何とか年内には更新できたのでどうかお許しを……
そんなこんなで早速グループに別れて練習を開始することに。
あ、どうも。ダンス練習のグループを見ることになった高咲柚月だよ。ダンス練習って名で作られたグループだけど……いきなり踊る訳にもいかないしまず最初は柔軟からだね。身体を柔らかくするのも大切なことだし。
と、いうわけで柔軟を始めてるわけだけど……
「おおおおおお〜!!」
「あら、もっといけそうね」
「む、無理無理ぃ〜!!」
「おおおおお〜」
「……2人ともそれが限界?」
「そうみたい……」
「うーん、これは一筋縄じゃいかなそう」
ダンス練習のメンバーは全ての練習に参加すると言っていた宮下さんと天王寺さんに加えて彼方さんとエマさん。そしてお手伝いとしてエマさんが連れてきてくれた朝香先輩だ。
そんでもって今は前屈をしてるわけだけど……彼方さんと天王寺さんは身体が硬いのか全く腰が曲がらない。朝香先輩が背中を押してくれてるけど2人ともこれ以上は曲がらないみたい、大丈夫かな?
「「ふぇ〜……」」
と、思っていたら2人ともうつ伏せてしまった。うん、大丈夫じゃないなこれ。
「ダンスをするならまず身体を柔らかくしないとダメだよ?」
エマさんはダンスにおいての柔軟は大切ということをうつ伏せている2人に告げる。
ちなみに時雨くんから彼方さんが柔軟が苦手なのは予め説明されてたんだ。けれど天王寺さんも苦手だったとはね。
「ダンスも大事だけどまずこっちを何とかしないといけませんね……」
「そうだね……だから、果林ちゃんが手伝ってくれて良かったよ〜」
「……まぁ、時間があるからいいけど」
エマさんはそう言いながら朝香先輩に感謝を述べる。実際のとこ俺も朝香先輩が手伝ってくれる事に感謝してる。柔軟のサポートとはいえ男子の俺が女子の背中を手で押すのは恥ずかしいし抵抗あるからね。
「さぁ、2人とも。続きを始めるわよ」
「え〜? 彼方ちゃん壊れちゃうよ〜!」
そんな中、朝香先輩がうつ伏せてる2人に向けて練習を再開すると声をかける。それを聞いた彼方さんは限界なのか弱音を吐き、天王寺さんも声は出してなく表情も変わってないものの練習を再開すると聞いた瞬間、目を見開いていることからあまり乗り気では無い様子だ。
しかしそんな中……
「大丈夫だよ!」
「おぉ〜!!」
「へぇ、やるじゃない」
宮下さんが一言呟いて前屈をする。すると2人と違い、軽々と腰を曲げている。それを見た俺たちは驚いており、朝香先輩は感心を示すような態度をとっている。
「よっと、じゃあ2人ももう1回やってみよっか!」
彼方さんと天王寺さんは宮下さんにそう言われ、2人は前屈をする形になる。すると宮下さんが2人の後ろに立ち、背中に手を置く。
「大きく息を吸って……? ゆっくり吐いて〜」
2人は宮下さんの指示通り大きく息を吸った後、ゆっくりと吐く。よく見ると宮下さんがゆっくりと2人の背中を押していた。すると身体が固くて全然出来てなかった2人の身体が先程に比べて少し前に曲がっている。
「あれ、できてる?」
「私も……さっきより出来てる気がする」
「ふふっ、どう? ちょっとでも出来るようになると楽しくない? 続ければもっと柔らかくなっていくし!」
「うん、頑張る」
「よーっし、彼方ちゃんも頑張らなきゃ」
出来ないことや苦手な事は、少し進歩があるとやる気になり頑張ろうと思えるからね。宮下さんはその気を起こす事が出来たわけだし……すごいなぁ
「さすが部室棟のヒーローね」
「ヒーロー?」
朝香先輩がそんな事を呟いて、エマさんがそれを疑問に思ったのか聞き返す。俺も気になったので耳を傾けてるよ。
「知らないの? 彼女、色んな体育会系の部活で助っ人として活躍してて結構有名なのよ」
「そうなんだ〜なんだかすごいねぇ……」
