うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

27 / 129
24話 修練終

 

 

あの自問自答の後とりあえずそこらのコンクリートを拾い

結構盛大にマチスさんたちに止められたのだが、波止場に向かって行き

コンクリートを足に括り付けてどぷんと飛び降りた。

 

 

そんで「いざさ~らば~、さ~ら~ば~せーんせーいー」とか沈みながら頭の中で歌っていたら

 

(いざさ~らb『神は言っている……ここで死ぬ定めではないと……』)

 

とか変な声が突然混ざってきて、なんかクジラっぽいヤツの頭……なのか?

なんかそのまま水中に着地した感覚がして、気付いたらザブァーって海から出ていた。

「なんだこれはー」とか言ってたら、おそらくしおふきなんだろうか?

ブシャーってその頭から波止場にまで打ち上げられて

釣り人達が「なんだ撮影か何かか」と釣りに意識を戻す最中

飛び降りたシーンを見ていたドレディアさん達に捕まり、うまのりパンチでしこたま殴られてしまった。

 

 

まあそんな昼休憩を挟み、今はみんなでクチバシティで食事をしている。

てか、さっきのクジラみてぇなのってカイオーガじゃねえ? なんか、天気が雨になりかけてたし。

 

 

 

「ていうかなんで君、命失いかけてたのに普通にご飯食べてるの?

 私達の心配なんだったの? 馬鹿なの? 死ぬの?」

「だって、なんかヒンバスに酷い役目押し付けてると思ったら死にたくなったんだもん」

「どういう理由よ……そのまま死んじゃったら大騒ぎだし

 ヒンバスだって2度目のご主人様失う事になるのよ?!」

「グッグッ;;」

「……ッ!! ォォォォァァァァ、凄い後悔の念がッ……!!

 やめてメルエムッッ……!押し潰されるッッ……!!」

 

あぁ、なんということか。ありのまま今思ったことを話すぜ……!

ヒンバスを大事にしていた(・・・・・・・)と思ったら大事にされていた(・・・・・・・・)

な、何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も大事にされてたのを理解出来なかった……!

 

どうしてこうなった。

 

「アハーハーハー!本当リトルボーイ見てると飽きないネー!

 さすがにリアルにコンクリーツ付けて飛び込んだ時はマイアイズを疑ったけどネー」

「思い立ったら即行動。美徳ですね、実に」

 

 

 

ズッゴシッ!

 

 

いきなりドレディアさんに今度はがんめんパンチで襲われた。

な、なにをするだァー!! しかも涙目だし!! 涙目なのは俺だァー!!

 

「ディ#;;」

「タツヤ君、彼らの言葉わかるんでしょ? ちゃんと受け止めてあげなきゃ、駄目よ?」

「あー。うん、はい」

 

【本当に死んだと思ったんだからな……!心配は一応、したんだからな……!】

 

とか目で訴えられたら流石に俺もボケれないし反省するわ。マジすいません。

ちょっと自分を軽々しく扱いすぎました。

 

「グ~、グ~」

「ん、どしたのヒンバス。あとドレディアさん、マジでごめん」

「ディァ……」

「ググ~、グ」

 

【私の事は良いのです。この均衡で実力が抜きん出ているのは理解しています。

 それに加えて私も、教導役として貴方に了承をしたのですから……】

 

「まあ、うんそうだけどね……

 でも地味に叩かれ続けてるわけだし、やっぱ痛いじゃん?

 いくらLv100先駆者とはいえ、やらせてた俺って虐待者に近くねーかって思ってね……」

 

そんな風に現実を事細かに話して俺の気持ちを知ってもらいたかったのだが

どうやら妙に賢いこやつ等にはその返答すら聞き入れてもらえないようだ。

 

「ディア。」

「─────。」

 

【なーにが虐待者だっつーの。

 痛みだのなんだのでも何かしら代償にしねえと成長なんてしねえもんだろうが】

【その通りだと思うぞ、我が主よ】

 

なんなのお前ら。明らかに俺より学が上じゃね? これ。

別の意味でガックリ来るもんがある。

 

「ふふ、ドレディアちゃんの意思しか私には見えないけど……タツヤ君、みんなに愛されてるわねぇ♪」

「まあ、そこは俺ですから。マチスさんにも愛されてますし」

「ォーゥ?! ミーがユーにラヴミードゥ?! ソンナコトナイデスヨッ?!」

 

 

あはははは、とみんながみんな笑っている。ぁー、俺周りに恵まれたんだなぁ、これ。

最初は周りに居るのはドレディアさんだけだったのに、たった1ヶ月ちょっとで遠くまで来たもんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でもその割りにそこら辺でしょっちゅうさぁ。

フーちゃんらしきフリーザーが飛んでいる光景はなんとかならんのだろうか?

