色とりどりの夢と希望   作:AtR

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今回は本編からほんの少しだけ話が逸れたサイドストーリー的なお話となっております!それではどうぞ!!


犬猿の仲/演技の天才現る

 

 そして翌日の放課後。今日も同好会の練習をするため侑さん達と集まる約束をしている

 

 肝心のかすみはというと、家を出る前に連絡を送ると落ち込みは回復してたっぽいので……まぁ大丈夫だろう。

 

 そんなことを思っていると……

 

 

「あ、おーい! シグ助ー」

 

「お、あの様子だと大丈夫っぽいな」

 

 オレは待ち合わせ場所で待ってるかすみを見つけ、かすみと目が合うとかすみは駆け足でこちらへとやってきた

 

「ごめんね? 昨日は最後あんな感じになっちゃって……」

 

 かすみは昨日の事に対してオレに謝ってきた

 

「別に気にすることじゃねえよ。それよりお前こそ大丈夫か?」

 

「うん! ……けど、これからどうしよう……?」

 

「それに関しては……歩夢さんには自己紹介をゆっくり自分のペースでやって貰えばいいだろ。まずは3人と合流しねーと……」

 

 かすみとそんな話をしていた時だった……

 

「あ、お前ら……」

 

 突如後ろの方から声が聞こえてきた……なんか嫌な予感がするんだが

 

 恐る恐る声のする方へ振り向いてみると……

 

「……げっ……」

 

「うん? あ、雷蔵じゃん!」

 

 予想通りこの世で1番会いたくない男が目の前にいた

 

「おう、久しぶりだなかすみ。そしてそこのエロガッパはどうしたんだ? 森で見つけたのか? 早く政府に連れていった方がいいんじゃねぇか?」

 

「おー。お前みたいなおバカさんでも政府って単語を知ってたんだな。どうだ? 人間の言葉は難しいだろ?」

 

「あ? んだとテメェ……? やんのか?」

 

「いやいや。お前なんかに構ってる暇はない、さっさとオレの目の前から消えてくれ」

 

「あーもう! 2人とも喧嘩しないの!」

 

 やっぱりこいつの事嫌いだわ、あームカつく

 

「雷蔵もいきなり喧嘩売らないの!」

 

「チッ……めんどくせ」

 

 かすみが雷蔵と呼ぶこいつは 鳳雷斗。オレたちと同じく中学から一緒の男だ。

 

 ご覧の通りオレとこいつは死ぬほど仲が悪い、オレとこいつが会ったら口論しかしてないんじゃないか? ってレベルだ。

 

 ちなみにこいつは歌を歌ってて父親が大物歌手で父親を継いで歌を始めたらしい。親が音楽に関わってるって点は鈴音さんに似てる……いや、こんなゴミクソと鈴音さんを一緒にしちゃいけねぇな

 

「雷蔵も久しぶり! 元気してた?」

 

「いや、別に普通だ」

 

 ちなみにこの2人、普通に仲がいい。まぁかすみは誰とでも仲良くなれそうな性格してるしな

 

 ……ほんとムカつくなこいつ

 

 まぁそんなことはどうだっていい。こいつさっき話しかけてきたけどなんか用でもあるのか? 

 

「そうだ、かすみに聞きたいことがあるんだけどよ」

 

「どうしたの?」

 

「おい、オレを無視すんなよ」

 

「てめぇに聞いてもろくに答えねぇだろ」

 

「正解。だってオレお前の事嫌いだもん」

 

「殺すぞ」

 

「上等だやってみろよ」

 

「あー! だから喧嘩しないでってば!」

 

 またもや一触即発しそうな所をかすみに止められた。かすみがいないととんでもない事になりそうだからな、助かる

 

「それで、雷蔵はかすみん達に何か用?」

 

「あー……お前ってスクールアイドル同好会に入ってるんだろ?」

 

「あ……それなんだけど、実は廃部になっちゃって……」

 

「なっ……マジか!?」

 

 いつの話をしてるんだろうか……と思ったが侑さん達も知らなかったみたいだし、それが普通なのか

 

 てかこいつ同好会になんの用だよ。

 

「ちょっと色々あって……それで同好会になんの用なの?」

 

 ちょうどオレが疑問に思っていたことをかすみが尋ねてくれた

 

「いや……優木せつ菜に話があってさ」

 

 

 ……は? 