エマさんは部室棟のヒーローと呼ばれる宮下さんの活躍を聞いて凄いと感じている。
そして俺はというと……
「ヒーロー……かっこいい……!!」
「柚月くんどうしたの? なんだか目がキラキラしてるけど……」
「だってヒーローって事は色んな人から頼りにされてるって事ですよね? いいなぁ……俺もそんな風になれたら……」
エマさんいわく俺は目をキラキラ輝かせてるらしい、まじか。でも仕方ないじゃん、強くてかっこよくて頼りにされるような男になる俺からしたらヒーローなんて呼ばれるのは羨ましいよ。
「そうだ……! 俺が校内でヒーローと呼ばれるくらいの活躍をすればみんな俺のかっこよさに気づくんじゃ……!」
「あら、アナタはかっこいいヒーローというより可愛いマスコットの方が似合うんじゃないかしら?」
「あ、それ分かるかも〜!」
「柚月くんがマスコットかぁ……確かにしっくりくるねぇ〜」
「だぁー!!! 可愛い言わないでくださいよ! 後マスコットってなんですか!? そしてエマさんと彼方さんも便乗しないでくださいよ!」
朝香先輩に可愛い弄りされそれに続けてエマさんと彼方さんも弄ってきた。最近可愛い弄りする人増えてきてない? 俺悲しいよ。
「あはは〜。あ、そういえば彼方ちゃん。てっきり果林ちゃんも同好会に入るかと思ってたよ〜」
すると彼方さんが朝香先輩がスクールアイドル同好会に入部していないことについて話題を変えた。そういえば俺もそれは気になってたな。
「そんなわけないでしょ? 私はただエマの悲しむ顔を見たくなかっただけよ」
「へぇ〜……?」
同好会に入らない訳を説明する朝香先輩、そして彼方さんと宮下さんがそれを意地悪そうに見つめる。また俺も、朝香先輩の説明で思わずクスッと笑みを零した。
「な、何よ……」
「いえ、朝香先輩って友達思いで優しい人なんだなって思っただけですよ」
クールな印象だったけど意外に優しい所を見て少し印象が変わったな。思えばせつ菜ちゃんを説得する時に協力してくれたこともあったし……やっぱり良い人なんだな。
「ふふっ、ありがとう果林ちゃん」
「あっ……べ、別にいいわよ……」
エマさんに褒められると朝香先輩は恥ずかしそうにそっぽを向いた。さっき俺の事を可愛いとか言ってたけど……朝香先輩も可愛いとこあるじゃん。
──
柚月さんがダンス……侑さんが歌の練習を見てくれる訳だがオレは何するか……と思っていた矢先、かすみに呼び止められたんだよな。かすみの準備が終わるまで仕事しながら待機しててその準備ができたから部室に来てと連絡があったからちょうど向かっているところだ。何する気か不安でしかねーけど。
ちなみに諸事情があってかすみが指定した時間よりも3分ほど過ぎて向かってるからまた怒られるな……なんて思ってると部室の前に着いた。
「お疲れ様っす、遅れて申し訳ないっす」
「お、お疲れ様ー! 待ってたよ!」
部室の扉を開けるとまず宮下さんの声が聞こえてきて、中には床に座っている宮下さん、天王寺、しずくの姿が。そして何故かメガネをかけてホワイトボードの前に立ってるかすみがいた。
「やっと来た! みんな待ってたんだから!」
「もしかして仕事の方で用事があったの?」
「あー……まぁそんな感じだ」
かすみに怒られてしずくには遅れてしまった理由を尋ねられた。
……遅れた理由は仕事には関係ないが誤魔化しとくか……もちろんサボる気なんてない。まぁ
「さてと、シグ助も来た事だし早速……」
オレが部室に来たことにより全員揃ったから本題に入るんだろうが……かすみはメガネなんてかけてたか……? そう思いながらオレはしずく達が座っている後ろの方へと足を運んだ後近くの壁にもたれかかる。
「コホン! では、これより講義を始めます!」
「おぉ! 面白そう!」
