うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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連投しています。話がつながらないな?と思った方は一度目次まで戻ってみてください。

タツヤ戦以降、戦いの描写は殆ど無いに等しいですが
元々そういうタイプの小説じゃないと思って諦めてくれると助かります。
言い訳ですけど。


99話 ッ!?

 

 

俺が1回戦でシードでありながらまさかの大敗北を喫してからは

大会の方もやや盛り下がり(すんませんマジで)順調に消化されている。

結論から言えばだが、1回戦を突破したのは俺と対戦したテツヤ選手を除き

全員が全員、なぞのみせで鍛え上げたトレーナーだった。

 

いやはや、なんともなんとも……

まああれだけ野生・トレーナー問わず戦い続けてれば、こうなるのも明白だったのだろうか?

原作主人公のレッドさんまで負けてっし。

 

 

ちなみに俺が負けた内容は本気で初見殺しな感じだった。

 

一言で言うなら ねむる→ねごと→ぜったいれいど→1発で命中

 

この運ゲーをどう解決すればよかったのか。

 

格闘技を用いても一撃K.Oは若干きつかったらしく

耐え切られた所で上記の内容である。参考になるわー本当に。

がんじょう持ちとか、みがわり駆使しないとまず逃れられん。

 

かませ犬も良いトコだった。(泣 そしてドレディアさんは速攻ポケセン行き。

周りを固める相棒達が1人減ってしまって寂しいものです。

ついでに、負けが成立した時の話ではあるが

トキワのお兄さんの声で「あれぇーーー?!」と聞こえたが多分幻聴だろう。

あの大歓声に近い中であの人の声だけ拾えるとか、多分有り得ん。

 

 

『さぁー2回戦・第4試合、モモ選手対タクト選手!

 次の試合に進む権利を賭けた勝負、白熱してまいりました!』

 

「ギャゴーーーンッ!」

「─────ッ!」

「頑張るのよ、ゲンガーッ!!」

「ぐぅ……まさかこんなに早い段階で彼女に当たるとは……!」

 

一方こちらは試合が続く第4回戦。

アナウンスが熱を入れて喋り、その都度会場が盛り上がる。

 

大会の本場と言える本戦に入った試合内容は、アナウンスの通りもっさんvsタクトさんである。

2回戦の試合内容は3vs3……数的にタクトさんが不利ではあるが……

そんな雰囲気は微塵も感じさせないダークライの使いっぷりである。

 

もっさんも1回戦を勝ち上がってから大会の空気に慣れたのか

今大会の優勝候補、タクトさんを相手にかなり頑張っている。

 

というかタクトさんがやりすぎといったほうが正しいだろうか。

今更思い出したのだがこの人、アニメに登場してDPverを強制的に終わらせた人だ。

あの時期はベストウィッシュが始まる境目に当たってしまい

話を無理矢理終わらせるような感じに仕上げてしまったアニメスタッフに

ネットユーザーが批判を浴びせていたのが印象に高いが……

 

だが! そんなタクトさんも何処で間違ったのか、凄まじい進化を遂げていた。

まず何処に関しても話す内容は、やはり『伝説級ゆえのごり押し』に頼っていない事。

ダークライの持てるポテンシャルをほぼ全て活かしきっているその手腕は凄いと思う。

アニメだとただ単に固有技無双といったイメージでしか無いが

なるほど、これならダークライ1匹のみでこの本戦に挑んだのもうなずける。

 

 

……が、同時にタクトさんも相手が悪すぎた。

相手も相手で、あのなぞのみせで遭遇してから

タクトさんともあの短期間でかなりやりあったもっさんである。

 

なんでも滅多に対戦出来るポケモンじゃないってのがアタックの理由らしいが。

 

そしてそのタクトさんに対し、事前に知っている『1匹しか居ない状況』をフル活用し

解決出来ない策をふんだんに盛り込んで戦っていた。

 

