虹ヶ咲学園、普通科の教室
「よーし、到着」
「お、柚月じゃん。おはよー」
「うん、みんなおはよ」
ここは俺が通っている虹ヶ咲学園だ。そして俺は普通科に所属してるよ、ここは普通科の教室だね
ちなみに侑姉や歩夢ちゃんも俺と同じく普通科なんだけどクラスが違うんだ。何せ生徒数がすごいからね
「そういや知ってるか? 転校生の事」
「うん、知ってるよ。確か男子2人だよね」
「ああ、そのうちの一人が普通科でこのクラスに入るんだってさ」
「え、そうなの?」
驚いたな、まさか俺たちのクラスに来るなんて
「ふふっ、ちょうどいいな。その転入生にも俺のかっこよさを見せつけてやらなきゃ……」
「柚月くんが見せつけるのはかっこよさじゃなくて可愛さでしょー?」
またもやクラスの女子が俺の事を可愛いと言ってきた
「だぁーっ! だから可愛い言うなーっ!!」
俺がツッコミを入れるとクラスが爆笑に包まれた。
捉え方によってはイジメになるぞ、いつになったら俺はみんなにカッコイイって言われるんだよぴえん
「全く……いつもの如くみんな揃って」
「あはは、ごめんごめん。ついからかいたくなるんだよ」
まぁクラスのみんなはいい人だし悪気はないだろうから別にいいんだけどね。でも1回くらいカッコイイって言われたいよ。いや1回じゃないたくさん言われたい
「それよりそろそろホームルーム始まるよ」
「あっ、そうだな。早く席つこっと」
俺がそう言うとみんな即座に席に座った
そしてそれと同時に教室内にチャイムが鳴り響いた。そしてチャイムがなった数秒後に先生が入ってきた
「えー、皆さんおはようございます」
先生は教壇に立ち俺たちに朝のあいさつをした。
それを聞いた生徒たちも先生に挨拶を返した
「知ってる人は知ってるかもしれませんが……今日は転校生が来ます。転校生は2人でそのうちの一人がこのクラスに加入することになりました」
先程聞いた話を通り先生から転校生のことについて説明があった
「早速ですが、その転校生を紹介したいと思います。それじゃ、入ってきて」
先生がそう言うとクラス全員が扉の方へ目をやった
どんな人なんだろうな……楽しみだな
そして扉が開き……
「……失礼します」
1人の男子生徒が入ってきた
そして彼も教壇に上がり先生の隣に立った。彼は暑い時期だというのに長袖の制服を着ている……てか待って背高くない? 羨ましい
「それでは自己紹介をしてもらっていいかな」
「……不知火光です。今日からこのクラスに入ることになりました、どうぞよろしくお願いします」
自己紹介を終えるとクラスのみんなは拍手をした
背の高さを少し分けて欲しいとかいうコメントは置いといて……不知火君か、せっかくだし仲良くなれたらいいな
「それじゃ……あ、高咲君の隣が空いてるな、そこに座って」
お、俺の隣か。ちょうどよかった
「おーい、こっちだよー!」
俺は不知火君に手を挙げて示した
「あそこか……分かりました」
それを見た不知火君はこちらへとやってきた
「ここが俺の席か」
「うんそうだよ」
「ああ、えっと……高咲」
「あ、俺の事は苗字じゃなくて下の名前……柚月って呼んでくれたら嬉しいな」
侑姉のこともあるしごっちゃになるかもしれないからね、ちなみにクラスのみんなにはそう説明してるよ
「そうか……じゃあ柚月って呼ばせてもらう」
「うん、俺も光くんって呼んでもいいかな」
「ああ、構わない」
「じゃあ改めてよろしくね、光くん」
「こちらこそよろしく、柚月」
そしてホームルームが終わり、授業が始まるまで光くんと話がしたいと思い話しかけようとしたら……
「なあなあ不知火君!」
「……どうしたんだ?」
クラスの何人かが光くんの席へとやってきた。多分みんな考えることは同じだろう、みんなも光くんと話したいんだね
