というわけで(?)今回からアニメ1期3話の話になりますが今回もサイドストーリー的な話になっております!それではどうぞ!
今日も今日とてスクールアイドル同好会の練習があるよ、だから放課後はそちらの方に行かなければいけないんだよね、侑姉達と待ち合わせしてるし。
しかしそれより前に俺は食堂にいる。ここで何をするかというと……
「おーい柚月。どうしたんや?」
「あ、ごめんごめん。ちょっと考え事してた」
俺は律と一緒に食堂の席に座っている。もちろん何か食べるわけじゃなくて律と話があるんだよね
「そういえば柚月は侑さん達と同好会に入ったんやっけ?」
「うん、スクールアイドル同好会だよ」
「え、もしかして柚月が踊るん?」
「んなわけないじゃん! 俺と侑姉はサポーターだよ。歩夢ちゃんを応援するのさ。……ていうかちょうどその話をしようと思ってたのさ」
何を隠そう律と話したいことっていうのはスクールアイドル同好会の事なんだよね、俺が話を切り出す前に向こうから振ってきてくれたよ
「なんや、話ってそれのことやったんか」
「うん。実は色々事情があったみたいで1度同好会が廃部になっちゃったんだよね。それで今は練習しながら部員集めをしてるんだ」
「ふーん……ちなみに今は部員は何人なんや?」
「俺たち3人に加えて元いた1年の子が2人で合計5人だから……同好会を設立するにあたって必要な人数は一応揃ってるんだよね。ただ人数が多いに越したことはないと思うし誘えるなら誰か誘いたいなって思ってるんだ」
「なるほどなぁ……ん? もしかしてやけど……」
律は何かを察したらしい。まぁ話の流れ的に何となくわかるよね。
「うん、せっかくだから律も俺たちと一緒に手伝ってくれないかなって思ってさ」
律を誘う理由は簡単で律は歩夢ちゃんと面識があるので歩夢ちゃんも知ってる人が多い方が活動をやりやすいと思ったからだ。後個人的な理由になるけど前々から律と一緒に何かをやりたいと思ってたって理由もあるんだよね
と、いうわけだから是非とも律には同好会に入って欲しいんだけど……
「気持ちは嬉しいんやけど、バイトとボランティアで忙しいからなぁ……」
だがそういう訳にもいかず、律はバイトが忙しいとの理由で誘いを断った
「うーん……やっぱり駄目? バイトと掛け持ちしてる人も何人かいるけど……」
できることなら一緒にやりたいと思ってる俺はダメ押しでそんな意見を出した。
「そうしたいのは山々やけど俺は掛け持ちできるほどそこまで器用やないからな……。ホンマにごめんな……?」
しかし、律の答えは変わらず同好会には入らないとの事だ。掛け持ちって俺が思ってるより大変なことなのかもしれないし仕方の無い事なのかな……残念だけど受け入れるしかないな。
「そっか……それなら仕方ないか。ごめんね無理に誘って?」
「柚月が謝る必要なんてないって、俺だってせっかく誘ってくれたのにごめんな。代わりと言ってはなんやけど……何か困ったら声掛けてくれてええよ、俺にできる限りの事なら手伝うからさ」
無理に誘ったことを許してくれるどころか困った時に手を貸してくれるとのこと。やっぱり律は良い奴だな。俺は律が親友でいてくれることを改めて嬉しく思った
「それだったらさ、ライブが決まったら見に来てよ!」
「それならお易い御用やで、時間さえ合えば見に行くわ」
ライブを見に来て欲しいと提案すると、律は快く受け入れてくれた。
「へへっ、ありがとね。……って、もう時間か。そろそろ行かないと。じゃあそろそろ行くね」
気がつけば、待ち合わせの時間まであと少しになっていたので俺は立ち上がり待ち合わせ場所に向かうことにした。
「そっか、それじゃ俺もバイトあるし行くか。同好会頑張れよ?」
「うん、律もバイト頑張ってね。それじゃ!」
俺は待ち合わせ場所に向かう前に律に一言言い残し、この場を後にした
──
廊下
「音楽室の使用許可も取ったし……早速行こうかな」
ピアノを弾きたい……何となくそんな気分になったので僕は音楽室の使用許可を取り、音楽室でピアノを弾くことにした。
作曲を仕事にしているため、そのために必要なシンセサイザーは自宅にあるがさすがに本格的なピアノは置いていない。僕は現在は
ピアノを弾いたのは幼少期の時に家で弾かせてもらったのが最後か……
その時僕は昔のことを思い出した
自宅のとある一室。僕はそこでとある人物の隣でピアノを弾いていた。その人物とは、僕の父親の
僕の父親は音楽家としてとても有名で、その実力は本物であり、何度もコンサートを開いている。父親だけでなく1家全員が音楽家としての才能に長けていて、みんな多くの人に認められている
……僕一人を除いて
『あっ……』
ピアノを演奏していたが、音階を間違えてしまい思わずピアノを弾く手を止めてしまう
