うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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19話 野戦1

昨日、俺の前世知識を交えた修練は……まぁ多分そこそこの実入りで終わる事が出来たと思う。

次の修行は、vsトレーナーに移ろうと思っている。つまりは今回はドレディアさんが主役である。

 

前回の修行でまともな攻撃技(?)を得たディグダも、トレーナー戦に交えたいところだ。

訓練こそしてディグダもなんとかまともな形にこそなってくれたが

やはり実戦から勘を鍛えねば、宝の持ち腐れになると俺は判断している。

 

 

「さて、ドレディアさんは待ちに待ったという感じかな?

 今日からシン兄ちゃん打倒のスタートとして、そこら辺のトレーナーとの対戦をしていくよー」

「ドレッディアーッ!!」

 

早くも気合十分。やはり性格的にも血気盛んのようである。

 

「ディグダも一応出てもらうつもりだから、覚悟はしておいてね」

「─────ッ!?」

「ああ、大丈夫大丈夫。失礼な話かもしれないけど、まだ戦力とは見てないから。

 むしろここでぶっ倒されて、上位連中の力を味わっておいてくれ。

 経験ってのは力になるもんだからね、やれる時にやっちまうんだよ」

「────…。」

 

【わかり申した、我が主よ】と応えるディグダ。

ディグダはトレーナー戦より、野生ポケモンの相手から始めるべきだろうな。

でもまあ、あれだあれ。もののついで?

 

「で、最後にヒンバス。君は基本待機してもらうことになる」

「グ。」

 

身の上はわかってくれているようで何より。説明する手間が省けるのは素晴らしい事である。

 

前の説明でもしたと思うが、ヒンバスでLv100になっても実力的には30~40がせいぜいというところだろう。

しかし逆に言えばそれでも30~40程度の実力があるのだ。今回の修行で使うと他の2人が育たなくなる。

 

なので基本活躍の場は無いと思うが、それを納得してくれている。

やはりコイツは、パーティーに入れてよかった。

 

コイツにふざけた事しやがった前の持ち主よ。

あんたが見限って捨てたヒンバスは、立派に俺のパーティーのエースやってるよ。

 

 

 

 

「さーて到着しましたクチバシティの東!!」

「ディーアー!」

「ッ────!」

「グッ!!」

 

初代なら神BGMが流れてくれるこの原っぱ!!

うーむ、トレーナーが盛り上がっている!! ドレディアさん追い払うなよ!! 良いなッ!

 

 

草ッ原と道路では、ポケモンバトルが大人子供関係なく繰り広げられている。

たまにちらりと見れば体当たりで吹っ飛ばされる小型のポケモン。

またあるところを見ればさいみんじゅつに掛かってふらふらなポケモン。

すっげー賑わっている。やっぱ生は違うね。そいや生ビールとビールの違いってなんぞ。

 

 

「ふむ」

「ディ?」

「─────?」

 

とても盛り上がっていてこう言うのは申し訳ないのだが

 

「バトルすんの怖い」

 

バコッ。

 

殴られた。

 

「えーん、だって怖いんだもーん」

「ディァ#」

「─────;」

 

【姐御、すぐに殴ってはだめだ】と間に入ってくれるディグダ。

ドレディアさんに殴られ、ディグダに優しくされ。まさに気分は乙女也。ディグダ惚れてまうやろー。

 

 

「ああ、そうだ。何もうろつく必要はないんだ」

「ディア~?」

 

どういうことだ~? と首を傾げるドレディアさん。

 

今思えば俺は別にこの世界の主人公をしたいわけじゃない。なので俺から出向いて行く必要もない。

だったらさ、ゲームでそこら辺にオブジェとして立っているトレーナーみたいに

棒立ちで、相手が来るのを待つってのも手じゃね? それこそシビレ罠とか仕掛けて。

 

よし、そうとわかれば。

 

 

 

 

「ッ! 目が合ったわね、君ッ!! さぁ、ポケモンバトルよ!!」

 

トレーナー同士は目を合わせたら戦わなければならない。

 

                          らしい。

 

誰が決めたんだ、そんな内容。知るかボケ。

まあ今回は別に、その常識を否定して回りたいわけではないので普通に勝負をする。

今回のバトル相手はガールスカウトちゃんだ!! 俺よりちょっと年上、シン兄ちゃんより年下かな?

 

「フッフッフ……」

「うっ……!? な、何、よ……?!」

 

いきなりの俺の含み笑いに多少引くガルスカちゃん。

 

そう、待ち構えているのだ俺達は。

 

 

 

さぁっ!!

今こそパーティーの結束力を試すッッ!!

 

 

 

 

「赤レンジャイッッ!!」

 

 

ズバァァァン!!

 

 

「ドレディアッッ!!」

 

 

ドバァァァン!!

