色とりどりの夢と希望   作:AtR

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お久しぶりです……諸事情で前回の更新から3ヶ月も経ってしまいました。大変申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ……


これが楽しいということ

「はっ……はっ……はっ……」

 

 土曜日の朝、もちろん学校は休みだが俺はいつものように身体を鍛えるためのトレーニングの一環であるランニングを行っている。

 

 朝はやることも特にない。なのでこうやってランニングをした後、この先にある公園で筋トレをするのが休日の日課だ。

 

 

 ランニングを続けていると大きな橋が見えてきた。公園に向かうにはこの橋を渡らないといけないのでそのためにさっそく橋に1歩足を踏み入れたのだが……

 

「人がいるな……それも2人」

 

 俺が進もうとした先に人が2人立っているのが見えた。何やら話してるようだし……邪魔にならないように避けて通るか。そう思い走る速度を落としそのまま足を進めたら……

 

「いや〜めっちゃハードル高いよね……って、あっ!」

 

 話してる2人のうちの1人が俺に気づきこちらを振り向くと、俺の姿を見て反応した。 俺もあの人物には見覚えがあるな。

 

「ひかっちじゃん! おーーい!」

 

「宮下か、この間ぶりだな」

 

「ほんとだよねー! 元気してた?」

 

「ああ、俺はいつも元気だ」

 

 宮下はあの時と同じような明るい態度で俺に話しかけてきた。

 

「アハハっ! なら良かった! それでこんな朝早くからどうしたの?」

 

「俺は休日の朝はいつもトレーニングをしている、この後向こうにある公園で筋トレをするつもりだ」

 

「そうなんだ!! じゃあ愛さん達と同じだね!」

 

「同じ……?」

 

 同じ……ということは宮下もトレーニングをしてるということだろう。となると理由は……

 

「愛さん達あれからスクールアイドル同好会に入ったんだ! 今日は朝練で同好会のみんなと公園でランニングするから、今はそのために公園に向かってるとこ!」

 

「なるほど、そういうことだったのか」

 

 達……ということは天王寺も一緒に入部したんだろう。2人とも上手くいったみたいで何よりだ。

 

「あ、そうだ! 紹介するねエマっち、この人は……」

 

「大丈夫だよ愛ちゃん。確か……不知火くんだったよね?」

 

「はい、3年生のヴェルデ先輩ですね。柚月から聞きました」

 

「うん! エマ・ヴェルデだよ。よろしくね」

 

 この人は……前にスクールアイドル同好会の部室に行った時に見かけたな。昨日柚月にどんな人がいるのか聞いておいて良かった。写真も見せてもらったし顔と名前は覚えておいた、先輩に失礼な態度をとる訳にもいかないからな。

 

「え、2人って知り合いなの?」

 

「うん! 愛ちゃんと璃奈ちゃんが来るちょっと前に同好会の部室に椅子を運ぶ手伝いをしてくれてたんだ」

 

「そうだったんだね、ということは愛さん達と入れ違いになっちゃったのか」

 

 宮下達はあの日スクールアイドル同好会に入部したのか。もう少しタイミングが良ければ会えたかもしれないがあの日は俺も予定があったから仕方がないな。

 

「ていうかさ、ヅッキーとひかっちって友達なんだね!」

 

「ヅッキー……? 柚月のことか。あいつとは同じクラスで席が隣同士だからよく話しているな。だから友達……でいいと思う」

 

「アハハっ、何それ〜! そこまで仲良かったら友達だよ!」

 

「俺はよく分からないが……そういうものなのか?」

 

「うん! もちろん愛さん達もひかっちの友達だよ!」

 

「宮下達も……?」

 

 そう言いながら宮下は明るい笑顔で俺を見つめてきた。

 ……変な感じだ、宮下の笑顔には不思議と惹かれるものがあるな……。

 

「宮下が言うなら、そうなんだろうな。それより、宮下はヴェルデ先輩と何か話していたのか?」

 

「うん、実は愛さん達ソロアイドルとして活動する事になってさ。それについて少し話してたんだ」

 

「そうだったのか。それなら邪魔をしたな、すまなかった。ヴェルデ先輩も、申し訳ありません」

 

 ソロアイドル……というものが何かは俺には分からない。だが恐らく大切な話だったんだろう。それを邪魔してしまったわけだからしっかり謝罪をしなければ。

 

「へっ? そんな謝らなくていいのに〜。愛さんが話しかけたんだからさ!」

 

