首里城火災の前に修学旅行に行った人間なので、当時を思い出すのに苦労しました。
……眠たい。
暖色のライトで照らされたベッドが目に入った途端それしか考えられなくなって、私はそのままフラフラベッドに倒れ込んだ。
はぁ、シーツがすべすべでとってもいい匂い。
中のスプリングも軋むことなく私の身体を受け止めてくれて、さすがホテルのベッドってかんじ。
枕を抱きしめ、落ち着いてゆっくり呼吸すると、眠気は更に増していく。
「……」
「わー、ダメだよ楠木ちゃん!起きてー」
「……ぇー……」
「修学旅行の夜はこれからだよー?」
「……一回寝ようよ……」
「それ起きないやつでしょー。ほら、起きろー。お風呂に入れー」
部屋のライトがぐーんと明るくなった。眩しさと眠気で目がしぱしぱする。
同室の谷中ちゃんにペシペシ叩かれ背中を押され、私はぼんやりした頭のままシャワーを浴びに行った。
中間テストを乗り越えた私たちは、ついに待ち望んだ修学旅行にやってきていた。
降り立った沖縄の地はぽかぽかで、まるで夏に戻ったみたい。
秋空にも冷たい風にも飽き飽きだったし、広い空と温かい風は何より素敵に感じた。
1日目の今日は平和学習で、空港からすぐに移動。
男女に別れて資料館や祈念公園へ。気温とは反対にしんとした雰囲気で、私はいつの間にか展示に見入ってしまっていた。
午後いっぱい見学したら、その後はホテルへ。お部屋を楽しむ間もなくお夕飯。そして食べた後には講話があった。
聞くべきお話だったし、皆の微妙な沈黙は真面目に聞いて受け止めていた答えだったけど、体力ばっかりはどうにもならない。
そうして、部屋に着いた途端眠さに負けてしまったという訳。
「楠木ちゃん眠いね?」
「……大丈夫」
「まぁしょうがないわね」
「いつでも寝て良いからね」
「ほら、照明もちょっと暗くしておくから」
「寝ないもん……」
シャワーを浴びて髪を乾かして、百合ちゃん達が遊びに来ても私の頭は眠たいままだった。
顔に思いっきり出てるらしく、皆にベッドに引っ張っていかれて私だけ布団の中。
でも仕方ないよね。今日起きたの3時半だったし。
その1時間後には駅前の夜行バスに集合。高速で2時間掛けて空港まで行って、朝ごはん食べてから他の生徒や先生達と合流。搭乗まで点呼に移動で数時間。
乗ったら乗ったで、私は飛行機で寝れないタイプ。
フライトの間変な目の冴え方してて、飛行機の中で皆で遊んだり話したりしたはずなのになんにも覚えてない。寝てないってことだけ覚えてる。
うぅ、とっても眠たい。でも起きてたい。
だってせっかくの修学旅行の夜なんだもん。
明日もあるって言っても、人生で最後の修学旅行の夜・一夜目を楽しまないなんてありえない。
私は頑張って目を覚まそうと、ペットボトルの緑茶を口いっぱい含んだ。
「で、楠木ちゃんは最近那賀川くんとどうなの?」
「んぐっ……!?」
途端、飛んできた神田ちゃんの言葉に噴き出し──かけたお茶を無理やり飲み込んだ。当然むせてしまう。
「あわわわごめん!?」
「っ、ゲッホゲホ……だいじょうぶ……。ど、どうしたの急に……」
田中ちゃんに背を撫でられながらそう聞き返すと、神田ちゃんはちょっと申し訳なさそうにしつつ返してくれる。
「うー、だってだって、気になるもの。変わらず仲良さそうだし?距離もなんだか近く感じちゃうし!
ねえねえ、で、で?最近どうなの?ずーっと気になってたの!」
「……あはは……」
「また神田ちゃんのコレだ」
「始まったわね」
話していくうちにテンションが上がってきた神田ちゃんに、なんて返していいか思い浮かばなくてふにゃーっと笑うことしかできない。
谷中ちゃんも田中ちゃんも言ってるけど、また始まったってかんじ。
恋バナ大好き神田ちゃん。
『那賀川くんには振られて今は友達』って伝えてるんだけど、どうにも諦めてくれない。
というか、その事実込みで色々キニナルらしい。
最近大人しいと思ってたけど、今日の為に質問を溜め込んでたってことか。
その熱量は全く収まらず、神田ちゃんは頬に手を当て、何故か自分が照れながら聞いてくる。
「ね、ぶっちゃけ教えて!ホントにホントに、今どう思ってる?那賀川くんのこと」
「だから何にもないってばー」
「違うッ!そういうんじゃ!無くてッ!
もっともっと、前好きだった人についてどう思ってるのってこと!
