もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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シュラウドと井坂は変化したデーモンドーパントの前に手も足も出なかった。

「ぐっ....強い。
やはりエクストリームの力は強大だな。」
そう言う井坂の意見を否定する。
【それは違うな...エクストリームは言わば資格だ。
我々の力を使うための...本棚を開く鍵なんだよ。】

「貴方の目的は何?....私達を...この世界をどうするつもりなの?」
シュラウドが無名に尋ねた。

【別にどうもしない...私は自分の楽しみのためにここに存在している記憶だ....今の君なら理解しているのだろう地球の力の本質を】
「まさしく、悪魔と言うわけですか。」

【ふふっ....君にそう言われるとは....皮肉が聞いているな井坂 深紅郎。
やはり君は"何時あってもユーモアがある"。】
そうしてWの方を見ると丁度、偽物のデーモンドーパントと戦っていた。

【どうやら、彼方も終わりそうだな。
"余計な証拠"を残さないためにも処分しておこう。】
「待ちなさい!.....」
シュラウドがそう言って追いかけようと身体に力を加えるが動くことが出来なかったまるでメモリその物に抑えつけられている様だった。

【また、会いましょうシュラウド、井坂。
まだまだ楽しませてください....】


【"貴方達の物語"を.....】


無名がそう言ってその場を後にした直後、強烈な睡魔が二人を襲う。
無名の力だろう....意識を失う直前、シュラウドは手を伸ばしながら無名のいる場所を掴もうとする。

「ま....ちな....さ....い。
ゴ.....エ.....ア。」
ようやく思い出した無名の中に存在する者の名前を呼びながら意識を失った。


第九十一話 Dの本性/動き出す悪魔

無名が目を覚ますとそこは真っ白な空間に本棚がある場所だった。

原作でウンザリする程見た地球の本棚(ほしのほんだな)だった。

 

【目が覚めたようだね。無名君。】

そう言って現れたのはデーモンドーパントの姿をした謎の人物だった。

「貴方は....一体?」

【そうだね..先ずは自己紹介からしようか。】

そう言うとデーモンドーパントは元の人間の姿に戻ったが無名と瓜二つの姿をしていた。

違うのは瞳が赤色だった点ぐらいだ。

 

「僕が.....もう一人?」

【君の活躍は見させてもらったよ。

実に素晴らしい、これまで"数千とやり直してきた"が君の行動はそのどれとも当てはまらない。

ゲームっぽく言えば新ルートを開拓した気分だよ。】

 

「やり直し?....君は誰なんだ?そもそも何で僕が地球の本棚に入れるんだ。

ここに入れるのは地球の意思とリンクした人物で無いと不可能な筈だ。」

【答えてあげても良いんだが....それでは面白くないなぁ....そうだゲームをしよう。】

「ゲーム?」

【そうだ。】

そう言うと僕の目の前に本棚が現れる。

そこには表紙が真っ黒に染められた本が揃えられていた。

「これは?」

【私の記憶を封じ込めた本棚だよ。

ここに全ての真実が記されている。】

僕は本棚に触ろうとするが謎の力に弾かれてしまう。

 

【あっはっは....だから言っただろうゲームだって

中身を知りたいのなら問題に正解しないと...】

すると、本棚の前に文字が浮かんでくる。

 

《地球とは何か?》

そう書かれていた。

【この問題の答えが分かったらまた来ると良い....

そうしたら真実と君にちょっとした力を分けて上げよう。

それじゃあまたおいで.....】

指を弾くと無名の立っていた地面が失くなり落下する。

落ちていくなかで赤目の無名が言った。

 

【今日は気分が良いから1つだけ君に教えてあげるよ。

私の名前だ....とは言え全部含めたら数百は下らないから一番お気に入りな名前を教えて上げよう。】

 

 

 

【私の名前は"ゴエティア"。

原初の悪魔と呼ばれる者だ。】

 

 

 

 

 

目を覚ました無名はベッドの上にいた。

「一体....あれは?」

"ゴエティア"と言った自分と瓜二つの存在。

夢だとは思えない...とすればコイツは何者なんだ?

 

無名はデーモンメモリを見つめるが分かることはなかった。

携帯を手に取り時間を確認しようとすると琉兵衛からの着信があることに気付いた。

直ぐに無名は折り返す。

 

「申し訳ありません琉兵衛様。

何か御用でしたでしょうか?」

「.....実はミュージアムで保管していた"例の物"が突如消えてしまってね。

所在を調べているところなのだよ。」

「例の物....ですか?」

「何か知らないかね?

君がその時、井坂君と行動したのは知っている。

冴子からも確認したからうたがってはいないのだが、

何分、帰ってきた時にミュージアムの構成員を連れていったと聞いたのでね。

私はその事を聞いてなかった....何をしていたのか聞かせてもらえるかな?」

 

(僕が構成員を連れていった?

そんな覚えはない....と言うよりも僕の記憶ではビーストに吹き飛ばされて以降の記憶が無い。

やっぱりその後に"ゴエティア"が何かしたのか?)

 

無名はそう考えて辺りを見回すと1つの資料の束を見つけた。

表紙には新開発のメモリについて書かれている。

 

(これを使えと言うことか?