「……そうか、気使ってくれて感謝する」

 

 謝罪をした俺に対して宮下は謝ることは無いと言ってくれた。そしてヴェルデ先輩も微笑みながら俺の方を見ていることから気に止めて居ないようだ。快く許してくれたこの2人には感謝しないといけないな。

 

「でも、そろそろ行かなきゃだね。もう9時だし行く時間だよ?」

 

 するとエマ先輩が宮下に向けてそんな事を言った。みんなでトレーニングをすると言っていたし……柚月達と待ち合わせをしていてその時間が近づいてるんだろう。

 それなら急いだ方がいいのでは、と思っていると……

 

 

「ぷっ……アハハッ! ハハハッ!」

 

「えっ? ええっ?」

 

 何故かヴェルデ先輩の話を聞いてた宮下が笑いだした、突然の事にヴェルデ先輩は驚きを隠せずにいた。

 

「どうしたんだ? いきなり笑い出したが……」

 

 そして俺も内心では驚いている。すごく笑っているが……何か面白いことでもあったのだろうか、そう思った俺は宮下になんで笑い出したのかを聞いてみた。

 

「ソロで()()()()そして9時だしい()()()って……アハハッ! ダジャレだよね? アハハハハッ!」

 

「ダジャレ? ……ああ! 全然気づかなかったよ〜!」

 

「ダジャレ……なるほど、そういう事か」

 

 宮下が笑ってた理由はヴェルデ先輩の発言が本人が気づかずダジャレになってた事に笑ってたんだろう。俺は難しい事は全く分からないがダジャレがどういうものなのかは知っているので直ぐに理解出来た。

 

「しかも上手いし! エマっちってばセンスあるじゃん!」

 

「え〜そうかな?」

 

 宮下はヴェルデ先輩のダジャレに感心し、ヴェルデ先輩を褒めだした。ここまで笑っているところを見る感じだと宮下はダジャレが好きなのだろうか? そして褒められたヴェルデ先輩も満更でもない様子だ。

 ……俺も素直に笑顔で笑うことが出来たらいいんだが……いや、今この事を考えるのは辞めておくか。

 

 そして俺はそんな宮下のやり取りを見ていて思ったことがあった

 

 

「それにしても……あの時もそうだったが宮下はいつも笑顔で楽しそうにしているな」

 

「うん、私もそう思う。すっごく前向きでいてくれるし……私はそんな愛ちゃんが同好会に来てくれて良かったって思ってるよ」

 

「え? そうかなー? 今はめっちゃ悩んでるけど……」

 

 俺は自分が宮下を見ていて感じたことを口に出した。するとヴェルデ先輩が俺が言ったことに賛同し、それに付け加えるように発言する。しかし宮下は俺達の発言に対しあまり納得をしていないみたいだ。

 

「私たちは初めは色々あってようやくスタートラインに立てたんだ。きっと皆不安だらけ……けど本当はそれと同じくらいこれからに期待してると思うんだ。だってそうじゃなきゃ悩まないもん」

 

 ヴェルデ先輩が宮下に話した内容は俺には理解できない……だが恐らくスクールアイドル同好会の事だろう

 

「でもね、愛ちゃんが来てくれてから同好会のみんなの笑顔が増えてるんだよ? 愛ちゃんがいてくれるとみんな楽しい気持ちになれてるんだと思うんだ」

 

「えっ、そうなの?」

 

 ヴェルデ先輩にそう言われるも宮下はキョトンとしている。きっと……宮下本人は自覚をしていないのだろうな。

 

 

「確かに……それに関しては俺もヴェルデ先輩と同じ意見かもしれないな」

 

「ふふっ、不知火くんもそう思うよね?」

 

「ひかっちまで? ……アタシ、自分じゃそんなの分かんなかったな……」

 

「俺は感情を表に出すことが苦手だ、だから伝わらなかったかもしれないが……俺が宮下達と初めて会ったあの放課後の時、俺は楽しそうにスクールアイドルの事を話してる宮下を見て不思議と俺も楽しい気持ちになれてたのではないか……と思ったんだ。だから周りまで楽しい気持ちにさせれるくらいに自分が楽しむ事が出来る宮下を、俺はすごいと思う」

 

 俺は自分が宮下を見て感じていた事を声に出して伝えた。宮下の周りを楽しい気持ちにさせる事は俺には出来ないことだからな……そんな俺に無いものを持ってる宮下にはどこか惹かれるものがあるな。

 