「不知火君って前は何処の学校だったんだ?」
「あ、それ僕も気になるー!」
なんだちょうど良かった。俺も今から聞こうと思ってたところだ
「……田舎の学校だったな。こことは随分違う」
「へー、そうだったんだね。じゃあ虹ヶ咲学園を見た時びっくりしたでしょ?」
「そうだな、初めはここが学校だとは思わなかった」
「あはは、そりゃそうだよな!」
そうなるのも無理もない、なぜなら虹ヶ咲学園は都内でも上位に来るレベルの大きさだもんね
「迷わないように気をつけないといけないな……俺は頭が悪いから不安だ」
「そんなに気にしなくても大丈夫だよ、それになんかあったら隣の可愛いやつに聞けばいいよ」
「そーそー、俺に聞けば……って可愛い言うなってばぁ!!」
隙あらば可愛いって言ってくるじゃん。やめてよ俺泣いちゃう
「……柚月は可愛いのか?」
「あーあー光くんまで影響されなくていいから! とにかく何かあったら遠慮なく俺に聞いてよ」
「分かった、その時はお願いする」
表情が変わらないのが気になるけどみんなとも問題なく話せてるみたいだしクラスには馴染めそうかな
「それと……俺は昔から感情を表に出すのが苦手で人に何かを伝えるのが難しい……だからみんなの気を悪くさせてしまう事があるかもしれない」
そっか……緊張してるからだと思ったけどそんな理由があったんだね
「そんなの気にしないでよ、光くんは俺たちのクラスの仲間なんだからさ」
「そうそう、僕達にも頼ってくれていいんだよ」
クラスのみんなも同じ意見みたいだ、どんな理由があろうと光くんは友達だからね。そんなの気にしないよ
「みんな……すまない」
「はは、それじゃそろそろ授業始まるし準備しようよ」
「ああ、分かった」
転校生の不知火光君……どんな人かと思ったけどいい人だな。侑姉と歩夢ちゃんにも教えてあげよ
──ー
昼休み
「音楽科の教室はこの辺だっけか……そろそろ来るかな」
オレは朝かすみ達に話した通り仕事で何度か一緒になったことがある人……鈴音さんと待ち合わせをしていた
「あ、時雨君」
「お、鈴音さん。お久しぶりっす」
「うん、久しぶりだね」
そんなことを考えていたらちょうどやってきた、タイミング完璧だったな
「ごめんね、わざわざ案内してもらって」
「いえいえ、鈴音さんにはお世話になってるし構わないっすよ」
鈴音さんが曲作り、オレが動画制作をしてるんで割と一緒に仕事することが多いんだよな。鈴音さんが作った曲のPVを作ったりなどなど……ちなみにオレたちはネットで活動してるんで顔出しはしてない
「ま、とりあえず昼休みだし食堂に行きましょう。そこで腹ごしらえしてから色々案内させて貰いますよ」
「うん、分かった」
そんなわけで昼だしまずは何か食べたいって訳で食堂に向かうことにした
そんでもって食堂に到着っと
「……本当に学校の中なのここ……?」
「まぁ近隣住民の人も利用できるっすからね。だとしても広すぎだと思いますが」
鈴音さんは食堂の広さを見て驚いているようだ。
無理もねーよ。だってここ広すぎるもんマジで1000人位座れるだろ
そんなこんなでオレと鈴音さんは各々注文したものを受け取って席についた
「それにしても……ここの学園って本当になんでもあるんだね」
「学生寮もありますからね、マジでここだけで一生生きていけるんじゃないかってレベルっすよ」
確かスクールアイドル同好会の3年生の先輩が学生寮を利用してた気がするな
……ってそれよりも……
「ねぇねぇ、転校生ってあの人だよね?」
「ホントだ! かっこいい〜……」
なんだか周りの女子から視線を感じる……理由はもちろんこのオレ! ……だったら良かったんだけどな
「ん? どうしたの時雨君」
「いや……なんでもねーっす……」
「そう? ならいいんだけど……」
