そんなわけで本編どうぞ(ちなみに先程の話は本編に一切関係ないですごめんなさい)
「歩夢ちゃんは自己紹介の練習だっけ?」
「うん、かすみちゃん達にも伝えないとね」
俺は侑姉と昨日の練習場所に向かおうとしているところだ。
ちなみに今話した通り歩夢ちゃんは自己紹介の練習をしてるらしい。昨日あんな感じだったからね……可愛かったけど。
「……ってあれ? あそこにいるのかすみちゃんと時雨くんじゃない?」
「え? あ、ホントだ!」
俺は噴水のそばで座っているかすみちゃんと時雨くんを発見した。
「あんなとこでどうしたんだろう……」
「せっかくだし話しかけてこようよ」
「うん! そうだね」
歩夢ちゃんの事も伝えないといけないため2人のところに行こうと提案し、侑姉も賛同してくれた
「はぁ〜……どうしたらいいんですか──!? かすみん困っちゃいます──!」
「考えてもしかたねーよ、今はとりあえず……」
「2人ともどうしたの?」
「ん? お、侑さんと柚月さんじゃないっすか。お疲れ様っす」
「へ? うわぁ! 2人ともいたんですか!」
俺たちが近づいて声をかけると時雨くんが反応し続けてかすみちゃんが反応した。時雨くんは普通に反応してくれたけどかすみちゃんは驚いている、2人で話してたみたいだしそっちに夢中になってたのかな
「って、あれ? 歩夢さんは一緒じゃないんすか?」
「歩夢ちゃんは自己紹介を少し練習するから遅れるみたいだよ」
時雨くんが早速歩夢ちゃんがいないことに対して問いかけてきたので俺は答えてあげた
「それよりさっき2人とも何か話し込んでたみたいだけどどうしたの?」
俺が答え終わると侑姉が先程2人が話してた事について問いかけた。そういえば確か何か話してたね。かすみちゃんが困ってるとか言ってたのが聞こえてきたけど大丈夫なのかな?
「実はかすみん困ってて……」
侑姉の問いかけに対し、かすみちゃんは困っていると答えた。やっぱりさっきのは聞き間違いじゃなかったみたいだね
「……相談に乗ってくれますか?」
「もちろんだよ、遠慮なく話して?」
侑姉がそう言った瞬間……
「うぅぅ……うわぁぁぁぁん!!」
「うわぁっ!」
突然かすみちゃんが泣き出し、勢いよく侑姉に抱きつきそのまま押し倒す形になってしまった。
「あっ、おいかすみテメェそこ変われこら!」
「なんで時雨くんがキレてるの?」
まぁ恐らく侑姉に抱きついたかすみちゃんが羨ましいんだろうけど。人の姉をなんて目で見てるんだこんにゃろ
その後かすみちゃんが落ち着いたのでとりあえず4人で公園に場所を移した
「それで、何を悩んでたの?」
「はい、昨日の事なんですけど……」
昨日の事……そう言われて頭に浮かんできたのは歩夢ちゃんの自己紹介の事だった
「かすみんはかわいいスクールアイドルを目指してて……どんなときもスクールアイドル活動をする時はかわいいを1番に考えてるんです。だからかすみんはかわいいこそスクールアイドルのあるべき姿……! って思ってたんです。でもそれは間違ってて……かすみんにはかすみんの、歩夢先輩には歩夢先輩としてのスクールアイドルのあり方があるのに……それを無視して自分の意見を押し付けて歩夢先輩を困らせちゃって……」
かすみちゃんの口から発せられたのは俺が予想した通りの内容だった。確かに昨日は俺も侑姉も見るのに夢中で気づかなかったけど思い返してみればだいぶ無理やりだったもんな。時雨くんは気づいてくれてたみたいだけど。
「だからといってかわいいを諦めるのも嫌だし……でも人に押し付けるのも嫌だからどうすればいいのかなって思って……」
かすみちゃんにとってかわいいは絶対譲れないものでありそれを歩夢ちゃんに押し付けてしまい、それで落ち込んでいるってことか。
かすみちゃんだけじゃなく、きっと誰にだって譲れない大切なものがある。だからこそ意見が食い違う事がある。もしかして昨日話してくれた同好会が廃部になった原因もこんな感じなのかな?