1発喰らってよろけたところに、なんともっさんはこごえるかぜをぶつけて

ダークライの素早さを無理矢理下げに来たのだ。

凄まじい素早さを見せていたダークライもこれにはたまらず足を鈍らせ

そして1匹であるが故に交代などの手を用いて、その素早さ低下を消せないのだ。

 

現在、もっさんの手持ちは1匹が敗れ去りサンドパンと場に出ているゲンガー。

ゲンガーが敗れた場合にサンドパンで注意したいのは、やはり高威力のふぶきだろうか。

タイプ一致とはいわずとも、やはりあの威力の抜群効果はあの子にはきつかろう。

 

「むむー、これどうなるやろなー……

 同じ釜の飯を食べた仲ではあるけど……やっぱり付き合いからしたら

 もっさんに勝って欲しいかなー、うちは」

「でもタクトさんも本当に負けてませんよね。たった1匹で3vs3をここまで戦っているんですから」

「ふームー。やっぱりあのダークライ、ベリーストロングネェ……

 よくトレーニングされてるヨー。Mossan、きついでショー?」

 

こちらでもどちらが勝つかと判らない議論を繰り広げている。

うーん、ダークライも順調にモノを仕込み終えた感じだし……これはどうなる───あっ。

 

「あー決まった。もっさんの勝ちだ」

『えっ?!』

 

さっきの一瞬、ボソボソとゲンガーに言っているのが見えた。

……あの状況なら、選ばれる技は『あれ』しかない。

 

 

そして試合会場に目を移してみれば……案の定。

ダークライのシャドーボールがゲンガーにぶちあたり、オーバーキルダメージが叩き出される。

が、そのダークライにシャドーボールをチャンスと見て仕掛けたタクトさん本人は

 

「その手があったか……!」

 

と呟き、がっくりと項垂(うなだ)れる。

 

『おぉーっと!? 試合では謎のやり取りが行われているぞー!!

 シャドーボールが完全に入ったのに、つらそうなのはタクト選手だーーーッ!!』

 

そんなアナウンスが響き、事実ゲンガーはゆっくりと倒れていった。

が、ゲンガーが倒れたと同時に、ゲンガーからは黒い怨念のようなモノが噴出した。

そしてそれは高速でダークライに襲い掛かり、対応が遅れたダークライもまた倒れ伏す。

 

そう……ゲンガーが仕掛けたそれは───

 

 

『─────みちづれかっ!!』

「ですねー。もっさんやるなぁ……試合外の内容にも目をしっかり向けてんだな」

 

 

おそらくタクトさんは、既にゲンガーが先制出来る状況であるにも拘らず

ダークライに対して何もしなかったところで、みちづれに感づいたのだろうな。

 

今回の内容、もっさん何気に完全に狙ってやってないか?

まずこごえるかぜですばやさを下げた点は見逃せない。

みちづれってのは確かソーナンスでも無い限り、先手を取れないと

決めるのがひじょーーーーに難しい部類の技のはずなのだ。

 

そして本来のレベル内容からしてゲンガーが素早さで勝てていたかは疑問符が漂う。

事実負けていただろう、あのダークライの素早さは大したモノである。

俺個人はドレディアさんやダグトリオのあれで速いモノに見慣れているから大丈夫だが

他の人はみちづれの指示まで聞き取れなかったのだろう。

 

 

「りょ、両者引き分けッ! 試合は2回戦過程が終了後に再試合───」

「待ってッ! 私のポケモンは『倒れては居ない』わっ!」

「そうです……この試合、ボクの負けです……。」

 

ざわっ

 

おや、みんな気付いていないらしいな……

もしかしてダークライが「あもりにもかっこよ過ぎるでしょう?」現象でも起こったのか?

だって、もっさんにはまだ───

 

「さぁ、勝利を確定させるわよ! ───出てきて、サンドパンッ!!」

 

ペカァァァン

 

「ッキューーーーッ!!」

 

 

俺の相棒が残っているんだから。

 

 

 

「────私の相棒よっ!!」

 

ッ!?  なぜバレたし?!

 

 

 

オ……

 

 

オオォオオオオォォォォオォォォーーーーー!!