遠くに来た気しないんだよね、割と切実に。

 

 

 

 

昼飯は軽めに済ませ、また郊外の森へと辿り付く俺ら。さーて、本日最後の授業と行きますかー。

 

 

「では最後の授業。野戦訓練をしようと思います」

「さっきも言ってたけど野戦って何?」

「そうねー、ヤセン? ヤサイじゃないノー?」

 

あんたはどこのサイヤ人を想像してんだよwww

 

「野戦ってのは、要するにルール無用のバーリトゥードゥですよ。

 野生のポケモンとの勝負にルールなんてないでしょう?」

「あー、オーケィオーケィ、そういうことねー。アイムアンダスターンド」

「そういう事かぁ、要はトレーナー以外との戦い向けの訓練ね?」

「んむ。そういうことでござる」

 

つまりはそういう事である。

俺が前にロケット団相手に「6:2」をやらかした勝負。

ああいう形の対処や対策を今回はやっていこうと思う。

 

「んじゃそういうわけで心構え。

 

・殺らなきゃ殺られる。殺す覚悟が無いなら逃げろ。

・あるものはなんでも使え。例えそれが味方の亡骸だろうと。

・決して手加減をするな、隙を見せるな。

 

 こんなとこかなー」

『…………。』

 

ん、なんじゃらほい。

全員して黙りこくりおって。

 

「内容が予想を超えていたわ……それもうただの戦争じゃないの……」

「……ハウオールダーユー? HAHAHA……。」

 

 

「それじゃ、心構えはとにかく油断なくって事で。

 次は実際に使える技や知識をやっていこう。全員勉強の準備はいいかー」

 

「ディアッ!!」

「ッ!b」

「グッグッ!」

 

俺の手持ちの元気な声がする。

 

「わかったわっ!!」

「ッキュー!!」

 

あれ、サンドはこっち側じゃね?

 

「Yes、Sir!! General!!」

ライ、ッチュー(イエ、ッサー)!! ヂュヂュララ(ジェネラル)!!」

 

ボルティすっごい頑張った、それは褒める。

 

 

 

 

 

「じゃ、とりあえずはもう思いつくことを片っ端から教えていくよ。

 では最初の概念から。ずばりハッタリだ」

「ハッタリ? それって虚実とか虚像とかそういうの?」

「うん、それ」

「……そんなのがなんの役に立つの?」

「……。」

 

マチスさんはダンマリか。さすがにわかってらっしゃる、のかな?

 

「そんじゃあ実演するから。お題はにらみつける」

 

 

そんな訳で俺は全員を睨みつけて見た。

 

 

「ッ────!」

「ディー?」

 

しかし ドレディア には きかなかった!▼

 

「ッ────!」

「別に怖くないわよぅ(笑」

 

くっそう、くっそう!

見てろよ! 次から変わるんだからなっ!!

 

「まあ、ちょっとあまりの情けなさに泣きそうだけど我慢する。

 そんでまあ、次はハッタリを込めたにらみつけるだが───」

 

俺はゆっくりと無意味に腕を大開きしながら

全員から視線を逸らすように、後ろを向いて手をだらりとさせる。

 

『…………?』

 

ま、何をするのかわからないんだろうな。それはな……こう、やるのさッ!!

 

 

俺はぬらぁりと、皆が居る後ろ側にゆっくりと振り向き

口元をニヤァと笑わせつつ、頭の中では本気で

【お前等は完膚なきまでに完全にコロス】と念じながら

実にスローモーに、全員をザァっと睨みつけた。

 

 

「ッディ……?!」

「う、うそ……ただ睨まれただけなのに……凄い背中に寒気を、感じる……!」

「チュ、チュー……」

「キュー(ぱたり)」

 

そして約一匹、普通に耐え切れず地面にぱたりこと倒れてしまった。

ああ、サンドっ! ごめん! 気絶しちまうなんてっ!!

