律と別れた後、侑姉と歩夢ちゃんに合流して、練習場所である公園に向かっているんだけど……なぜだか侑姉が浮かない顔をしている。
「ねぇ歩夢ちゃん」
「柚月くん、どうしたの?」
「侑姉が浮かない顔してるけど……何かあったの?」
俺は侑姉のことが気になったので歩夢ちゃんにこっそり聞いてみることにした
「私もよく分からないんだけど……生徒会長さんと何か話してたみたいで……多分それが原因じゃないかな」
「そうだったんだ……」
生徒会長と話してた……もしかして同好会か優木さんのことかな? それで何か言われたとか……いや、生徒会長はそんな人には見えないしそれも考えにくいか
「あれ? 2人とも何話してるの?」
「な、なんでもないよ!」
「う、うんうん。気にしないで!」
「そう? ならいいんだけど……」
危うく侑姉に探られそうになったので2人で慌てて誤魔化した。
「あ、そういえば柚月。ダンスを教えるって話だけど……調子はどう?」
すると侑姉がダンスの指導の事について話を振った。
「それについては俺も今勉強してるとこだよ、ステップについて調べたり……後は中学のダンス部の友達に聞いたり……」
俺は経験者ではあるけど知識とかは全然だからね、指導役として任命された訳だしまず自分がちゃんと指導できるくらいの知識を身につけないと
「そうなの? でも無理はしちゃダメだよ?」
「その心配はいらないよ、だって2人もよく知ってるでしょ? 俺はカッコよくて強くて頼りにされる男になるからね。これくらい造作もないさ!!」
心配してくれる歩夢ちゃんに対して俺はいつものセリフで答える。だって俺はそれくらいでへこたれるような人間じゃないからね
「さすが柚月だね……あ、かすみちゃんと時雨くんじゃない? おーい!! ……ってあれ、誰かと話してる?」
「ホントだ、2人の知り合いかな」
侑姉がかすみちゃんと時雨くんの姿を発見したのだが、そこには2人の姿だけでなく4人の女子生徒の姿があった。
「あ、来た! おーい、せんぱーい!」
かすみちゃんがこちらに気づき、大きく手を振りながら俺たちを呼びかけた
「あの人たちが2人の言ってた新しい部員?」
「その通りっす、せっかくなので皆さんで自己紹介をしてもらってもいいですかね?」
時雨くんが三つ編みの女性と話している様子が目に入った。やっぱりこの人たちは2人の知り合いみたいだね
というわけでかすみちゃん達と合流、話によるとこの人達はスクールアイドル同好会の部員だった人達みたいだ。そういえばポスターに写真が載ってたね、でもこの青髪の人は写真に載ってなかった気がするな
まぁ兎にも角にも自己紹介をしないとね。
と、いうわけで俺と侑姉と歩夢ちゃんは先日かすみちゃんと時雨くんに対して行った時と同じように自己紹介をし、俺たちの自己紹介が終わって次は向こう側に自己紹介をしてもらうことに
「ではまず私から失礼します、国際交流学科1年の桜坂しずくです」
大きいリボンがトレードマークの子……桜坂さんは微笑みながら礼儀正しく自己紹介をした。かすみちゃん達と同じ1年生だし2人とは仲が良いんだろうな、落ち着いて大人っぽい雰囲気があり2人とは違った印象を感じるな。
「それじゃ次は……って、彼方さん! 起きてください」
「ふぇ……? あぁ……ごめんごめん。また寝ちゃってたよ〜……」
「待って? 立ったまま寝てたの?」
さっきから目瞑ったまま動かないからどうしたのかなとは思ってたけど寝てるとは思わないじゃん。 しかも桜坂さんも手馴れてる感じだし日常茶飯事なの?