 

『な、なんとなんとなんとぉー!!

 モモ選手、あまりにも強すぎるダークライに対して取った作戦は自爆戦術ッ!!

 確かに、今回のタクト選手の登録はダークライ1匹のみッ! これを上手く利用したッ!!

 従いまして、ルール上ポケモンが生き残っているモモ選手、ベスト8進出だぁーーー!!』

 

 

「うっはー、もっさんしたたかやなぁ~……」

「うん、凄いねぇ……私もハガネールと一緒に戦う時、ああいうのには気をつけなきゃ」

「なんにせよ、これで彼女も優勝候補か」

「ですねぇ、ってかどうなってんのこのチート軍団……」

「oh、チート? マスの事ですカー? カタカナで チ と ト を繋げるのよネ、リトルボーイ?」

「なんでアメリケンのマチスさんがそんな小ネタ知ってんすかww」

 

チとトをつなげるとこうなります。 チト 升 お分かり御分かり頂けただろうか。

 

んで、今更なんだが。

もっさんを最後に、こちらの仲間は全員3回戦に進出している。

うまーく全員当たらなかったのだ、なんというご都合主義か。

 

まあ、それでもさすがに第3回戦からは苦戦していたが。

なんせ全員が全員、なぞのみせ出身者だったため手の内が互いにバレまくってたのだ。

 

 

1回戦で消えた俺にゃ関係ないけどなー。

 

 

と、話していると急いで駆け上がってきたのか、もっさんがこちらに突撃してくる。

 

 

「やったーーーーーー!! やったわよーーーーーー!!

 私もベスト8まで勝ち残ったわーーーーー!!」

「もっさん見てたでー! ようやった!」

「おめでとう! もっさん!」

「ありがとう! 本当にありがとうっ!」

 

プリキュア3姉妹、友情の契り再び。

ならば俺等も漢の友情を再び契ってくれようか、カズさん、グリーンさん。

 

「お、おう? よし、わかった!」

「お、俺もか?! よし、それなら……」

 

さぁ、準備は良いな!? 行くぞ!

 

「サンドパァーーーーンっ!!」

「キュゥーーーーーーーーー!!」

『俺等じゃねえのかよっ!?』

 

うっせー知るかバーカ!! 俺とサンドパンの友情は永遠だッ!!

 

「キューーーー♡」

 

 

 

 

さてまあ、こんな感じで試合は進んでいった。

 

 

しかしこれ以上は特段描写する必要も無く順当に試合が進んで行く。

ベスト8にて、もっさんvsマチスさんがあったが……

タイプ相性的にもっさんが、まさかの優勝候補№1を撃破に至る。

メイン電気技、全部無効だからなサンドパン……

 

もちろんの事、ジムにて不敗神話を築きかけていたマチスさんである。

地面タイプの対抗策的に色々とやっていたのだが、これまたもっさんの交わし方が上手い事上手い事。

相手が微妙な変化技をしようとしたところで強烈な一撃。

マチスさんがこれまたそれを警戒してカウンター系を用意しようものなら上手い具合に積み技を発動。

でんこうせっかまでゲンガー交代で無効化、そしてでんじはをやろうものなら即座にサンドパン。

 

マチスさん、どんまい。

 

というわけで、もっさんなんとベスト4に進出……だがしかし。

 

ベスト4の相手は順当に原作パゥワァで勝ち抜いてきたグリーンに語るべくも無く敗れ去ってしまった。

まあ主要攻撃が全部はずれてたらどうしようもありませんね。

 

とはいえ決まってても勝てたかどうか怪しかったが。

いやー本当、俺戦った事なかったけど相棒のカメックスがやりすぎなぐらい強いのだ。

硬い上に水を噴射する勢いを使って素早さも底上げしているっぽく

攻守のバランスがイカれた方向に突出しているカメなのだ。

 

一度見て判るあの絶望具合。アレは勝てねえ。何故かハイドロポンプも100発100中だし。

 

 

あれ止められるのレッドさんのゴリチュウぐらいなんじゃねーの?

