「私をハゲタカ呼ばわりとは....随分と命知らずですね。
私が進言すればミュージアムへの出資を止められるのですよ。」
キースの言葉に無名が反論する。
「本当にそうでしょうか?
貴方は今、ミュージアムが財団から受けている支援を知っているのですか?」
「どういう意味だ?」
「金銭的な事を言っているのなら他の幹部が十分に成果を出しています。
システムや道具に関してなら僕が開発しています。
確かに資金が多いとは言えない現状ですが、それでも出資を止められた程度で潰れる程柔な組織ではありませんよ、ミュージアムは....」
「そして貴方は出資を止めると言いましたが止めた後はどうするんです?
ミュージアムから提供された情報でガイアメモリを作るのですか?
知識はあっても開発に携わってはいない。
僕達のように常に新しい知識を手に入れる術の無い財団に、同じクオリティのメモリが作れますか?」
「僕達と敵対した際に生じる損益は?
まだ続けますか?」
「......貴方の言いたいことは分かりました。
しかし、私も財団の人間です。
欲しい物を手に入れるためならどんな....」
コンコン!
キースがここまで言うと部屋の扉がノックされる。
「入りたまえ。」
「失礼します。」
琉兵衛の言葉で入ってきたのは同じ財団Xの加頭であった。
「やはり、ここに来ていましたか。
同僚が迷惑をお掛けしたようで申し訳ありません。」
加頭がそう言って琉兵衛に頭を下げる。
「いやはや、中々に面白い提案だったよ。
君を裏切って自分につかなければ出資を打ち切ると言われてしまったよ。」
その言葉を聞いた加頭は手に持っていたアタッシュケースを落とす。
「失礼、同胞がそこまで短絡的な取引を提示したことに驚いてしまいました。
それとご安心ください。ミュージアムへの出資は"本部"の決定です。
キースは確かに私と同じエージェントですが、そこまでの決定権は持ち合わせていません。」
「それを聞いて安心したよ。
ではキースくんと言ったかね?
今回は出資先である財団Xに免じて君を見逃してあげよう。
だが、次また下らない事をしに来たら...君の命は無いと思った方がいい。」
琉兵衛は死刑宣告のようにキースに言い放つ。
「いつか、後悔するぞ....私を選ばなかったことを」
そう言うとキースは部屋を出ていくのだった。
「重ね重ね申し訳ありません。
今後、このような事がないよう本部にも話を通しておきます。」
「構わないよ。
組織である以上、良い面ばかり揃っているわけではない。
それよりも"頼んでいた物"は手に入ったのかい?」
「はい、財団Xの本部から許可を頂きました。
こちらを貴方に渡すようにと....」
そう言って加頭は持っていたアタッシュケースを机に置くと開いて中身を見せた。
そこには透明な結晶が中心についた黒い岩の様な物質が入っていた。
「琉兵衛様、これは一体?」
「我々の計画の要となる物だ....強いて言うなら鍵だな。」
「鍵....ですか。」
「うむ、これを使うことで地球の記憶が全て納められている"星の本棚"へアクセス出来る。」
「では、これを使えばガイアインパクトが起こせるのですか?」
「いいや、まだだ足りない要素が二つある。
一つ目が若菜とクレイドールメモリの覚醒.....
そしてもう一つが難題だ"エクストリームメモリ"の解放、これが必要になってくる。」
「エクストリームメモリ....」
「そう、究極のメモリだよ。
メモリでありながら"地球の記憶"を持たない特殊なメモリだ。」
「そのメモリは今、何処に?」
「何者かに持ち出されてしまった。
だが、もうすぐ見つかる....そんなに時間はかからない。」
そう琉兵衛が言い終わると加頭から渡されたアタッシュケースを持って部屋を出ていくのであった。
「では、私もこれで......そう言えば無名さん。
冴子さんは元気ですか?」
「えぇ、最近は井坂と呼ばれる医者と一緒にいますよ。」
「.............」
その言葉に加頭は電池が切れたオモチャの様に佇む。
「大丈夫ですか加頭さん。」
「失礼......急用が出来ましたので私はこれで」
そう言うと加頭は早足で部屋を出ていくのだった。
誰もいなくなった部屋の中で、僕は先程の話を振り返る。
(加頭の持ってきたあの結晶は恐らく"クリスタルサーバー"だ。)
"クリスタルサーバー"仮面ライダーWサイクロンジョーカーエクストリームの中心部にあるパール色の部分、ここは地球上の無限のデータベースと直結している為、この形態のWは敵を一目見ただけでその敵の情報を一瞬で閲覧し有効的な攻撃を行える。
ある意味、地球の記憶と繋がる鍵とも言えるわけだ。
そして、小説版でとあるドーパントにこのクリスタルサーバーの一部が奪われてしまい、後にそれを使って若菜がエクストリームへと進化する。
そんな重要な物を財団が隠し持っていたとは.....
これもバタフライエフェクトの影響なのか。
他のガイアメモリや原点の仮面ライダーWと違いこのアイテムは完全に今までの流れを変えてしまう物だ。
これでクレイドールがエクストリーム化したらドンドンと話が変わり加速度的に進んでいくだろう。
そして、問題点がある。
まだ井坂が生きていると言うことだ。
聞いた話では井坂は獅子神の研究の実験台となっているらしい。
獅子神の研究と言えばアレしかない。
"ガイアメモリ強化アダプター"Vシネアクセルで登場したガイアメモリのパワーを三倍に強化する道具だ。
これを使い、コマンダードーパントとアクセルが強化され、アクセルは黄色くなり空を飛んだ。
僕も開発に協力したがそれは獅子神からのちょっかいを避けるためだ。
彼は僕に対して並々ならぬジェラシーがあるのか良く突っかかってくる。
今はそこまで実害は無いがいずれ出てくる可能性も否定できないので、彼に功績を与えようと僕が渡した飴だ。
それがこんなところで自分の首を絞めることになるとは.....
とは言えこのまま放置したらWは何とかなるだろうがアクセルが困ることになる。
トライアル完成にはシュラウド曰くまだ時間が必要らしく、急いでいるとの事だった。
こちらの研究も進めないとな.....
無名はそう考えると部屋を後にした。
Another side
キースは園咲邸を出ると電話をかけた。
「私だ....やはり提案は受け入れられなかった....あぁ、当初の計画通り事を進める。
....彼等の開発も急いでくれ。
それと財団から"ロストドライバー"と"ガイアドライバーⅡ"、そして私のメモリの回収を......」
キースは一通り話し終わると電話を切った。
この取引が上手く行かないことは分かっていたこれはキースにとってただの宣戦布告なのだ。
加頭とミュージアムに対して.....
風都タワーを見ながらキースは言う。
「また会おう風都よ。
次会う時は......」
「この街が地獄に変わる時だ....」
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