かすみが何を企んでるか不安だったものの、講義というまともなワードが出てきたことにより一安心した。宮下さんと天王寺はスクールアイドルに詳しくなくその2人に教えてあげ、オレ達も改めてスクールアイドルとは何かを再確認するのにもいいかもな。
「それはいいんだけど……そのメガネどうしたの?」
……と、しずくがかすみがどこからか用意したのか知らないメガネのことについて触れてくれた。気になって話に集中出来ないしオレが触れようかと思ったけどしずくに先越されたな。
「これは……せつ菜先輩に借りてきました。……無断で」
「ダメじゃねぇか」
「はぁ……絶対怒られるよ?」
ネームプレートの時といいこいつはせつ菜さんから何かしらの物をよく盗むな。大丈夫かよ。
「ぐっ……話の腰を折らない! 桜坂くん! 涼風くん!」
「なんだよそのキャラ」
なんで教授になりきってるんだよ。もしかしてその為だけにメガネ盗んできたのか?
「それでは早速桜坂くんに質問です! スクールアイドルには何が必要なのか答えなさい!」
「え……えーっと……自分の気持ちを表現すること?」
かすみに急に質問をぶつけられたしずくは少し困惑しつつも、自分の答えを出した。しずくの答えに対してかすみは……
「正解!!」
「あ……正解なんだ……」
まさかの一発目から正解、普通こういうのは最初は不正解のパターンじゃないのか?
「では、天王寺くんにも同じ質問です、どうぞ!」
「えっ……?」
しかしかすみは正解が出たにも関わらず、続けて天王寺に同じ質問をする。
「ん……ファンの人と気持ちを繋げること?」
「せいか〜い!」
「あ……ひとつじゃないんだね」
そーゆーことか。確かにこの手の質問の正解は一つじゃないもんな。かすみと天王寺の言ってることはどっちも正しいし。
「では、次は宮下くん!」
「うーん……アハハッ! ごめん、分かんないや〜」
宮下さんは自分なりに答えを出そうとしたものの、出てこず分からないという結論に至ってしまった。まぁこれが普通だし仕方ねーよな……
「ピンポンピンポーン! それも大正解!」
「え?」
「はぁ?」
「なんで?!」
何故だかかすみは宮下さんの分からないという発言に対しても正解を出す。流石にみんな動揺を隠せなかった。
「あれれ〜? しず子にシグ助ってば分かんないの〜?」
「むっ……」
「うわいきなりめっちゃムカつくなお前」
さっきまで教授になりきってたのに急にいつも通りに戻ってんじゃねーよ。
「おいおいまさかとは思うけどお前いい加減なこと言ってるわけじゃねーよな?」
そんなわけない……と思いつつもオレはかすみに疑問をぶつける。
「もちろんそんなわけないでしょ? かすみんだってちゃんと考えてるんだから」
かすみはオレに対して適当なんかじゃないと胸を張りながら言う。
「今の質問にははっきりとした答えなんてないんです。ファンの皆さんに喜んでもらえることなら、どれも正解ってことです!」
かすみは先程の質問の回答に全て正解を出していた理由を説明する。その説明にしずく達は納得を示す。
「へぇ〜奥が深いんだね!」
「スクールアイドルってすごい」
お、この感じだと宮下さんも天王寺もスクールアイドルについて少し理解してくれたみたいだな。
「お前なりにちゃんと考えてんだな、疑って悪かったよ」
「分かってくれればいいの! ……そうだ、シグ助の答えも聞かせてよ!」
「ん、オレの答えか? そうだな……」
オレは自身の思うスクールアイドルに必要なものについて思考を巡らせる
「悲しんでたり……落ち込んでる人を、笑顔にする事。それがオレの答えかな」
オレは自身の思う答えを出した。……のだが何故かみんなポカーンとしてる。
「……って、オイ。なんだよ、まさかオレだけ間違いだってのか?」
「そ、そういうわけじゃないんだけど……まさかシグ助が真面目に答えるなんて思ってなかったから……」
