フィリップがリリィのいる会場につくと、そこには照井と亜樹子がいた。
照井がフィリップと話そうとするとフィリップが思いっきり照井を殴った。
「これは翔太郎から教わった。
殴られた後の"仲直りの儀式"さ。」
そうしてフィリップから差し出された手を照井は握り立ち上がる。
「左も粋な事を知っているな。」
「話は亜樹ちゃんから聞いた。
メモリの摘出方法を教えよう。」
そうしてショーが順調に進み、いよいよ残すは最後の消失マジックのみとなった。
しかし、ここで最悪の来客が現れる。
「おやおや奇遇ですね。」
「井坂....深紅郎。」
「この際、ついでです。
纏めて片付けてあげましょう。」
「Weather」
そして井坂はメモリを挿し、ウェザードーパントに変わる。
「哀れな家族の生き残り君。」
井坂が照井を指差しながら言い放った。
過去の照井ならば怒りから彼に向かっていっただろう。
だが、今は違う彼は風都の仮面ライダーなのだ。
「お前の相手をしてる暇はない。」
「何?」
「俺はリリィを"救い"に行く。」
「あの女は死にます...何故そんな無駄なことを?」
「彼女はマジシャンの端くれだ。
そして、俺も仮面ライダーの端くれだからだ。」
「あっはっは....これだから青臭いドライバー使いは!」
井坂がそう言って火球を放つが照井が呼び出していたガンナーAに阻まれる。
そして、ガンナーAに井坂の時間稼ぎを任せるとリリィの元へ向かうのだった。
マジックは成功し観客は大盛況だが、リリィの身体は限界を迎えていた。
舞台裏の外に行く頃にはもう身体が粒子となっていた。
そして照井を見つけると優しくお礼を言った。
「最後までマジックをやらせてくれてありがとう。
さようならちょっと怖いけどカッコいい刑事さん...」
そして、リリィの姿が消える。
「君は俺が守る。」
照井はアクセルメモリを起動すると変身する。
そして、フィリップにデンデンセンサーで彼女の位置を見つけさせた。
「そこだ!照井竜!」
リリィを見つけたフィリップはそこを指差す。
照井はエンジンブレードにメモリを装填すると能力を発動する。
「ELECTRIC」
エンジンブレードを帯電させてリリィに近づく。
「なっ何をする気だ?」
フランクが不安そうに尋ねる。
「死んでもらう。」
照井はそう言うとエンジンブレードでリリィを切りその心臓を確実に止めた。
使用者が死んだ事でインビジブルメモリが排出される。
するとエンジンブレードをリリィの心臓に向けると電気ショックを与えた。
すると、リリィの心臓が再び動きだし意識を取り戻した。
その光景を見ていた井坂が叫ぶ。
「何故だ!死ななければメモリは排出されない!
そう改造した筈だ!」
その疑問にフィリップが答える。
「逆転の発想だよ。
生きたままメモリを摘出出来ないのなら、死んでからメモリを摘出すれば良い。
心臓を一度止めてメモリがリリィを死んだと認識し排出されたら、電気ショックでまた心臓を動かす。」
「ちょっとした大魔術だろう?井坂。」
そう言いながら照井は井坂に見えるようにインビジブルメモリを砕いて見せた。
「持ち主を殺す程、強力なインビジブルメモリ。
それをこの身に挿すのが楽しみだったのにぃ.....許さん!」
「もはや凍らせて殺すのでは生ぬるい!
地獄のような苦しみの中で息絶えるがいい!」
井坂の雷撃が照井に放たれる。
照井はそれをエンジンブレードで受けるが威力を殺しきれない。
徐々にダメージが増えていくと井坂をファングメモリが攻撃した。
フィリップが照井に言う。
「加勢に来たよ。」
「フィリップ、変身できるのか?」
「あぁ、翔太郎が頑張ってくれたみたいだからね。」
そう言うとフィリップのベルトにジョーカーメモリが転送される。
フィリップはファングメモリを変形させてメモリを起動する。
「FANG」
『「変身」』
ファングメモリをベルトに装填し展開すると仮面ライダーWファングジョーカーへと変身が完了した。
「翔太郎、身体は平気なのかい?」
『心配してくれるなら早く片付けて休ませてくれ』
「ふふっ...了解した。」
フィリップがそう言うとWは井坂に向かう。
アクセルとWファングジョーカーのコンビネーション攻撃により井坂はダメージを受ける。
「くっ!良いでしょう、纏めて潰してあげますよ」
井坂はそう言うと背後に巨大な竜巻を出現させる。
「同時に必殺技を放つツインマキシマムだ。
良いかい?照井 竜」
フィリップの問いに答えること無く照井はドライバーのクラッチを握りマキシマム状態にして肯定の意思を見せる。
「ACCEL MAXIMUMDRIVE」
フィリップもファングの角を三回弾き必殺の態勢に移行する。
「FANG MAXIMUMDRIVE」
「今こそ"呪われた過去"を振り切るぜ!」
照井がそう言うと井坂の放った竜巻に二人の必殺技を叩き込む。
それにより竜巻が二つに分離し井坂に襲いかかってきた。
それを井坂は両腕で止める。
しかし、前のツインマキシマムと違い今回のは完璧なタイミングで放たれているので威力も桁違いとなっていた。
(このままでは....不味い!)