 

 今なんて言ったこいつ

 

「え、せつ菜先輩に話があるの?」

 

「ちょっとな……どこにいるか知ってるか?」

 

「うーん……かすみん達も連絡取れないから分からないんだよねー」

 

「そっか、じゃあしょうがねえな……」

 

「知ってても教えるわけねぇだろ」

 

「あ? てめぇに聞いてねぇだろ馬鹿か?」

 

「馬鹿か……お前みたいな脳みそスッカラカンに1番言われたくない言葉だな……」

 

「よし決めた。殺す」

 

「あーもう! だから喧嘩禁止!」

 

 ダメだ。こいつと話したら絶対喧嘩になる、そしてかすみに止められる。何回やるんだよこれ

 

「はぁ……あ、そうだ。おいかすみ、もう1つ聞きたいことがあったんだけどよ」

 

 おいおいまだあるのかよ、早くどっかに消えてくれ頼むから

 

「まぁこれはかすみの事なんだけどな」

 

「え、かすみんの事?」

 

「ああ、昨日の自主練の途中落ち込んで歩いてるお前の姿を見かけたからさ……何かあったのか?」

 

「昨日……あー……あれは……」

 

 恐らくオレと別れた後のことだろう……あいつもあの辺にいたのか

 

「実はこれも同好会のことなんだけど……色々あって……」

 

 かすみはバツが悪そうにしている。まぁ昨日の出来事は他人には話しずらいよな

 

 

「……まぁ話したくないなら無理には聞かねぇよ」

 

 話しずらそうにしてるかすみを見て引き下がったようだ。どうやらこんな奴にも人の心があったみたいで少し安心した。

 

「ただ、1つ言わせてくれ。誰に何を言われたとか……失敗したとしてもそんなの気にすんな。かすみのやりたいようにやればいい。やりたいようにやっときゃ、正しい答えも見つかるだろ」

 

「雷蔵……」

 

 なんか偉そうに言ってるが……今言ってくれたことはかすみにとっては良い励ましになっただろう。昨日の件で自分のスクールアイドルとしてのあり方に少し自信を無くしてただろうからな

 

「それじゃ俺は行くからな」

 

「あ! 待って……!」

 

「あ、なんだよ?」

 

「雷蔵、励ましてくれてありがとね!」

 

「……まぁ俺は特に何もしてないけどな……おいエロガッパ、お前とはもう二度と会わない事を祈ってるぜ」

 

「こっちのセリフだわゴミ野郎が」

 

 かすみにお礼を言われそのまま去ると思えば最後にオレに突っかかってきやがった。あいつやっぱり許さん

 

 ……けど、かすみを励ましてくれたことは感謝してやるよ、お前の事は大嫌いだけどな

 

 

 とは言え肝心の事は何も解決してないんだけどな……

 

 ──

 

 国際交流学科の教室前

 

 

「ふぅ……今日は演劇部もお休みだしどうしようかな……って、あれ?」

 

 放課後の予定についてどうしようかと思って携帯を開いたらエマさんから連絡が来ている事に気づいた

 

 内容はどうやらエマさんの友人が同好会のことについて何かわかったから来て欲しいとのこと。今日はこれから何も用事はないのでその返事を受け入れた。すると待ち合わせ場所を指定されそこで会おうと返信が来たので私はその場所に向かうことにした時……

 

「おい!!」

 

「へっ?!」

 

 突如後ろの方から荒々しい声で呼ばれたので驚きつつも声のするほうを振り向いた

 

「……なーんて、びっくりした? 俺だよ〜!」

 

「な、なんだ九十九君だったんだ……もう、びっくりさせないでよ」

 

「えへへ、ごめんごめん」

 

 振り向いてそこにいた人物は私と同じ国際交流学科であり演劇部の1年生、九十九詩杏君であった

 

 先程荒々しい声で私を呼んだ人物は九十九君で間違いない、しかし今目の前の九十九君は明るく柔らかい声で話している

 

 これがどういうことかというと、単刀直入に言えば九十九君は演技の天才なのである。

 

 演者には色々なタイプがあり、演じてる内に役と自分を徐々に近づけていくタイプ。役を分析しながら細かく真似をしていくタイプなど……大きく分けるとこの2つに別れる

 

 そして演者として珍しいタイプがあり、演じる役を自分に憑依させるタイプ……それが彼なんだ。

 

 どんな役もまるで目の前にその物語の登場人物かいるかのように完璧に演じる事ができる。それが彼……私も凄く尊敬してるんだ。きっとさっきのも何かの物語の登場人物の演技なんだろう