「アタシが楽しむことでみんなが……そっかぁ、そういうことだったんだ……!」

 

 宮下の表情が変わり、先程まではどこかモヤモヤしてるような顔だったが今はそれが吹っ切れたような顔になっている

 

「ありがとう2人とも! 愛さん走ってくる!!」

 

「えっ? 愛ちゃん!?」

 

 すると宮下は俺とヴェルデ先輩に一言お礼を言ったあと、すぐ勢いよく走り出してしまい、突然の事にヴェルデ先輩も驚いている様子だ。

 

 

「どうしたんだろう愛ちゃん……?」

 

「さぁ……俺にも分かりません……」

 

 俺とヴェルデ先輩にお礼を言ってたが……何か宮下の力になるような事でもしただろうか? よく分からないが助けになれたのなら良かった。

 

「方向的には待ち合わせしてる公園だと思うし……追いかけないと……そうだ! 不知火くんも良かったら私と一緒に行ってその後みんなと一緒にランニングする?」

 

「俺も……ですか?」

 

「うん! 不知火くんも愛ちゃんが気になるだろうし……それに公園にはみんなもいるだろうからどうかなって」

 

 ヴェルデ先輩から宮下の走った後を追いその後一緒にランニングをしないかと提案された。

 

「……では皆さんの邪魔でなければ俺も参加させてもらいます」

 

 俺はその提案を受け入れることに、俺が本来やるつもりだったトレーニングメニューと変わるだろうか……1人でやるよりは複数人でやる方がいいだろう

 

「ふふっ、もちろんだよ! そうだ、不知火くんはスクールアイドル同好会に入らないの? 入ってくれたら私はもちろん愛ちゃんや柚月くん達も嬉しいだろうし……」

 

 するとヴェルデ先輩からスクールアイドル同好会に入らないかと誘われた

 

「興味はあります……けど俺はスクールアイドルの事が全然分からないので……」

 

「大丈夫だよ、初めは誰だってそんなものだと思うし……それに答えはすぐじゃなくてもいいからね。とりあえず行こっか」

 

「はい、わかりました」

 

 ヴェルデ先輩は気を使ってくれてるが……頭の悪くて難しいことが分からない俺が入部してもいいのだろうか……そんな疑問を抱えつつも俺はヴェルデ先輩と一緒に宮下の後を追うことにした。

 

 

 ──

 

 

 その後しばらくしてヴェルデ先輩と一緒に公園に到着した。

 辺りを見渡すと沢山の子連れの家族の姿が目に入る。まぁ公園だから当たり前なのかもしれないが

 

「……」

 

「不知火くん? どうかした?」

 

「あ……いえ、なんでもないです。早く宮下を探しましょう」

 

「あ、エマさん。それに光くんまで?」

 

「柚月……他の人たちも来てるな」

 

 早速宮下の姿を探そうとした時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。声が聞こえた方へ視線を向けると予想通り柚月の姿があった。後ろの方からも続けて以前にスクールアイドル同好会の部室に訪れた時に見覚えのある人の姿が見えてきた。

 

「あれ? ほんとだ」

 

 高咲を初めに俺の姿をみると疑問の表情を浮かべる。まぁスクールアイドル同好会に入ってない俺がヴェルデ先輩と一緒にいるのもおかしいからそうなるのも無理もない。

 

「あ、みんな! 実はね……」

 

 ヴェルデ先輩は疑問に感じてる柚月達に対して、俺と一緒にいる理由の説明を始めようとしてくれた

 

 

「〜〜〜♪」

 

 ……すると突然、広場の方から歌声が聞こえてきたので説明をしてくれようとしたヴェルデ先輩を初めとした俺を含めるこの場にいる全員が歌声のする方へ視線を向けた。

 

 

「あれって愛先輩じゃないですか!」

 

「お〜愛ちゃんが歌ってるみたいだねぇ」

 

 2人の言う通り、歌声の正体は宮下だった。しかも歌ってるだけでなくダンスもしているようだ。そして気がつくと、俺たちだけでなく公園を利用していた子連れの家族達も宮下に視線を向け始めた。

 

「ねぇねぇママー! 見て見て!」

「あのおねーさんすごく楽しそうだよ!!」

 

 子供たちを初めに宮下のダンスを見て自然と笑顔になっていっていて中にはそれに合わせて手を振っている人もいた。そしてそれはヴェルデ先輩達スクールアイドル同好会の人たちも例外ではなかった。

 

「……すごいな」

 