 

「……ッ!」

 

マチスさんだけは厳しく俺を睨み返しているが

あのドレディアさんですら、俺に対して恐れを抱いている。

 

そこで俺は気が抜けてしまい、なんかが『ポシュン』と音を立ててどっかに飛んでいってしまった。

 

「ふー……まぁ、そういうこと。

 今やったのが、ハッタリ込みの【にらみつける】さ」

「う……」

「ディァ……」

 

ふっふっふ、どうやら恐ろしさは知ってもらえたか。

なんだかんだでみんな、10歳と舐めているからなぁ。

10歳じゃないと疑っていても姿形がこれでは、油断もしちまうだろうさ。

 

「ユーは本当に凄いネ……

 ミーが推薦すればきっとすぐにトレーナーズスクールのティーチャー位は確実ネ」

「はぁ、そりゃどうもっす」

 

若干恥ずかしい褒め言葉ではあるが

さすがに教えてんのが同じ年齢のヤツじゃ教えられる相手も締まらんべさ。

 

「とにかくハッタリの概念は……例えば、相手が油断していたり

 気を引き締めていたりと、必要以上に普通じゃない状態の時に有効だ。

 相手の対応と認識をずらすためにも、デメリットもそんなに思いつかないし

 積極的にやって行きたい事のひとつだと俺は思ってる」

「覚えておくわ……確かにあるかなしかじゃ、全部何もかも違ったもの」

「ドレディーア。」

 

うむ、理解してもらえたようで何より。

 

 

合間にサンドをゆすって起こしておく。涙目で見られてしまったので本気で謝った。

之は之で反省しないとな。ともあれ次に移るとしよう。

 

「次に野戦で必要なのはとにかく予想外の動きをすること。

 野戦って言葉が適合する戦いは、どう足掻いても必ず自分の命の危険が付き纏う。

 その予想外を起こすヤツが敵対相手であれ、自分達であれ……

 とにかく予想外の事ばかり起きると、不利にしかならない。だからこそ状況の把握が必要なんだ。

 そしてその把握の度合いを邪魔するのが予想外という行動ね」

「言葉ではわかったわ。具体的にはどんな事が予想外になるの?」

「んー、そうだねぇ……」

 

実践出来ないわけでもないしちょっと見せてみようか。

 

「じゃあ、ドレディアさんちょっと手伝って?」

「ディ?」

 

【私か?】と疑問系で尋ねてくるドレディアさん。

 

「うん、それじゃあドレディアさんはそっちに立ってね。んで俺はここ、と」

「ディーァ」

「…………。」

 

相変わらずマチスさんの目はとても厳しい。

やっぱ軍隊でもこの手に関する事が、掠る程度のレベルで教導されているのであろうか?

 

「で、俺が今からドレディアさんに攻撃するから

 ドレディアさんはその場から動かないで交わしてね」

「ディッディ~ア~♪」

「……ドレディアちゃんに当てるつもりなの?」

 

【お前の攻撃かわすのなんざ余裕だっての♪】と

非常に余裕そうである。もっさんも俺に対する信頼が0%(じぇろパー)

……吠え面掻くなよ?クックック

 

「じゃあいっくよー」

 

俺は立っていた地点から走り、ドレディアさん目掛けて飛び蹴りをするっ!

 

「ディッ(ヒョィ」

「やっぱりねぇ(笑」

 

あっさりと交わされてしまって───

 

 

 

 

 

 

───俺はドレディアさんのすぐ後ろにあった木を跳ね返りの壁として利用して

三角蹴りの応用を使い、再び飛び蹴りで襲い掛かった。

 

「ッディァー!?」

「ええっ?! そんなのアリっ?!」

 

ドレディアさんやもっさんだけでなく他のポケモン達も目を見開いて結果を見る。

 

さすがに直撃こそしなかったものの

ドレディアさんはしっかりとガードした(・・・・・)

 

 

 

つまりは───交わす事は出来なかったのだ。

 

 

 

「─────ふう、とまあこういう事。これが予想外が生み出す油断を突く奇襲だ」

『(コクコクコクコク)』

 

マチスさん以外の全員が、結果と違った内容であることからなのか

素直に首を立てに振る。お前らスイーッチョンの水飲み鳥かい。

 

「他にも色々あるよ。例えばこの木片を見て?」

「ン? ウッドチップネー……」

「うん、どッからどう見ても木屑ね」

「ディーアー」

「ライチュー」

 

「で、これをさ。───こうするのね」

 

俺はぽーいと上に高く放り投げる。

全員の目線はもちろんそちらに向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はその間にマチスさんの足元まで飛び掛り

顎目掛けてアッパーを打ち抜こうとして─

 

『ッッッ!?!?』

 

寸止め、とするには若干距離は開きすぎているが

ともあれ拳を直接当てず、その動きを形付けたまま停止する。

 

「……シット! ミーもベリー注意してたノーニ……やられてしまったネー」

「ちょ、ちょっと待ってよ……マチスさんって元軍人でしょ?!

