もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第六話 Nとの邂逅/死人のダンス

額を撃ち抜かれた無名が立ち上がり話し掛けてくる光景に皆が騒然としていると京水が克己に尋ねる。

 

「どう言う事、克己ちゃん?あの子もNEVERだったの?」

その問いに無名が答える。

「いえ、僕は歴とした人間ですよ。

死体じゃないし、酵素も打ってません。」

「なら、どうして?

あんた!頭に穴が開いてるのよ!」

 

「穴?...あぁ"これ"の事ですか?」

すると、無名の頭に黒い炎が現れ消えると頭の傷や血まで無くなっていた。

「あっ.....がっ....」

京水の顎が外れるかと思う程、大きく開けて驚いていると無名が説明をする。

 

「ガイアメモリの強さはメモリの品質以外にも使用者との適合率が大きく関係してきます。

そして、適合率の高いメモリを使い続けると身体も変異し能力に目覚める"個体"も出てくる。」

 

「貴方の恐れている人物が良い例ではありませんか?」

園咲 琉兵衛はメモリとの適合率の高さからメモリを使用しなくても相手に恐怖の感情を植え付けて洗脳する事が出来たりなど出来る。

 

「まぁ、ガイアメモリの副作用とでも考えてください。」

 

「それで....生き返ったお前はどうする?

また俺達に殺されるか?」

克己は警戒しながら尋ねるとキョトンとした顔を無名はする。

「僕を"殺せる"とまだ思っているんですか?

それどころか"自分達"がこのまま無事でいられると?

.......あははははははは!」

 

無名の笑いが部屋に木霊する。

自分以外の仲間が全員殺されたと言うのに笑う無名に恐怖にマリアは恐怖を覚えた。

 

無名はポケットからメモリを出すと起動する。

 

Demon(デーモン)

 

そして、メモリを刺し怪人へと姿を変える。

「良いでしょう死ぬことを拒絶する愚かな死人達よ。 精々、楽しく踊ってください。」

無名はNEVERに悠然と向かっていくのだった。

 

 

芦原が持っていた銃で無名に発砲するが全くダメージが無いことか分かると、今度は堂本が金属の棒で打ちすえようとする。

それを最小限の動きでかわすと棒を掴み堂本を持ち上げ地面に思いっきり叩きつけた。

堂本の首が折れているのだろうが呻きながらも無名を睨み付けている。

 

「話には聞いてましたが本当に死ねないんですね。

.....でも"意識"を失わせれば人間と変わりませんよね?」

そう言って堂本の頭を踏みつけて意識を奪う。

 

「お痛が過ぎるわよ。

そんな子にはお仕置きよ!」

その光景を見た京水が憤慨し持っていた鞭で無名を狙うが逆に鞭を捕まれて引き寄せられるとその鞭で縛り上げられてしまう。

 

「あん!....随分と強引な"攻め"をするのね。

でも嫌いじゃなっ!」

最後まで話す前に顔面に一撃、京水は沈黙した。

「すいません。

"キャラ"的には好きなんですけど目の前で言われるのは中々、キツかったです。」

原作の記憶がある無名故の謝罪を意識の無い京水に言うが、そこを芦原の放った銃弾が襲う。

 

しかし、今度は黒炎を放ち放たれた弾ごと芦原を包み込む。

炎を消そうと転げ回るが消える気配はない。

「その炎はいくら動いても消えませんよ。

"痛み"だけ残る様に調整したので早く気絶することを勧めます。」

いくら、不死のNEVERと言えど永続的に続く激痛に肉体は耐えられても精神は耐えられず意識を失い動かなくなった。

そして、それを確認すると芦原を包んでいた炎が消える。

 

「後は貴方だけですね大道 克己。」

傷1つ無く自分以外のNEVERを制圧した無名に銃では対応できないと使い慣れたナイフに持ち替える。

「俺も大概だが、お前程の怪物は流石に反則だろ?」

「では、降参していただけますか?