お願い!誰にも言わないから!」
「えぇ〜?」
修学旅行の夜って言えば恋バナ。神田ちゃんの目はその定番への期待でキラキラしていた。
ど、どうしよう。どう思ってるって……いやまぁ、思うことは色々あるけども、ちょっと恥ずかしいし……。
はぐらかす言葉が上手く出てこなくて、チラッと向かいの百合ちゃんに助けの目線を送った。
目が合う。
百合ちゃんの猫みたいに気まぐれな目は、楽しそうに細められた。
「……ごめん明里、あたしも気になる」
「えっ」
「そうね、実はわたしも」
「はーい、あたしも!」
「……えぇっ」
そんな、百合ちゃん、皆……。
今日の皆はノリノリだ。せっかくだし聞かせてよ!って4人分の目が言ってる。
「………………えぇ〜……?」
「「「「おお〜?」」」」
うわーダメだこの期待感、逃げられないやつだ……。
揃った声にがっくしと俯く。ちょっと緩んじゃった顔を隠すのも合わせて。そのまま枕を抱きしめて、言葉を組み立てる。
「……那賀川くんは…………」
那賀川くんは私の初恋の人。私に恋の楽しさと失恋の悲しさを教えてくれた人。
そして、とっても酷い人。家族で負った心の傷を私で埋めようとした最低な人。
けど悲しい人。壊れてしまったものを元に戻そうと足掻くしかなかった人。
だからこそ、今必死に頑張っている人。罪も後悔も全部抱えて、もう一度夢を追いかける人。
「素敵な人だよ。良い人。とっても良い友達」
色々な思いをひっくるめて考えると、私はあの人のことをそんな風に思う。
那賀川くんと話すと楽しい。バスケを頑張っている姿を見ると嬉しくなる。
あの熱烈な『好き』って気持ちがスッキリ抜け落ちた今でも、時折時間は顔を合わせる時間は日常の楽しみの一つ。
「だから、……那賀川くんが毎日楽しくいられると良いな、って思ってる」
バスケ選手になるって夢を叶えてほしい。
お母さんとも、二人のお父さんとも仲良くあってほしい。
そしていつか、妹さんとも仲直りできてほしい。
──幸せであってほしい。
消えた恋心と、恨みと、同情と、友情を合わせて、私はそう思う。ただ、幸せでありますようにと。
「……ってかんじ?」
ちょっぴり重かったかも、なんて最後に誤魔化しつつ顔を上げると、4人のなんとも言えない表情があった。
特に神田ちゃん。目を輝かせ、口元を手で覆って震えていた。
「……、それだけなんだけど……」
「……うぅ……。……"愛"だねぇ、楠木ちゃん……!」
しんみりため息交じりに言われたそれに続き、田中ちゃん達も口を開く。
「ね、成長したのね……」
「大人になったねぇ」
「マジ偉いわ」
……なんだか関心されちゃった。本当に、色々込みでそれだけってだけなんだけど。
あんまり皆がしみじみと頷くものだから、私まで同じようにしてしまう。
その間さっきの自分の言葉を噛み締めると、なんだか恥ずかしくなってきた。
でも本心だ。本当に心の底からそう思うから、私はその恥ずかしさと一緒に枕を抱きしめた。
「じゃ、赤坂くんは?」
「……ッ、神田ちゃん!!!」
余韻もそこそこ、サクッと次の話題に行く神田ちゃんに4人揃ってずっこける。もう、せっかくキレイに終わったのに!
「いや、だって、那賀川くんの次って言ったら赤坂くんでしょう。
赤坂くんとは変わらずなんにもないの?」
「ないってば。普通の友達だよ」
「えぇー、ほんとにそれだけ?」
「いつもそう言ってるでしょー?」
「いや、分かってる!分かってるよ?去年から知ってるよ?うー、けど…………!
あっ、じゃあ聞き方変えよう!付き合うって考えたらどう?」
一気に直球になった質問に、百合ちゃんが思い切り吹き出したのが分かった。田中ちゃん、谷中ちゃんも釣られて笑い出す。
対する私は……ただポカーンとするしかない。
「………………ヘェ?」
「どう?どう?どう?赤坂くんがカレシって考えたら!」
「……どう、って…………?」
若干思考停止気味な私を助けるように、四方から皆が例を上げる。
「あーほらー、デートするとかさぁ?」
「二人で映画!ショッピング!海!」
「水族館も良いわね」
「一緒にご飯食べたり」
どうしよう。赤坂くんがカレシでデート……って、全く想像がつかない。そんなの考えたこともなかったし。
赤坂くんは大事な友達だ。
高校に入ってから今まで、楽しいことも辛いことも一緒だった友達。私にたくさん自信をくれた男の子。
彼の姿を思い浮かべてみる。
つり目の三白眼に、短い眉。最近短くしたトレードマークの茶髪に、ニヤッと口角を上げるガラの悪い笑顔。
そんな赤坂くんと、一緒にお出かけして、お買い物して、ご飯を食べて──……って、あれ?