 

 

そして同じくベスト4の準決勝。

もっさんと一緒にトトカルチョ的なモノに大穴を空け続けているカズさん登場。

相手はもちろんなぞのみせ出身者。ゴウキのやばさを存分に知っていた。

 

かなりの苦戦の末にカズさんは破れ去ってしまった。

やはり主要技の瞬獄殺が予選から既に警戒されまくってたのは痛すぎたか。

まさかのRareAkuma化したホーミング性能を用いても

内容まではRareAkuma化しておらず、後ろに攻撃が来たら無防備に叩き落される。

かなりタイミングを計って打っても、どうしても技の特性上わかりやす過ぎた。

頑張って他の技でも削りまくってはいたが、残念ながらそこまでである。

 

最後に強烈なタイミングで、ワンダールームだかなんだかを発動させた後

しんかのきせき持ちであろうラッキーを出され、地味にやられ続けてK.Oである。

 

 

「くそっ……! あと少しで準優勝だったのに……!」

「私も、さすがにあのカメックスちゃんは抜けないわ……」

「フッフッフ、これでもじーさんの孫と評価されるのが嫌で、鉄の意志を持って鍛えてたからなっ!」

「ガメェー!」

「キャーカメサーン」

「ガメェー!?」

「フゥ、ミーも良い経験になったヨー。

 Mossanに敗れる日がカミングするとは思ってなかったけどネー!」

「アレは私も嬉しかったです。けど、どこかで歯車が狂ったらきっと負けてたでしょうね……」

「ダーイジョウブ! Mossan、自信持ってクーダサーイ!

 YOU、ベリーストロング! ジムリーダー行けマース!」

「そ、そうかな? えへへ……」

 

普段褒められる機会もなかなか無いのか、とてもうれしそうなもっさんである。

まあ、今の力量ならサンドパン、ゲンガーの強さを鑑みても

属性を一切持たないジムリーダーなら、確実にこなせるであろうことは間違いない。

 

 

そして、決勝は予想通りと言ったところか。

 

 

『決まったぁぁぁぁーーーーーーーー!! カメックスの鬼のようなハイドロポンプッ!!

 堪らずラッキーもダウーーーン!! 回復のタマゴのPPが切れてしまったかぁ!?』

 

 

おそらくは原作強制力的なものが働き

しんかのきせき持ちラッキーを、特殊攻撃でごり押し続けるという

ある意味でとんでもない内容をグリーンさんが繰り広げ続けて勝ってしまった。

現代で策略とかを頑張って考えている人達に真っ向から喧嘩を売る内容で優勝。

これには匠もご満悦、なわけは無い。

 

 

「むーん、やっぱ最後は力がモノを言うねんなぁ……」

「私のハガネールも、あれはやり続けられるとさすがに無理かな……」

「まぁ、水のカッターでも鉄って切れますしね」

 

何気に水って万能なんです。

 

飲めば癒しの潤いになり。

激流なら生物を殺すうねりになり。

速度を出せば全てを貫くビームになり。

水蒸気になって広がれば天気にも影響を及ぼしたり。

 

「ディーァー;」

「おぉぅ、ドレディアさんおかえり。体、大丈夫かい?

 さすがに草タイプにぜったいれいどはきつすぎたよね……」

「アー;」

 

ポケセンでの治療が終わったのか、ドレディアさんが一人でここに来る。

野良ポケモンと間違われたらどうするつもりだったんだアンタ。

 

しかし、治療が終わったといえどやはりクリティカルすぎたのか、動きはとってもけだるそうである。

 

 

『おめでとうございます!! 第24回カントーポケモンリーグ優勝者は……!

 マサラタウン出身……グリーン選手ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!』

 

 

 

ウォォォォオオオォォォォッッ!!