 

「ついついからかいたくなっちゃったんだよね〜。てへっ」

 

 普段の九十九君は見ての通りの感じで、だからこそ演技を始めた時のギャップにはいつも驚かされるんだよね……。私だけでなく演劇部の部員全員が彼を凄いと尊敬していて演劇部期待の新人なんて言われてるんだ

 

「もう、それで九十九君は私になにか用事でもあったの?」

 

「ううん、声かけたかっただけだよ。桜坂さんは何か用事?」

 

「うん、同好会の先輩に呼び出されちゃって……」

 

「そうだっんだ。あちゃー……じゃあもしかして俺邪魔しちゃった?」

 

「別に大丈夫だよ。でもさっきみたいにからかうのはやめてよね?」

 

 私は最初荒々しい演技で声をかけてきたことに対して少し注意した。だって凄くびっくりしたんだからね? 

 

「ごめんごめん、もうしないよ」

 

「約束だよ? それじゃ私は行くね」

 

「うん、また明日〜!」

 

 九十九君はそう言いながら手を振ってくれたので私も軽く振り返し、この場を後にした

 

 

 

 九十九君と別れた後、私はエマさんが指定した待ち合わせ場所に到着したので近くにあるベンチに座って待っていた。どうやらエマさんは彼方さんを呼んでくるので少し遅くなるみたい。確かこの時間彼方さんは寝てたから……彼方さんのお昼寝スポットはたくさんあるからどこで寝てるか分からないんだけど

 

「あ、そうだ。かすみさんと時雨君にも連絡しておかないと」

 

 私はかすみさんと時雨君の個人チャットにそれぞれエマさんに呼び出されたという事を送った

 

 そんな時だった

 

「あれ、もしかして……しずくちゃん?」

 

 突如名前を呼ばれた。声的に恐らく男子だろう。ただ私のことをちゃん付けで呼ぶ男子は1人しか知らない。そう思いながら声のする方を向いてみた

 

「……やっぱり、しずくちゃんだ」

 

「……鈴音さん!!」

 

 予想の通り、声の主は転校で離れ離れになった私の幼なじみである鈴音さんだった。鈴音さんの姿が視界に入った時、私は嬉しさのあまりベンチから勢いよく立ち上がってしまった

 

「久しぶりだね、こんなとこで会えるなんて思わなかったよ」

 

「はい……! まさかまたお会いできるなんて……凄く嬉しいです!!」

 

 当然といえば当然なのだが、目の前にいる鈴音さんからは小学生の時から背も伸びどこか大人びた雰囲気を感じた。

 鈴音さんは私に優しい笑顔を向けてくれている。あの時から鈴音さんは顔立ちが良く、女子から人気があったけど、高校生になった鈴音さんはあの時よりも何倍も素敵に感じてしまい、思わずドキッとしてしまった

 

「僕も嬉しいよ。久しぶりにしずくちゃんとこうやって話ができるんだもん」

 

 どうやら鈴音さんも私と会えたことに対して良く思ってくれているみたいだ

 

「それにしても、時雨君から話を聞いた時は驚いたなぁ。まさかしずくちゃんと同じ学校に転校してきたなんて」

 

「私も驚きました……。転校した幼なじみと再開するだなんてまるで演劇の世界の話をみたいで……」

 

「ふふ、しずくちゃんは本当に演劇が大好きなんだね」

 

「へ? あ、ご、ごめんなさい! 私つい……!」

 

「ううん、気にしないでよ。むしろしずくちゃんが演劇好きなとこは変わってないんだなってことを知れてなんだか嬉しい気分だから」

 

 鈴音さんとは小さな頃、私の演技の稽古に付き合ってくれたり、一緒に演劇を見に行ったりなど色々な思い出がある。

 

 ……何よりずっと私のそばにいてくれたこと。それが凄く嬉しかった。

 

 

「時雨君から聞いたんだけどしずくちゃんは演劇部に入ってるんだっけ?」

 

「はい! 高校でもやっぱり演劇を続けたくて……」

 

「しずくちゃんらしいね、舞台の出演が決まったらその時は観に行くよ」

 

「本当ですか!!? ありがとうございます!」

 

 鈴音さんが観てくれる……ならば私は全力で頑張らなきゃ……! 

