フィリップとの変身が解けた時、フィリップ自身が言った事が頭の中を反芻している。
俺が...フィリップについていけていない。
変身できないなら俺は何なんだ?
Wで無くなった
"価値"はあるのか?
目を覚ました翔太郎は辺りを確認しようとして身体が痛み動きが止まる。
そこに一人の青年が現れた。
「まだ、動かない方がいい....見た目よりも傷が深いですから」
翔太郎はその顔に見覚えがあった。
「アンタは....確か事務所に来てたよな?」
「えぇ、無名と申します。
....貴方にはこちらを見せた方が分かりやすいですかね。」
そう言うと青年は金色のメモリを翔太郎に見せた。
翔太郎はそれで察すると身体を無理矢理に起こす。
「テメェは!デーモンって名乗ってたドーパント。
と言うことは組織の幹部か?」
「えぇ、その通りです。
それよりも余り、貴方に動いて欲しくないんですが。
折角治療したのに、それを台無しにされるのは困ります。」
翔太郎は無名にそう言われると自分の身体を確認する。
確かに身体には簡易的ながらも治療された痕跡があった。
「まぁ、ドーパントから受けた傷は自然治癒でしか治せませんから、あくまでやったのは傷口の消毒と止血ぐらいですがね。」
「何でお前は俺を助けたんだ?」
「そうですね.....気紛れ+レンタル料と言った所ですね。」
「レンタル料?」
無名は翔太郎の疑問に答えるように指を指した。
そこにはケーブルで組織の使うドライバーと繋げられた翔太郎のスタッグフォンがあった。
「先程の落下でドライバーの回路がショートしてしまいましてね。
それを治すために貴方の携帯をお借りしているんですよ。」
「随分と好き勝手してくれてるな。
今すぐWになってテメェを...」
そう言いかけて翔太郎はWドライバーを取り出すのを止めた。
「どうしました?変身しないのですか?
それとも"変身出来ないこと"を思い出したのですか?」
無名のその言葉に翔太郎は怒りを現す。
「テメェ!....うぐっ。」
しかし、身体の傷が響いたのか動きが止まった。
「あまり、無茶はしない方がいい。
貴方にはこれからまだまだやることがある筈ですから...」
「それは...どういう意味だ?」
「別にこちらの話です。」
無名とそこまで話すと暫しの沈黙が流れた。
そしてそれを破ったのは翔太郎だった。
「なぁ、お前がおやっさんの木彫りの熊を持ってるのか?」
「.....それ敵である僕に普通聞きます?
真面目に返す確証も無いでしょう。」
「それもそうだが....お前は井坂に頼まれてその熊を探してるんだろ?
お前自身の目的じゃないなら言うかと思ってな....」
自信無さげにそう言う翔太郎であったが、無名は内心ではその洞察力の高さに驚いていた。
だから、彼に真実を伝えることにした。
「僕は持っていませんよ。
恐らく下流の方にまで流されたんじゃないですかね?
あの中身に興味を持っている人は多いですから...」
「中身.....どう言うことだ?
アンタは中に何があるのか知ってるのか?」
そこに、無名は指を出しながら話す。
「問1,風都を騒がせていた野獣人間の正体は?」
「は?」
「クイズですよ。待ってる間、暇ですから貴方の疑問にクイズで解答します。
正解したらこの事件の情報を1つ教えます。」
「......分かった。答えは有馬丸男だ。
「正解です。
彼はメモリの力を使って強盗事件を起こしました。
"30億事件"と巷で言われているものです。」
30億事件....確か30億を積んだ輸送車が襲われて消息をたった事件だった筈だ。
まだ、おやっさんが生きていた頃の古い事件だ。
「では、次の問題。
問2,その事件では野獣人間の他にもう一人共犯者がいたそうです。
その人はガイアメモリを使っていたでしょうか?」
「答えはイエスだ。
勘だが二人で事件を起こすならお互いドーパントの方が都合が良さそうだからな。」
「またしても正解です。
そのメモリには"空間を指定して移動できる力"があります。」
「問3,その事件で鳴海荘吉は関わっていましたか?」
「どう言うことだ?何でそこでおやっさんが出てくる?」
「質問に答えてください。」
翔太郎はそこで少し考えると答えを出した。
「これもイエスだ。
尾藤さんは昔のおやっさんの依頼人だ。
そして、尾藤さんの仲間に丸男がいた。
関わっていても不思議はねぇ」
「正解......