 宮下を見た周りの人は皆笑顔で楽しそうにしており、気がつけば俺もダンスをしている宮下に夢中になっていた。

 

 ──

 

 そして、宮下は歌い終わり動きが止まった。それと同時に息を切らしながら手に膝をつく。

 すると周りにいた人達が踊り終えた宮下に向けて盛大な拍手を送った。きっとこれは楽しい気持ちにさせてくれた宮下への感謝を伝えるための拍手だろう。

 

 これが……スクールアイドルというものなのか。こんなにも多くの人を楽しくさせることの出来るものだったとは……

 

 だが……この前屋上で見たものと今宮下がやってるものとはだいぶ違ったな。2人とも同じスクールアイドルだと思うのだが……

 

「すごい……! あれが愛ちゃんのステージなんだ!」

 

 すると、高咲が声を上げたので俺はそちらの方に視線を向ける。

 

「私……みんなのライブも見てみたい。1人だけど……1人だからこそ色んなことが出来るかも……そんなみんながライブをやったら、きっとすっごいことになりそうな気がしちゃった!!!」

 

「なんか、侑ちゃんもすごいねぇ」

 

「私達も負けてられませんね」

 

「うん、燃えてきた」

 

 そうか……

 

 ここにいる1人1人が、それぞれ違ったスクールアイドルとしての姿があり、きっと皆が違った景色を見せてくれるんだろう。

 

 ……もし俺がスクールアイドル同好会に入り、彼女達の手伝いをしながらもっと沢山の景色を見ることができたら……

 

 俺も、少しは変わる事は出来るのだろうか……

 

 だが、俺は……

 

 俺がそんな風に考えを浮かべていると……

 

「あ! みんないる! おーーい!」

 

 俺たちの存在に気づいた宮下が、手を振りながらこちらへと駆け足で寄ってきた。

 

「凄かったよ愛ちゃん! 私感動しちゃった!!」

 

「オレも同じ意見っす。愛さんの今のパフォーマンスを見て周りの人達がすごく楽しそうにしてますもん」

 

「侑姉なんてリズムに合わせてぴょんぴょん跳ねてたもんね」

 

「ホント!? アハハっ、みんなにそう言って貰えて愛さんも嬉しいなっ!!」

 

 高咲達からの賞賛の言葉により、宮下は嬉しそうな表情を見せる。

 

「あっ! ひかっちも来てくれたんだね!」

 

「ああ、ヴェルデ先輩が誘ってくれたからな。邪魔じゃなかっただろうか」

 

「ううん全然! ひかっちも来てくれて嬉しいよ!」

 

「そういえば、不知火くんはどうしてエマさんと一緒にいたの? 愛ちゃんは知ってるみたいだけど……」

 

「私と愛ちゃんがここに来る前に話してたらたまたま出会ったんだ。休みの日はいつもトレーニングしてるって言ってたから……せっかくなら一緒にどうかなって思ったんだ」

 

 俺が何故ここにいるかの理由をヴェルデ先輩が説明してくれると皆納得したような表情を見せた。この感じだと邪魔をしていないようなので安心した。

 

「ねぇねぇ、不知火くんも愛ちゃんのステージ見てたよね! どうだった?」

 

 すると高咲は先程の宮下のダンスを見てテンションが上がっているのか興奮気味に俺に質問してきた

 

「俺も、さっきの宮下はすごいと感じた。スクールアイドルとはここまで心を動かされるものなんだな」

 

「だよねだよね! 不知火くんも分かってくれて嬉しいよ!」

 

「ゆ、侑ちゃん落ち着いて……きっと不知火君も困ってるよ?」

 

 俺が返答すると、高咲はより嬉しそうにそう言った。ここまでテンションが高くなるとは……高咲がスクールアイドルが大好きというのは柚月から聞いていたが想像以上かもしれないな。

 

「そっか、ひかっちもさっきの愛さんのステージを見て楽しいって感じてくれたんだね。愛さんはみんなと楽しいを分かち合える……そんなスクールアイドルになりたいって思ったんだ! だからひかっちも楽しんでくれててすっごい嬉しいよ!!」

 

 ……やはり、宮下を見ていると不思議な気持ちになるな。

 

 それは決して嫌な気持ちでは無い、むしろどこか暖かな気持ちだ。

 

 俺は宮下や柚月……この人たちと一緒に居たら変わる事が出来るかも……その思いは先程は不安に満ち溢れていたが、今はその心の中にあった不安も少しづつ少なくなっている。

 