「それじゃ早速……ライフデザイン学科の3年、近江彼方だよ〜」
そう言って自己紹介をしてくれた近江先輩だがやはり先程眠っていた光景が気になって仕方ない、居眠りしてしまうのは私生活が忙しいからなのか……と、思ったりもしたが人のプライベートに触れるのは良くないと思い触れないことにした
「次は私だね、国際交流学科3年のエマ・ヴェルデだよ3人ともよろしくね〜」
続いて赤毛の三つ編みの女性、エマ先輩が自己紹介をしてくれた。名前からして外国人で恐らく留学生なんだろうけどものすごく流暢に日本語を話している。
そして地味に女子にしては身長が高い。なんなら俺よりも高いんだよね。え、俺の身長? 161だけど何か? あ、なんか自分で言ってて悲しくなってきた
「柚月くんだったっけ? どうかしたの?」
「あ、す、すみません。なんでもないですよ」
俺より身長が高かったからついついエマ先輩の事を見つめてたけど気づかれてしまったようだ。流石に失礼だったな
「いやー……柚月さん。分かりますよ」
「へ? 何が?」
心の中で反省してると、時雨くんが俺の肩に手を置いて何かに共感したかのような発言をした。どういう事だろう?
「だってあの広大なアルプス山脈を見るなって方が無理っすもん。興奮するじゃないっすか」
「ホントに何言ってるの??」
いや言いたいことは分かるよ? てか俺は気にしないようにしてたのにお構い無しに言ってくるじゃん。時雨くんらしいけどさ
「シグ助ってば最低……」
ねぇ、後ろの方でかすみちゃん達が冷めた目で見てるの気づかないの? でも肝心のエマ先輩はキョトンとしてる。え、ピュア過ぎないかな?
「柚月くん……?」
「ま、まぁ柚月も男の子だもんね……」
「え? ま、待って!! 違うから!!」
すると歩夢ちゃんと侑姉からも冷たい視線を感じてあろうことかその視線は俺に対してのものだった。それを感じた俺は誤解だと説明した
「いやいや柚月さん、男なんだしもっと性にオープンでいいんすよ?」
「ホントに違うからね!!? 俺はこんな性欲とボケの塊みたいな人じゃないから!!」
「カウンターエグすぎないっすか? テトラカーンかと思いましたよ」
思わず時雨くんに辛辣な発言をしてしまった。でもこれは時雨くんが悪いし仕方ない、俺は悪くないもん。後高倍率広範囲のチートカウンターを例に出すんじゃないよ、流石DLC。けどあれは時間制限あるから許してあげて
それはそれとして、自己紹介も残り1人となったのだが……
「そしてあと一人なんですけど……実はかすみんとシグ助はついさっき初めて会ったばかりなんですよね……」
「え、そうなんだ」
なんともう1人の人はかすみちゃん達は初対面とのこと、ということは部員では無いってことかな?
「あ、この子は私の友達の朝香果林ちゃんだよ」
そんな事を思っていると、エマ先輩が紹介してくれた。なるほど、エマ先輩の友達だったのか。
俺は朝香先輩に目を向ける、濃い青の髪色で、ウルフカットヘアーが特徴である。極めつけはそのスタイルであり、エマ先輩より数センチほど高い身長、そして手足もスラッと長くとても高校生とは思えないスタイルであり思わず目を奪われてしまう
……ていうかこの場にはなんで俺より身長の高い女子が2人もいるの? チビいじめは良くないよ?
「あら、どうしたのかしら? 私の顔に何か付いてる?」
「い、いえ。なんでもないですよ。すみません」
「やっぱり柚月ってば……」
「だから違うんだって!」
「なーんだ。結局柚月さんもオレと同じじゃないっすか」
「違うって言ってるじゃん。聞いて?」
エマ先輩の時と同じ流れになりかけた、無限ループって怖くね? 俺は高身長を羨ましがってただけでやましい気持ちなんてないからね? 信じてお願い
「…………」
「あ、歩夢ちゃん。ほんとにそういうのじゃないんだ、信じてよ」
歩夢ちゃんに至っては無言になってしまった。怖い
「え? あ、ち、違うの。柚月くんを疑ってる訳じゃなくて……その……」
すると歩夢ちゃんは朝香先輩の方を見ながら何故かそわそわしている。誤解してる訳じゃないのは良かったけどどうしたのかな
「ふふっ、心配しなくてもあの事は言いふらしたりしないから安心して」
「あ、ありがとうございます……」
……と、2人はそんなやり取りをした。今のやり取りを見る限り2人は知り合いなのかな?