「……それ、いつもと一緒じゃない……?」
「……あ」
「…………あぁ」
「………………あー」
「……………………確かに」
にやにやしていた皆の表情が固まって、微妙な空気が流れる。
しばらくその沈黙を受け止め、神田ちゃんが大きくため息をついた。がっくしと肩を落とす。
「やっぱダメかぁ…………」
「まぁこの二人だし」
「相手が悪かったわね」
「うう、だって文化祭の日とかすごいイイ感じに見えたのにぃ……」
「あっは、しゃーないねぇ」
どうやら納得したらしい4人。私もそう……なんだけど、ちょっぴり引っ掛かる。
赤坂くんが好き?とか付き合ってる?とか聞かれるのはいつものことだし、いつも違うって答える。実際そうだし。
赤坂くんは──多分向こうも似たことを思ってるだろうけど──お兄ちゃんみたいな人だ。那賀川くんの時みたいなときめきが無い。
でもどうしてなんだろ?
きゅんとする男の子としない子の違いって何?男の子への
というか、恋って何なんだろ?どうして、どうしたらそういう意味で好きになっちゃうんだろ?
「うー……」
だめだ、色々わかんないこと考えてたら眠くなってきちゃった…………。
「……じゃあ湊くんは?」
諦めきれない神田ちゃんが更に聞いてくるけど、私は薄く笑うことしかできない。
「もー、それもないってばー」
「でもでも、下の名前で呼び合うくらい仲良いでしょ?」
「…………。私より百合ちゃんに聞いたらどうかな?」
「…………エッ」
私の言葉に、余裕の笑みだった百合ちゃんが固まった。
「確かに?」「気になる~」と乗ってくれる田中ちゃん谷中ちゃん。そうじゃん!と目を輝かせる神田ちゃん。
百合ちゃんが困った顔で私に視線を向けてきた。
ふふーん、自分は聞かれないって油断してたでしょ。ちょっぴり仕返し。
それに私だって皆の恋バナ聞きたい。こういうのは話すより聞く方が何倍も楽しいんだから。
あと、私は徹くんを応援してるし、何か有力な情報をゲットしたい。
落ちかける瞼を必死に開けながら、私は期待を込めて百合ちゃんを見た。
ずいっと寄った神田ちゃんが直球に聞く。
「え、あの、正直聞いてい?朝風ちゃんて、……湊くんのこと好き?」
「いや無いかな」
「えーホントにー?」
「怪しいわね」
「向こうからの矢印はすごいじゃん?」
「……や、無い。マジ」
うう、なんてつれない、そっけない答え……!って、私が起きてるからか!
私はなんとなくのふりをして布団を口元まで引っ張った。ついでに目も閉じる。
このまま寝れちゃいそうだったけど我慢して耳を傾ける。
「なんでー?湊くん普通にカッコいいじゃない?」
「んー、ちょっと言動が無いかな。子供っぽすぎ」
「あ、ちょっとわかる」
「声もデカいってかやかましいし」
「男子のあるあるね」
皆辛辣!けどわかっちゃうのが悲しい。
でも、私はそういう子だから応援したくなっちゃうんだけどなぁ。
あと百合ちゃん、『カッコいい』っていうの否定しなかった、よね?よしよし、希望はあるみたい。
「ま、別に嫌いじゃないけど。一緒に文化祭出るくらいにはね?でもナシ。そんな感じかな」
「うー、なるほど?結構厳しいなぁ」
「百合はモテるもんね~」
「だからこそ男子に求めるレベルは高めってことかしら?」
「かな?」
「でも、その割に昔から告られたらサクッと付き合わない?」
確かに、言われてみれば。
谷中ちゃんの聞いたことが気になって、薄く目を開けてみる。
細い視界の中、百合ちゃんは「あー」と悩むように髪を触っていた。
お風呂上がりでセットしていない百合ちゃんの髪はキレイなストレートで、いつもと随分印象が違って見える。
「……ほら、なんてーの?だって、告られたら期待するじゃん。
どんくらいあたしのこと好きなのかなーとか、それならどういうことしてくれんのかなー、とか。好きな子に色々してくれる彼氏だったら嬉しいでしょ。
だからとりあえずOK出すの。
でも今んとこ皆ダメダメ。結局彼女って存在が欲しいだけ。優しくもないしさ。
だから告られたら付き合うし、無いわって思ったら速攻別れるってだけ。……マジ、そんだけ」
そんな様子で語る言葉は、百合ちゃんの素に近いものに思えた。
突き放した言い方だけど、内容をよくよく聞いてみるとすっごい女の子。
好きって言うなら思いやって優しくしてほしい、自分を大切にしてくれる人に好きって言ってほしい……なんて、素直な思い。
普段の百合ちゃんとは違う乙女な感情に、私の方がドキドキしてしまった。
他の3人もそうなのか、ほーっと息をついていた。中でも幼馴染の谷中ちゃんはびっくりしたのか、一番深く息を吐き出す。
「マジか百合、そーいうことだったの?初めて知った」
「あっは、
「メンドくないわ、フツーよ」
「うんうん。そう思う。うふふ、何だか聞けて良かった!朝風ちゃんもフツーの女の子なのね」
「そーなんじゃない?……やだもう、そんな見ないでってば。
あーもう、はいはい、この話終わり!終わりだっての」
照れた笑みでしっしっと手を振る百合ちゃん。その姿がとっても可愛らしくて、私は安心してベッドに身を任せた。
だって百合ちゃんの本心聞いたら、徹くん脈ありな気がしてきたし。
ちょっと大人しくすれば徹くんて百合ちゃんの理想じゃないかな?