「ねぇ不知火くん」

 

 そんな事を考えているとヴェルデ先輩に声をかけられた

 

「はい、なんでしょう」

 

「スクールアイドルってステキでしょ? 同好会に入りたいって思ってくれたかな?」

 

 ヴェルデ先輩は今の宮下の踊りを見た俺に改めてスクールアイドル同好会に入らないかと尋ねてきた。

 

「おぉ! ひかっちも入部してくれるの!?」

 

「ほんとですか!? 部員ならいつでも大歓迎ですよ!!」

 

「サポートしてくれる人が増える……つまりかすみんの可愛さがもっと引き立つってことですね!」

 

「もうかすみさんってば……余計なこと言わないの。でも、私も歓迎しますよ」

 

 どうやら皆俺が入部する事に対して否定的な意見は持っていないようだ。それは嬉しいんだが……

 

「気持ちは嬉しい……だが俺は頭が悪いから何をすればいいか分からない。きっと皆の邪魔になるだろう……」

 

 俺は頭が悪く難しいことは理解できない、そんな俺が入部などしていいのだろうか……

 

「そんなことないよ、不知火くんだってきっとスクールアイドルを大好きになってくれたと思うし……その気持ちがあれば十分だよ!」

 

「うんうん、光くんがいてくれたら俺も嬉しいしさ」

 

「だが俺にできることなんて……」

 

「そんな事ないっすよ、この前みたいに重いもの運んだりとか結構ありますし……力仕事が得意な人が身近にいてくれると助かるんすよね。ダンスを教えてくれる柚月さんに頼り切りにする訳にもいかないし」

 

「って……時雨さんはやろうとしないんですか……」

 

「フッ、適材適所ってモンがあるんすよ」

 

「だからそんな自信満々に言うことじゃないような……」

 

「力仕事か……それなら俺の得意分野だ。きっと役に立てるだろう」

 

「おっ、ということは……」

 

 

 

 

 ……未知の世界だな。不安がないといえば嘘になる。

 

 だが、これがきっかけで俺自身が変わる事ができるなら……

 

 

 俺は、その1歩を踏み出してみたい

 

 

 

「俺は、スクールアイドル同好会に入部したい……そして、もっと宮下や……皆の力になってもっと色んなステージを見てみたい」

 

 俺がそう言うと皆微笑み出して……

 

「もちろん、喜んで!」

 

「やったー!!! じゃあ改めてこれからよろしくね、ひかっち!!」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

 

 

 ───

 

 

 あれから入部届けを出し、正式にスクールアイドル同好会の部員となり柚月達と一緒にサポーターとして活動する事になった。

 ちなみに優木と生徒会長は同一人物だったらしい、これは流石の俺も驚いてしまった。

 

 そして放課後になり皆部室に集まっている訳だが……

 

 

「歩夢! 最高に可愛いよ! 高二だけに! 走るのってランランするよね! ランだけに!」

 

「ハハハハッ! アハハハッ!」

 

「次は同好会でどーこーいこうかい?」

 

「アハハハッ! ひぃ〜 ハハッ もう許して〜!」

 

 

 宮下がダジャレを言い、それを聞いた高咲がものすごく笑いながら崩れ落ちて床に膝を着いた。服が汚れるぞ。

 

「凄くウケてますね……」

 

「侑ちゃんって幼稚園の頃からずっと笑いのレベルが赤ちゃんだから」

 

「赤ちゃん……高咲は赤ん坊なのか?」

 

「あーあー! 光くんは言葉をそのままの意味で受け取らないで! ややこしくなるから」

 

 どうやら違ったらしい、やはり俺は頭が悪いな。何とかしなければ。

 

「それにしても……侑さんはあんなにツボってるのに柚月さんは全然っすね」

 

「え? まぁね。きょうだいってそんなもんだよ」

 

 確かに2人がきょうだいなら同じようなことで笑うと思ったが……意外とそうでも無いみたいだ

 

 

 

 それにしても……

 

 俺は軽く部室を見渡した

 

 ……この光景は今まで見たことの無いような景色だ。ここで俺は……皆の役に立てるだろうか……

 

 いや、役に立つんだ。俺は俺に出来ることを全力で全うしなければいけないから




愛さんが自分のやりたいスクールアイドルとしての姿が見つかり、そして本作の主人公である光くんが同好会に加入しましたね!これで1期4話の話は終わりとなります!

前書きでもお話した通り更新がこんなに遅くなってしまい本当に申し訳ありません……
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