理由は間違いなくアンタだよこのイケメン。くそっ、予想通り女の子からキャーキャー言われやがって羨ましい
「あ、そうだ。時雨君ってスクールアイドルやってる友達を手伝ってあげてるんだったよね」
「あー……まぁ一応」
鈴音さんには同好会のことについて仕事の合間にちょくちょく話していたんだ。ちなみに同好会の現状について説明はしていない。変な気使わせるかもしれないからな
「送った曲はどうだった? 僕なりに頑張って作ったんだけど……」
「あー……それなんですけど」
実はオレから鈴音さんにスクールアイドル同好会の曲を1曲だけ依頼してたんだ。かすみ達には内緒にしてるけど。
でもまさかあんな事になるなんて思いもしなかったからな
「もしかして気に入らなかったかな……?」
「そーゆー訳じゃないんすけど……実はですね」
こうなってしまっては仕方ないので鈴音さんに同好会のことを説明することにした
「……なるほど、そんなことがあったんだね」
同好会の現状について説明すると鈴音さんは深刻そうな顔をしてしまった
「……申し訳ないっす、こんな話してしまって」
「ううん、気にしないでよ。でも時雨君の事だし作戦は考えてるんでしょ?」
「まぁ一応は……まだ色々準備が足りませんけどね」
「時雨君が考えた案ならきっと大丈夫だよ、僕もできる限り協力するから何かあったら遠慮なく言ってね」
「鈴音さんがそう言ってくれるのはすげぇありがたいっすわ……じゃあその時が来たら声かけさせてもらいます」
マジでこの人良い人過ぎんだろ。オマケに顔も良い、そりゃあんなにモテるわけだわ。
「あ……そうだ。僕はそのスクールアイドル同好会の人ってその優木さんって人と中須さんって人しか知らないんだけど……他にはどんな人がいるの?」
「あー……そういや話してなかったすね」
曲を依頼する時も全員の名前は出してなかったな、この際だし話しとくか
「じゃあせっかくだし案内しながら他の人達の話をするっすね」
「うん、お願いするよ」
ちょうど昼食を食べ終わったのでオレたちは立ち上がり食器を返却口に持っていき、食堂を後にした
というわけでオレは鈴音さんに校内を案内している。中庭、部室棟など広すぎる虹ヶ咲学園を案内して回った
「……とまあこんな感じっすね。広すぎて何がなんやらとは思いますが……まぁ鈴音さんなら大丈夫っすよ」
「ありがとう。レコーディング室があったしここでも仕事出来そうだから助かるな」
「申請出せば使わせてもらえるっすよ。あ、そうだ。この流れでせつ菜さんとかすみ以外の同好会メンバーのこと話しますね」
危ねぇ危ねぇ。忘れるとこだったわ
「あ……そうだったね。分かった、聞かせてよ」
「まずは3年生の近江彼方さん。家庭の事情でアルバイトを掛け持ちしててその疲れのせいか練習前に居眠りしてよく注意されてました。今もその辺で居眠りしてると思いますよ」
「今もって……お昼寝って事?」
「そうっすね。てか朝だろうが昼だろうが時間ある時に寝てますからね。校内に彼方さんのお昼寝スポットがいっぱいありますからね。ただ練習が始まるとちゃんと集中するんで……結構しっかりした人っすよ」
ちなみに彼方さんが寝てるとこを添い寝してあげようとしたらかすみに殴られたのは別の話だ
「そんで次は同じ3年生のエマ・ヴェルデさんっす。その名の通り外国人で故郷はスイスとの事っす。日本のスクールアイドルに憧れて日本に留学してきたんですよ。日本語の勉強をめちゃめちゃしたのか日本語は完璧ですね。あとめちゃめちゃ胸がデカいっす」
「一番最後の情報はともかく……わざわざ日本を訪れるなんてよっぽどスクールアイドルが好きなんだね」
なんか一番大事な情報が流されたんすけど、なんでっすか胸は大きい方がいいでしょ。もしかして鈴音さんは小さい方が好きなのか?