そちらの方がこっちも助かりますが...」

 

「はっ!嘗めるな。

俺はお袋の作った最高傑作の兵士だ。」

「"知らない雑魚"がやられたところで問題はない。」

そう言うとナイフを逆手に持ち克己は無名へと向かっていくのだった。




Another side

無名がガイアメモリを使い怪人の姿に変貌すると次々とNEVERのメンバーを無力化していき残ったのは息子の克己ただ一人となっていた。

克己はナイフを使い果敢に攻めていくが無名はそれを避けるばかりで一向に反撃しようとしなかった。
その行動にマリアは疑問を持ったがその答えは克己の異常で分かることになる。

克己の動きが止まり頭を抑え出した。
「克己!どうしたの?」
私の声に克己は振り向くと
「"あんた"....誰だ?」
予想外の言葉に頭が空っぽになる。
「え?」

「思ったより早く"効果"が出ましたか。」
無名の台詞にマリアは飛び付いた。
「どう言う事!克己に何をしたの!」
絶叫に近い声で無名に尋ねると彼は平然と答えた。

「メモリとの"同期"を切っただけですよ。」
「前に穴の空いたコップで説明しましたよね?
落ちる(記憶)ホース(メモリ)で戻すのがこの酵素の力だとそしてそれを可能にするために酵素の中にメモリの記憶の同期や効果を安定的に供給する"生体ナノマシン"を入れた。」
「僕が頭を撃たれる前に時間差でメモリとの同期が切れるように細工をしておいたんです。」

説明された内容を理解したマリアは疑問に思った。
同期を切ると言う事は昔と同じ酵素の効果に戻るだけなのに克己は自分が何者なのか理解出来ないでいたのだ。

「それだけじゃないでしょう?
克己のあの状態は同期を切っただけでは説明がつかないわ。」
「流石は研究者ですね。
視点が素晴らしい。
その通りです同期を切ったのは"克己さん"だけです。
そして、他の方の同期は切っていない。」

ガイアメモリは普通のUSBと違い容量が桁違いに高い。
その中でもメモリーメモリは記憶を力を内包しているため容量は強化されていた。
(劇場版でラスボスを生み出せたメモリだ。
何故、ここまで強力なプロダクトメモリなのか恐らくこの力がミュージアムの目的とは噛み合わなかったからだろう。
だからこそ琉兵衛もそこまで気にすること無くメモリをくれたのだろうが)

話を戻すと、今回の実験においてNEVER全員の記憶をメモリ一本に集約しそこから分けて同期をしている。
つまり、同期を切っても記憶の伝達は続いているのである。

「つまり、今の克己には他三人の記憶が絶え間なく流れている状態なのね?」
「えぇ、それも記憶を失いながらね。」

先程、メモリは水を送るホースだと言ったが正確には味の違う飲み物を分けて流しているホースなのだ。
その仕組みを切るとどうなるか。
色々な味の(記憶)が混ざり合いコップに入っていく。
コップの容量を無視して絶え間なく.....
例え穴から抜けていくにしても限度がある。
ここで言う限度とは大道克己を形成する人格の耐久力を意味する。

事態を理解したマリアは無名に詰め寄る。
「同期を切るのを止めてこのままだと克己が克己で無くなってしまうわ。」
「僕を裏切った貴方達がそれを言いますか?」
「....本当にごめんなさい。
謝って済むことではないわ。
貴方の研究には全面的に協力する...だから」

「それを信じろと?」
「貴方にNEVERの"研究データ"と"酵素"も全て提供するわ。
それでも足りないのなら"NEVER"を貴方の好きに使って良い...だからお願い息子を私から奪わないで!」

傲慢で狂気に満ちた愛情...だからこそ大道克己はNEVERとなり"仮面ライダーエターナル"...風都最大の犯罪者と呼ばれることになったのだろう。

克己を見ると膝から崩れ落ち口からヨダレを流している。
恐らく記憶と人格の大きさに脳がオーバーヒートを起こしたのだろう。
(これ以上は危険だな。)
無名は身体からメモリを抜くとマリアに話し掛ける。

「マリアさん改めて取引をしましょう。
こちらの要求は僕の研究への全面協力、NEVERのデータと酵素の譲渡、そして傭兵集団NEVERへの優先取引権...取り敢えずこれだけで充分です。」

「代わりに此方はNEVERの記憶が入ったメモリーメモリを貴女に渡しましょう。
同期を切れる装置は僕の手にあるままですが、少なくとも園咲琉兵衛の手に渡さないことは約束します。」

無名から提示された条件をマリアは断る術を持っていなかった。
実質、自分の全てを差し出す契約.....
だが、それでも愛する息子を守るためには仕方がない。
正しく"悪魔との取引"だ。


そして、無名は風都を地獄に突き落とす死神(仮面ライダーエターナル)を手に入れたのだった。

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