もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第八十一話 放たれるT/仮面ライダーとは

琉兵衛が井坂とお茶をしている間、ラボに帰ってきた満身創痍の翔太郎を亜樹子が世話をする。

 

しかし、そこでフィリップが照井の胸ぐらを掴み声を荒げたのだ。

「ちょっと!喧嘩しないで、今は翔太郎くんの治療を...」

「ガイアメモリによる傷を現代医術で治す手段はない!

....本人の回復力に頼るしかないんだ。」

「そうなの、でもだからって喧嘩するのは駄目だよ。」

「先程、検索を終えた。リリィ白銀を救うにはアクセルの力がいる。

しかし、彼はそれを断った!」

「そんな事よりも井坂の居場所を検索しろ。」

 

「誰のせいでこうなったと思っている!

今、風都を守れる仮面ライダーは照井....君一人しかいないんだぞ!」

照井はフィリップに掴まれた手を払いのける。

「俺の復讐の方が優先だ....

漸く見つけたんだ。今度こそ奴を"殺す"!」

 

「照井....風都にとって仮面ライダーは町の平和を守る存在だ。

翔太郎が言っていたろう"罪は憎んでも人は憎まない"。

照井竜、君にとって仮面ライダーとは何なんだ?」

「俺に...質問をするなぁ!」

照井はフィリップの顔を殴るとラボを後にしようとする。

「どっ....何処に行く気だ?」

「もう、貴様には頼らん。

シュラウドから奴に勝てる手段を引き出す。」

「待ちたまえ!照井竜!」

フィリップの制止を聞かず照井は出ていくのであった。

 

 

シュラウドを探す照井の前に本人が陽炎に紛れて現れた。

「何の用?」

「Wのメモリの使い手を見つけた。

井坂と言う男だ。俺はそいつを殺す...力を貸せシュラウド!」

それにシュラウドは首を横に振る。

「何故だ!」

「貴方の力ではその男には勝てない.....

今の状態ではどう足掻いたって無駄よ。諦めなさい。」

「ツインマキシマムとやらなら勝てるとフィリップは言っていた。

俺もそれをしようとしたら力をコントロール出来なかった。ドライバーを調整して使えるように....」

 

「無理よ...そもそもWドライバーとアクセルドライバーではメモリ使用の"コンセプト"が違う。」

「Wは二本のメモリを使い"相乗効果"で能力を100%発揮するように作られている。

だから単体でもツインマキシマムに対応できた。

でも、貴方のアクセルドライバーは能力を100%発揮させるためにメモリを限定して"120%の出力"を出すようにしてあるの....そんな貴方がツインマキシマムを行えば余剰エネルギーが逃げ場所を失って体内に向けて放出される。

ただ、爆発するだけよ。

だからこそ、貴方のベルトにはツインマキシマムが発動されるとリミッターが作動して"メモリのエネルギーを逃がす"役割があるの」

 

「だが、それでは井坂に勝てない.....」

「諦めなさい。

今の貴方では無理よ。憎しみがメモリとドライバーに行き渡るまで待って....」

「もういい!俺は一人でも井坂と戦う!」

照井はそう言うとシュラウドの元を離れた。

(憎しみの意思がメモリを強くさせる....

アクセルメモリならそれを助長させてくれると考えたけど、予想よりも憎しみの力が強かったみたいね。)

 

(それにしても、井坂がここまで強くなっているだなんて...仮面ライダー二人と対峙してこの強さ。

危険だわ...少し早いけどアクセル強化プランを始める必要がありそうね。)

そう考えたシュラウドは陽炎と共に姿を消した。

 

 

頼みの綱も無くした照井は井坂と繋がりのあるリリーの家を張り込んでいた。

そこに亜樹子が現れる。

「何だ、結局リリィさんの事、心配して来てくれたんじゃん。」

「勘違いするな、井坂との手がかりはもうあの女しかいない。

井坂と接触する機会を伺っている。それだけだ」

「ふーん、ならお願い....フィリップ君に手を貸して

リリィさんを救うには竜君の力が必要なの!」

 

「ふざけるなよ....望んでドーパントになり井坂を頼ったあの女を何故助けねばならん!」

照井の怒号に家にいたフランク白銀がやってきた。

家に通される亜樹子と照井。

しかし、照井のしかめっ面にフランク白金が言う。

「刑事さん....そんなしかめっ面ばっかりじゃ大変だよ....ほらっ!」

そう言うと照井の手から旗付きの紐が現れて、何も無かった手を握り広げるとフランク白銀の手からオモチャのバイクが現れた。

「バイク好きなんでしょう?これあげますよ。」

 

そのマジックに驚いた照井の表情が変わる。

「その顔です。私達マジシャンはお客さんが驚いて楽しむ顔を見るためにマジックを必死にやっています。

まだ未熟ですがリリィもマジシャンの端くれです。

その思いは同じ....だからでしょうか、リリィが消えるマジックを自分からやりたいと言い出した時は嬉しかった....例えそれに後ろめたい理由があったとしても」

「貴方は....知っていたんですか?」

「詳しくは知りません。

けど、予想はつきます。この風都で噂になっている危険な物を使っているんですよね?」

 

「こんなことをお願い出来る立場で無いことは分かっています。

でもお願いします。リリィを...孫を助けてあげてください。」

 

 

 

そう言うとフランクは照井に頭を下げて懇願した。

そこにはマジシャンとしてではなく孫を心配している祖父の顔が写っていた。

 

その声が聞こえていたのか誰かが外に走り去っていく。

照井はその後を追いかけるのだった。

 

逃げるリリィを照井は捕まえるが、ドーパントとなっていて身体能力が強化された彼女はその手を振りほどくと透明になった。

「仮にもドーパントと言うことか。」

そう言うと照井はアクセルに変身し、エンジンブレードを起動する。

「STEAM」

蒸気を地面に当てるとリリーは「熱い!」と言いながら姿を現した。

 

「そこか」

照井は変身解除してリリィを連れていこうとする。

「離して!私にはまだこのメモリが必要なの!」

「それは使い続けると死ぬらしいぞ。」

その事実を照井に伝えられてもリリィは折れない。

「お爺ちゃんの引退前の最後の舞台...そこで透明マジックを成功させる....お爺ちゃんに安心して引退して欲しいのよ!」

「それで死ぬかもしれないんだぞ。」

「構わないわっ!私の命なんて惜しくない!」

 

そのリリィの言葉に照井は激怒する。

 

「そう思っているのはお前だけだ!

少しは周りを見てみろ....お前を心配してくれる人がいるだろう!」

照井はその言葉にハッとする。翔太郎が照井に言った言葉と同じ事を自分が言ったからだ。

そして、気づく。翔太郎がどうしてその言葉を自分に言ったのか.....

(俺が左と同じ言葉を言うとはな....)

 

リリィはその言葉に観念したのか家へと戻る。

そして、警察に自首しようとするがそれを照井が止める。

「最後の舞台....出たいんだろう。

出ても良い、ただ約束してくれ。その舞台が終わったら"俺の処置"を受けると....仲間が見つけた君を助ける処置を」

 

 

照井はその時に、復讐者から風都を守る仮面ライダーへと戻ったのだった。

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