『ふむ、鈴音はここが苦手みたいだな』
『ご、ごめんなさい……』
『そう気を落とすな、鈴音はまだ小学生。苦手なところで何度も躓くのは仕方の無いことだ』
『……』
この間も同じところで間違えたな……
僕はそんな自分が嫌になり、黙り込むことしか出来なかった
僕は音楽が好きだ。自分で弾くことも、人の演奏を聴くことも。もちろん歌を歌うのも好きである
しかし、どれも上手くいかない。それどころか家では何度も間違いを指摘され、外ではクラスメイトにからかわれる始末。
理由は簡単で、僕には音楽の才能がなかったからだ。
僕がその事に気づいたのは物心ついて間もない頃だった。
父さんのコンサートに連れて行ってもらって、父さんの演奏を初めて聴いた時、僕は胸を打たれたんだ。
音楽というものの素晴らしさに感動し、僕も誰かの心に響くような演奏をしたい。そう思ったんだ。
しかし、現実は甘くなく……
いざ楽器を触ってみると上手く弾くことが出来ず、父に横で指導されながら弾くも結果は同じだった。そこで僕には音楽の才能が無いのだと悟った。
父さんは上手く演奏できない僕に優しく接してくれているけど、父さんもきっと僕を多くの人に認められるような音楽家にしたいと思っているはず……だからこそその期待に応えられない自分が嫌になってくる
そんな風に自分を卑下していると……
『父さん、いる?』
『む……麗音か、帰っていたのか』
振り返るとそこには兄さん……
『ねぇ、母さんが呼んでたよ? それにもうこんな時間だし今日はもう終わりにしたら?』
『うむ、そうか。分かった。それじゃあ鈴音、先程間違えた所を次回までに弾けるようにな』
『う、うん……』
父さんは僕にそう言い残し、部屋から出ていった
『……』
そして、部屋は僕と兄さんの2人きりになった
『なぁ鈴音……お前さ』
そして、父さんが部屋から出ていくのを見た後兄さんはそう言いながら僕の目の前にやってきて……
『いつまで父さんに無駄な時間を過ごさせてるんだよ。この才能ナシ』
『っ……』
冷たい目線と低い声で兄さんは僕にそう告げた
『父さんは貴重な時間を割いてお前に指導してくれてるんだぞ? それなのにいつまで経っても上達しないよな』
兄さんは父さんを凄く尊敬しており父さんの期待に応えようとたくさんの努力を重ねている。
中学生でありながら音楽の才能に満ちあふれており、音楽のコンクールで最優秀賞を獲得している。才能のない僕とは正反対の存在だ。だからこそ才能の無い僕を嫌ってるんだろう
『はぁ……お前がさっさと音楽をやめてくれりゃ、父さんももっと有意義な時間を過ごせるのにな……』
このように僕は兄さんから毎日のように罵倒され、当時の僕は言い返す勇気もなかった。
こんな日々を過ごしてきて、何度も心が折れそうになり……時には音楽を辞めようと頭に過ぎったこともある
しかし、僕が音楽を辞めることなく続けることが出来たのはとある理由があった。それは僕が音楽が好きだからという理由とは別にもう1つの理由があった。
『わたし、もっと鈴音さんと遊びたいです!』
幼なじみである桜坂しずく……彼女のおかげで僕は音楽を続けることが出来たのだ
しずくちゃんとは親同士仲が良く、家が近かったので休み時間や父さんとの練習がない日には一緒に遊んだりする事が多かった。ある日はしずくちゃんの演技の練習に付き合ったり、一緒に演劇のビデオを見たり、僕の家では彼女の前でピアノを弾いたりしていた。
……僕のピアノは誰が聴いても分かるくらい下手なのに……しずくちゃんはいつも僕が弾くピアノを楽しそうに聴いてくれている。
『ねぇ、しずくちゃん。僕の演奏は兄さん達と違って下手なのに……どうしていつも聴いてくれるの?』
僕はいつも楽しそうに聴いてくれているしずくちゃんにそんなことを聞いてみた
『上手とか下手とか関係ないんです。私は鈴音さんの演奏やピアノを弾いてる姿が大好きなんですから!!』
もしかしたら無理して付き合ってくれてるのかもしれない……そう思っていた僕の心のモヤモヤは輝かしい笑顔で答えてくれたしずくちゃんによって振り払われた。
音楽の才能がなく、誰も僕の演奏を認めてくれなかったけど……唯一しずくちゃんだけは僕の演奏を心から大好きと言ってくれた
その事が僕にとってはすごく嬉しくてしずくちゃんのためなら頑張れる……そんな思いから僕は折れることなく音楽を続ける事が出来たんだ。
そして今は……finisとしてネットに自分の曲を投稿し始めて色んな人に認められるようになった。
今の僕がいるのもしずくちゃんのおかげなんだ。彼女には感謝しかない……
そう過去を振り返っていると、気づけば音楽室の入り口の前までやってきた。中からは話し声が聞こえてくる。誰かいるのかな?
