そしてあの後、律と別れ3人で自宅に帰りすっかり辺りが暗くなった時の事だった
「侑姉ー! 今から俺ランニングに行ってくるからー!」
俺は朝と夜にランニングをする習慣をつけているのだ。今朝は元々この日の朝は休みって決めてた日だからやらなかったけど普段は朝もランニングしてるんだ。そして俺は玄関に向かう前に侑姉に一声かけた
「うん、分かったー」
侑姉から返答があった……のだが
「って、何見てるの?」
侑姉はスマホの画面に夢中になっている
「え? スクールアイドルの動画だよ!」
そう言って侑姉はスマホの画面を俺に見せてきた
そこには先程ステージで見た女の子とはまた違った系統のスクールアイドルがライブをしている様子が流れていた
「どの子もほんっっとに可愛くてキラキラしてるんだよ!! 柚月もさっきのせつ菜ちゃんって子以外は知らないでしょ?」
ちなみに先程ステージで見たあの女の子は優木せつ菜って名前らしい
「そういえばそうだね……ランニングの休憩時間にでも見てみるよ」
「そうしてみてよ! もう私ったら完全に夢中になっちゃったもん!!」
侑姉は目を輝かせながらスクールアイドルの動画をまた見始めた
珍しいな……侑姉がこんなに熱中するなんて、まぁとりあえず出発するか
「分かったってば、それじゃいってきまーす」
「うん、行ってらっしゃい!」
「はっ……はっ……はっ……」
というわけで俺は普段から走ってるコースでランニングを始めたよ。え、なんでランニングしてるのかって? 体鍛えるのが趣味ってのもあるけどやっぱり俺は強くてカッコよくて頼りにされる男を目指してるからね、トレーニングは欠かせないよ
「ふぅ……少し休憩しよっと」
コースの半分を走り終えたので近くにあったベンチに腰掛け休憩することに
「さて、侑姉に言われた通りスクールアイドルの動画でも見るかな……」
俺はポケットからスマホを取りだし動画共有サイトで色んなスクールアイドルについて調べてみることにした
「侑姉が言ってた通りどの子も凄いな……」
放課後に見た優木さんもそうだが踊りながら歌うだけでなく常に表情を崩すことなく完璧なパフォーマンスを観客へと届けている。そもそも振り付けを覚えて踊るだけでも難しい、ダンス部の助っ人という少しばかりの経験で語る身だが彼女達の凄さは身に染みてわかった
そして当然だけど、スクールアイドルにも色んなタイプがいるみたいだ。優木さんみたいな熱血系、落ち着いた雰囲気のクール系などなど……
そして、俺が今見ているスクールアイドルはピンクの衣装が似合う、可愛い系だ。まさに正統派アイドルといった感じだ
「歩夢ちゃんはこういうの似合いそうだよなぁ……」
……と、俺は動画を見ながらそんなことをボソッと呟いた
「……って、何言ってんだよ俺は!!」
不意に口から出た発言に思わず自分でツッコミを入れてしまった。1人で何言ってんだよ俺……でも仕方ないじゃん。だって歩夢ちゃんは可愛いし優しいし俺と話す時だっていつも笑顔で楽しそうに話してくれるしそれにあの時だって……って自分で言ってて恥ずかしくなってきちゃったよ。
「はぁ、周りに誰もいなくてよかった……」
もし今の聞かれてたら恥ずかしすぎてしんじゃう。やだよ俺まだ死にたくないもん
「まぁいいや……休憩終わってもう少し走ったら帰ろっと」
このままだと自滅しそうだったので気持ちを紛らわすためランニングを再開することにした
「ただいまー」
その後俺はランニングを終え、帰宅した。汗をたくさんかいたので早いとこシャワーを浴びたいところだ。早速風呂場に行こう
「あ、おかえりー!」
風呂場に向かう途中ちょうど侑姉と遭遇した。
「今からシャワー?」
「うん、帰ってきたばかりだけど大丈夫かな?」
「もちろん良いよ。後は柚月だけだからね」
「そっか、じゃあ入っちゃうね」
なんだ、俺以外みんなお風呂済ませてたのか、じゃあ早いとこ入ろっと
「うんわかった。じゃあ私は続き見よっと!」
「って、侑姉まさか俺がランニングしてる間もずっと見てたの?」
「もちろん! だってどれだけ見ても飽きないんだもん!」
マジで? すごい熱中してるじゃん
「まぁ夢中になるのはいいけどほどほどにしてよね?」
「分かってるってー。別に夜更かしなんてしないから安心してよ」
侑姉はそう言いながら自分の部屋へと入っていった。この感じ絶対夜更かしするね、間違いない
「ま……楽しんでるみたいだしいっか」
俺はそう呟きながら風呂場へと足を運んだ
その後風呂から上がって髪を乾かしてそのほかの準備を済ませ後は寝るだけになった
「さてと、みんな寝たみたいだしそろそろ寝よっかな……」
眠りにつこうと、ベットに寝転がり部屋の電気を消し、目を瞑った
『お前、生意気なんだよ!』
『きゃっ!!』
教室での休み時間の出来事、俺が教室に入ると歩夢ちゃんが男子に突き飛ばされている光景が目に入った
『歩夢!! 大丈夫!?』
『う、うん……』
『ねぇ、歩夢に謝ってよ!』
侑姉が歩夢ちゃんを庇うような形で割って入った
『は? うるせぇんだよ女子のくせに!』
2人がいじめられてる……?
た、助けなきゃ……早く助けなきゃ……!!
『っ……!』
飛び出そうと思ったが俺の足は震えて動かなかった
『そんなの関係ないでしょ! 早く謝ってよ!』
『だからうるせえって言ってんだろ!』
『ゆ、侑ちゃん危ない!』
男子が拳を握りしめ、侑姉目掛けて思いっきり振りかぶった
怖がってる場合じゃないだろ! 早く……早く止めなきゃ!
しかし、足の震えは収まるどころかより酷く震えてきてしまった
嫌だ……
やめろ……やめろぉぉぉぉぉぉ!!!
「はっ……!?」
気がつくとそこは見慣れた自室だった
「夢か……」
辺りが暗いので今は恐らく深夜1時くらいだろう。変な時間に目が覚めたな
「それにしてもまたあの夢を見るなんてな……」
俺の中学時代に起きたあの事件……あんな事はもう起こらせない。2人に、侑姉と歩夢ちゃんに悲しい思いなんて絶対にさせないんだ
そんなことを思いながら俺は再び眠りについた
最後まで読んでいただきありがとうございます!後半で柚月くんの過去に少しだけ触れさせていただきました…。一体彼の過去に何があったのか…楽しみにしていただけると幸いです