ガールスカウトさんもといモモさんと一緒に、ポケセンまで戻ってきました。
ちゃんと回復しないとね。ゲームだとやられたトレーナー佇んでるけどさぁ……
何であの人たち主人公と違って目の前が真っ暗にならんのよ。
回復してあげろよ。全員げんきのかたまり持ちか。売らせろ。
「なるほど、ね……コイキングに似たり寄ったりの能力か。
それなら確かにLv100でも凄まじい戦力には成り得ないわね」
「そういうことです、ただまあ腐っても鯛……あ、いや鯛いねえか。
腐ってもトサキントなので強いポケモンのLv40~50程度の実力はありますよ」
断じて力説する。ヒンバスは役立たずなどではない。
さいみんじゅつが使える点から、すいすいの特性を使って対戦で使っていた猛者までいるぐらいだ。
「うん、確かにここら辺のトレーナーのレベルで考えれば……確実に切り札ではあるわね」
「そういうことで、自重させてもらってるんですよ。
今必要なのは経験なので、勝ち負けは重要でもないんです」
金あるし。へっへっへっへ
「あ、そうだ。もっさん、お願いがあるんですけど」
「なによそのもっさんって!? モモって呼んでくれればいいじゃないのよっ!」
「だってモモさんて何か覚えづらいんですもん。もっさんだったらほら、気さくに話しかけれていい感じ?」
「ディァッ」
「ドレディアちゃんも同意しないでよッ! ……ふぅ。で、お願いって何?」
「はい、5人目のゴレンジャイになってほしいんです。
今なら桃レンジャイの枠が空いてるんですがいかがでしょう?」
「やらないわよっ!!」
あれー、残念。
名前もモモだしもうこれは神の引き合わせと思ったのにそんなことはなかったんだぜ。
「はい、お待たせしました~♪
こちら、モモさんのサンドちゃんと~、こちら、タツヤ君のディグダ(?)ちゃんです~」
そうして瀕死扱いだった俺達の手持ちが戻ってきた。ディグダ疑問系www生きろwww
「君はまた原っぱに戻るの?」
「そうっすねー、何事も経験ですからね。負ける事だって成長につながりますから」
「なんていうか……タツヤ君と話してると、年下と話してるイメージが全く湧かないわ」
「まあ、中身おっさ───おっと、これは言えないな、ぐへへ」
「なんなのよそのぐへへって!? ちょっとキモい、やめてっ!!」
「ォゥフ……目の前でキモいって言われると若干傷付く……俺のガラスのハートが悲しみに包まれた……」
「あ、ご、ごめん……」
いや、まあいいんすけど。冗談ですから気にしないでください。
しかし危ない危ない、何気に素で口走りそうになった。
「もっさんもあっちの方に戻るんですか?」
「呼び方はそれで換えてくれないのね……うぅ~」
「もっさんいいじゃないっすかぁ、もっさん、もっさん~」
「ドレディアちゃん、お菓子上げるからさ。
ちょっとこの子にスクリューパイルドライバーやってくれない?」
ガシッ
「え、ちょ」
「ッアアアアアアアアアアアアアアアーーーーッッ!!!」
ギャルルルルルィッ ヅっどんグ。
考える暇も与えられずに凄まじい攻撃を入れられた。
ファイナルアトミックバスターやばし。ダイイングメッセージを……残さねば……
ミニスカ
おれの めのまえが まっくらに なった
「ッハ!? ここはどこだ?! ここか?! ここがええのんかっ!?」
「いきなり何言ってんのよ……頭はさっぱりしたかしら?