「ここか、おっと……」
「きゃっ……あ……ご、ごめんなさい」
考え事をしてぼーっとしていたせいか人とぶつかりそうになってしまった
「いえ、こちらこそすみません。大丈夫ですか?」
目の前にいるピンクの髪色で1部をお団子でまとめている子は先に謝ってくれたのでこちらもすかさず一言謝罪をした
「はい、わたしは大丈夫ですよ」
「そっか、なら良かった」
どうやら怪我などはないみたいだから安心した。
考え事をするのはいいけどちゃんと気をつけて歩かないといけないな……と僕は肝に銘じておいた
気持ちを切り替え僕は音楽室の中に入ろうと入り口から顔を覗かせるとそこには2人の女子生徒がいた。どうやらお取り込み中のようだ、1人は生徒会長だったはずだけど……もう1人のツインテールの人は知らないな……。
「侑ちゃん?」
すると僕とぶつかりそうになった人が室内にいる人物の名前を呼んだ
「ん? あ。歩夢だ……って隣の人は誰?」
名前を呼ばれるとツインテールの子が反応した。なるほど……この2人は友達同士で待ち合わせをしていた……もしくはたまたま居合わせたかのどちらかだろう。 そしてツインテールの子は僕を見て疑問に思っている。まぁ友達が知らない人といたらそんな反応になるのも無理はないよね
「音楽科2年、言ノ葉鈴音さんですね。話は聞いてます、音楽室の利用に来たんですね?」
「はい、使用許可を取ったので使わせて貰おうかと思って……今は大丈夫ですか?」
生徒会長が僕が音楽室を利用しに来たことを説明するとその子はなるほど……と納得したような顔をした。
「そっか、君も音楽室を利用しに来たんだ。ごめんね邪魔しちゃって?」
「ううん、大丈夫だよ。気にしないで」
その子は僕の元へ近づくと先に利用していた事を謝った。この感じだともしかして無許可で利用してたのかな? 予想でしかないけど。
まぁそんなに気にすることでもないか
「なら良かった、じゃあ私はここで。歩夢、行こっか」
「う、うん。柚月くんも待ってるからね」
そう言って2人は音楽室を後にした。
「……私もここで失礼します。言ノ葉さん、下校時間までにはお帰りくださいね」
「はい、分かりました」
生徒会長の指示に対して僕は理解を示した
「それでは、失礼します」
生徒会長はそう最後に一言残し、音楽室を後にした
「……さてと」
生徒会長が出ていくのを見送った後、僕はピアノの椅子に腰をかけた。
椅子に座ると視界にはピアノの鍵盤が広がっており、先程思い出していた過去の記憶がより鮮明に思い出してきた
「……よし」
昔のことを思い出しながらも僕は鍵盤に手を伸ばし演奏を始めた
♪ 〜
僕以外誰もいない音楽室には僕のピアノによる音色が鳴り響いている。
その音色は幼少期自宅で鳴り響いていたぎごちないものではなく、その頃よりも格段に優れているものであった
「良かった……ちゃんと弾ける」
ピアノを触るのは久しぶりだったので少しばかり不安だったがただの杞憂だったようだ。
「……この演奏なら、父さんや兄さんも納得してくれるかな」
昔と比べて演奏の腕が上がったのは自負しているのでこれなら納得してもらえる……なんて事が頭によぎった
そしてこうやってピアノを弾いていると……やはり家族の事だけでなく幼なじみの彼女の事も思い浮かんでくる
……昔、こうやってピアノを弾いてる時ある約束をしたな……
子供の時の約束なんて普通は忘れてしまうものかもしれないが僕は鮮明に覚えている。
今の僕があるのも、その約束のおかげだからね
でも、僕にはもう関係ないか……。
しずくちゃんは僕に関わらない方がいい……いや、関わってはいけないんだ
……
そんな思いを心の中に秘めながら、僕はただひとりでピアノを弾き続けた
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
久しぶりの登場の律くんの登場、そして鈴音くんの過去に触れさせていただきました!