「私も、どうせふざけると思ってた」
「うん、もしかして雨が降るかも……」
「なんだお前らオレのこと嫌いか?」
どんだけ信用されてねぇんだよ。傷つくぞコラ。
「アッハハ! シグシグってばすごい言われようじゃん!」
「全くっすよ……って、なんすかそのシグシグって?」
宮下さんはオレにフォローを入れてくれたが……宮下さんの発せられたシグシグという謎の単語が気になって反射的に質問してしまった。
「ん? あだ名だよ! ほら、時雨だからシグシグ!」
「あー……そういうことっすか。天王寺の事もあだ名で呼んでますもんね」
「そういうこと! だからシグシグも愛さん達のこと遠慮せず下の名前で呼んでいいよ! ね、りなりー?」
「うん、これから同じ同好会で活動するんだからそっちの方がいい。だからよろしくね、時雨くん」
「……まぁそーゆーことなら遠慮なく呼ばせてもらいます。じゃあ、愛さんと璃奈で」
まぁかすみ達のことは下の名前で呼んでるし2人の事を呼ばないのはおかしいよな。向こうから提案してくるとは思ってなかったが……って待てよ?
「っ……!! もしかしてこれはオレのハーレム作戦が少しづつ成功に近づいているって事か……!!?」
「……ほらふざけた」
「結局こうなるんだね……」
「やっぱり……シグ助はシグ助じゃん」
「いざ普段通りにしたらこれかよ、ほんとに泣くぞ? いいのか?」
理不尽じゃね? え、自業自得だって? やめろ何も言い返せねぇわ
──
「……よし、こんな感じかな」
僕は現在、虹ヶ咲学園のレコーディング室にて自身の曲の収録を行っていた。
「こうやって学校でも仕事ができるとはね……やっぱりこの虹ヶ咲学園は凄いな」
僕が現在利用させて貰ってる収録ブースはカラオケ機能もある。もはや学校じゃなくてアミューズメント施設だなぁ……。軽い掃除と片付け、荷物まとめをしながらそんなことを考える。
本当はもう少し収録を続けたいところだけど……そろそろ次に利用許可を取ってる人達がやってくる時間だし……
「すみませーん。レコーディング室の利用許可を取ってたスクールアイドル同好会なんですけど……」
「あ、ちょうど今片付けが終わって出ていく所だったから……どうぞ」
そう思ってると扉の方からコンコンとノックする音が聞こえ、扉が開き1人の女子生徒が顔を覗かせた。この人どこかで……確か以前音楽室で会った人だったな……
「ありがと……って、君確かこの前音楽室で会った人だよね?」
「うん、まさかこんなところで会うなんて、久しぶりだね」
どうやら彼女も僕のことを覚えてくれてたようだ。彼女と軽く挨拶を交わしふと後ろを見ると、彼女の後ろにはこれまた以前見かけたピンク色でお団子をまとめた女子。そして先日屋上でライブをしていた優木せつ菜という人。金髪の女子と背の低い女子がいるが、その2人は存じ上げない人物だった。
「ねぇねぇ! この間私たちが音楽室から出ていったあとピアノ弾いてたよね!」
「う、うん……そうだけど……もしかして聴こえてた?」
どうやら先日彼女が音楽室を出ていった後、僕の弾くピアノが彼女に聴こえてたようだ。
「うん! 音色が聴こえてきた時思わず足を止めちゃったんだけど……凄い優しくて綺麗な演奏だったな!」
「私もあの時侑ちゃんと一緒に聴いてたんだけど……聴いててすごく心地よかったよ」
「そっか、聴こえちゃってたか……。なんだか恥ずかしいな……、けどそう言って貰えて嬉しいよ。ありがとう」
自分のピアノの演奏を褒めてくれる2人に恥ずかしい気持ちを感じつつも聴いてくれたことと、褒めてくれたことにお礼を言う。
「……って、ごめんね? 帰ろうとしたのに止めちゃって」
「ううん、大丈夫だよ。それじゃ僕はこの辺で」
「うん、じゃあね!」
