異世界結婚相談所!! ファンタジーにおける婚活アドバイザーは、婚活問題児たちを成婚退会させられるのか?(異世界にも結婚出来ない30代40代はいっぱいいるよ!!) 作:きしめん協会プレミアム会員(嘘)
コボタさん…。
貴方人気女性にばかり申し込んでいませんか?
貴方にとって運命の人がいたとしても、お相手にとって貴方が運命の人だとは限らないのですよ?
だからモテる人とそうでない人がいるのでしょう?
どうですか、このゴブミィさんなんて…。
そうやってゴブリンの女性を在庫処分…もとい勧める私に対して、明らかに不満なコボルト*1の男性。
彼もまた、結婚とは程遠い当相談所の会員様です。
「でも…選べるのなら…。以前お願いした…ルビアスエアリティさん…みたい…な」
ルビアスエアリティさんは、同じく当相談所の会員様でして、エルフ*2とフェアリー*3のハーフの女性ですが、自身がハイスペックな上で、自分より格上の男性を求める────つまり上昇婚思考ですので、幾らお見合いを申し込まれても首を縦に降ることなく数年が経ちました。
どうやら私を気に入ったらしく、職員としても働かせて欲しいと駆け込んで来て、実際に職務遂行能力がとても高いのでなし崩しに受け入れています。
そしてベルとは犬猿の仲です。
さて、私の所に来られる男性に多いパターンとして、中等教育以降はときめく様な恋をなされていないというのがあります。
この様な男性は、好みの女性以外からもアプローチされれば連絡を取ってはくれますが、明らかに消極的です。
それでいて、好みの女性には相手にされません。
今回もこのパターンですね。
それは、正直に言ってしまうのは申し訳ありませんが、この男性の能力が低い事が最大の原因です。
能力が高い方は、能力が高い方々が集まる環境に身を置くようになります。
幼少期には、能力差があれど同じ環境で育ちます。
初等教育期間などでは、優れた方も劣った方も同じ校区であれば触れ合う機会はあります。
ですが高等教育以降は、優れた方は優れた方々の集まりへ、劣った方は劣った方々の集まりへと組み込まれ、後者の周りには魅力的な人々の割合は下がります。
大人になれば尚更ですね。
ハイレベルな職業や高難易度のダンジョンには、ハイレベルな方々だけが集います。
そしてそこから交際が始まり、結婚となります。
それが繰り返されるとどうなるかは、もうお分かりですね。
ハイレベルな方のご両親は往々にして、成功した父親と見目麗しい母親という構成になっており、そのご両親から生まれた方も必然的に両親の特性を受け継ぎ易い。
それが一時的に初等教育の間だけ劣った人々と関わり、そして劣った人々では手の届かない場所へ分かれていく。
そして幼少期にであった、元々御縁が無かった相手を理想として持ち続けて、結婚出来ずに今に至るのが、当相談所の高年齢独身男性に多いパターンです。
モテない未婚男性の多くが、少年時代の初恋相手を理想として持ち続けて、それが今までアップデートされずにいるのです。
ルビィの歳の離れた従姉がコボタさんと同じ歳と聞いているので、そういうことなのかも知れませんね。
そこに運命を感じているのはコボタさんだけで、ルビィは興味なしで、ルビィの従姉さんはイケメン貴族の方と結婚されましたから、一方通行でしかないのですけれど。
35歳(ヒューマン換算年齢で45歳)で年収370万ヴァリエのコボルトで身長は120
システム上コボタさんの方から選ぶことは出来ます。
ですが、コボタさんが選んだ相手全てにお断りされているのなら、選べていないのと同じだと思うのですがどうでしょうか?
「でも、僕は公務員だし…そこまで条件は悪くは…ない…ような。見た目だって…年齢より…若い…し…」
でも、下級警備でしょう?
しかも離れ砦の。
ええ、大切な仕事だとは思いますよ。
でも正直皆がなりたがる仕事ではないじゃないですか。
私の前世の世界の公務員であれば、人事院の決めた給与体系に則って、国民全体の平均に照らし合わせてあまり上下の差が出ない仕組みになっていましたが、この世界では公務員の給与は国民全体の平均に合わせるという考えはありません。
あくまで雇い主が王国というだけで、高い能力の者には高給を、低い能力の者には低賃金が支払われます。
コボタさんの場合は、敵が攻めてきた時の時間稼ぎをする下級警備員です。
給料は国民平均よりも安いです。
それに若く見えるって誰に言われたのですか?
飲み屋のお姉さんや娼婦の方からだったらお世辞ですよ。
一般的に言って、貴方は老け顔です。
子供の頃に老け顔だと、異性からも同性からも不人気で交友経験の少なさから、幼く育つ事はありますが、それも若さとは違いますからね。
飲み屋や娼婦の女性に恋人がいたり、安客の愚痴とか言ってるの知らないんですね。
転職するか、中級警備の試験を受けた方が良いですよ。
昇格しても大変だとか理由を付けてやらなかった結果が
収入や見られ方も変わります。
年収500万ヴァリエからが、三十代以降の男性としてのスタートラインですよ。
コボルトの35歳はヒューマン換算年齢だと45歳なので、婚活市場で考えると600万ヴァリエは欲しいですね。
同年代では結婚出来た方より、未婚者の方が平均収入は低いですが、だからこそ結婚しにくい方には収入が求められるのです。
「お金で…寄ってくる…女性は…ちょっと…」
貴方にお金以外でオスとしての価値はありますか?
それに既に稼げた立場でもないのに、何を言っているのですか?
ありのままの私を高く評価して欲しいって、装備も持たずにありのままのステータスでダンジョンに挑むようなものですよ?
本当に何を言っているのですか?
