もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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おやっさんを尋ねて来た男、尾藤(びとう)
尾藤は10年間刑務所にいて出所したらおやっさんが"調べていた物"を渡す予定があったらしい。

これをおやっさんが残した仕事と思った翔太郎は代わりに受けることにした。

ナイトメアドーパントの事件以降、フィリップの顔が優れない。

この事件がフィリップにとって良い刺激になると良いそう翔太郎は考えて早速、依頼の調査を行うのだった。


第八十五話 風を運ぶB/変身不能

「"野獣人間"ですか?」

「そう、10年前に風都を騒がしていた犯罪者よ。」

そう言って冴子が資料を見せてきた。

三十億の現金を輸送していた車を襲い盗んだが、それ以降活躍しなかった過去の犯罪者。

 

その正体は有馬建設の社長である有馬丸男(ありま まるお)とその妻、有馬鈴子(ありま すずこ)が共謀して起こしたメモリ犯罪だった。

何故、それ以降活動しなくなったのかと言えば主犯の有馬鈴子の使うメモリが鳴海荘吉の手により隠されてしまったからだ。

 

本編でもあまり詳しくは語られなかったストーリーだが優しさと残酷さがバランス良く混ざった物語で人気の高いものだった。

彼等の使うメモリはビースト(丸男)ゾーン(鈴子)であり、現在はビーストのメモリだけ彼女らの手に

ある状況だ。

 

「それで、僕は何をすれば良いのですか?」

「実は井坂先生がこのビーストメモリの使い手に興味を示しているの。

彼の手伝いをしてあげてくれない?」

「手伝い.....ですか。」

「何か不満が?」

「いえ、ただ彼には僕はどうも嫌われている節があるので僕が行っても迷惑になるだけかと....」

「それなら、安心して良いわ。

貴方を呼んだのは他でもない井坂先生なのだから」

 

「.....そうですか。

なら、問題無さそうですね冴子様。

承知致しました。」

「ありがとう。

井坂先生は先に待ち合わせ場所のバーに向かってるわ。

私と若菜も準備が出来たら合流するから.....」

そうして、僕はリーゼと共に野獣人間に会いに行くのであった。

 

 

 

風都のとあるバーで恰幅の良い男"有馬丸男"がイラつきながら酒を飲んでいた。

「仮面ライダーだか何だか知らねぇが俺の邪魔をするたぁ....あー、イラつくぜどっかで暴れまわってやろうか。」

「それは止めた方が良いわね。」

冴子が丸男の意見を否定する。

「あぁ?綺麗なお嬢さん達が俺みたいな野獣に何か用か?」

「私じゃなくてあの人が用があるのよ。」

そう言うとバーでピアノを弾いていた井坂が立ち上がり丸男に話しかける。

「貴方の使うメモリに興味がある。

良ければお手伝いしましょうか?"熊狩り"を」

 

丸男が探しているのは鈴子が使っていたガイアメモリの"ゾーン"である。

そして、このゾーンメモリは今、荘吉の別荘にある木彫りの熊の中に入っている。

大切なメモも添えて......

丸男との話が終わると無名は井坂に尋ねた。

「貴方が欲しているのは本当にビーストのメモリですか?」

「どう言うことでしょう?」

「ビーストが欲しいなら力ずくで奪い取ることも出来る筈です。

それをせず木彫りの熊を探そうとして居る辺り、目的は別にあるのではありませんか?」

 

「貴方は随分と人間観察が得意なようだ。

そうです。

私が欲しているのはもう一人の共犯が持っていたであろうメモリです。」

「空間を操り何処でも好きに移動させられる力を持つそうです。」

「その情報は何処から?ミュージアムが情報を提供したのですか?」

「私には貴方達以外にも協力してくれる仲間がいるのです。

それはその人達が集めた情報です。」

 

「成る程、それで僕を呼んだ目的はそのメモリの回収を手伝うことですか?」

「えぇ、恐らくは野獣の男と仮面ライダーと私達の三つ巴になりそうですからね。」

そう言う井坂の目はこれから起こるであろう戦いを楽しみにしていた。

「そう言えば.....その小さなケースには何が入っているのですか?」

「ミュージアムが"新たに開発したメモリ"ですよ。」

「それは大変に興味深いですねぇ...中を確認しても?」

 

「それよりも木彫りの熊を探すのが先決ではありませんか?