 

 

「ッッ────!!」

 

 

ジャキィィィイン!!

 

 

「ッグーーー!!」

 

 

ドコォォォオオン!!

 

 

 

 

 

 

「4人揃って、ゴレンジャイッッ!!」

 

ビシィィィィ!!

 

 

♪ジャッジャッジャララジャッジャー♪

 

決めポーズも完璧だ……ふつ、さらさら

なお他のみんなはポケモンなので最後の名乗りは俺だけだぜ!! 若干寂しいっ!!

 

「ってちょっと待てぃっ!! なんで4人なのにゴレンジャイなのよっ!!

 5人揃ってゴレンジャイでしょうがぁー!!」

「甘い、甘いぞガルスカちゃんっ!!」

「略すなー! 何が甘いってーのよぅ!!」

「なんでゴレンジャイが5人いる必要性があるっ! ならば俺らは4人でも名乗れる事は必須っ!

 その様な常識、まさに愚の骨頂ッッ!!」

「お約束ってもんがあるでしょうがっ! 大体なんでムダに演出とポーズに凝ってんのよっ!!」

 

そんなもん暇だからに決まってんでしょ。

 

「ふふふふ、我らに恐れをなしたか……

 我ら4人と熱き魂が揃った今、我々に勝てるモノはちょっとしかいないっ!!」

「ドレディアーッ!!」

「─────ッ!!」

 

後ろでズバーンドシャーンと決めポーズをするドレディグダ。ノリが良くて非常に助かる。

 

「ちょっとなんかいっ!! そこは誰も居ないって言いなさいよっ!!

 てか今まで突っ込み損ねてたけどそのディグダっぽいのは一体なんなのよぉ!!」

「あ、これについては説明が必要ですね」

「いや……いきなり素に戻らないでよ……」

 

俺はリュックからポケモン図鑑、略してポケズを取り出しディグダを読み込ませ

技とステータスを除いてガルスカちゃんである彼女に見せてあげる。

 

「と、突然変異……?」

「ええまあ、ぶっちゃけ彼……多分同意見をもらえると思うんですが

 細身のゴーリキーがディグダの覆面被ったようにしか見えませんよね?

 でも、彼はディグダのあなで育った(はずの)立派なディグダなんです」

「ま、まあわかったわ……そうね、突然変異なのね」

 

そんなのいるんだ、とボソリと呟いているガルスカちゃん。

まあ俺もドレディアさんの情報見てビビりましたから。

 

「じゃあ、そういう事で。お疲れ様でした」

「うん、わかったわ、お疲れ様」

 

そして互いに手を振り、去っていくガルスカちゃん。

 

「ディァ#」

 

バコォッ

またドレディアさんに頭ぶっ叩かれた。

【何で綺麗にお別れしてんだよ、バトルしろ阿呆】と目が語っている。

 

「いやぁしまったしまった、ちゃっかり忘れてたよ」

「…………ッッ!!#」

 

なんだよ。そうだよ、ちゃっかり忘れたんだよ。文句あっかコラ。

あ、ちょ、やめ、やめて。首絞めないで。

 

 

 

 

「───ってちょっと待てぇーぃ!! なんで綺麗にお別れしてんのよぉー!!」

 

おおう、まさかのドレディアさんとのシンクロ。ガルスカちゃんは間違いなく突然変異。

 

「しかも貴方は貴方でなんで、自分の手持ちの子に首絞められて天寿を全うしそうなのよ!!」

「ゲホッ、ゴホッ、えーと……俺の魅力?☆ミ」

「ディッ!#」

 

ドフォッ!

 

あぎょん。ボディーに連続パンチはやめてドレディアさん。

横でディグダが必死に止めようとしている。ディグダマジ愛してる。

 

「なんていうか手馴れてるわねー……ともあれッ、ポケモンバトルよっ!!」

「ふっふっふっふ……赤レンジャイっ!!」

「それはもういいわぁー!!」

 

さすがに二度ネタは旬がないようです。

ガルスカちゃんのサンドが俺の顔面に投げられのぺっと張り付かれました。おい虐待すんな。

 

 

 

 

「お願い、私のサンドっ!!」

「じゃあ俺もお願いっ!! 俺のカツサンドっ!!」

「ッ!?!?」

 

そう言って俺はディグダを前に出す。

【私じゃねえのかよォィ#】という抗議と

【わ、我の名前はディグダだっ!! 断じてカツサンドなどという謎なモノではないっ!!】

という抗議が交差する。

アア、そういえばこの世界肉が無いからカツもないのね。やっちゃった★ミ

 

「サンドっ!! ひっかくのよっ!」

「ディグダッッ!! 任せるッッ!!」

「えええええええええーーーー!! あんた指示出しなさいよっ。何よそれぇ!!」

「事件は会議室で起きてるんじゃない……───現場で起きてんだッッ!!」

「意味わかんないわよもうっ」

 