井坂は奥の手である歯に仕込んだエンゼルビゼラを服用しようとするが急に身体が重くなる。
「なっ!.....何だ?この痛みとダメージは?」
原因不明のダメージを受けた井坂は竜巻を抑えることが出来なくなり二つの竜巻が井坂に衝突した。
「ぐぉああああ!」
そして、爆発が起こると井坂の姿は消えていた。
「逃げたか?」
「分からない....だが僕達、仮面ライダーの勝利だ。」
フィリップの言葉に照井も同意するのだった。
園咲邸で井坂を待っていた冴子は、突然現れた疲労困憊の井坂を見て心配する。
「あっ....危なかった...もう少しでメモリをブレイクされるところでしたよ.....
仮面ライダー、彼らも案外侮れませんね。」
すると、井坂に冴子が抱き着く。
「心配したんですよ井坂先生。
もう、あんまり無茶はしないで....」
抱き着かれている井坂は冴子のことではなく別のことを考えていた。
(いきなり、身体に現れたあのダメージは一体?
メモリの副作用か?いやそれにしてはダメージが一斉に来たのに説明がつかない。
となると、誰かに殺されかけたのか?)
新たな疑問が頭を流れるが現段階では解決しない問題だと井坂は結論付けた。
(それにしても....腹が減ったなぁ)
井坂は心の中でそう呟くのだった。
Another side
井坂と二人のライダーの戦いをサラとドーパントとなった美頭は見ていた。
美頭はサラに尋ねる。
「宜しかったのですか?サラ様。
井坂を殺しておかなくても?」
何故、そんな事を美頭が言ったのか?
それは美頭の使うスフィンクスメモリに秘密があった。
スフィンクスメモリにはドーパントを回復させる能力があるが厳密には回復しているのではないダメージを入れ換えて保存しているのだ。
スフィンクスドーパントから生成される光を肉体のダメージと入れ換えることで回復する仕組みなのである。
そして美頭はそのダメージを視認できれば何時でも戻すことが出来る。
井坂が急に身体が重くなったのも美頭が前の戦いで回復したダメージを戻したからだった。
しかし、サラの命令により全てではなく半分程度ダメージを戻した。
もし、全てのダメージを戻していたら井坂でもメモリブレイクする危険があっただろう。
「良いのよあくまでこれは警告なんだから。」
「警告....ですか?」
「えぇ、彼は頭がいいわ。
あのダメージが誰かから与えられた物なのは直ぐに分かるでしょう。
そうなれば警戒が生まれる....猛獣も四六時中警戒することは出来ない。
井坂は私達がやったと気付くまで正体不明の攻撃を常に警戒する必要がある。」
「と言うことはこれは実質....」
美頭の問いにサラが答える。
「そう、"嫌がらせ"よ。
琉兵衛様の前で恥をかかされたからその仕返し。
.....それと"個人的な仕返し"もあるけどね。」
「個人的....」
「似ているのよミュージアムに拾われる前に私を飼っていた男と....人を自分の思い通りに出来る動物だと考えて遊ぶそんな男にね。」
サラはミュージアムに買われるまで色々な人の元に渡った。
変態からサイコパス、殺人鬼等様々だ。
共通点があるとすれば皆、マトモじゃない。
そんな彼等によりサラは生き残る術を自然と学んでいった。
学ばないと死ぬしかなかったからだ。
だから、ミュージアムに拾われてメモリの力を手に入れたサラのしたことは自分を飼っていた奴等を皆殺しにすることだった。
その途中で、美頭を拾った。
美頭も男色のオッサンに飼われていた動物の一人だった。
その地獄から救ってくれたからこそ美頭はサラの部下になった。
そして、サラの組織には暗黙のルールが出来た。
"子供を飼うような大人にはメモリ"を売らない。
そして、そんな奴等をもし見つけたら誰であろうと殺す。
その為の準備も進めていた。
嫌がらせを終えたサラと美頭はその場を後にするのだった。
こうして井坂と仮面ライダー二人の邂逅が終わった。
そして、物語は孤島から帰って来た無名へと戻ることになる......
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