 

既に時間も夜に差し掛かっているのに、全員異様なテンションである。

ここに陛下が現れたら「おまえたち、もうねなさい」って言ってるぞきっと。

 

「ホンマに優勝してもうたなー……すごいわぁ」

「うん、これで私達の地方に来られたら、きっとあっさりやられちゃうよね」

「全方向のバランスが凄まじいもんなー、グリーンさん」

「アーでもネー? BOYスカウトにGIRLスカウトなMossanにカーズが

 2人共イッショにベスト4に残ってるのもスゴーイヨー?」

「あーそれは確かにうちも思うー。    □

 本職でも無いのに凄い事やで? 2人のメインて野営のほうやろ?」

「ああ、そういえばそうだったわね……」

「そういえば、確かにそうだったよな……」

『普通に忘れてたわ。』

「あんたらもう付き合えばええやん……」

「カズさんちん●もげろ」

「おいタツヤ君それは酷すぎるぞっ!?」

「も、もげちゃえ……!」

「ミカンさんまでひでぇーーー!! 神などおらぬぅーーーー!!」

 

『さぁ会場のボルテージが最高潮まで高まって参りました!!

 今大会、とてつもないほどの大波乱ばかりの内容で勝ち上がったグリーン選手!

 エキジビジョンマッチで一体どういう内容を見せてくれるのかッ!?』

 

…………え? エキジビジョンマッチ?

 

「え、何それ」

「あれ、なんやタツヤん知らんの?」

 

いや普通に聞いた事もないんすけど。

優勝して表彰されて終わりなんじゃねーの?

 

「えっとですね、エキジビジョンマッチって言うのは□

 リーグの優勝者と、公式の現チャンピオンと戦う試合の事ですよ」

「そんなんあるのっ!?」

 

おおう、なんつーボーナストラックだ……そりゃぁこのボルテージもうなずける。

 

「あ、そういえば俺……今のカントーチャンピオンって知らないな。丁度見れる良い機会なのか」

「へー、タツヤん知らんかったんか。

 うちらは地方が隣り合ってる関係もあって、リーグ関連でよく顔合わせてたけどなぁ」

「そーネー。ミーは同じ地方担当だし、よーく知ってるネー」

「どんな人なんですか?」

 

結構純粋に興味がある……赤・緑順所だと、金銀チャンピオンだったワタルもまだ四天王止まりだ。

つまりはここでワタルが出る事は有□得ない。では、一体誰が? 原作に居なかった誰かなのだろう。

 

「えーと、普通のお兄さんっていう感じです」

「ほうほう」

「でもって、バトルに関してはえっらい強いねん」

「なるほど、さすがのチャンピオンか」

「最近でチャンプが負けたのは聞いた事ないネー。

 確か2年前にー、シンっていうBOYがナントカ倒したのよネー?」

 

あれ、それは……どこかで聞いた名前ですわよ?

 

「あ、俺もそれ見た見た! ひっさしぶりに四天王が突破されたーって特集で!

 2回負けたけど諦めずに期間置いて挑戦して、生放送で勝った人だよな!」

 

あぁ、間違いねぇわこれ。

 

「やっぱりか……それ俺の兄ちゃんだわ」

『え』

 

意外と思われるかもし□ないが。

この話に上がっていたのは紛れも無くうちの兄ちゃんだ。

 

「し、知り合いなん?」

「いや、ていうか実の兄貴です。シン兄ちゃんですよね」

 

『ええええええええーーーーーーーーー!?』

 

あれ、そんなに驚くところかなこれ。

俺としてはむしろ大会における出オチすぎた俺に対し□向けられるものな気がするんだが。

 

 

「な、何気にタツヤん、凄い□の弟やったんやな……」

「ミーもサスガにびっくりネー……」

「んー、まあ家族自体はそんなに実感無いもんですよ。本人も全然誇ってませんでしたし」

「そ、そういうものなんですか?」

「まぁ、そういうもんです」

 

『おっとチャンピオン、ついに準備が完了したようです!!

 歴代カントーチャンピオンの中でも特に強いと言われている現チャンピオン!

 そして圧倒的な試合内容で□ち進んできたマサラ出身、グリーン選手!