「うーん、それぞれ譲れないものがあってそれで喧嘩しちゃうのは仕方ない気もするけどなぁ」
悩んでるかすみちゃんに対して侑姉が口を開いた
「仕方ないじゃ困るんですよぉ〜何とかしないと……」
「ふふっ、悩んでるかすみんもかわいいよ」
「むぅ……侑先輩! こんな時にからかわないでくださいよ〜!」
「あはは、ごめんごめん」
「呑気すぎない?」
思いっきりからかってるじゃん。まぁ侑姉なりにかすみちゃんを励ましてあげたんだろうな
「そういえば……歩夢さんあの後大丈夫でした?」
侑姉とかすみちゃんのやり取りを見ていると時雨くんがそんなことを聞いてきた、確かに昨日のあの感じみたら不安になるよね
「心配しなくても大丈夫だよ、歩夢ちゃんなら答えを見つけて来てくれるはずだから」
あの時見た歩夢ちゃんの決意はこんな事じゃ揺るがない。それは俺と侑姉がよく知ってるからね。
そんなことを思っていたら……
「おまたせ──!」
歩夢ちゃんが走りながら俺たちの元へやってきた。
「お、歩夢だ。待ってたよ!」
「うん……ごめんね遅れちゃって」
歩夢ちゃんは遅れてきた事に対して謝罪をした。
「あの……歩夢先輩……」
するとかすみちゃんが歩夢ちゃんの前までやってきた
「あ、かすみちゃん。あのね……」
「その……昨日はごめんなさい!!」
歩夢ちゃんが何かを言いかけたが、それより先にかすみちゃんが歩夢ちゃんに昨日の事を謝罪した。
「ううん、気にしてないよ」
謝罪したかすみちゃんに歩夢ちゃんは気にしないと優しく答えてあげた
「それより……自己紹介の事なんだけど。今、撮ってもらっていいかな?」
「えっ、大丈夫なんすか?」
歩夢ちゃんの突然の発言に時雨くんは心配の表情で歩夢ちゃんに問いかけた
「うん。大丈夫!」
心配している時雨くんに対して歩夢ちゃんは自信に満ち溢れた表情で答えた。恐らく自分の中での良い自己紹介のやり方が見つかったんだろう
「じゃあ、かすみちゃん。お願いしてもいいかな?」
「わ、分かりました……」
かすみちゃんはポケットからスマホを取り出し、歩夢ちゃんの方へ向け昨日の同じ形になった。
「よし……じゃあいくね!」
「ど、どうぞ……」
歩夢ちゃんの一言で、撮影が始まった
「虹ヶ咲学園普通科2年、上原歩夢です。自分の好きな事、やりたいことを表現したくてスクールアイドル同好会に入りました!」
自己紹介が始まり、目の前には昨日のようにもじもじすることなくしっかり自己紹介をしている歩夢ちゃんの姿があった。
「まだまだ出来ないことだらけだけど……スクールアイドルとして一歩一歩頑張る私を見守ってくれたら嬉しいです。よろしくねっ」
最後にはかすみちゃんから教えてもらったうさぎのポーズを見せた。流石に少しばかり恥ずかしそうにしているものの歩夢ちゃん完璧な自己紹介をこなした。
そして気のせいかもしれないけど歩夢ちゃんの自己紹介はカメラというより俺たちに向けているように感じた。あくまで気のせいでしかないんだけど
「……ど、どうかな?」
撮影が終わり、歩夢ちゃんはうさぎのポーズを辞め今の自己紹介について問いかけてきた
「わぁ〜……! 歩夢、すっごく可愛かったよ! ときめいちゃった!」
「俺も同じだよ、歩夢ちゃんらしさが感じ取れた良い自己紹介だったと思う。お疲れ様」
もちろん、俺も侑姉も歩夢ちゃんの自己紹介を称賛した。
「こ、コホン。まぁかすみんの考えてたものとは違いましたけど……かわいいからOKです!」
「頑なに上からだなお前は……まぁそれはそれとしてオレも今までで1番の自己紹介だったと思いますよ」
俺たちに続いてかすみちゃんと時雨くんも称賛した。どうやら気に入ってくれたみたいだ。
「ほ、ほんと? 良かったぁ〜……」
俺たちの称賛の声を聞くと歩夢ちゃんはホッとして胸をなで下ろした
それにしてもこんなに早く答えを見つけてこれるなんてな……誰か歩夢ちゃんにアドバイスでもしてくれたのかな?
