うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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処方箋を更新。
ついにアイツが登場。


12話 oh…

 

「ッはー……。疲れたなぁ~」

「ディ~ア、ディァ~」

 

たかだか20分程度の戦いでこそあったが

取った策略も策略で安全策でなかったために体の疲労感がッパネェ。

 

すぐ傍にはデルビルを除いた死屍累々が築かれているのだが

縛る事も忘れ、俺はどっかりとそこら辺の木の根に腰を下ろした。

 

「───つッ!!」

 

座った衝撃程度ですら、ズバットに噛まれた腕が酷く軋む。

血も未だに流れており(とは言っても極少量。そこまで深くは無い)

さらには戦い始めにドレディアさんにぶん投げられた関係で擦ってしまった傷まであるから

どうにも面倒な痛みである。一度気になるとどうしても……あぁん。

 

「ディ~……」

「ん……?」

 

ドレディアさんの声にあまり力が無い。負担を掛け過ぎたか? ……って、あぁ

 

「……気にしないでいいよ、これは。

 俺はトレーナーとして、自分の相棒が自由に動ける選択肢は取ったはずだから。

 ドレディアさんは何も悪くないからさ」

 

どうやらドレディアさんは俺の腕の傷を本気で心配してくれているらしい。

そのせいで声色が若干落ち着いている、と勘違いしたようだ。

 

それに取った戦略は、実際大当たりだったはずだ。

なんせポケモン単体で見ても1:3である。戦いなんてもんは普通は質より量。

この事実だけでも負けかねないわけなのである。

それをひっくり返す事が出来たのだから、これを当たりと言わずなんと言おうか。

 

だからこそ自分の相棒のドレディアさんが無傷なのは素晴らしく誇れる事だ。

……の、だが……、ドレディアさんの

 

【私が無傷でも、私が守るべきあんたが自爆してりゃ世話ないよ……】

 

と言う視線がとてもきつい……。

 

いいじゃねーかよぅ、泥臭かろうが卑怯だろうが

最後に勝てば官軍なんだい。負けちまったら賊軍なんだぃ。

 

 

 

 

 

 

だが、まあ。

そういう気遣いは結構……いや、とても嬉しかった。

 

最初の時には顎を打ち抜かれ、初戦闘では貴様なんぞ要らんと言われ

その後には飯を奪われ、森の中では置いてけぼりに……

 

 

 

あれ? 碌な思い出がねえぞこれ?

 

まぁ、ともあれ。

今回の戦いで初めてドレディアさんは俺個人を認めてくれた。

認めてくれた上で、俺を必要としてくれたのだ。

今回の戦いは公式のポケモンバトルでは無いと割り切っていたからこそ

無茶を通り越して反則な手を数多く使ってしまった。

 

反則であるなら公式の試合では使い物にならない。

これからはもっと通常の立ち回りの研究にも力を入れなければなーと思ってしまう。

 

これから彼女と一緒に戦う機会こそ二度とないかもしれないが

彼女が気重ね無く戦えて、気持ち良く勝利出来るように色々考えて見るかな。

 

 

 

 

さて、腕の治療もドレディアさんに手伝ってもらった。

のはいいのだが、手首よりちょっと下に噛み付かれた後があるのに対し

包帯っぽい布で肩までぐるぐるにしやがった不器用レディはどないしてくれよう。

 

 

まあ最初から言ってはいるが俺の事なんぞどうでもいい。

そんな事より問題は、このロケット団を(捕縛済み)転がしたのはいいが

 

『ピッピー!ミュゥー!!

 ペラップー♪ピジョットォー!!

 うっきゃハナハナーっきゃー!!』

 

こっちどうしよう。

みんなが予想外に暴れすぎて絡まりまくってんだけど、網。

 

「ディッ、ディッ。ディァッ。」

「いや、ないし。無理だし」

 

【これも予測済みなんだろ? 対処出来るんだろ? なっ? なっ?】という視線が痛い。

さっきからこの子、視線で俺を殺そうとしてるんだろうか。

 

 

そんなこんなでぎゃーぎゃー騒がれつつ

俺ももうこの際だから放置して進んでしまおうか、と思い始めた当たりで

 

 

 

ポコッ。

 

地面から顔をひとつ覗かせた存在が出てきた。

宴会している時に居た無口なディグダっぽい。

「ディグダ……お前、何気に網から抜け出してたのか」

「─────。」

 

つぶらな瞳でじーっと見つめてきやがる。クッ……こいつぁ中々に威力のある攻撃だッ……! 