「あれ? 歩夢の事知ってるんですか?」
疑問に思っていたことを侑姉が朝香先輩に聞いてくれた
「ええ、少しだけね。けどあまり散策するとその子が恥ずかしがっちゃうからその辺にしてあげて?」
すると歩夢ちゃんは恥ずかしそうに顔を赤くしてしまった
……え、ほんとに何があったの? めちゃめちゃ気になるんだけど。まぁでも歩夢ちゃんが可哀想だしこれ以上は辞めとこう
「それよりさ。なんでこんなに集まってるのさ、練習するんじゃないの?」
話題を変えるため俺は先程から気になっていたことに話を切りかえた
「かすみんもよく分からないんですけど、しず子に話があるって言われたので……せっかくだから先輩達が来てから話そうって事になったんですよ」
しず子っていうのは桜坂さんに対するあだ名だろう。 まぁそれはいいとして話ってなんの事なのかな? 俺たちを待ってたって事は同好会関連のことなんだろうけど
「えぇぇぇぇ──!!? あの意地悪生徒会長がせつ菜先輩ぃ!!?」
桜坂さんから告げられたのは俺の予想を遥かに上回るような内容であり、かすみちゃんも大きな声を上げて驚いていた
「そ、それって本当なの?」
「うん、果林ちゃん達と一緒に生徒会長に話したんだけど、その時に認めてたから……」
俺が質問するとエマ先輩が答えてくれた。なるほど、そういうことだったのか……。ん、でも待って?
「でもそれならどうしてかすみちゃんと時雨くんも一緒じゃなかったんですか? 2人も同好会のメンバーですよね?」
「柚月先輩の言う通りですよ! なんでそんな大事な話にかすみん達を誘ってくれなかったんですか! 部外者のお姉さんはいたのに!」
俺の問いかけに賛同したかすみちゃんがそんなことを言った。気持ちは分かるけど初対面の朝香先輩に対して部外者っていうのは流石に……
「へぇ〜? 面白いことを言う子ねぇ?」
そう言いながら朝香先輩は悪い笑顔でかすみちゃんを睨みつけた
「ひぃっ!? ご、ごめんなさい!!」
そしてかすみちゃんはというとビビりながら桜坂さんの後ろに隠れた。なんというか小物感がすごい
「こ、コッペパンあげるから許してください〜!!」
するとかすみちゃんは朝香先輩にコッペパンを差し出した……ん? 待って今どこからコッペパン出したの? かすみちゃんもしかして四次元ポケット的なもの持ってる?
「あら、美味しそう。有難く貰っておくわね」
朝香先輩は震えてるかすみちゃんからコッペパンを受け取った
「でも2人にも連絡入れたんだよ? なのに全然返信してくれないから……」
すると桜坂さんがかすみちゃんにそんなことを言った。
「え、ホント? どれどれ……うわぁ! 全然気づかなかった!!」
慌ててスマホを確認したかすみちゃんは着信履歴を見て驚いていた。結局そっちに原因があったんだね。まぁ昨日は色々あったし仕方ないのかもしれないけど。
「でもかすみさんはともかく時雨君まで気づかなかったなんて……」
桜坂さんは時雨くんに向けてそう言った。確かにそうだね、時雨くんならすぐさま気づきそうだけど…… というかさっきから喋らないけどどうしたのかな?