いずれにしろ先程の自己紹介からは歩夢ちゃんのスクールアイドルとしての在り方を感じとれた。
「多分……やりたいことが違っても大丈夫だよ」
すると突如侑姉が口を開き、そんなことを言った
「上手く言えないんだけどさ、自分なりの1番を叶えるやり方ってあると思うんだよね」
「なるほど……人にとってやりたいことは違うんだからそれぞれが好きなようにするのが大事……だからそれをできるやり方を探してみようってことかな?」
「そういうこと、流石私の弟だね!」
侑姉の言いたいことを解して自分の意見を述べると侑姉からお褒めの言葉を貰った。
「それに、その方が楽しいと思わない?」
「……はい! 楽しいし、可愛いと思います!」
侑姉の問いかけにかすみちゃんは笑顔で答えた
「でも、歩夢先輩! 1番可愛いのはかすみんですからね。負けませんよ!」
するとかすみちゃんは大きな壁をよじのぼり、高台に立った
「それを今から……見せてあげます!!」
高台に立ったかすみちゃんは歌って踊る……スクールアイドルとしてのパフォーマンスを始めた。振り付けからはもちろん、歌からもかすみちゃんの可愛くありたいという気持ち、ファンのみんなに対する強い思いを感じ取れた
「ふぅ……どうですか? かすみんのパフォーマンスは!!」
パフォーマンスを終えたかすみちゃんは自信満々に俺たちに問いかけてきた
「すっごく可愛かったよ! またまたときめいちゃった!」
「私も可愛かったと思うよ、流石だね」
「えへん、当然です! だってかすみんなんですから!」
侑姉と歩夢の言葉にかすみちゃんは嬉しそうにしている。
「俺も思わず心が躍らされちゃったよ。まるで本物のアイドルみたいだったよ」
「むっ、“みたい”じゃなくてアイドルですよ!」
「あはは、そうだったね。ごめんごめん」
確かに今のは失言だったな。反省反省、けどかすみちゃんのパフォーマンスに目を奪われたのは事実だ
「それで、シグ助はどうだった?」
するとかすみちゃんは時雨くんの方へ顔を向けた
「……まぁ悪くは無いんじゃねえの。少なくとも始めたての頃よりかは成長してる」
しかし、時雨くんは俺たちと違い少々手厳しい意見だ
「って、なんでそんなに上からなの!!」
「お前も似たようなもんだろ」
……と、時雨くんは言っているが実はさっき横目で見たんだけど時雨くんはこの場の誰よりもかすみちゃんのパフォーマンスを夢中に見ていたんだよね。だから時雨くんも本当は内心感動してるんじゃないかな。多分かすみちゃんに知られるのが恥ずかしいから隠してるだけで……やっぱり2人は仲が良いんだね。
「まぁいいけど……! それより……侑先輩、歩夢先輩、柚月先輩。そしてシグ助!!」
するとかすみちゃんは俺たちの名前を呼び……
「かわいいもカッコいいも……みんなが一緒にいられる……そんな場所を、かすみんが作って見せます!!」
大きな声で、そう宣言したのだった
その後今日はもう遅いのでまた明日……ということで侑さん達と別れ帰宅しているところだ
歩夢さんの自己紹介といい、かすみが自信をつけたことといいこれからの同好会のこといい……まさかこんなに上手く事が進むなんてな
「で、シグ助はどう思った? かすみんのパフォーマンス!!」
「だから悪くはなかったって言ってんだろ」
かすみは先程のパフォーマンスについての感想をまだ聞いてくる。しつこいなこいつは
「もぉ〜……素直じゃないなぁシグ助ってば。本当はかすみんの……」
「あーわかったわかったうるさいうるさい」
「だから雑すぎ!!」
……とはいえさっきのかすみのパフォーマンスに心を奪われたのは事実なんだよな……こんな事言ったら絶対調子に乗るから言わないけど
……やっぱりこいつは元気な方が似合ってるな
「……ねぇ、シグ助」
「んだよ、まだ何かあるのか?」
またもやオレの名前を呼んだ。しかし先程までの明るい声ではなかった
「なんだかんだ言って、シグ助はかすみんのそばにいてくれるよね……ありがとっ」
落ち着いた声と笑顔でオレに向けそう言った
「……別に今に始まった事じゃねーだろ」
何を言うかと思えばらしくないこといいやがって、調子狂うっての
てか肝心の事は何も解決してないしお礼を言うならその後にしてくれ
それに……
『ねぇ、シグ助…………同好会無くなっちゃうのかな……? そんなのやだよ……!』
オレはふと活動休止になった後の泣き顔になっているかすみの姿を思い出した
あんな顔してるオマエを……ほっとけるわけねーだろうが
そんな思いを胸に隠し、オレは帰路に着くのであった
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
これで1期2話のお話は終わりになります!