 

「抜け出せてるなら話も早い。

 ほら、行ったほうが良いぞ。またいつロケット団みたいな

 無理やり浚おうとする奴が来るかもわからないんだぞ?」

「─────。」

 

ぬう、これだけ促しても未だに動く気配が……。ん?

視線に意思を……感じるな、うん……なになに?

 

【貴方こそ我の主に相応しい。

 是非その旅路の末席に加えては頂けぬだろうか】

 

ふむ。無口だからこその科目で礼儀正しい意思が見える。

ディグダってもしかしてみんなこんなもんなのだろうか。

 

「ドレディアさん、この子の言いたい事はわかってる?」

「? ディァー(フルフル)」

「そっか、確認したいんだけどお前仲間になりたいっつってんのよね?」

「─────。(コクコク)」

「ッて訳らしいんだけど、ドレディアさんは構わない?」

「…………ディ~、ディァ」

 

悩んだ後に、しかたねえなーといった風に同意をよこすドレディアさん。

俺としてもドレディアさん単体じゃ出来る事と出来ない事が出てくるだろうし

新しく仲間が増えるのはちょうどいいのかもしれない。

 

「よし、わかったよ。

 モンスターボールもひとつ空きがある。君を歓迎させてもらうよ」

「─────ッ!!」

「じゃ、荷物からボールを……───。

 ……………………。」

 

 

 

 

 

ボールは、ある。大丈夫、勘違いしないで欲しい。

 

俺の目線の先には先程と同じくディグダがいる。

のだが、俺の目の前でディグダはこんな行動を取り始めた。

 

 

俺が仲間宣言を承諾し、ディグダはとても喜んだのだろうか。

普段は全く見えない体が穴から「出てきた」。

なんというかこう、のそっと出てきた。

 

そして今までゲームで見た事が無いその体は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見た限りでは180~190cmはありそうな、スラッとした長いボディ。

 

全身は顔と同じく茶色であり。

 

胸に乳首、そして股間に秘所が見当たらない。全身タイツのようだ。

 

そして極め付けは……程良い筋肉。筋骨隆々ではない。

 

まさに健康的な美丈夫である。

 

しかも顔は今まで通りプリティな感じの……その罪の無い顔の下には

 

前述した、まさに2chの八頭身を少しマシにしたようなボディが。

 

 

 

 

 

そんなディグダが、俺の目の前に現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええええええええええええええええええええええええ」

 

 

あ、ありのまま今起こった事をry

ディグダが仲間になりたそうにこちらを見てry

許可したらPixivタグにも登録されている「いつものディグダ」がry

な、なにを言っているのかわからねーと思うが……

俺も何を言っているかわかんねぇ……

 

 

「ァ……」

 

ドレディアさんもまさかの展開に唖然としていますwwwwwwwwww

 

そして当の本人のディグダ(?)は俺らの態度も一切気にせず。

俺の目の前に来て、片膝を付いた。

 

 

その上で、両腕を前に突き出し右拳を掌で包み……なんて言ったっけこれ、中国っぽいやつ。

ああ、あれだわ、拳包礼? でよかったっけ。

ともあれ俺の目の前でその姿勢になり、静かに、しずかーに頭を垂れた。

 

その意思は目を見ずとも余裕で垣間見える。

 

【我が主殿───。

 これより先、いかなる手段を用いようとも

 貴方に我が忠誠の全てを捧げることを誓いましょう───。】

 

と言った感じの……うん、意思だと思う。

 

 

 

って、えええええええええええええええええええええ

 

「いや、ちょっとそれ微妙に困るんだけど?!

 え、ディグダなの!? 本当にディグダなの貴方?」

 

そう問うた所、彼は答えやがった。

 

【我に何かおかしな所はありましたかな】

 

と返してきやがった。どうしろってんだこれ!

こんなの引き連れて街中歩いてたら何言われるかわかったもんじゃねーぞ!

 

やっべ、このままでは俺が彼の持ち主になるのが確定してしまう。

なんとか、なんとかせねば……!

 

 

 

何か起死回生の打開策は……。

…………。

 

くるり。

 

顔を少し右斜めに動かし、視線をそちらに移す。

すると今まで忘れていた……。

 

『ミュゥー!! ペラップー♪

 ハナハナー!! ピジョットー!!

 リキィー!! ピッピー!!』

 

こんなのがいた。

 

これ解決したら、自然な流れで逃げ切れねえかなぁ。

 


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