きっときっと、徹くんが頑張れば百合ちゃんも振り向いてくれるはず。
素敵な気分で眠りにつく前、皆の会話がうっすら聞こえた。
「はぁ~、やっぱこういう話いいわねぇ。すごく元気貰える」
「んね~、分かる。修学旅行の定番になるだけあるよねぇ」
「男子もしてるのかしら?」
「あっは、まっさかー。どーせくっだらない話でもしてんでしょーよ」
──────────────────────────
「……で、皆……。誰が好きなん……?」
一瞬のスキを突いて深瀬が精一杯のイケボで投げかけた質問に、部屋の全員がのたうち回った。
ただでさえ手元から離れてたカードが余計に散らばって、もう誰が何持ってたんだかわからない。
「いや急!!!!」
「
「良くこの流れでそれ振れたな」
「何をどうしたら変態篠塚から恋バナになんのさ」
「いや、ほら……恋の話じゃん?」
「痴情って言うんだよさっきのは」
「つーかなんで関西弁なんだよ」
変態篠塚。
すんげーウザイ上に癖のある喋り方の英語の篠塚先生──が、生徒の母親へ不倫関係を迫るっていう設定の超絶ライン越えモノマネ。
女子には死んでも聞かせらんない深瀬の十八番だ。
修学旅行の夜と言えばもちろんトランプで、コイツはババ抜きで一向に減らない手札に飽き、さっき例のそれを炸裂。
全員を窒息死させかけた次の瞬間にコレだ。寒暖差ってレベルじゃねーぞ。
ボロクソ言われた深瀬はカードを紙吹雪のように放り投げ、わざとらしく手足をばたつかせた。注がれる4人分の憐みの視線にも負けず。
「いーだろ教えろよー。皆オレばっかバカにしやがって」
「財布がダセェで振るような女子彼女にすんのが悪いんだろ」
「どのみち変態篠塚が持ちネタのヤツなんて振られてたと思うけどね」
「言えてる」
「やーだーお前らのダセェ話も聞きてえー」
「趣旨変わってんじゃねぇか」
「弱み握りたいだけじゃないかよ」
話しつつ、完全に勝敗が分からなくなったトランプを集めて配り直す。呼吸を整えるのも合わせて仕切り直しだ。
ペアのカードを捨てながら皆なんだかんだで額を突き合わす。
弱みを握りたいのもあるけど、やっぱ皆結局気になるし、The修学旅行な話がしたいって訳。
手札を全然減らせなかったままババ抜き再開。言い出しっぺの深瀬からカードを引いていく。
「よしほら、カード引く順で言ってこーぜ。オレはねぇ、いない」
「はぁ?」
「いないはねぇだろふざけんな」
「素直にミサギちゃん引きずってるって言えやボケ」
「はぁ~?そんなことありませんが~?」
「図星じゃないか。うーん。でも、僕も思い浮かばないなぁ」
「ええ井ノ上くんもねーの?じゃあもう誰も答えらんねーじゃん!」
徹から引いたカードで井ノ上がワンペア捨てるのを見て、深瀬が不満げに声を漏らす。
うんざりした顔で徹、俺、片岡と順番に指差した。
「残りコレなんだよ!?」
「コレとはなんだコレとは」
「えーおれの好きな人聞いてくんないのー?おれねぇ、百合が好き」
「だからだよっ!分かり切ったこと聞いてもおもんないじゃん」
「うぅむ、確かに話題性はないなぁ」
徹が相変わらずデレっとした表情で言い、カードを引く。深瀬だけでなくその場の全員が呆れた視線を向けた。
が、その視線は俺にも向けられる。
……あーあーはいはい、いつものやつね。
「あんだよ」
「お前も分かり切ってるもん」
「楠木さん」
「だからちげぇって」
「ダウト!!!!」
片岡から引いたカードで揃ったペアを山札に捨てた途端、深瀬の叫びが部屋にこだました。
井ノ上の「それは違うゲームだな」というツッコミを無視し、深瀬は俺をビシッと指差しながらまくし立てる。
「もう騙されねぇぞ、お前は散々誤魔化してきたけどそれもここまでだ」
「名探偵じゃん」
「かっけぇ……」
「裕太くん手札見えてるよ」
全員にジョーカー入りの手札を晒しながら、それでも深瀬は続ける。
「いや、ぶっちゃけ好きじゃん。そうだろ?そうじゃん?」
「しつけぇよ」
「いやマジで最近の雰囲気はやってる。ガチで。そのクセ朝風さんとも一緒。ホントに死ねばいいのに」
「ははー、本心はそれかぁ」
「……まぁ僕も文化祭ん時はアレだと思ったけど」
井ノ上突然の裏切りにも俺は動じない。『楠木さんのこと好き?』なんてこの2年で何回聞かれてきたと思ってる。
楠木さんは友達だ。
ずーっと振られたカノジョ引きずってる深瀬クンには分かんないだろうけど、マジの、ガチで、大事な友達。
「お、じゃあオレ好きなの楠木さんて言ってもいい感じ?」
そう、片岡が急に変なこと言いだしても全く────、え?