「…………」
ふと時雨くんの方に視線を向けると何やら難しい顔で考え込んでいるようだ。
「時雨くん?」
「ん……? おっ、すみませんボーッとしてました。どうかしたっすか?」
俺が声をかけるとハッとして我に返り俺に反応した。そんなに集中して考え込んでたのかな
「昨日桜坂さんが時雨くんに連絡してたみたいだけど気づかなかったみたいだったからどうしたのかなって思って」
「あー……昨日は朝出る前に携帯を忘れたんで……。帰ったあともバタバタしててそのまま放置してたんで起きた頃には充電が無くなってたんすよ」
なんだ、そんな理由だったんだね。それならまぁ仕方ないのかもしれないな。
「やっぱり……そうだったんだ……」
「どうしたの侑姉?」
侑姉がボソッとそんなことを呟いたので、俺はそれ反応した。
「うん……実はさっき生徒会長と会っちゃったんだよね。その時に流れでせつ菜ちゃんの話になったんだけど……せつ菜ちゃんの事を話してる生徒会長がまるで自分の事を話してるように見えたからもしかして……って思ってたんだ」
「そんなことがあったんだ……」
先程まで侑姉が元気なさそうにしてたのもそれが原因なんだろう
「……すみません、ちょっと良いっすか?」
俺が侑姉と話していると時雨くんがそんなことを言った
「……皆さんはなんでせつ菜さんと話す機会があったんですか? あの人は正体隠してたわけだし相当ガード硬かったと思うんすけど……?」
時雨くんは桜坂さん達4人にそんなことを聞いた
「それは私のせいね、エマに相談されたから少し意地の悪い事をしたのよ」
時雨くんの質問に対し、朝香先輩がそう答えた
「朝香さんがここにいるのはそういう理由っすか……そして意地の悪い事って言ってましたけど……詳しく聞いてもいいっすか?」
時雨くんはまたもや疑問を投げかけた、今の時雨くんはいつものようにふざけてるのとは大違いで俺も心の中で少し驚いている
「生徒会長が言ってたのよ。スクールアイドル同好会は優木せつ菜と話して彼女の同意の元、廃部にしたってね。その話を聞いて私は少し怪しいと感じの、生徒全員の名前と顔を覚えている彼女ならある程度の出任せなことなら言えるんじゃないかって。そもそも神出鬼没の生徒なんて本当に存在するのかしら? そう思った私は生徒名簿を拝借して確認しようと思ったのよ」
「ちなみに聞きますけどその生徒名簿は……」
「本当はしっかり許可を取るつもりだったんだけど、たまたま誰もいなかった。それだけよ」
「物は言いようっすね、それで生徒名簿を確認したらせつ菜さんの名前なんて載っていなかった……。それなら何故廃部のやり取りができたのか……そんな感じっすか?」
「ええ、その通りよ」
確かに朝香先輩の言う通りだな……全生徒の名前を名前と顔を覚えている生徒会長、そして神出鬼没の生徒。このふたりが同一人物だと考えれば色々辻褄が合う。 けどどうして自分の正体を隠すようなことしたのかな
「はぁ……顔だけじゃなくて頭までいいとは……パーフェクトすぎるじゃないっすか」
「お褒めに預かり光栄だわ、それにしても……さっきの貴方は生徒会長がせつ菜という言葉を聞いた時にさほど驚いてなかったみたいだけど?」
「言われてみれば確かに……どうしてなの?」
朝香先輩の問いかけに便乗し、かすみちゃんも時雨くんに疑問を向けた。確かに時雨くんならかすみちゃんと一緒に驚いてそうだけど……
「……簡単な話っすよ。オレもせつ菜さんの正体を知ってたんで」
「えぇぇぇぇ!! そうだったの!!??」
時雨くんのそんな発言にまたもやかすみちゃんが大声で驚いている。そしてもちろん俺達も驚いていて桜坂さん達も例外では無かった
「時雨くんはいつ気づいたの?」
「あの件が起こって次の日っすね。オレも不審に思ったんで生徒会室で菜々さんに色々質問させて貰ってその時に判明しました」