 

「あ……私は実は演劇部だけでなくスクールアイドル同好会にも所属しているんですよ」

 

「それも時雨君から聞いたよ。兼部してるってことだよね?」

 

「はい、演技の参考になるかと思って……」

 

「兼部なんて大変そうだけど……でも、それほどしずくちゃんが演劇が好きってことだもんね。だからどっちも応援するよ、頑張ってね」

 

「……はい! 頑張ります!」

 

 鈴音さんに応援すると言われた時、私は嬉しくてたまらなかった。……また昔みたいにたくさんお話したりできるかな……そうだ! 

 

「あの、もし鈴音さんさえ良ければ……スクールアイドル同好会に入りませんか?」

 

 私は鈴音さんの傍でまた昔みたいに演技をしたり、鈴音さんの音楽を聴きたい。そう思った私はそんな提案をした。

 まだ同好会がどうなるかはわからないけど……でも、同好会が復活して、そこに鈴音さんも一緒にいてくれたら私は凄く嬉しい……! 

 

「……そっか、気持ちはすごく嬉しいんだけど……。曲作りの仕事があるからさ、だから断らせてもらうよ。ごめんね?」

 

 しかし、鈴音さんの口からは私の欲していた返事とは真反対の事が告げられた

 

「そ、そうですか……ごめんなさい。無理を言ってしまって」

 

 時雨君も仕事で席を外す事があったし……きっと鈴音さんも同じ感じなんだろうな……

 

「同好会には入れないから、僕は陰ながらしずくちゃんを応援するよ。本当にごめんね……?」

 

 鈴音さんは同好会に入れない事に対してすごく申し訳なさそうにしている……

 

 ……気のせいかな? 私がスクールアイドル同好会に入って欲しいと提案したらどことなく鈴音さんの雰囲気が変わった気がする。

 鈴音さんからは同好会に入る事を嫌がっている感じはせず、入部できないことを心から申し訳なさそうにしているのが伝わってくる。

 ただ、私から距離を取ろうとしている……気のせいかもしれないけどそんな感じがした

 

 

 そんなことを考えていた時だった

 

 

「おーい。しずくちゃーん!」

 

 遠くの方から声が聞こえてきて、振り向くとエマさんと眠そうにしている彼方さんの姿があった。どうやらエマさんは寝ていた彼方さんを見つけれたみたい

 

「しずくちゃんの知り合い?」

 

「は、はい! 同好会の先輩で……実は待ち合わせしてて……」

 

「そうだったんだ。ごめんね邪魔しちゃって、じゃあ僕はそろそろ失礼するよ」

 

 そう言って鈴音さんはこの場を去ろうとした

 

「あ、あの……!」

 

「ん? どうしたの?」

 

 先程までの事が気になってしまい、思わず鈴音さんを呼び止めてしまった

 

「あっ……き、曲作り頑張ってくださいね……」

 

「ありがとう、しずくちゃんも頑張ってね。それじゃあまたね」

 

「は、はい……」

 

 しかし、呼び止めたもののそれを聞き返す勇気はなく一言応援の言葉を送り、鈴音さんもそれに返答してくれた後別れの言葉を告げ、こちらに背を向け去っていった

 

 ……鈴音さん、本当にどうしたんだろう……もしかしてあの時のこと……? 

 

「しずくちゃんおまたせ! ごめんね遅れちゃって?」

 

「い、いえ! 大丈夫ですよ!」

 

 こちらへエマさんと彼方さんがやってきたので私は気持ちを切りかえ返事をした

 

「しずくちゃん、今の人は……?」

 

「あ……私の幼なじみの先輩です。つい最近転校してきて……ついさっきたまたまここであって話をしてたんです」

 

「そっか、転校生ってしずくちゃんの幼なじみだっんだ……凄い偶然だね……」

 

 私は鈴音さんのことについてエマさんに尋ねられたので答えてあげた

 

「うーん……エマちゃん眠いよ〜……」

 

「もう、彼方ちゃん起きてよー!」

 

 エマさんに連れてこられた彼方さんは凄く眠そうにしている。眠そうにしてる彼方さんも久しぶりに見たなぁ……

 

「それじゃしずくちゃん、早速友達のとこ行こっか。案内するから着いてきて!」

 

「は、はい!」

 

 鈴音さんのことも気になるけど、今は目の前のことに集中することにした




最後まで読んでいただきありがとうございます!!

新キャラが一気に2人登場しましたね。 まず1人目はかすみちゃん、時雨くんと同中の鳳雷斗くん。そして2人目はしずくちゃんと同じ演劇部に所属してる九十九詩杏くんでした!彼らの今後の活躍にご期待ください!!
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