「でも、結婚は…助け合いで…、一方的に…寄生…されるのは」
そうですね。
綺麗事では助け合いとは言いますが、現実的には助けは一方的なものが多いです。
例えば、低ランク冒険者では倒せない高ランクのモンスターでも、高ランクの冒険者がいれば何とかなります。
ですが、高ランクの冒険者でも倒せない最高ランクのモンスターと戦う時に、低ランクの冒険者など何の役に立つでしょうか?
「その通りです!!」
勘違いされているようなのでお伝えしますが、先程の例で言うと貴方は低ランクの冒険者ですよ。
ただ高ランクの冒険者に支援して貰ってはいないというだけの。
「…………はあ…。はい…。」
ですから、せめてゴブリンくらいには寄生したくなる男になりましょう?
その為に年収を高めなくては。
「…お金が…ないから、結婚…出来ないのかぁ」
お金がないから結婚出来ない…?
いえ、その認識は間違いです。
スペックが低いからお金も稼げない。
スペックが低いから異性にもモテない。
単に基本的なスペックが低いと、何事においても成功しないだけです。
能力値が高い方には、お金の方が後から着いてきますよ。
ポリシーを持つ者のみが成功出来るとは言いますが、成功するだけのスペックが無ければ、周囲からの扱いはポリシーを持つことさえ許されません。
勝ち組に至るだけのスペックがあって、始めてポリシーを語ることが許されるのです。
私はこの仕事をしていて、すぐに結婚出来ると言える人を確実に見極められるとは言えません。
ですが、すぐに結婚出来ない方はすぐに判ります。
相手のスペックは対面して10秒話せば判断出来ます。
弱そうな不細工は99%見た目通りに仕事が出来ないし、話を振ってスパッとレスポンスが返せない時点で基礎能力が低過ぎます。
頭が口に追い付いていない。
口に頭が追い付いていない。
そのどちらにしろ、インプットとアウトプットのどちらかが人並み以下であることには変わりがないのですから。
何故って、頭が他者より優秀で口が人並みであったり、口が他者より優秀で頭が人並みであれば、人並みの反応では返せるはずなのですよ。
片方が人並み以上で、もう片方が人並みなら問題にはなりません。
片方が人並みで、もう片方が人並み以下だからレスポンスに遅れが発生するのです。
それは最早生物として不利としか、言いようがありません。
コボタさんみたいな男性は、人間としては悪いところは無いんですけど、オスとして良いところが無いんですよね。
まあ、うちに来る男性はそのような方は多いのですが。
オスとして人並み以下なら、人間として人並み以上で無ければ、女性から見た価値はありません。
オスとしても人並み以下、財布としても人並み以下では、尊敬される理由がないのです。
尊敬というのは、自分より高位種族、自分より高給取り、自分より高い爵位など、己より優れた相手にのみ向けられるものですから。
敬意や厚意は格下相手にも向けられますが、尊敬と好意はそうはいきません。
「そっかぁ…」
そもそもゴブリンやコボルトは『テイスペール共和国』に行った方が短期的には良いと思いますよ。
ハイスペーリア王国は、圧倒的な軍事力で周囲の国から価値あるものを根こそぎ奪い取った後は、残された土地に対して自治を許しています。
自国では優秀な者に厚遇して、無能な者には重税を課します。
ハイスペーリアが戦争で勝利した国相手には、強者に厳しく弱者には優しい法律を強制させた上に、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使を、永久に放棄させる。
そうすることで、相手の国から強者を抜き取り、自国の弱者を押し付けています。
挙げ句にハイスペーリアに反逆させないために、軍隊まで取り上げます。
搾取場というよりは、ゴミ捨て場扱いされる敗戦国の一つであるテイスペールですが、そちらの方が暮らしやすいのでは?
コボタさんも弱者ですし。
ああ、元兵士となったコボタさんは、軍隊嫌いのテイスペール共和国では、生活は苦しいかもしれませんね。
「……僕は…どうすれば…良いんです…か」
1 収入を上げる
2 手が届くゴブリンと結婚する
3 結婚を諦める
このどれかですね。
もしご質問が、僕は上級種族と結婚するにはどうすれば良いのですか? ということでしたら、もはや3番しかありませんけどね。
「…………ゴブリン…相手じゃないと…駄目…なのかなあ」
そうですねと、間髪入れずにお答えしても、響かない様子。
「……内…面とか…、評価…されない…の…かなあ」
まず内面まで分かり合うまでに、見た目やステータスや資産でしょう?
貴方だってゴブリン女性の内面とか気にされないでしょう?
それにコボタさん。
貴方の内面だって評価は高くありませんよ。
「…優しい…とは…言われる…ん…だけど」
その歳まで下級警備のままで満足する向上心の無さは、優しさよりも弱さとして映ります。
他の受験者に迷惑とか、中級警備にしては弱くて迷惑をかけるとか心配する前に、まず合格してから言った方が良いですよ。
嫌われても成果で見返す自身が無いから、周りに媚びているだけの人を、優しいとは云いません。
潤滑油とも呼びません。
ただの不良品です。
「…勝ち組…だから…って…見下さない…で…」
それでも、勝ち組でなければ負け組を救う力もありません。
負け組が負け組を救えますか?
ですからね、このゴブミィさんとお見合いをしてきてください。
「…………………はい」
私はこの後、割れ鍋に綴じ蓋という不良品同士の組み合わせでも、大人しく受け入れあって上手くいく訳ではないということを改めて突き付けられた。
そしてコボタはゴブミィにさえ振られる。
(ゴブミィがOKしていたら、断る勇気がないコボタは後悔しながら結婚していたので、GLM活動布教をしてきたゴブミィに対して、断る理由が出来てホッとしていた。)
高評価とお気に入り宜しくお願いします。