近江先輩に聞かれた時雨くんは正体を知った経緯を答えてあげた
「そんなことがあったんだね……でも、どうして内緒にしてたの?」
「そうだよ! かすみん達には教えてくれても良かったじゃん!」
桜坂さんとかすみちゃんは優木さんのことを秘密にしていた事について時雨くんに疑問を投げかけた
「それに関しては悪いと思ってる。タイミングってもんがあったんだよ」
「あら、それなら私は余計な事をしちゃったかしら?」
「いえ、別に大丈夫っすよ。そろそろ話すつもりだったんで」
確かに俺たちにずっと黙っていたのは少し癪に感じるところではあるけどきっと彼なりの考えがあるんだろう
「まぁそれについては後に話すとして……どうでした? せつ菜さんと話してみて」
「あのね、せつ菜ちゃんは本気でスクールアイドル辞めるみたいだったんだ……」
「みんなでちゃんと話そうとしたんだけど、取り付く島も無かったんだよね〜……」
時雨くんの問いかけに対してエマ先輩と近江先輩が暗いテンションで答えた。
「……だろうとは思いましたよ、オレもさんざん説得したのに聞き入れる気がなかったすもん」
時雨くんにとっては予想できていた展開のようだ。 優木さんの意志は揺るがないみたいだし……どうすればいいのかな?
「悩んでいるみたいだけど、何か問題でもあるの?」
俺たちが悩んでいると、朝香先輩が口を開きそんなことを言った。
「あなたたちの目的は同好会の復活なんでしょ? 部員は5人以上居るみたいだしすぐにでも始められるでしょ?」
朝香先輩の言うことは正論だった。本来の目的は果たしている、だからこれでいいはずなんだ
「それに、本人が辞めたいと言ってたのよ? 無理に引き止める必要もないんじゃないかしら」
確かに、辞めたがってる人にこれ以上深入りするのもどうかと思うけど……でもみんなの話を聞く感じ……
「……せつ菜ちゃんは本当に辞めたいのかな?」
皆が黙り込んでしまってる中、侑姉がそう言った
「なんでそう思うの?」
「それは…………あ、そうだ。みんなはどう思いますか? せつ菜ちゃん、スクールアイドル辞めてもいいんですか?」
「それは嫌だよ!」
「それはやだ!!」
「それは嫌です!!」
朝香先輩に問われた侑姉は少し考えた後、こちらに対して質問をしてきた。そして真っ先にエマ先輩、近江先輩、桜坂さんの3人が反応した
「せつ菜ちゃんはすごく素敵なスクールアイドルだもん!! それに活動休止になっちゃったのは私達の力不足でもあるから……」
「彼方ちゃんお姉さんなのに……みんなを引っ張ってあげられなかった……」
「お披露目ライブは流れてしまいましたけど……皆でステージに立ちたいと思って練習してきたんです! せつ菜さんがいないなんてありえません!!」
3人それぞれが、優木さんや同好会への思いを叫んだ。色々あったのかもしれないけど3人にとっては同好会は大切な場所であり、メンバーは誰一人欠けてはいけない……そんな気持ちなんだろう
そしてこの3人だけではなく……
「かすみんだって同じです! せつ菜先輩は絶対居なきゃいけないんです!!」
3人に続けてかすみちゃんも前に出てきた
「確かに厳しすぎたとこもあるけど……今ならせつ菜先輩の気持ちが分かるんです。前の繰り返しになるのは嫌なんです……でも、そうじゃないやり方もあるはずなんです。それを見つけるためには、せつ菜先輩が居なきゃダメなんです!」
かすみちゃんも3人に負けないくらいの強い思いを叫んだ。先日かすみちゃんが言っていた、かわいいもカッコイイもみんなが一緒にいられる場所を作る……そのために優木さんは欠かせない……そういうことなんだろう。
「大きくなったねぇ〜かすみちゃ〜ん!」
「わぁっ!」
すると近江先輩がいきなりかすみちゃんに抱きついた。
「もうっ、バカにしてませんか?」
「褒めてるってばぁ〜」