「………………………は」
「いやぁだって最近カワイイじゃん楠木さん。性格もいいし、フツーにアリ」
「……え」
「……なーんちゃって!?」
最後ニタァと笑いながらそう付け足され、片岡にしては珍しく頭を使った冗談を言ったのだと分かった。
その場の全員がホッとしたように笑いだす。
中でも徹は大きく噴き出し、俺の背を思い切り叩いた。
「……ッ、くくく、透くん、動揺しすぎ……!っはははは……!」
「してねぇ」
「してない人はカード落とさないんだよー?えーっとハートの3にー?」
心底楽しくて仕方ない顔で俺が取り落としたカードを眺める徹から奪い返す。
笑えねぇ冗談かました片岡は満足したのか、しれっとババ抜きに戻っていた。
「だはは、さすがにこのオレも人から取ったりはしねぇよぉ」
「だってよ透くん良かったね」
「なぁーにが"取る"だ、そもそも楠木さんはお前みてぇなのと付き合わねーよ」
「確かに?」
「……まぁ、楠木さんて那賀川が好きだったような子だもんな」
「あ。そーいやそうだわ」
「結構理想高めって事かい」
「じゃない?」
「じゃあ赤坂も無いな」
「……もうそれでいいわ」
ため息交じりに片岡からカードを引くと、なんとジョーカー。思わず顔に出てしまい、全員に「はーん?」という視線を向けられる。
俺はそのババ抜きでボロ負けした。
「……はぁ」
疲れた頭で見上げるのは青い光。頭上で色んな青い光がきらめいている。
俺の背の何杯もある大水槽。その中で大小さまざま、無数の魚が泳ぎまわって波が立つ。
そうして揺れる水が照明の光をゆらゆらさせる。
お陰で俺の視界は真っ青。マジ海の中ってカンジ。周囲には人が鬼のようにいるけど、不思議と落ち着く気分になれた。
今日は修学旅行2日目、自由行動の日。
結局昨日寝たのは2時だった。
ババ抜きを進化させたフライトババ抜き──お互い離れて座り、指定されたカードを投げ渡すババ抜き──に熱中し、見回りの先生に先生に怒られたのが消灯23時。井ノ上、深瀬とは別れて自室へ。
つっても寝られる訳もなく、結局片岡、徹と『"ちんすこう"ってもっと他の言い方ないのか』について話しながらボケーっとスマホいじってた。
で、気が付けば2時。
しかしそんな寝不足でも思い切り騒げるのが高校生の特権。
生徒とは反対に眠気で死にそうな先生たちに手を振って別れ、晴れた沖縄の地へ踏み出した。
最初に行ったのは琉球ガラス体験。あの息吹いてガラス膨らますヤツ。
アレって思ったより"体験"の比率少ないのな。
基本は職人の手捌きを眺めて、俺らがやんのはマジ膨らますとこだけ。
大半の奴らはヨユーで出来たけど、楠木さんと田中は肺活量が足りないんだか下手なんだかで指導員の人に応援されてた。
んで、その膨らましたのを職人がさすがの手付きでグラスの形にしてくれてお終い。
完成品は後で郵送されてくるらしい。
……作ったは良いんだけど、俺絶対使わない気がする。
てわけで、父さんに酒飲み用で押し付けることにした。お土産も買わなくて済むし。
その後は早めの昼も兼ねて道の駅でアイス、A&Wでハンバーガー。
あんなにブルーシールアイス食べたい言ってた百合がフツーに家族旅行で何回も食ってたのにはずっこけた。
『だって現地で食べんのがいいんでしょ?』って、そりゃそうなんだけどさ。
ま、味は気に入った。塩ちんすこう味にしたけど、やっぱあー言うのは下手に斜に構えず一番人気を食っとくに限る。
逆にダメだったのはA&Wのルートビア。
湿布の味がするだのなんだの聞いてたけど、マジで口に入れた瞬間、子供の頃湿布食って母さんに怒られた思い出が蘇った。
ハンバーガーもポテトもマックとは違う感じで美味かったんだけど、完全にこの炭酸飲料に思い出上書きされたってカンジだ。