気絶したからディグダ君にかついでもらって原っぱに戻ってきたんじゃないの、感謝しなさいよ?」
「あんたヒンバスけしかけんぞ? 人のポケモン目の前で買収しやがって。
あんたがやらせてんのに何恩着せがましい事言ってんじゃコラァ」
「ディァ~ン♪」
横でアイスをぺろぺろ、ぺろぺろ、大事な事なので二回言いました。
ぺろぺろしているドレディアさん。
「ふん、タツヤ君が悪いのよっ。人が嫌がってるのに「もっさん。」……なんて呼ぶし。
ドレディアちゃん、もう1回……」
「それ以上言ったらモモちゃん★ミのおっぱいわしづかみにすっからな」
「っひ?! いきなり何言ってんのよっ!!」
「#ディァ」
べちんっ
「ぉあふっ!? いきなり何するんすかドレディアさんっ!!」
「……#」
くそう、なんだこれ、なんだこいつっ。
青筋立てながらも頬が赤いっ。最近こいつの感情が読めん。
「……? あら? あらあら? ドレディアちゃん、もしかして……?」
「ッディ!? ディッ!! アッ!!」
「あらあら、うふふ♪ わかったわかった、大丈夫よ~」
なにやら女同士通じ合うもんがあるのか、ぶるんぶるんと首を振ったり
何が大丈夫なのか全く興味が無いが、なにやら会話が成立しているようである。
そして【ふー】、と一息ついたドレディアさん。もっさんはもっさんで楽しそうにドレディアをいじっている。
何その謎会話。俺も混ぜれ。
◇
というわけで草ッ原2回目である。
「おい、次なんのネタやる?」
「ディアー」
「─────。」
「ッグ」
「またやるのっ!?」
もっさんは驚いてるが、日常的に同じ事ばっかじゃつまらんやん。
日々を楽しく生きてんだからさぁ、俺ら。
少しでも毎日を充実させようぜ、だからもっさんは桃レンジャイを……
「い、いやだからねっ?! またパイルドライバーやらせるわよっ?!」
…………ッチ。俺も体の安全は大切だ、勘弁してやらぁ。
「ディァ……?」
おめーもおめーで【おかし、くれないの……?】とか上目遣いしてんじゃねーよ。
「さてまぁ、ネタは浮かんでたはずなんですけど、なんか忘れてしまったんで飯にしましょう飯に」
「……はぁ、なんかもうどうでもいいわぁー。ご飯にするって、何食べんのよー」
「ああ、朝にポケセンで台所借りて作ってきたんですよ。これでも飯作るのはそこそこ得意なのでー」
ディグダのとってきた自然薯もちょっと残ってたしな。
ひらべったく切って焼いて山芋? ステーキにしてみた。他にもおかずは山菜からもりだくさーん!
人里に下りてきたから調味料使って味付けもバッチリだぜ!!
「う゛ゎ……私ガールスカウトなのに野営料理の出来栄え、確実に負けてる……」
|!|i ○| ̄|_ !|i|
フッホッホッホ、がっくりきてる。がっくりきてるよー。
別に野営料理なんぞ森を旅してたら腕前なんぞぐんぐん上がるわい。
「よかったらもっさんもいかがですか? なんならサンドにも食べさせてあげてください」
「ッ!? 良いのっ?! ごめん実はすっごいおいしそうで食べたかったです」
「あっはっは、もっさん結構正直っすね。いいっすよいいっすよ、どうぞどうぞー」
「うん、ご馳走になるわ! サンドもおいで!」
パシュゥゥゥンという音と共にサンドが出現する。
ボールの中で会話を聞いていたのかヨダレがだらだらである。
なんかそういうのも含めてこの小動物可愛いぞおいww
◇
ドレディアさんは、残念ながら協調性というものをまだ学べていないため
自分の取り分が確実に減るので若干嫌がったが……まあそこはもうご飯食べ始めたら気にもならんものだ。
人数が多いのも相まって、楽しい飯団欒となっております。
何気にドレディアさんがサンド相手にお姉さんぶってんのが普段の態度から見れない可愛さを見せている。
ディグダはディグダでヒンバスと仲良く食べている感じだ。ポケモン同士仲が良くてよきかな。
俺も俺で、飯を一緒に食べながらもっさんに、食材と和を成す味付けの基本と
野営では調味料を持ち歩かないと駄目だから、味付けが無くても旨い素材の組み合わせを教えたり、と
久しぶりの人との触れ合いを楽しませてもらっている。人が多いとやっぱ飯も美味いよね。
だが俺はある事を失念していた。
それは……
ガサガサッ
「ッ!! 目があったなぁ? 勝負だー!」
ここトレーナー激戦区だったわ。飯どころじゃねえよって話。
「やだ。」
「ええっ!?」
「ちょっ、タツヤ君!?」
なんだよその非難する目は。こちとらおいしく飯食ってんだぞコラ。
「───。(ゆらぁり」
「え、な、なんだっ?!」
「な、何?タツヤ君どうしたのよ」
俺はおもむろに立ち上がり、厨二病の活用で顔面を片手で覆いながら
「小僧ッ貴様、考えてみるが良いッ!! 家で家族と楽しくご飯を食べている時にッ!!
いきなり家に乱入され、飯を中断させられたらどう思うッ!!
貴様は今まさに、その行いをしようとしているのだッ!!」
「うっ……!? 確かにそれは嫌だけど、ここはそもそもが家でもなんでもねーだろっ!!
こんなところで食ってるほうが悪いじゃねーかぁっ!」
「ぬぅ……?! なんという正論をッ……貴様ッ、見えているなッ!?」
「なにがだよっ?! とにかく勝負だっ!!」
「なんなのよこの茶番劇www」
「ディーァ」
「いつもの事なんだ……」
後ろでは飯から目を離して、もっさんとドレディアさんが俺等に突っ込みを入れている。
てかおめーら意思疎通してんじゃねえよ。それは俺の特技だ。
◇
「それいけぇっ!! スリープっ!!」
パッシュゥゥゥン!!