「だあっ……! かすみてめぇまた……! 彼方さん、オレも色々大きくなりました。なんだったらまた別のとこが大きくなりそうです。オレのことも抱きしめても……」
「えー……? 時雨くんはなんかやだなぁ〜……」
「シンプル過ぎて傷ついたんすけど」
近江先輩に抱きつかれようと思った時雨くんは苦言を呈されていた。さっきまで重苦しい雰囲気だったけどなんだかいつもの感じが戻ってきたな
「……とまぁ冗談はこの辺にしといて……オレももちろんせつ菜さんには戻ってきて欲しいっす。それが1番のハッピーエンドっすからね」
時雨くんは先程とは違い真剣な顔でそう言った。真面目になるのはいい事なんだけど情緒が激しいな
「私もみんなと同じだよ、せつ菜ちゃんは私たちに夢を与えてくれた人だもん! 私も一緒にやりたい!」
「うん! だよね!!」
歩夢ちゃんと侑姉も言うように2人にとって優木さんは夢とトキメキを与えてくれた存在だ。なので2人も答えは同じだった
「俺ももちろん、戻ってきて欲しいって思ってる。優木さんのおかげでここまで来れたんだ。なのに彼女がいないとなんだか締まらないからね」
最後になったが俺も自分の気持ちを伝えた、2人の夢を叶えるためだもん。答えは同じに決まってるよ
「気持ちは伝わったわ、けど結局はあの子の気持ち次第よね」
「ぐぬぬ……いい雰囲気だったのに水を差すようなことを〜……!」
「まぁまぁかすみちゃん……でも、果林ちゃんの言う通りだよ」
朝香先輩の発言に対してかすみちゃんが睨みつけ始めた。そしてそれをエマ先輩がなだめている。
でも確かに朝香先輩の言うことは正しい、優木さんが辞めたいと言えばそれまでだ
「いや、そんなことはないっすよ」
そう思っていると時雨くんが口を開いた
「あの人は本当はスクールアイドルを辞めたくない、スクールアイドルが大好きなんです。けど自分のせいで誰かを悲しませることを恐れている……だから自分の気持ちに嘘をついてそんなことを言ってるんすよ」
自分のせいで誰かを悲しませること恐れているか……その気持ち、ちょっと分かるかもな……
「オレは何とかせつ菜さんを説得したい……けどオレや同好会のメンツが話をしたとしても……きっと辞めたいの一点張りになってまともに話なんて出来ないんで……なので、侑さん」
「え、私?」
時雨くんはそう言いながら侑姉の方へ目を向けた
「はい、侑さんはせつ菜さんのライブを見てスクールアイドルが好きになったとお聞きしました。そんな侑さんだからこそ伝えられることがあると思うんです……だから、お願いします!!」
時雨くんは誠意を込めながら頭を下げ、侑姉にお願いした。そこにいつものふざけている彼は感じられなかった
「わかった、やってみるよ!」
そしてそんな熱意が感じ取れたのか、侑姉は優木さんを説得することを受け入れた
「ホントっすか……?」
「うん! 私もせつ菜ちゃんと話したいことがあったし……私に任せてよ!!」
「……ありがとうございます、恩にきります」
時雨くんは侑姉に感謝を述べていた
急に決まったことだけど……侑姉ならいける……何となくそんな気がしたんだ
そしてそれはみんなも同じであり、みんな侑姉に期待の眼差しを向けていた
「よーし! そうと決まれば早速いきますよー! シグ助、なんかいい案ある!?」
真っ先に声を上げたかすみちゃんだったがすぐさま時雨くんを頼った。あ、何も考えてなかったんだね
「結局オレ頼みかよ……まぁいい、オレにいい作戦があるんすよ」
急にかすみちゃんに問いかけられた時雨くんだがどうやらいい作戦があるとの事。色々ツッコミどころがある人だけど結構すごいんだよね
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
相変わらず執筆ペースがよろしくないので誰か助けてくださいお願いします…()