「それで最後の1人が……1年生で演劇部に所属してる桜坂しずくってやつなんですけど……」
オレがしずくの名前を出した瞬間だった
「えっ……?」
突如鈴音さんの顔色が変わった
「……どうかしましたか?」
「あっ……ごめんなんでもないよ」
オレが問いかけると鈴音さんは誤魔化すような素振りを見せた
そしてオレは今朝鈴音さんの事を説明した時のしずくの反応を思い出した
「……もしかしてですけど前に鈴音さんが言ってた曲作りを始めるきっかけになった幼なじみってしずくの事っすか?」
鈴音さんと仕事で一緒になった時に転校で離れ離れになった幼なじみがいるという話を聞いたことがあるんだ
「うん……そうだよ」
「やっぱりですか。今朝しずくに鈴音さんの事軽く説明した時も似たような反応してたんで……もしかしたらって思ったんすよ」
思った通りビンゴだったな。どんな偶然だよ、世界って狭いな
「放課後あいつも部活があるって言ってたんで今日は無理かもしれないですけど……明日辺りにでも会ってみたらどうっすか?」
せっかくなのでオレはそう提案した
「……そうだね、時間さえ合えば久しぶりに話してみたいな」
「……?」
幼なじみと再び会えるという話を聞いたら普通なら嬉しそうな反応をするものだ。しかし今の鈴音さんはなぜだかバツの悪そうな反応をしている
……おそらく二人の間に何かあったんだろう。鈴音さんとしずくの性格からして喧嘩しただの仲が悪いだのは考えづらいけど
「……って、気づいたらもうこんな時間っすね」
「あ……ホントだね、そろそろ戻らないと」
「そうっすね。それじゃそろそろ解散にしますか」
気づけば昼休みの終了する時間まで残り数分となっていた。さっきの話で色々気になることはあるけど時間も時間なのでお互い教室に戻ることにした
「それじゃこの辺で。同じ学校なんでちょくちょく会うことがあると思いますが……これからよろしくお願いしますね」
「うん、時雨君も同好会のこと頑張ってね。それじゃ」
鈴音さんは微笑みながらそう言って、軽く手を振った後こちらに背を向けて音楽科の教室がある方へと戻って行った
「よし、オレも戻るか」
鈴音さんの背中を見送った後オレも教室へと戻ることにした
「さてと……これからどうするかもっと考えないとな」
どうするかというのはもちろんスクールアイドル同好会の事だ。作戦はあるが実行させるには最低でもせめてあと2人は協力者が欲しい所だ
……まだまだ全然だな。何とかしねーと
それにしても鈴音さんのさっきの反応……一体何があったんだろうか……しずくにも聞いてみる必要がありそうだな
それよりもまずは、放課後の予定のために備えないとな
時雨君と久しぶりにあって昼休みの間に校内を案内してもらっていたんだ。 その後にも時雨君が所属して手伝いをしているというスクールアイドル同好会についての話も聞かせてもらった
……まさかここでしずくちゃんの名前を聞くなんてな……
いくら生徒数が多いとはいえ同じ学園の生徒だ、話す機会はあるだろう。もしかしたら時雨君が会わせてくれるかもしれない
けれど……僕は
君に……しずくちゃんに合わせる顔なんてない。
だって僕のせいで君は……
最後まで読んでいただきありがとうございました!次回からアニメ本編に入ります!
そしてTwitterの方にオリキャラ達のイラストを公開したので興味ある方は僕のTwitter垢を覗いてみてください!