僕は彼女達に軽く別れの挨拶を交わし、レコーディング室を後にする。その際彼女がレコーディング室に入ってきた際のセリフを思い出した。
そういえば……彼女達はスクールアイドル同好会って言ってたな……ということは、しずくちゃんと鉢合わせるかもしれないな。
……そうなる前に早いとこ帰らないと
僕はしずくちゃんと会う前にこの場から急いで去ることを決めた。
そう決めて足を早めようと思ったのだが、胸がズキっと痛むような感覚に陥る。
せっかく……再会できたのにな……
いや、これでいいんだ。僕がいたら、しずくちゃんはまた傷つくことになるから
……そう、自分に言い聞かせながら僕は帰路に着く
──
んでもって全てのグループの練習が一段落ついたらしい。今は部室で待ってる侑さん達と合流するため部室に向かっている。
ちなみに余談だがかすみはせつ菜さんのメガネを無断に持ち出した件でこっぴどく叱られたようだ。当たり前だな。
「うぅ〜……あんなに怒らなくたっていいじゃないですかぁ〜……」
「怒るのは当たり前です! メガネがないと思った時はほんとに焦ったんですから」
「そのメガネってせつ菜ちゃんから奈々ちゃんに切り替わるスイッチみたいなものなんだっけ〜?」
「ええ、これをつけると気が引き締まってすぐに切り替えれるんですよね」
「メガネかけたら別人みたいになっちゃうもんね」
「道具で別人みたいになる……なんか変身ヒーローみたいでカッコイイなぁ」
「そ、そうでしょうか?」
「なんで満更でもなさそうなんですか?」
柚月さんもただの軽い冗談のつもりで言っただろうにめっちゃ嬉しそうだなこの人。どしたよ。
って、そんなことを話してたら部室に到着したな。
「おまたせしました〜! ……って、なんですかこの匂いは!!?」
「なにこれ……漬け物?」
「あったりー! 愛さんのおばあちゃん特製のぬか漬けだよ!」
部室に入った瞬間、強烈なぬか漬けの匂いが鼻を刺激してきた。侑さんや歩夢さん達はそのぬか漬けを美味しそうに食べている。
「わぁ〜美味しそうだねぇ」
「アハハッ、みんなも食べる?」
「うん、食べる〜!」
「それにしてもぬか漬けなんてそんなイメージないから以外だなぁ」
柚月さんの言う通り、ぬか漬けなんて愛さんのイメージと対極にあるような存在だからオレも驚いている。人は見かけによらねーな……あ、めっちゃ美味い
「それで、みんなレッスンは終わった?」
「うん、バッチリだよ」
「彼方ちゃんクタクタだよぉ〜……」
そう言いながら彼方さんは一気に疲れが押し寄せてきたかのような反応をする。彼方さんは柔軟苦手だったし相当キツかっただろうな。
「みんな疲れてるみたいだし今日はこの辺で終わりにしよっか?」
エマさんが今日はもう終わりにすることを提案する、確かにそろそろ時間だし解散でもいいかもな
「あ……すみません。かすみさんと時雨さんはお話があるので残ってくれませんか?」
「へ? メ、メガネの事なら何度もごめんなさいしましたよね?」
「いえ、それではなくて……」
「なるほど、じゃあオレに愛の告白ってことっすか。フッ……せつ菜さんならオレは遠慮なく受け止めますよ。ですからオレに身体を委ねても……」
「残っててくださいいいですね?」
「あ、はい。了解っす」
危ねぇ危ねぇ。これ以上は命の危険がするし辞めとくか。
それにしてもオレとかすみに話ってことは……もしかして
そしてオレとかすみとせつ菜さん以外は部室から出ていき、3人だけになった。気がつけば外は夕焼けに染まっている。
「それでせつ菜先輩。話ってなんですか?」
かすみはせつ菜さんに本題について問いかける、それを聞いたせつ菜さんは神妙な顔で口を開いた。
「はい、今後の同好会の活動方針についてなんですが……」
「……やっぱりっすか」
何となくだが予想出来ていた。わざわざオレとかすみを呼び止めるなら同好会についての話しかないだろうし。