 一体、どういった試合を我々も魅せてくれるのかぁー!!』

 

 

そんな話を□ていると、アナウンスが会場に響く。

どうやら双方の戦いのセットアップが終わったよ□だ。

 

「おー、ついにお目見えか□どんな人だろう」

「見た目だけはごっつい普通やか□なー、でも試合内容は凄いんやで!」

「そーネ! ミーも未だに勝てる気しないヨー!」

 

うーん、凄まじ□気になるなぁ。

そんなに凄い人なんだ……こ□はグリー□がゲーム補正あってもきつ□だろうか?

 

『では登場して□きましょう!!

 現チャン□オン、どうぞーーーー□ーーーー!!』

 

会場の特設□な入り(ぐち)が、ド派手なエフェクトと火薬や□水蒸気を出し

静かに静か□会場に歩いて□き、その姿がい□いよあらわになる。

 

って、□あれ……? なん□、おか□いな?

□れぇ? □んか、視界が歪ん□来□……

 

 

そんな妙な光景の□、俺□目に映っ□いたそのチャ□□オンは

ど□かで見た感じの□俺□□話になったお兄さ□っぽ□て

 

というか、トキワ□お兄さんその人だった。

 

 

□□□□

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「何ぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?」

 

 

思わず俺はガバァッと掛け布団を跳ね除け、勢い良く起き上がる。

まさか、まさかのチャンピオンが……あの露店のお兄さん───

 

 

───掛け布団?

 

 

「……え、あ、あれ?」

 

ひとたび視線を卸してみると、パジャマ姿でベッドの中に居る自分。

あぁ、なんだこれ。夢だったのか。

 

「はぁ、ハハハ……あーびっくらこいた。まあそらそーだよなぁ

 そんな身近な知り合いが、最強クラスのチャンピオンなわけが───」

 

 

「直哉ぁーーーーーーーー!! 何一人で叫んでんだいっ!!

 とっとと下に降りて来てご飯食べなさいーーーーー!!」

 

「あーーーー。はいよーーーーーーーー」

 

 

下に居る母親から怒鳴られ、ベッドからのそりと体を出す俺。

 

……俺?

 

「え…………え?」

 

改めて自分を見下ろしてみる。

いつも見慣れていた手が、無いんだが、有る。

丁度、シン兄ちゃんやらトキワのお兄さんみたいな、少し無骨な手。

青年のような感じの手である。

 

 

小学生に上がった程度と思われる小さな掌は、俺の視界になかった。

 

 

「ッ?! !?!? なっ?!」

 

な、なん、どう、いう事だこれはッ?! 俺は、俺は誰だッ!?

 

 

俺の名前は……タツヤ───いや、違うッ!

 

俺の……俺の名前は……!

 

───田島……直哉、だ。

 

 

夢、か?

 

 

……夢、だな。そっか、夢だったのか……。

 

なんか、随分長い夢見てた気がすんな……。今日は日曜、か。

バイトも講義も休みの日だな……適度に真面目な学生やってるおかげで追われるモンも無い。

 

ああ、そうだ。部屋にある鏡を見て─────わかった。

間違いねぇや。アレは夢だった。

鏡の中を覗く顔は、『20年間』ずっと付き合い続けた顔が居たんだから。

 

 

ぁーぁ、全部夢だったのか……すっごい楽しかったんだけどな……。

ありえねー手持ちに、個性豊かなみんなに……。

初代の仕様を無視して、ガラガラまで幽霊としてだが、現世に留まらせたなぁ。

なんでかLv100のヒンバスまで釣り上げてたし。

 

そーだな、そりゃーそうだ。ありえねぇもん、全部が全部。

あれはポケモンの世界に似た、ただのユメのセカイだった。

 

 

 

 

 

─────そういう事、なんだな。

 

 

 

 

 




と、いうわけで。
誰しもが納得しないであろう結末になってますが
60話程度から構想していたラストストーリーがこれです。

ゲームのラストイベントが終われば、ゲーム自体にも終わりが来ます。
それは、当たり前のことです。


にじファン編最終話は0:00に予約投稿されます。

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