思い無名は黒岩の元へ向かう。
これで彼の望む物語が始まる。
微笑んでいるのは無名かそれとも......
そう....そんな人物は存在しない。
物語は無名を通して進んでいくのだった....
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