そして小僧の宣言通り、ボールからはスリープが飛び出してくる。
「トゥルトゥルトゥル!!」
多分言葉にするとこんな鳴き声だな。
「スリープか……ならドレディアさんお願いするよ」
「ディアディアディアドレディアー!!」
シュシュシュシュシュとシャドーボクシングをしてみせるドレディアさん。
胃袋が若干膨れたのか毛ヅヤ(毛ヅヤ?)がとても良い状態だ。
まあこれならもしかしたらエスパータイプ相手でも勝てるかもねー。
うむ、その気合の入りっぷりにスリープの腰が若干引けている。ってかこれただの特性のいかくやん。
加えてエスパータイプのあの子の攻撃値下げても意味ねー。
「スリープ、ずつきっ!!」
あれ?! そこねんりきじゃねえの普通?!
って、ああそうか、特攻が高くても初期のレベルだと、特攻系の技覚えてないとかよくあったよね。
バタフリーもLv10でなれるけど確かねんりき覚えんの12じゃなかったっけか。
まあ、それなら概念的に考えても頭突きに拳当てて相殺して大丈夫だべ。
「ドレディアさん、ずつきに合わせてがんめんパンチっ!!
結果的に額か頭頂部にパンチになるけど細かい事は気にしないでっ!!」
「なんで指示飛ばすだけなのに説明口調になってんのよ……」
スリープのずつきとドレディアさんの破壊姫パンチが激突する。
なかなか凄い衝撃がこちらにもビンビン伝わってくる。あのスリープ地味に攻撃値高くねえ?
「ドレディアさんっ!!
そこで【もう……おせぇーーーー!!】って言いながらパンチから圧拳!!」
「ディァッ!?」
【何それっ?!】だとぉっ!? そんなもんアドリブでやり切れよっ!
「ほら、もっさんもッ。ここで『いかん碇ッ!!拳を退けッ!!』って言って!! ほらっ」
「ネタがさっぱりわかんないわよっ!! 真面目にバトルしなさいっ!!」
えー俺かなり真面目なんすけどー。ッチ、うっせーな……反省してまーす。
「くそぉっ!! こんなふざけたヤツに負けたくねー! スリープ!! もう1回ずつきだぁっ!!」
「ドレディアさん!!」
「ディッ!?」
試しに目で合図を送ってみる。 殺 れ と。
その瞬間ドレディアさんの目がニヤリとしたような気がした。
そしてドレディアさんは、スリープにずつきさせるまでもなく
ぶっちゃけ俺は見えなかった位の速度で、ずつきする前のスリーパーの首を
弾丸の如く駆け抜けた自分の体ごと押し倒し、十八番のうまのりパンチへ移行するっ!!
「あぁっ!スリープゥゥゥっ!!」
「ディッ! アッ! ディッ! アッ! ディーァァァァッッ!!」
ゴスッゲスッ
ドグッ ガスッ
ボグゥッ
「トゥルトゥル……」
そして攻撃に移る事すら出来ずに、スリープはやられた。
破壊姫万歳。ひたすら怖いだけだよドレディアさん。
「あ、あああ……スリープ……」
「うーしよくやったドレディアさん。圧拳に関してはあとで勉強しようね」
「ディ#」
【いきなり変な事やらせようとスンナ】と非難を頂いてしまった。
いいじゃねーかよぅ。楽しく行こうぜ。
「くっそぉっ……! 頼むっ、スリープ!!」
「えっ?! もう1匹っ!?」
そういえばゲームでも結構いた、同じポケモン使ってくるやつ!!
何気に初めて遭遇したなこういうの。まあトキワの周りの虫取り少年も多分そういうのいるんだろうけど
あっちじゃ全部、ドレディアさんが眼力で追い払っちまってたからなー……。
「じゃ、ドレディアさん。油断せずに慎重に、ね」
「レッ!」
うむ、よい返事だ。頼むぞ……俺の相棒。
「スリープっ!! さいみんじゅつだー!!」
「トゥルトゥル!!」
「ッディ……!?」
ほぅ、あのス プは さ じゅ
れ? なんか ねむい けど
うそ? んで れに んじゅつ ……
おれの めのまえが まっくらに なった
にどめ かよ
ぐっすりと眠った後、起きて何があったか話を聞いたところ
ドレディアさんも「ずっと」すぴょすぴょ寝てて、ねんりきで普通にやられてたそうです。
「なんで君にまでさいみんじゅつが行くのよ……」
「僕もトレーナーの人にまでさいみんじゅつが効いちゃったの初めてだよ……
まあ負けたくなかったからチャンスと思って遠慮なく倒しちゃったけど」