男子は徹以外全員アウト。
が、意外なことに女子は百合を除いてフツーに飲んでた。
なんかこーいう変な味って謎に女子の方がイケること多い気がする。
何故か疲れた昼飯を終え、俺たちは美ら海水族館に向かった。
そうして今に至る。
マジでこんなスゲー水族館初めて来た。超広いしキレーだしテンション上がる。
皆もそうらしく、同じタイミングで水族館に来ていた他の班の人とも混じって、全員思い思いに水族館を楽しんでいた。
けど今、俺は一人で水槽を眺めている。なんだか落ち着きたい気分だったから。
が、ふとTシャツの袖を軽く引っ張られた。
「赤坂くん」
速くなった鼓動と一緒に振り向けば、白い髪飾りのポニーテール。やっぱり楠木さんだった。
「ふふ、何見てるの?やっぱりジンベイザメ?」
「……ギリ食ったら美味そうなのいないかなって」
「ぎり?」
「ギリ。スーパーじゃ見ねぇけどギリ行けそうなやつ。あの銀色とか怪しくね」
「どれ?」
「あれ。マンタの近くにいっぱいいるやつ」
俺の言う魚を探して、楠木さんが水槽に身を寄せた。膨らんだデザインの袖が俺の腕をくすぐるほど近い。
「あぁ、あれ。……あれアジじゃない?あれ普通にアジだよ赤坂くん」
「……」
「何?」
「……別に」
そう、近い。俺がわざわざ一人になって落ち着こうとしていた理由はここにある。
なんか……なんか……。なんか、すっげぇ近くない?今日の楠木さん近くない?
水族館だけじゃなくて、今日始まってからずっと。ふと気が付けば俺の隣は楠木さん。
その上、時々腕をぶつけちゃうくらい近い。
極めつけはさっきアイス食ってた時に『ちょっとちょうだい』なんて言い出したこと。
いや、あげちゃったけど。そのままスプーンですくって食べるの見届けちゃったけど。
挙句の果てに『赤坂くんもいる?』とか言って差し出してきた。さすがに断った。
マジで神田さんか深瀬が近くに居なくてよかった。移動中の車の中でただじゃすまなかっただろう。
何回言えば分かるんだよこのバカ。楠木さんホントそういうの良くないぞ。
……なんて言おうと思ったけど、『平常運転じゃね、これ?』という考えが出てきて何も言えなくなった。
思い返してみれば、サンドイッチをちょろっとあげたり、クッキー貰ったりあげたり、好きなドーナツを交換したり、今までも大して変わんないことやってる気がする。
いや、でも!!
でもアイスはダメだろ!なんかこう……ダメだろ!それはちょっといつもと違うだろ!さすがに良くないだろ!そういうのは。
……でも、今までのことを考えると楠木さんのいつも通りと言えなくも無いワケで……。
「うーん、私はあっちの方が美味しそうって思うけどなぁ」
「フツーにカツオじゃねえか」
「やっぱり味が保証されてるのの方がいいじゃない」
「そりゃあまぁ」
堂々巡りな俺の頭と同じように魚たちは水槽を泳ぎ回っている。マジ文字通り回遊魚ってカンジ。
落ち着かないのは、昨日からかわれたせいだ。
俺たちはそういうんじゃない。なぜだかこれがいつも通りで、ずっとそうやってきた。
散々言ったし、自分でも分かってる。
けど今、距離が、揺れる髪が、横顔が、気になって仕方がない。
いつもと違う楠木さんに、俺は無駄に緊張していた。
どうせ昨日の夜、楠木さんも百合たちと修学旅行定番のアレを話したんだろう。俺と似たようなことも言われたはずだ。
んで、何かしら考えてるからこーいうことしてる。水槽に青く染められたぽけーっとした表情がそう言ってる。
せめて説明しろや、という思いを込めてその表情を見ていたら、楠木さんは振り返った。
目が合う。
けどそれも一瞬のことで、その上、こともあろうが『うーん』と首を傾げられた。
ふ、ふざけてんのかコイツ……!