ここで道草をくってはメモリを手に入れられない可能性もありますよ。」

井坂は口に手を当てて熟慮している。

どちらが自分の好奇心を満たしてくれるのかを.....

「木彫りの熊を優先しましょう。

新作のメモリはお楽しみにしておきます。」

 

 

そうしていると井坂は翔太郎達のいるコテージにたどり着きそこで木彫りの熊を持っている尾藤を見つけた。

「思ったより早く見つかりましたねぇ....

では行きましょうか無名君。」

「Weather」

「Demon」

そうして二人はドーパントに変身すると木彫りの熊を回収しに向かうのだった。

 

「クソッ!何で変身しねぇんだフィリップは!」

井坂により凍らされかけた尾藤を助ける為、翔太郎は生身でウェザードーパントとデーモンドーパントに対峙していた。

理由はフィリップが何故か変身を拒否したからだ。

理由を聞こうにも答えない。

「何をしているのですかねぇ?」

ウェザーはそう言いながら翔太郎に攻撃を仕掛ける。

無名はその光景を見ていた。

「おや?手伝わないのですか?」

「変身してないのなら貴方一人で勝てるでしょう?

僕は見学していますよ。」

そんな話をしていると翔太郎と井坂の間に"リボルギャリーが割り込み中からフィリップが姿を現す。

 

「フィリップ、テメェ一体どう言う....」

「ファングジョーカーだ!僕達がWになって戦うにはファングジョーカーしか方法がない。」

「あ?どう言うことだ?」

翔太郎はフィリップの言葉に疑問が浮かぶがゆっくり考える時間など無いのでフィリップの進言通り、ファングジョーカーへと変身する。

 

『「変身」』

そして、フィリップの体をベースにWファングジョーカーへと変身が完了するとそのまま井坂に向かっていく。

しかし、何時ものWと様子が違っていた。

ファング部分から電気が走り左右の力のバランスが取れない。

『ぐっ!またかフィリップの力が強すぎて抑えられねぇ』

「僕の体を使ったファングジョーカーでも駄目なのか!」

強すぎるフィリップの力を抑えながら動くのに精一杯で、井坂にろくな攻撃を行えない処か逆にダメージを受けてしまう。

 

「おやおや、不調ですか。

よろしければ診察して差し上げましょうか?」

Wを井坂が捕まえると炎熱で焼きながらそのまま遠くへ投げ飛ばす。

『クソッ!フィリップ、マキシマムだ。』

「無理だ翔太郎!今の状態の僕達ではマキシマムは...」

『んなこと言ってる場合か!やるぞフィリップ!』

「分かった。」

フィリップは翔太郎のその言葉に従いファングメモリを三回弾く。

 

「FANG MAXIMUMDRIVE」

 

Wの右足に刃が付くと飛び上がった。

 

『「FANG STORIZER(ファングストライザー)」』

 

二人の必殺のキックが井坂に放たれるがその軌道は安定せず的はずれな方向に着地すると二人の変身が解除された。

目を覚ました翔太郎が立ち上がる。

「どう言うことだ?何でいきなり変身解除したんだ?」

それに愕然としながらもフィリップが答える。

「僕の強くなった力に君が追い付けていないんだ、翔太郎...だから変身が解除された。

Wは二人の息と力が合わさることで変身できる...僕の体を使ったファングジョーカーでも無理なら、通常のWへの変身は不可能だ....」

 

 

「つまり....それって....」

翔太郎は呆然としながらフィリップの結論を聞いた。

「僕達はもう...."W"になれない。」

フィリップのその言葉に翔太郎は言葉を失うのだった。

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