もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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その日、俺達は亜樹子が手に入れたレストランのタダ券を利用して食事に来ていた。

そこには照井も呼ばれていた。
亜樹子曰く無料で協力してくれるからそのお礼も兼ねているそうだ。

「今度から金を取ろうか所長。」
照井が冗談めいて言うと亜樹子は分かりやすく狼狽した。
冗談を言ったことをフィリップに言うと彼もこの事務所に馴染んだのだろうと推察した。
そして、シュラウドから送られてきた設計図を元に新しいガジェットを食事の場でも作っていた。

そんな中、レストランでのショーが始まる。
"フランク白銀"翔太郎が小さい頃から活躍しているマジシャンだ。
そしてフランク白金がもう一人のマジシャンを紹介した。
娘の"リリィ白銀"マジシャンとして未熟だと照井は評価したが最後に見せた"消えるマジック"はとても上手かった。

だからだろう....この時は思いもしなかった。
このリリィ白銀が、次の依頼人になるなんて....


井坂編
第七十六話 消えるM/見習い


DENDEN(デンデン)

フィリップがギジメモリを起動しガジェットに装填するとカタツムリの形に変形し動き出した。

 

「可愛い名前なんて言うの?」

「"デンデンセンサー"あらゆる光の波形を見ることが出来るから見張りや探索に向いている。

そう、丁度こんな風に動くと誰かが入ってきたとわか...」

そこまでフィリップが説明し疑問が出てきた。

デンデンセンサーが見ている場所には誰もいなかったからだ。

 

不思議に思った翔太郎がその場所に向かおうとすると、何かに躓き仰向けに倒れる。

すると、突然リリィ白銀が翔太郎を馬乗りにして現れた。

「うふふ、ごめんなさい。」

「あっ!昨日の美人マジシャン。」

この状況に喜んでいるのか笑っていると、亜樹子のスリッパが飛んできた。

「ニタニタしとらんでさっさと起きんかい!」

 

そうして、俺はそのマジックのタネを彼女に聞くと、上着を脱ぎ腕についているコネクターを見せられた。

「「ドーパントぉ!?」」

亜樹子と翔太郎は驚きながら彼女を見るのだった。

 

 

 

Another side

 

井坂は獅子神とサラに呼び出され廃工場へと足を運んだ。

二人と顔を会わせると挨拶を交わす。

「今回呼ばれたのはあの時の試験と捉えても宜しいので?」

「まぁ、そうだな。ある意味で試験だと思うぜ。」

「それはどういう意味ですか?」

井坂の問いにサラが答える。

 

「最近、冴子様と交流が多いようね。

もしかして、付き合ってたりするの?」

「いえ、彼女も私の診察している患者の一人ですよ。」

冴子は最近、井坂の病院に何度も足を運んでいた。

暇を見つけたら必ずといっても良いほど通っていた。

 

「まさか、そんな事まで貴方達の組織は介入するのですか?」

「まぁ、普通の恋愛ならあり得ねぇだろうな。

だが、ちょっかいを出してきたのなら話は別だ。」

「貴方、若菜さんのドライバーに"細工"をしたわね?

毒素をカットするフィルターを経由するコードが意図的に切断されていた。」

そう、井坂はパペティアードーパントが現れた際、冴子に頼み若菜と会うとドライバーを預かり、フィルター機能をカットした。

 

結果として毒素により肉体が強化され暴走状態になったのを琉兵衛が見抜いたのだ。

現在は無名が用意した予備のドライバーを使用しているため若菜の暴走状態は改善されている。

 

「あぁ、あれは彼女のためですよ。

ドーパントとして強くなるお手伝いをしたに過ぎません。」

「それが不味かったんだよ井坂。

この件で琉兵衛様は酷くお怒りになっている。」

「なら、私を始末するのですか?」

「いいえ、けど貴方にはテストを受けて貰うことにしたの」

「貴方の理論がそんなに素晴らしいのなら、私達の出す試練なんて軽く突破できるでしょう?

今回のテストに制約を付けさせて貰う。

破れば貴方の命でその清算をさせて貰うわ。」

 

「どうする?受けるか?」

「あまりにも挑発的ですねぇ....まるで私にこの契約を結ばせたいようだ。

ミュージアムには契約で相手を縛る能力を持つドーパントがいると聞いたことがあります。

ここに来ているのではありませんか?」

井坂の問いにサラは笑いながら答える。

「流石ね、その通りよ。

けど、貴方に拒否するチャンスがあると本気で思ってる?」

「それはどういうことで?」

「断るのなら獅子神と私が貴方を本気で潰すわ。

ウェザーメモリが強力なのも貴方自身がエンゼルビゼラを使って強化してるのは知ってるけど、私達三人に勝てると本気で思ってる?」

 

「三人ですか?」

そう言うと工場の屋根から声が聞こえる。

スミロドンドーパント...ミックが井坂を睨み付けていた。

「ミュージアムの処刑人の一人だ。

ゴールドクラス三人と戦って生き残れる自信があるなら殺ろうぜ?なぁ、井坂先生よぉ!」

(困りましたね。

よりにもよって幹部三人を相手どるのは流石に無理でしょう。)

井坂は相手との戦力差を計り終えると両手をあげて降参のポーズをした。

「参りました。貴方達の要求を飲みましょう。

少しでも生き残れる方に私も賭けたいですからね。」

 

「流石はお医者様、賢いのは良いことよ。

では"契約成立"ね。」

その言葉と同時に井坂の胸に衝撃が走る。

(グッ....これが契約する感覚ですか。

面白いですねぇ...少しワクワクしてきました。)

「では、追加ルールを含めて教えて貰えますか?」

そう言うとサラが説明を始めた。

 

1.敵となるのは同じランクのシルバーメモリ。

2.相手を倒すか制限時間まで生き残れば井坂の勝ち。

3.井坂の逃亡や敗北は敗けとし命で償う。

 

「これに追加ルールを加える形ね。

まず、私から貴方にはウェザーメモリの能力を全て封じて貰うわ。

気象を使った攻撃と防御....全てをね。」

その言葉に井坂は戸惑いを見せる。

気象を使った攻撃以外となるとウェザーには徒手空拳しか攻撃手段がないからだ。

これにより戦闘での勝ちはほぼ不可能になった。

「仕方がありません。

飲みましょう....それで獅子神さん。

貴方のルールは?」

 

「安心しろ....俺はサラと違ってお前個人の能力を縛ったりはしねぇ。

ただ、"相手の人数"を変えさせて貰う。」

「そして、紹介するぜ!コイツらがお前の相手だ!」

 

「Devil」

 

「Sheep」

 

「Sphinx」

 

そうして、井坂の前に現れたのは三幹部が誇る部下であるシルバーメモリ所持者達だった。

そうして、三人が舞台に集まると獅子神が声をかけた。

 

「さぁ、お前ら.....全力で戦い殺し合え!」

 

 

それを見た井坂は絶望するどころか笑いながら告げる。

「何て素晴らしい光景だ。

私以外のシルバーメモリがこんなに沢山....あぁ、欲しい、全て使ってみたい....

私に貴方達をもっと見せてください。」

そう言うと井坂もメモリを起動する。

 

「Weather」

 

そしてメモリを耳に挿して、ウェザードーパントへと変身するのだった。

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