さすがに何か言ってやろうとしたとき、人並みの向こうから声が掛かった。
「透ー!明里ー!そろそろ下行こ!」
「あ、百合ちゃん。うん!今行くー!ほら、行こ赤坂くん」
「え˝、あ、おう……」
百合の元へ駆けていく寸前、また俺の袖を軽く引っ張った楠木さん。
あああちくしょう!!ほんっとなんなんだよ!!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
すっかり静かになった車中に、私はスマホから顔を上げた。
来る時とは大違いで、高校生が10人も乗ってるとは思えないほどしんとしている。
きっと皆疲れちゃったんだろう。
その証拠に、前に座る片岡くんと井ノ上くんが寝ているのが見えた。
隣の赤坂くんだって、もうだいぶ前から腕を組んで動かない。
今は自由行動の締めくくりとして、小さな砂浜に移動中。運転手さんが『観光客が少ない場所がある』って教えてくれた場所だ。
ホテルの集合時間までにはまだまだ時間があるし、お言葉に甘えて少し立ち寄ってもらうことにしていた。
文化祭の時と負けないくらい写真の増えたカメラロールを閉じ、画面を暗くする。
贅沢な疲れを座席のシートに預けると、心地よい振動。
静まった車内と相まって、今日の満足感を噛みしめるには十分だった。
そのまま首を横に動かせば、目を閉じた赤坂くんが窓ガラスにもたれてる。
車が揺れるたびにゴチゴチ頭がぶつかってて、痛くないのかなってかんじ。
わっ!?今結構揺れ……。
……うそー、よく起きないなぁこれで。
思いっきりぶつかった音がしたのに、赤坂くんは全然起きなかった。
なんだかとっても珍しい。
一緒に電車で帰る時、いつも寝ちゃうのは私だし。
そのままその横顔を見つめてみる。さっきまで寄ってた眉間のシワが無くて、いつもの赤坂くんに戻っていた。
実は今日、赤坂くん相手に1日デートの真似事をしてみた。
いつもより近くに居てみたり、隣に座ったり、袖を引っ張ったり、アイスを貰ったり。……あげるのは断られちゃったけど。
今まで色んな子から聞いてきた『デート』ってものを思い浮かべて、ちょっとお試し。
けど、やっぱり違うみたい。
ドキドキしない。
キュンとこない。
どこまでいっても何をしても、赤坂くんは赤坂くんで、私は私だった。
……それどころか、赤坂くんはずっと怒ったような困ったような表情だったし。
神田ちゃんには悪いけど、やっぱり違うみたいだ。私たちは。
昨日皆に言った『いつも通り』っていうのが一番しっくりくる。
私はそれに、なぜかホッとしたような気持ちになった。
結局起きない赤坂くんから目を離して反対を向くと、眩むほど強い夕日の光。
それに照らされてきらめくエメラルドグリーンの海と、少しずつ染まってきた空が見えてくる。
ついでに、寝ちゃってる谷中ちゃんと田中ちゃんの姿も。
さっきよりも海が近い。
もしかして、と運転手さんの方を見るとバックミラー越しに会釈してくれた。そろそろ着くみたいだ。
てことは、皆を起こさなきゃかな?というか、起きてるの私だけ?
寝てない人を探して車内の後ろを見る。誰か一人でも起こすの手伝ってくれたらありがたいし。
例えば、百合ちゃんとか──。
「……」
目に入った光景に、思わず息が止まった。
谷中ちゃんたちの後ろの席で百合ちゃんは寝ていた。隣に座る、徹くんの肩に身を預けて。
起こさないように徹くんは少しも動かず、ただ百合ちゃんを見つめていた。
優しい笑顔だった。
本当に愛おしそうに目を細めて、口元は薄く弧を描く。視線の先は百合ちゃんだけ。
強い日の光に照らされた徹くんのその表情は、私が見てしまったのが申し訳なくなるほど、一人の女の子へ向けられたものだった。
と、視線に気が付いたのか徹くんがこっちを見た。目が合ってしまう。
謎に慌てて口まで押えてしまった私をくすくす笑って、徹くんは『シーッ』とジェスチャーした。
「………~~~~!」
「!? ィった痛ってぇなんだよクソが……?」
照れ笑いも含んだその姿に、私は胸がいっぱい。
思わず叩いてしまった私の隣の人からは、ちゃんと仕返しをくらった。
──────────────────────────
「うおおおお海だぁあ」
「ちょちょちょ道連れにするな、どわああ!」
早速井ノ上と共に海へ飛び込んでいった片岡に、周囲から笑い声が飛んだ。
あーあー、やると思った。
逆にさっきの水族館の砂浜でアレをやらなかったことを褒めてやるべきだろう。
……いや、人が多かったからやんなかっただけか。
運転手さんに連れてってもらった砂浜は小さいけどホント人が居なくて、マジ貸切ってカンジ。
もうだいぶ日が傾いて、太陽は水平線のすぐ上。オレンジ色の空と反対色の青い海がキレイだ。
ずっと見ていられそうで、思わずスマホを向けた。
つーか何度見ても海が透明すぎて信じらんねぇ。
今まで栄養ありそうですねってカンジの濁った海しか行ったことなかったから、こんな映画みたいな海マジで存在してるんだってバカみてぇな感想になる。
やっぱ海ってテンション上がるよなあ。
海風って毎回臭ぇなって思うのに、気が付けばそれ込みで楽しくなってくる。
その楽しさも撮っておこうと、スマホの画面越しに砂浜を見渡した。
完全に水に浸かった片岡と井ノ上がお互いをより濡らそうともみ合ってて、谷中が爆笑してる。
……あれ、後で車乗れるよな?