場に目を移すと、ディグダがひっかくの回避に成功していた。

小形動物という形もあり、小さいターゲットの手を狙うより

サンド全体のほうが狙いやすいと判断したのか、サンドごと手を用いて打ち払っていた。

 

「っくぅ、やるわね」

「まあやってんのは全部あのディグダですけどね」

「そうだけどさ……貴方本気でやる気あるの?」

「正直ここら辺のトレーナーさん、全員目が血走ってて怖いからポケセンに帰って寝たいです」

 

次はディグダが攻撃を入れようとしてサンドに飛び掛る。

しかしサンドも負けてはいない。カウンター気味に引っかいてきた。

そしてディグダはとくせい2のマルチスキルで───

 

「あっ」

「えっ?」

「ディ?」

 

ゾシュンッ

 

 

その一撃は。

 

 

おなかのやや下へと吸い込まれていき。

 

 

「ッッ!?!? ッッ─────!! ーーーーーーーーーッッ!!!」

 

 

 

 

サンドのひっかく攻撃は、いわゆるコッカーン★な部分に直撃。

体つきからディグダは男だと思うんだが、その、ほら、男のバベルの塔がある地点にね?

ひっかくがズバシャーって。……ァゥッ!! 俺にもなんか痛みがっ!!

 

俺も股間を押さえてぴょんぴょんして、ディグダは股間を押さえてゴロゴロ転がり

そして相手のサンドも男なのか、とても申し訳なさそうに

バトルの最中にも関わらずディグダに近寄り、体を労わっている。

 

「……なんなのよ、この状況」

「男じゃないとわからないやいっ!!」

「ドレ~……」

 

痛みがわからないのかやれやれといった感じに肩を竦めるドレディアさん。

 

「まあ、これはしょうがないです。負けを認めます」

「うん、一応あれって急所に入ったって事なのよね?」

「ディグダも別に体力が多い種族ってわけでもないですからね」

 

そんなわけで、初トレーナー戦は敗北が決定した。ディグダは犠牲になったのだ……

 

「ドレェ……」

 

 

「では、賞金として600円を……」

「えっ600……円ッ!? ちょっと高くない? 君お金持ちなのねぇ」

「あーうんまあ、子供って観点だと確かにお金持ちかと」

「でもなんでここで勝負を終わらせるの? そこの草属性の子もいるし、魚の子も居たじゃない。

 サンドは地面属性だから相性は素晴らしく悪いだろうけど……私も他の子がいるのよ?」

「まあ、俺は別にそれでも構いませんけど……多分地獄見ますよ……?」

「じ、地獄?」

 

ドレディアさん、相手が属性うんたらーとか一切関係ないからなぁ。

虫飛行相手に格闘技で一撃で瀕死に持っていくとか本当、おかしい。

 

「じゃあ、ドレディアさんが勝っても俺は賞金結構なんで、やるだけやってみます?」

「わかったわ、じゃあお願い。そこまで強いのなら、逆に興味も湧くからね」

 

というわけでドレディアさん、出番っす。

 

「ディ~ァ~」

 

腕を超全力でブルンブルンと振り回すドレディアさん。

 

「え、えぇーっ。この子特殊攻撃系の子じゃないのっ?!」

「……俺の記憶が正しければそのはずだったんですがねー」

 

とりあえずサンドとドレディアさんのバトルが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬で終わりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

マッハパンチれんだ。

ドガガガガガガガ

8かい あたった!!

プシャォーン(初代の敵が倒れる音)

 

「てわけでウィナーイーズ、ドレディアー」

「ドレディアーッ!!」

 

胸を張り、ふんすふんすと鼻息荒く。

復活したディグダも改めてドレディアさんを尊敬の目で見て。

ガルスカちゃんはあまりの能力に唖然としている。

 

「────まだ、やるかい?」

 

某10代の傷だらけ組長の真似をしてみた。

 

「……やめておくわ。うん……これは確かに無理ね。切り札なのね……」

「あ、俺の切り札はこの子じゃないですよ? 特攻隊長的な存在なのは多分間違いないですけど」

「ってことは、あのお魚さんが?」

「ええ、ヒンバスっていうんですけど、あいつLv100で確定してるんですよね」

 

ッブーーーーーーーー

あのAAもかくやと言わぬばかりに噴出したガルスカちゃん。

 

「な、なんで、なんでLv100がこんなところにッ……!?」

「まぁ、事情はあとで説明しますよ。そちらもサンドがやられちゃってますし……

 一旦ポケセン行きますよね? 俺もディグダが倒れたので」

「あぁ、そうね……じゃあ一緒に行きましょうか」

 

 

そうして俺らは一旦クチバの東平原を後にした。

 


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