 軍隊格闘とか習ってたんですよね……?!」

「……イエスよ」

「そういうことさ。今、現に。格闘のド素人が、経験者の領域に土足で踏み込めたのさ。

 これらも普通じゃ絶対に出来る事じゃない。

 あくまでもそれらが予想外だからこそ、出来る最終結果」

 

ルールなんてどこにも無い戦いで、これ以上に有利な戦略など

完全なる違法を除いてある訳が無いと俺は思っている。

それほどまでに予想外というのは、戦況を有利に形作っていく重要な要素なのだ。

 

「……さすがにここまで続けざまに出し続ければ

 どれだけ有用な事かは、完全に理解してもらえたね?」

「ええ、純粋に凄いと思ったわ……私じゃ絶対にあそこまでは発想が追い付かない」

「ディア。ディアー」

 

まあ、俺もここに至るまでには相当に時間が掛かったからなぁ。

でも、いかに子供だましの連続とはいえ、俺はあのロケット団共を駆逐した。

それは大体の俺の論が正しかった事の証明でもある。

 

 

 

 

よし、ここでずっとうんうん唸ってもらうために

俺は実践を見せたわけではない。

之はあくまで授業なのだ。

 

「そういうわけで、予想外の初級版としてー。

 俺がやったみたいに三角蹴りの応用からみんなでやってみようか。

 最初に大事である事は『自分自身攻撃は間違いなく交わされる』って

 予想をしている事だからね?

 当たる、と思って攻撃を出してて防がれて、で

 逆に予想外を喰らっちゃったら元も子も無い。

 まずは当たればラッキー程度の形でいいんだ。

 外れるとハナっから思ってて、交わされたその後に追撃が出来れば良い」

 

初歩の初歩である奇襲、だね。

相手のペースに乗せさせないためにも、これは大事である。

 

「それじゃ、みんな練習を開始してみてー」

 

 

「ッディアー!!」

                     「─────!!d」

         「グッグッグッ!!」

    「キュー!!」

               「ライッチューゥ!!」

 

全員が全員、気合を入れた声を張り出す。

まったく、みんな元気なもんである。中身ジジイ手前の俺には真似出来んわ。

 

 

 

 

ま、こんな感じで2日目の修練も終了した。

 

この日は昼すら跨いでひたすら修練していたのもあり

ドレディアさんはレベルが2程度上がり、18って感じに。

ディグダは必要経験地上昇と経験地1/3のコンボがネックなのか、1しか上がらず12程度に留まった。

 

今回は特に新技の発生はなかった。

あの横蹴りををディグダが覚えなかったのは、まだまだ使いこなせていないという判断なのだろうか。

ぱっと見た感じかなりサマになってたんだけどなぁ。

 

 

 

 

さらに後日談になるんだが……

 

マチスさんのボルティがパワーアップしすぎたらしく

もはやディグダを連れて来た程度ではクチバジムの攻略が不可能になったようだ。

 

ディグダ5匹とダグトリオ連れて来たトレーナーまで普通にフルボッコにされたらしい。

 

近々ポケモンリーグからマチスさんに「自重しろお前wwww」と注意が来るとか来ないとか

トレーナー間ではもっぱらの噂となったそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

本日の犠牲者

 

枕・650円。






感想にナイナイ、有り得ない的なもんが来てましたがしったこっちゃありません。
世間一般で馬鹿売れしてて知名度が高い小説の作家だって表現で大失敗している昨今で
そんなものを完全に気にして書かないで居たら何も楽しくありません。

この件は処方箋に書くほどの事でもありませんが
元々ポケモンはアニメでもタケシがこうそくいどうを使ってたり
主人公のサトシ君がポケモン並にタフだったり
ムサシがハブネークを自力でぶっ潰してGETしていたりと
公式が無茶な世界観なのを前提にしてご閲覧ください。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。