んで、その後ろから深瀬がちゃんと靴を脱いで入ろうと……。あー。谷中に背中押されてぶっ倒れた。
おっ、ついでに徹が追撃!ありゃもうダメだな。
ちょっとカメラをずらすと、それを遠巻きに笑って眺めてる女子3人。
神田さんは何かまた恋愛レーダーが反応したのか、口元を押えてぴょんぴょん楽しそうにしていた。
それに突っ込んでると思わしき田中と百合。
うん神田さん、俺も
……て、あれ、楠木さんは?
「わ」
「おぁ」
背後からするっとポニーテールが表れて、ぶれて画面に映った。
取り落としかけたスマホを持ち直すと、楽し気なハノ字眉の笑顔がはっきり映る。
「脅かすなよ」
「そんなに派手なことしてないでしょ」
にっと歯を見せたその笑顔がいつも通りで、俺はスマホを下ろす。
その腕がぶつからないくらいの距離に楠木さんは立っていた。
「もう修学旅行も半分終わっちゃったね」
「はぁ?"まだ"半分だろ。
帰ったら夕飯食い行くし、お土産も買うし。
夜はまた遊んで、明日は国際通り。で、またお土産を買う」
「お土産ばっかりじゃない」
「アレ買ってるときが一番楽しいだろーが」
「言われてみれば?」
「だろ。……あ、そーいやさ、昨日バスガイドの人が変なこと言ってたんだよ」
「変なこと?」
「『お土産ならイオンで買うのが一番ですよ』だって」
「えっ。……え、何それ!?あっはは、ホントに?」
「マジマジ!それ言っていいのかよってカンジだろ?」
「ね!ね!じゃ、今日確かめに行かなきゃ」
「何がどう一番なんだろうな」
「品揃え?」
「値段かもしんねーぜ?」
夕日を見つめ、皆の笑い声を後ろに楠木さんと話す。
なんかすっげー話しやすい。
遠い沖縄の地に居るのに学校や電車の中で話すときの調子で、ようやく落ち着いて話せてる気がする。
会話のまま視線を楠木さんに向けると、丁度向こうも俺の方を見た。目が合う。
「……」
「……」
そのまま目をそらさず、じぃっと見つめてくる楠木さん。
あーこれいつものアレだろ、目ぇそらした方が負けの奴。
それに乗ってじとっと見つめてやること数秒。珍しく楠木さんの方が耐え切れなくなって、軽く噴き出した。
「はい俺の勝ちー」
「ふふ、ふふふ……、ね。はーぁ、やっぱ赤坂くんはこうじゃないと」
「あ?どーいう意味だよオラ」
「わー!あっはは、内緒!」
小突く振りをすると、楠木さんはけらけら笑いながら逃げるふりをした。
それを見て、俺はこっそり息をつく。
あー良かった。やっと楠木さんが元に戻ってくれた。
なんか知らないけど、楠木さん車降りてからすっかり元通りだ。何かしら考えに折り合いが付いたってことだろうか。
よくもさっきは叩き起こしてくれたな、ってカンジだったけど、まぁいいや。
楠木さんこそ、やっぱこうじゃないと。
何考えてこんなことしてたんだかわかんねーけど、いつも通りの笑顔に全部がどうでも良くなる。
「ったくもう、何なんだよバーカ」
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「もう、何なんだよ、ばか」
夕日を逆光にそう言った笑顔に、私は時が止まったように思った。
その笑顔を見せたきり、彼は「皆んとこ行こーぜ」と背を向けてしまう。
けど、すぐに返事はできなかった。
今、本当の本当に一瞬。
向けられた表情が夕日と一緒に焼き付けられてしまったから。
──あんな顔、初めて見た。
いつものニヤッとは違う、下がった眉と優しい眼差し。柔らかい笑顔。
まるで、さっきの徹くんみたいな………。
温かな海風が吹いた。
ポニーテールが揺れる感覚に、やっと息が吸える。茶髪をなびかせて遠ざかる背に気が付く。
「…………うん」
浮かんだ感情と疑問を、海へ流すように。
私は波の音に隠れるような小さい返事をして、その背を追いかけた。