信用したくはないがここで琉兵衛に疑われる危険は避けたい。)

僕はその資料を見ながら琉兵衛に言った。

「新開発したメモリの稼働実験を行っていたんです。」

「.....ほぅどんなメモリだ?」

 

「フェイクメモリです。

能力は触れた他者をコピーして擬態する。

ダミーメモリと類似点はありますがこちらは自分をコピーした相手だと錯覚する傾向があります。

一般販売としては向かないメモリですが、僕をコピーさせた結果、能力の差違はほぼありませんでした。」

 

「ゴールドメモリでもコピーできたのか?」

「はい、しかし時間も短時間でしたので検証の余地は残っています。

新しいWに倒されてしまいましたから.....」

「新しいW?」

「はい、鳥型のガジェットにより変身した新たな形態にビースト、ゾーン、フェイクメモリ使用者は全員やられてしまいました。」

 

「井坂くんの求めていたメモリの持ち主とも戦ったのか。

彼からそのWの事は報告は受けていたが、随分と強くなったものだな。」

「分かった無名....悪いが君には直ぐに我が屋敷に来てもらいたい。

そこで、今後について話し合おうじゃないか。」

 

「承知いたしました。

直ぐに向かいます。」

無名は電話を切ると着替えて園咲邸に向かうのだった。

 

 

 

 

 

Another side

 

井坂はWがエクストリームに変身した現場にいたことを思い出していた。

そして、その違和感に頭を悩ませる。

(何故、私のそこから先の記憶が無いのでしょう?

エクストリームの戦闘を見て満足した...有り得ない。

となると、有り得る可能性は)

 

「エクストリーム以上の"何か"と私が対峙していた。」

 

それば何かまでは分からない....ソイツから攻撃を食らったのかもしれない。

だとすれば警戒する必要がある。

(やれやれ....本当ならばあのメモリを奪いに行こうと思っていたのですがね。)

 

井坂は手にする筈だったメモリを思う。

"ケツァルコアトルスメモリ"....琉兵衛に勝つために手に入れる予定だったゴールドメモリ。

しかし、そんなトラブルがあっては今動くのは得策ではない。

(仕方ありませんが....今はこちらで我慢しましょう。)

そうして、井坂が持っていたのは獅子神から提供された銀色のアダプター。

 

そう、Vシネアクセルでコマンダードーパントやアクセルが使用した"ガイアメモリ強化アダプター"であった。

その実験に参加できるようになり、漸くこれを手に入れることが出来たのだ。

(ガイアメモリの出力を三倍にする装置.....素晴らしい。

だが、私が使うには少し力が足りませんね。)

 

そう言うと井坂はアダプターを持って冴子のいるディガルコーポレーションを尋ねた。

 

冴子は井坂を見ると仕事を止めてこちらに近づいている。

「井坂先生、珍しいですね。

私の会社にまで来てくださるなんて....何か御用ですか?」

「えぇ、実はこのアダプターの事なんですよ。」

そう言って井坂は冴子にアダプターを見せる。

「これは獅子神と開発している装置ですよね?

これを何故?」

 

「私に合わせて改造して欲しいのです。

もっと強く.....ね。」

「強く.....ですか?」

「えぇ、実は最近、手強い相手と遭遇しましてね。

そいつを倒すためにはメモリを吸収するだけでは足りないと思ったのです。」

(新しいWの事ね。)

新たな形態のWの事は無名から送られてきた報告書で聞いていた。

「分かりましたわ。

早速、無名に命じて作らせます。

どんな強化をしたいのか聞きたいのでオフィスでは無くホテルで話をしませんか?」

冴子の問いに井坂は答える。

 

「良いですね.....じっくりと話し合いましょう。」

そう言うと井坂と冴子は会社を出て車で何処かへ消えていくのだった。




Another side

シュラウドは完成したアクセルの新しいメモリ"トライアルメモリ"を持ちながらあの時の事を考えていた。

(何故、私はあの時の記憶が無いの?)
それは左 翔太郎と来人がエクストリームを手に入れてから後の短い時間の記憶....それだけがシュラウドの記憶からスッポリを抜けていてのだった。

(まさか、メモリの不調かしら?)
シュラウドは自分の胸に手を当てた。
シュラウドは琉兵衛から受けたダメージから逃れるために"とあるメモリ"を使っていた。
それが今のシュラウドを形成しているのだが、
それに何かのバグが起きたのかと身体の検査を始めた。

包帯を取るとその顔は大道マリアとそっくりだが顔の周りを黒い染みが動き回っていた。
これは琉兵衛から受けた恐怖のエネルギーと私のメモリによる副作用.....このダメージのお陰で私は今も生き長らえている。

身体にコードを着けて確認するが特に変化はない。
本当ならメモリを出して確認するのだが、そんな事をすればシュラウドは死ぬことになる。
この身体にあるメモリはもう抜くことは出来ない。

復讐を完了するまでは......

復讐と言えば最近の照井竜は期待ハズレな行動ばかりしている。
やはり、甘い奴(翔太郎)のいる空間で腑抜けたのが原因なのかしら?

(一度、確かめる必要がありそうね。)


そうシュラウドは考えるとトライアルメモリの最終調整を行うのだった。

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