荘吉はこの事件でそのドーパントと戦いメモリを奪い取りました。
しかし、メモリブレイクは出来なかった。」
「おやっさんが....メモリを壊さなかった?」
おやっさんが、仮面ライダースカルとして風都を守っていたのは知っている。
フィリップに聞いた話だと昔はメモリの安定性が不確実でしかもメモリブレイクしても使用者を殺してしまうことしか出来なかったらしい。
そんなおやっさんがメモリを壊さなかったと言う事はそいつは死んでない....いや殺せなかったってことだ。
「一体どうしてなんだ?」
「それが最後の問題です。
問4,何故、荘吉はメモリブレイクを選択できなかったのか?」
「んなこと俺が分かるわけ無いだろう?」
「そうですね普通の人なら分かりません。
そして、フィリップでも分からないでしょう。
しかし、貴方なら分かる筈です。」
「俺なら....分かる?」
「えぇ、ハードボイルドになりきれない貴方なら...」
そう言うとスタッグフォンから音が鳴った。
「どうやら、ドライバーの修理が済んだようです。
僕はこれで失礼しますよ。」
「おい、待て...」
「左 翔太郎さん.....
貴方にとって大切なのは"仮面ライダーWの片割れである自分"ですか....それとも」
「鳴海荘吉に教えられた"探偵としての自分"ですか?」
Another side
尾藤を病院に運んだ照井とフィリップそして亜樹子は、外にいた。
翔太郎から連絡が来ないことに亜樹子は不安がる。
「大丈夫かな?翔太郎君。」
「照井竜....話がある。」
そんな中、フィリップが照井に話しかける。
「何だフィリップ?」
「僕と組む気はあるか?」
「今の翔太郎の力は弱すぎる。
君ならサイクロンの力に耐えられた...どうだろうか?」
その提案に亜樹子は驚き照井は見るからに不機嫌な顔になった。
「フィリップ....俺に"つまらない質問をするな"。
俺は俺で奴らを追う....今の話は聞かなかったことにしてやるからお前達は翔太郎を探せ。」
そう言うと照井は病院を後にする。
そこに亜樹子が怒りながらフィリップに詰め寄る。
「ちょっとフィリップ君!いくらなんでも酷すぎるよ!」
「君もさっきの戦いを見ただろう?
もう、翔太郎ではWに変身できないんだ。
"弱い今の翔太郎"のままじゃ....」
「さっきから"弱い弱い"って言ってるけどそれがそんなにダメなことなの?
翔太郎君はハーフボイルドだから翔太郎君なんだよ!」
亜樹子の言葉にフィリップはハッとした。
そうだ.....翔太郎は感情的で甘い...けどそれは僕に足りないものだ。
僕達は"二人で一人の探偵".....翔太郎がいないと僕らの目指したWになれなくなる。
シュラウドの言葉に動揺して戦えなくなった事に焦った。
そんな人間らしい感情がフィリップの考えを曇らせていた事に今更ながら気付いた。
「亜樹ちゃん....ありがとうお陰で思い出せたよ。」
「ふぇ?」
「翔太郎は不完全だ....けどそれは僕も同じだ。
だから二人で捜査して戦ってきたんだ。
僕の相棒は翔太郎だ。
翔太郎で無ければいけないんだ。」
僕達は"風都を守る仮面ライダー"だ。
敵を倒すだけの兵器じゃない。
「亜樹ちゃん翔太郎を探そう....
僕達には彼が必要だ。」
「良く分からないけどそうよフィリップ君!
翔太郎君を見つけるのよ!」
そうして二人は翔太郎を探しに山へ戻るのだった。
その光景を見ていたシュラウドは一人苛立ちを募らせる。
「何故っ.....何故理解しないの?来人。
あの男ではもうWにはなれない....それでは意味が無い筈なのに......」
「やはり、あの男は私の計画の邪魔になる。
左 翔太郎....彼を排除しなければ」
シュラウドはそう考えると陽炎に紛れて姿を消した。
その答えを知るものは誰もいない。
そして、物語が進み彼等はエクストリームメモリを手にする......
それを悪魔は心待ちにしながら
外伝 続編の投稿に関して
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