「以前までの同好会は……私の我儘が原因で、皆さんを悲しませて……皆さんの大好きを否定してしまうような活動になってしまってました。だから今後あのような事が起こらないためにも、活動方針を変えていく必要があると思うんです」
「確かに、以前よりメンバーが増えて……前と同じやり方で問題なく活動できるかと言ったら……YESとは言えないっすね」
現にミーティングの際、各々のやりたいライブがバラバラだった。これがオレ達らしいのは確かだが……それならばやり方を変える必要がある。
「かすみんの大好きも……せつ菜先輩の大好きも……皆の大好きが一緒にいられるような同好会作らないといけないんですよね」
「かすみさんの言う通り……皆さんの大好きが共存できる。そのために必要なこと……それがソロアイドルなのではないか……と思うんです」
「ソロアイドル……ですか」
「はい、私たちだからこそできる。新しい一歩です。部員一人ひとりがソロアイドルとしてステージに立ってパフォーマンスをする。きっと、皆さんの中にもその選択肢はあると思うんです」
……せつ菜さんの言う通りソロアイドルという選択肢はオレの中にあった。それはしずく達も同じだろう。
「いい案だと思いますよ。これなら皆さんの個性を十二分に発揮できます。それにソロアイドルとして活動してるスクールアイドルはそう多くない、注目を集めるという点でも適してると思います」
ソロアイドルは同好会にこれ以上と無いくらい適したメリットがある。しかし、メリットがあるなら当然デメリットもあるわけだ。
「ただ、皆さんが一人でステージに立つ。そのプレッシャーに耐えることが出来るか……ですね?」
「はい、私はお披露目ライブの時に一人でステージに立ったことがあるので分かるんですが……正直、不安でいっぱいでした」
「グループとして活動してるスクールアイドルなら……周りにいる仲間とカバーし合うこともできるのかもしれません。ですが、ソロアイドルとなるとそうはいきませんからね」
「かすみん達に合ったスタイルっていうのは分かってるんです……けど中々自信が持てなくて……」
ステージに立った経験のあるせつ菜さん、普段から自信に溢れてるかすみでさえあまり前向きにはなれない、だがそれも無理もないのかもな。
「……まぁ今すぐに決める必要もありませんよ。侑さんや柚月さん達にも話して……そこから答えを出しても遅くはありません」
「そう……ですね」
このまま悩んでいても埒が明かないと思ったオレはひとまず今日は解散することに。先程言った通り今すぐ出すべき答えでは無い、それに皆の意見を聞くのも大事だからな。
「じゃあ、今日はもう終わりにしましょうか」
「だな、今回話したことはオレからグループチャットに送っておくんで」
「時雨さん……ありがとうございます」
「気にしなくていいっすよ、こーゆうのがオレの役目なんすから」
その後、せつ菜さんが部室の鍵は閉めておくと言ってくれたのでお言葉に甘えオレとかすみは一足先に帰ることに。
ソロアイドル……か
一人でステージに立つとなると自分の力だけで見てくれる人を満足させなければならない。かすみ達には少し荷が重いかもな
そして何より一人は……孤独は…………
「…………」
「シグ助……? どうしたの?」
「いや、なんでもねーよ」
険しい顔をしてしまっていたのかかすみが不安そうに声をかけてきたが余計な心配をかけないためにも適当に返事をした。
要らないこと考えちまったな……
こんなこともう思い出さなくてもいいのに……
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
前書きにも書いた通りストックが無くなったので更新ペースはガタ落ちになりますがどうかお許しを……