異世界結婚相談所!! ファンタジーにおける婚活アドバイザーは、婚活問題児たちを成婚退会させられるのか?(異世界にも結婚出来ない30代40代はいっぱいいるよ!!) 作:きしめん協会プレミアム会員(嘘)
「結婚かあ。う〜ん10年以内に出来たらいいなあ」
かなり悠長な事を言っているのは、ドリュアード*1とエルフのクォーターであるヒューマンのミドゥーリさんです。
両祖母のルーツからして長命なのは間違いありません。
少なくとも150歳くらいまでは生きられるでしょう。
ですが、婚活相談所としては少々悠長過ぎると思いますよ。
「結婚は一生の事だし急いでも」
確かにそれも正論ですが、遅くなればなるほど需要のあるお相手は他の方に選ばれてしまいますよ。
「それは言えてるかも」
ミドゥーリさんは現在40歳(ヒューマン換算年齢で30歳)で、木属性魔法剣士の公務員。
それも離れ砦ではなくお城の中級警備で、現在上級警備の試験を受けているのだとか。
そちらに意識が向いているために、婚活に急ぐ程の気持ちは割けないのだと思います。
年収は650万ヴァリエで一般的には悪くはありませんが、好条件の女性相手であれば足りないといったところですね。
血筋は平均より良いにしては、いまいち足りていない感かあります。
エルフとドリュアードの血をクォーターで引いているにしては、能力値や容姿が微妙なんですよね。
ヒューマンの中央値と比べれば割と良い方ではあるのですが、映像投射魔法で容姿の映像から選べる結婚相談所の中では埋もれてしまいます。
それでも結婚相談所に登録された男性の中では平均よりかなり高い方です。
如何せん、検索すれば更に良い男性も幾らでもいるので、ハイスペック狙いの女性はそちらに意識が向かうのですけれどね。
元々結婚相談所の役割としては、こういった男性向きではあるのです。
同じ様な種族や職業のコミュニティの中では競争に負けて異性に相手にされない方が、ランクを落とした違うコミュニティの方とお会いした時には競争に勝てるといったところです。
正直に言って、城で中級警備の方々を揃えた中で、城務めの女性がミドゥーリさんを第一候補に選ぶとは思えません。
ですが、城務めより格下の職場の方から見ると、ミドゥーリさんは好条件となるのです。
そして残念なことに、ミドゥーリさんはその自覚があるから甘えている節があります。
中級難易度のダンジョンでパッとしなかった冒険者が、初級難易度のダンジョンで無双して余裕に慢心しているのと似ています。
ヒ換齢30歳で年収650万円。
告白されたことが無い男性に、多くのお見合い申込みが来て舞い上がってしまうのは想像できます。
でも申込みしてくれている女性の容姿って、殆どの方が微妙では無いですか?
だから乗り気がしないのでしょうか?
「それもあるかもしれませんね」
というか、それでしょう?
興味がないお相手には消極的になっているのが分かりますよ。
それと真面目な性格だと自称していますが、面倒くさがりでしょう。
本当に真面目なら
地頭が平均程度にあって真面目に勉強していれば、下の方のアカデミーなら間違いなく合格出来るのですよ。
アカデミーに行っていない時点で、
私塾に入っても本人のやる気が無ければ効果は低いですし、結婚相談所に入っても本人のやる気が無ければやはり同じです。
また
アカデミーを受けるに至らなかった時と同じ様になりますよ。
「どうすれば…良いですか?」
行動あるのみです。
さあ、この有料セミナーと高額パーティに参加して、当相談所の提携先の仕立て屋で服を買い直しましょう
「えぇ…。まあそうします」
流されやすい人ですね。
別にそれでも良いのですが。
ついでにこのモテ洗髪材はどうでしょうか?
「…じゃあ、それも」
決断力が有るようで無いですね。
中等教育時代には、宿題は最後になってやることになったタイプでしょう。
ミドゥーリさんが後日参加したパーティでしたが、ハイレベル男性向けパーティというのが良くなかったのでしょうか。
確かに結婚相談所に登録されている男性としてはハイレベルなのですが、他にもハイレベルな男性がいる中ではミドゥーリさんは選ばれませんでした。
その次に参加要件が無条件なパーティに参加したところ、何人かの女性からミドゥーリさんとの交際を希望する声がありましたが、ミドゥーリさん自身はお断りはしないものの乗り気では無いご様子。
やはり女性側の容姿に難があったからなのでしょうか?
それとも年齢の割にはしゃぎ過ぎていた為でしょうか?
明らかに専業主婦狙いというのもあったのでしょうね。
正直ミドゥーリさんが王城上級警備ともなれば、豊かではなくとも妻を専業主婦とする事は可能です。
問題はミドゥーリさんが専業主婦を許したくなる様なお相手には、ミドゥーリさんの安定したそこそこの高収入という武器だけでは届かない事です。
ただミドゥーリさんは、コボタさんと比べると明らかに好条件なのです。
ミドゥーリさんのご両親がそれなりの容姿であるために、ミドゥーリさんの基準が高くなっているというのが大きいのではないかと想像しています。
私の想像なのですが、ミドゥーリさんの両祖母はそれぞれドリュアードとエルフですが、どちらの方もドリュアードやエルフのコミュニティではモテなかったのだと思います。
だからこそヒューマンを相手にするしかなかった。
人間全体の中では勝ち組としても、元々の枠組みの中では負け組だったのではないでしょうか。
下降婚は遺伝子譲りかもしれませんが、それでもミドゥーリさんのご両親も祖父母も結婚されています。
その意味では、ミドゥーリさんは負け組街道一直線。
誰でもいいと言う人に限って、希望条件以下なら誰でも良くないと思っているものです。
そしてその希望条件の相手に釣り合うほどには己は高みにいません。
全ての人に運命の相手がいる訳ではありません。
多くの人に運命の相手だと想われる人や、誰にも運命の相手だと想われない人もいます。
けれども打算・妥協・惰性・騙しの果てに、運命の相手だと自分に言い聞かす事なら出来ます。
まずは現実を見据えましょう。
下級種族相手ならある程度は選べますよ。
選ぶ側でいたいのなら、それをお勧めします。
ミドゥーリさん。
ここに3種類のパーティ参加券があります。
一つはハイスペック向け。
一つはミドルスペック向け。
最後はロースペック向けです。
選択権は貴方にありますが、その成功は保証されません。
さて、どうされますか?
「それでは、このパーティに参加します」
おや、意外でしたね。
私は更に格下条件のパーティに参加されると思っていましたが。
まさかハイスペック向けの参加券を購入希望されるとは。
「やめた方が良いですか?」
いえいえいえ、それを決めるのは私ではありません。
ミドゥーリさん次第です。
それでは、良い報告をお待ちしています。
感想お待ちしています。